e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

川床でお月見

10月4

yuka 仲秋の名月は、家族で鴨川の川床から月を観ながらお食事しようと思いつきました。
お手頃なお店を探して「B STORE 1st」を初訪問。
四条大橋に立った時、月は南座の上に。
川床に出てみると、ちょうど真正面に満月が登っていました。

夜風が涼しく空も晴れて、気持ちの良いお食事タイムでした。
鴨川納涼床は、店舗により10月末まで利用できます。
残暑もようやく和らぎ、いい季節ではないでしょうか。

そして、食後にもう一つの目標のため、出町柳まで移動し、鴨川へ降りました。
レジャーシートを広げ、お茶を点てます。

月明かりの下で一服しながら澄んだ空を仰ぐと、まぶしいくらいに輝く満月の下に、いつしか同じ方向へと伸びる二筋の飛行機雲。
見回すと、芝生に二人もしくは数名で腰を下ろして月を見上げているグループが点々と。 外国人もいます。
中にはアウトドア用の折り畳みテーブルを据え、小さなスタンドライトで手元を照らしながらお酒を酌み交わしつつ談笑するグループも。

夜桜の頃とは違う、暗くて静かな賑わい。
こうして仲間と月を愛でようという人たちが現代にもこんなにいる。
どれだけ観光地化が進んでも、これが京都のいいところ。

2023年10月04日 | お店, グルメ | No Comments »

伊根町、再び。

9月4

tinzao 昨夏以来、再び丹後の伊根町を訪れたのは、奇しくも「伊根花火」の日でした。

交通規制が始まる16時までには入らないと、会場近くの駐車スペースが埋まって入れなくなってしまう恐れがあるので注意が必要です。

舟屋を改装した「台湾茶葉専門店 靑竈(チンザオ)」の空きができるまでの間、近くの屋台で焼きそばやクレープを食べて待ちました。
屋台の店主の明るい声がよく通ると思ったら、向かいの海蔵寺のご住職さんでした。
日頃は宿坊をされていますが、この日は地域貢献のためにお店番。

伊根湾を望む靑竈にて対岸の屋台村の喧騒を遠くに聴きながら、冷えた台湾茶でクールダウン。
いわば「舟のガレージ」だった場所なので冷房こそありませんが、それぞれのお客がリラックスしてすっかり長居してしまうのがよく分かります。

祭り会場に見えるクレーンは、日が暮れるとスクリーンを引き上げて映画を上映するそうです!
町のあちこちの舟屋や母屋の網戸からは、家族親族が集まって団らんしている様子が垣間見えました。

今回は離れた宿泊先の夕食の都合で夕方で泣く泣く伊根町を後にしましたが、
次にここに来る時には、伊根花火に合わせて(今年は5月1日に日程は発表されました)舟屋の宿を早めに押さえておいて、本庄浜海水浴場と共に楽しみたいと思います。

杯を肴に酒に酔う

7月25

sake
祇園祭神幸祭の神輿も通る祇園・古門前。
祭の喧騒を離れ、日本酒バー「THE BAR-SAKE」へ。
美術茶道具商「中西松豊軒」の目利きで選りすぐられた酒器を肴に様々なお酒を楽しめるところ。

ホテル「ART MON ZEN KYOTO(アールモンゼン京都)」内の畳のカウンター「天外」は、堂本印象が長刀鉾の稚児社参を描いた掛け軸や、丸平・大木平蔵による長刀鉾や山伏山の精巧な模型人形が据えられ、祇園祭のしつらいになっていました。
御簾に囲まれ、一人ずつお膳が並べられているだけでテンションが上がります。
エレガントな金髪美女と入れ違いでしたが、以前このホテルに滞在された時に利用されたリピーターとのこと。

まず目の前に出されたのが、祇園さんの紋の入った酒杯と杯台。
「永楽即全です。」京焼の家元の一つであり、千家十職の一つと名高い、いきなり名器の登場です。
今回主に頂いたのは、 京都府「神蔵」、栃木県「鳳凰美田」や青森県「田酒」、灘のシェリー樽熟成特別原酒「絲 ito 」など。

様々な酒杯の中から好きな酒器を選びながら、亭主と話に花を咲かせます。
国宝茶碗で有名な油滴天目をミニチュアにしたような杯も、手にしたとたん底に吸い込まれそうでした。
食前酒のように甘いもの、スパークリングワインのような発砲酒、ウィスキー樽に漬け込んだお酒など、お酒に詳しくなくても変化が楽しめて、杯に少しずつ色んな種類を頂くので飲みやすく、悪酔いもしません。

予算は税サ込みで5000円ほど。
唐揚げとビールで飲めや歌えやの宴席も楽しいものですが、あらゆる「本物」が集う京都で酔うなら、
お酒にも、それを湛える酒器にも思いを馳せて頂くひと時も京都旅の醍醐味ではないでしょうか。
(ちなみに、気に入った器は購入も可能とか)
こちらは金曜日と土曜日の営業ですが、その他の曜日は要相談とのこと。いずれも予約をしてくださいね。

2023年7月25日 | お店, グルメ | No Comments »

美術館に泊まる。「純国産」ホテル

6月21

tengai 古美術商の立ち並ぶ祇園・古門前に、美術茶道具商「中西松豊軒」が監修するホテル「ART MON ZEN KYOTO(アールモンゼン京都)」があります。

足を踏み入れると、御簾に囲まれた畳敷きの「天外」という、このホテルを象徴するかのようなスペースが目に入り、館内は美術商の審美眼によって選び抜かれた国内外の美術品が随所に散りばめられている事に気付きます。

まるで美術館に泊まるかのような趣向。
美術品は飾って眺めるためだけのもはありません。自分の皮膚と対話させてこそ良さが伝わるものもあります。
「和風ラグジュアリー」を謳うホテルは数あれど、日本が誇る「本物に触れられる」純国産のホテルと言えます。

全ての客室が天井高3メートル以上とゆったりとした設計で、
数寄屋の趣は好きだけど、旅館スタイルでは落ち着かないという外国客にもおすすめできますね。

ちなみに、この「天外」スペースでは、金曜日と土曜日は「THE BAR-SAKE」として営業中。
(※ご利用の際には電話にてご確認ください)
ここでしか手にできない骨董の漆器・焼物・ガラスなどの酒器で頂くお酒は、どんな口あたりなのでしょうね。
ぜひ行ってみたくなったので、またレポートしますね。

“Cha”で繋がる世界

6月6

yoshida 週末の昼下がり、ふと思い出して吉田神社へ自転車を走らせました。
京都吉田山大茶会』を久しぶりに覗いてみようと思ったのです。
黄色の横断幕が迎える石段を登り詰めると、いつもは静かな境内に所狭しと立ち並ぶお茶の屋台が見えてきました。

まずは赤い水色が目を引く韓国の五味子茶で栄養補給、和紅茶をスパイスと共に煮出したチャイをアイスでテイクアウト。
ほうじ茶と珈琲をブレンドした餡のどら焼きを片手に喉を潤していくうちに、晴天下の移動の疲れからみるみる元気になりました。

日本、中国、ベトナム、韓国、台湾、南米、ドイツ…お茶のみならず茶器や菓子、バッグ等の雑貨、お茶の木の苗木も手に入ります。
その数なんと37ブース。お客さんもお茶おたくばかり!後から興味本位で石段を登っていた外国人ファミリーは、この景色に圧倒したかもしれませんね。
お茶通でこの会の常連さんである友人達は、茶席が埋まらないうちに予約して午前中から水墨の書画体験も楽しんだようです。

ずっと雅楽のような音色が聞こえるので、吉田神社の神事と重なっているのかな、と思っていたら、更に石段を登ったところにある若宮社にて、能管とサックス、箏や笙の演奏がされていたのでした。初夏の風に乗る、気持ちの良いBGMです。
旅行で出逢ったベトナム雑貨が懐かしくなり、刺繍のバッグを自分のお土産としました。

ラグジュアリーホテルで女子会

4月18

aman 「たまにはヒール靴履いて、ラグジュアリーホテルで女子会してみたいよね」
の一言から始まった数か月前。
会場に選んだのは、鷹峯の「アマン京都」のランチでした。

大人気のアフタヌーンティーよりもランチの方が予約が取りやすいかもしれません。

タクシーで鷹峯の森の中に降り立ち、石畳を進んで「ザ・リビング パビリオン by アマン」の中へ。
小鳥の囀りが聞こえるテラスでしばし再会を喜んだあと、室内へ通されました。

暖炉を中心に配置されたテーブル席。天井まで伸びる窓の外には、新緑の苔やもみじ、奥には北山杉が真っ直ぐに並んでいます。
京都近郊の厳選素材の風味をいかし、和食の持つ繊細な季節感と西洋のテイストを軽やかに交えた、ボーダーレスな品々は、一皿ずつ小さな驚きを与えてくれます。
敷板や器も、ここに来るまでに触れた木々や土などの豊かな土壌と繋がっているような連帯感を覚えます。

広大な敷地内の散策は宿泊者限定ですが、通常のホテルのフロントにあたる建物が無いので、身体まるごと自然の中に溶け込んで気持ちいい。
ここに宿泊するような本物のセレブは、気合を入れてめかし込んだ我々とは違い、普段着でリラックスしているものなのだと改めて実感してしまうのでした。

後日女子会の話をしたところ、母が友人と行ってみたいとのことで、代わりに予約をしました。
ちょうど母の日が近い日程なので、こっそりホテルのスタッフの方に相談して、オプションサービスをプレゼントすることに。
他にも、ミニケーキや花束などのほか、テイクアウトメニューをお土産として事前に別会計でサプライズを仕込んでおくこともできるようです。
さて来月、母の反応はいかに!?

2023年4月18日 | お店, グルメ | No Comments »

本当の贅沢とは

4月3

han
白木が新しい高瀬船が停泊する史跡・一之舟入の高瀬川畔に、を眺めながらお食事できる素敵なテラス席を教えて頂きました。
飲食店を営む町家の2階「帆-HAN-」です。

カフェタイムのメニューはロゼシャンパンと濃厚な自家製プリンのみ。
春風を感じながら、外の川辺に見えるのは、記念撮影を楽しむ振袖姿の女の子たち。
舞い散る桜の花びらのなかでの嬉しそうな笑顔はこちらにも眩しいものでした。

絶好の満開のタイミング。
日本人の思う「贅沢」とは、お金をかけてめいっぱい飾り立てる事ではなくて、

「移ろう自然が美しく輝く今この瞬間を味わう」
「何もしない余白」
にある気がします。

昼会席(3日前までに要予約。8000円)とカフェタイム(14~17時)に利用できるのはオープニング期間の4月27日まで。
テラスの側にはワインと国産ウイスキーを扱うバーカウンターもあり、
これからの新緑の季節や夏の夜には、夜風にあたりながら飲むのも気持ち良さそうです。
オープンな川床とも違う隠れ家のような風情は、誰か大切な人を連れて行きたくなるかも。

2023年4月03日 | お店, グルメ, 町家 | No Comments »

背割堤と新たな計画

3月29

sewari 京都と大阪の間、石清水八幡宮のある男山と天王山に挟まれ、木津川と宇治川と桂川が出逢う背割堤は、すっかり桜の名所となりました。
展望台ができる前と比べて観光地化が進んだ印象ですが、それだけ老若男女が共に楽しめるということです。

「背割堤さくらまつり」の期間中、桜のトンネルから途中階段で南岸へと降りると、そこは屋台が建ち並ぶグルメストリート。
レジャーシートやテントさえ持参すれば気軽にお花見ができます。
本格的なキッチンカーも多数なので、味のレベルも期待できますよ!
「お花見船Eボ-ト」も運行しています。
反対の北岸へ降りると、ひらひらと桜の花びらが舞う静かな小径。まつりの熱気と日差しで火照った身体を、木陰でクールダウンできます。

ところで、2025年の大阪・関西万博を見据えて、淀川舟運を活性化しようと、水深が浅い大阪府枚方市からこの背割堤付近まで川底を掘削して航路を確保する構想が上がっているそうです。更に上流の伏見港まで中型船を運航させることも視野に入れた、京都市、宇治市、八幡市、枚方市の4市と国土交通省がタッグを組む「かわまちづくり計画」です。

かつては坂本龍馬や伊藤若冲も船便で京都~大阪間を移動していました。
三川が合流する背割堤は治水のために生まれたものですが、今後この計画への安全と環境への配慮がクリアされたとしたら、わくわくしてきますね!

花より団子か、団子より花か。

3月22

iori 例年よりも1週間以上も開花が早く、慌ててお花見の計画を立てた人も多いのではないでしょうか。

梅・桃・桜が一度に楽しめる京都御苑を去年の今頃に訪れた時にはまだ工事中だった「SASAYAIORI+」を目指して自転車を走らせました。
壁一面の窓から桜の木々が眺められる休憩所だからです。

カウンターで注文をする前に席を確保する必要があります。
ぜひとも窓側の席を…と、見回していると、ちょうど席を立つ方の後ろで待機して、無事窓際に着席できました。
画像は17日(金)時点での桜の様子なので、今週は更にゴージャスな景色が望めることでしょう。

どら焼きにも惹かれたけど、ここは素朴なみたらし団子とほうじ茶で。
食べるのに忙しくならないシンプルなメニューの方が、花を愛でる時間には向いているような。

桜の名所や美しい場所は全国どこにでも、家の近所でもあるものですが、この近衛邸宅跡の桜のように、雅やかな風情は京都ならではのような気がします。

お気に入りの珈琲を探して

3月14

coffee 京都の町に続々と、珈琲店が生えるように増えていますね。
どこで飲もうか面食らう程ですが、今回は「生きている珈琲」というかわった名前の喫茶室へと、地下への階段を降りてみました。

まるで昔からここにあったような純喫茶の様な内装ですが、スタッフは若く、Wi-Fiもあり、完全分煙と、ちゃんとイマドキです。

さて「生きている珈琲」とは。
豆の細胞を壊さず、焦がさないという熱風低温焙煎の珈琲は、胃に優しく豆本来のクリアな味がするそうで、冷めても飲みやすいとのこと。

メニューのチャートに「コク」「さっぱり」「酸味」「苦み」といった特徴が豆ごとに分類表示してあるので、素人にとっては分かりやすくありがたい。
コクと甘みのコロンビアを選んでみましたが、お店の指南によると、酸味もコクも楽しめるバランス系。
日本女優に例えるなら宮沢りえ、だそうです。

一杯25gの粗挽き豆から抽出された珈琲を、まずはブラックで。
家だと甘さを入れたカフェオレばかり飲んでいるので、「ブラックでも苦味を気にせず飲める」のが自分にとっての美味しさの基準にしています。
これはちゃんとブラックで楽しめました。クリアな味をしばらく楽しんだ後は、添えられたフレッシュを足して、最後は砂糖も少し加えて味変を楽しみました。

ちょうど家の豆を切らしていたので、オーダーした珈琲を飲みながら
「家族が朝一番に飲むから、どんな味がいいだろう?」
「カフェオレにするなら、苦みもある方がいいかな?」
と購入する豆を何にするかじっくり思案。

少量の小袋で家族の反応を見てみることにしました。
ちなみに、熱風低温焙煎の珈琲は賞味期限も約2倍だそうですよ。

2023年3月14日 | お店, グルメ, 未分類 | No Comments »
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