e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

見た景色、知らなかった世界

9月16

mikei
天皇の菩提寺である泉涌寺にて、「御寺(みてら)ART元年 未景(みけい)」展が16日まで開かれています。
久しぶりにあのきつい坂道を登ると、木陰に入った辺りから、羽織っていたカーディガンが秋風をはらみ、うっすらかいた汗が体の火照りを爽やかに奪っていきました。

特定の集団に属さず独自の表現を探る美術家26名による様々なジャンルの作品群に、鴬張りの廊下を歩きながら次々と遭遇していきます。
巨石が美しい泉涌寺の庭に溶け込んだオブジェ、既知のものを作家の目線で解釈し直したもの、阪神淡路大震災を経験した現地外国人が当時を語る映像作品など。
来訪者は多過ぎず少な過ぎず、小さな子供連れの若い家族もいて、ゆっくり自分のペースで観る事ができました。
真面目な作品ばかりではなく、「イケメン美人画」として描かれた寝仏も見ものです。

参道を登り始めたお昼間はまだセミの鳴き声が落ちついたトーンで聞こえていましたが、会場を出た頃には陽が傾き、夕暮れの境内の静けさが名残り惜しくて、この場ならではの夏の名残りと秋の始まりの空気感をもう少し味わっておけば良かったかな…と坂道を降りながら思いました。
なお、学生さんの拝観料は学生証の提示で無料となり、最終日16日の14時半より妙応殿にて、中野康生氏による寺院や文化財での表現・アートの楽しみ方を、誰にでも分かりやすく紹介する講演会も行われます。

玄関口としてのホテル

8月27
丹後ちりめんの間

丹後ちりめんの間

8月29日に開業する「三井ガーデンホテル京都駅前」に試泊してきました。
京都駅より徒歩3分(ちなみに京阪七条駅前発の「京都七条-京都ステーションループバス」を利用すると下車すぐ)という立地を生かし、京都市内の系列4ホテルの玄関口として、新サービス「バゲージサービス」が特徴です。
コインロッカーを探す手間要らず、ここで荷物を預けてすぐに観光や仕事にでかけたり、地下のラウンジを無料で利用する事ができ、荷物は後ほど各ホテルで受け取る事ができます。
小さな子供連れの人や、寒暖の激しい季節、国際イベント等でコインロッカーが使えないようなときには特に重宝しますね。
ホテル全体は茶室のしつらいをヒントに、日本の伝統工芸を随所に取り入れたデザインで、「京都デニムの間」や「丹後ちりめんの間」といったコンセプトルームは各1室1年間限定の企画で、「よーじや」のフェイシャルエステが受けられるプランもあります。
外国人客のニーズにも合わせてベッドはツインかダブルが基本で、トリプルルームの小窓からは、新幹線が往来する様子も垣間見えます。
子連れ泊だったので、部屋にベビーベッドを入れてもらうと、子供用の可愛らしいアメニティも付いていました。
コンビニや金券ショップも近いので優待券を買ったら、京都駅からJRで1駅の「京都鉄道博物館」へ。
もっと時間に余裕のある方は、期間限定で夜も開館している「京都水族館」に足を延ばすのもいいでしょう。
夜の食事処選びで気を遣う子連れ観光でも、いざとなれば京都駅ビル内の京都伊勢丹等のレストランを利用できるので安心です。
朝の朝食バイキングでは畳のある小上がりを利用させてもらい、管理栄養士監修のおばんざいやデザートをたっぷり頂きました。
お土産など何かと荷物が増え、慣れない土地で移動するとロスしがちな時間を「時短」して、観光に、お仕事に有効活用しましょう。

2019年8月27日 | 未分類 | No Comments »

天神さんのパワー

8月7

kitano京の七夕」が始まったばかりの北野紙屋川エリアは意外にも空いていて、昼間の暑さを忘れて夕暮れのお散歩を楽しめました。
北野天満宮でも「北野七夕祭」が開催中で、短パン姿という参拝に相応しいとはいえないいで立ちをしておりまでしたが、御手洗川の足つけ燈明神事で禊をすることが目的だったので便利でした(靴を着脱するための床几やビニール袋はご用意されています)。
一瞬、肩をすくめる程に冷たい水ですが、じゃぶじゃぶとふくらはぎに水流を感じながら歩くのは気持ちの良いものです。
とても短い道のりなのですが、五行色のろうそくに灯した火を、風でかき消されないように献灯台まで運ぶのには案外コツがいります。
足もすぐに乾き、温かな血流がじんわりと戻ってくるのを感じながら、御土居のライトアップをそぞろ歩き。
個人的に「パワースポット」とは、神がかりなエネルギーがもらえる場所というよりも、人を惹きつけ、人のエネルギーが集まる力を持った場所なのではないかな、と思っています。
特に全国に「天神さん」と呼ばれ親しまれている菅原道真公は、平安時代のエリート官史とはいえたった一人の人間が、千年もの時を経てもなお、大々的に崇められているなんて、極めて稀有な存在でしょう。
お隣の大阪では5千発もの奉納花火が打ち上げられる程のお祭が行われているのですから、現代におけるその影響力は計り知れません。
これは三辰信仰による太陽・月・星の天のエネルギーによるものでしょうか。
御手洗団子茶屋や刀剣展に加えて、今週末の11、12日は子供の将棋大会や本殿石の間の通り抜け、盆踊りに和太鼓などなど、元気がもらえる催しが目白押しなので、より賑やかになることでしょう。

プレミアムなおけいはん

4月23

okei
数年前までは予約の取れない豪華列車が話題でしたが、京阪電車は観光列車「ひえい」など、通常運賃やワンコインの追加料金で利用できる特別車両で攻めています。
今更ながら、追加料金400~500円で指摘席の専用車両に乗車できる京阪電車の「プレミアムカー」を初めて利用しました。
正直なところ、もともとは座席の広さと電源くらいしか魅力を感じていなかったため、これまで余り興味を持っていなかったのですが、今回は赤ん坊を載せたベビーカーに大きなママバッグをぶら下げ、片手でスーツケース引くという大荷物だったためです。

駅でベビーカーのまま入れる席を尋ねると、車いす用のスペースのすぐ隣の席を取ってもらいました。本来なら通常通りに改札を通らないといけないのですが、IC乗車券で清算してもらい、そのままエレベーターへ。
6両目のプレミアムカーに入ると、既に事情を知っている様子の添乗員に、ベビーカーをストラップで繋いでもらい、すぐ隣の棚にバッグとスーツケーツを預けてもらいました。
平日だったので車内は空いていて、座席はゆったり。膝上に赤ん坊、テーブルには飲み物を置いてすっかりくつろいでしまい、うっかり下車する準備に出遅れそうになりましたが、添乗員さんが荷物を一緒に降ろして下さいました。

通常の車両でも、混雑時でなければ優先座席を利用できるし、周りの乗客に気遣われる事もありますが、年中観光客が増加する中で、乳児とかさばる荷物を抱えてベビーカーで乗り込むんだ際のお互いのストレスを考えると、なにより二人の添乗員が常駐しているのはママさん達にとって大きな安心につながると確信しました。
これからお出かけにも汗ばむ季節。乳幼児連れのママさん、パパさんにおすすめします。

2018年4月23日 | 未分類 | No Comments »

ありそうでなかった花街写真展

4月18

utage 辰巳神社を背に微笑み、店出しの日には正装でご挨拶まわり…。
プロアマ問わず、芸舞妓たちを写した写真展は、どこも似通っているような気がします。
極彩色のカメラマン・蜷川実花の手にかかると、彼女たちは白粉ではなく、むせ返るような花の香りに包まれ、厳しい世界をしなやかに逞しく生き抜く「女子」。紅や朱は、むしろショッキングピンクに変貌します。
古典芸能を担う彼女らを、洋花で少女漫画の様に飾り付ける手法に、花街ファンの古株達はどういう印象を受けるかは分かりませんが、どれもはっとさせられるほど美しいので、きっと撮られた本人達は、その新鮮さを楽しまれたのではないかと推測してしまいます。

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」の中でも、京都駅ビルの百貨店の中という立地なので、普段はアートに接する機会の無い人でも、このアートイベントを巡るスタート地点になる展覧会ではないでしょうか。

宇治の炭山へ

4月2

moto
空は青、桜満開の宇治市に入り、車でつづら折りの細道を進みながら最初に目指したのは、炭山というのどかな住宅街の中にある「基牛舎」でした。
4,50年程前には牛舎、その後は椎茸の栽培にも使われていたいう建物を、カフェと暮らしの雑貨を展示販売するギャラリーに改装しており、陶芸作家であるオーナーのヤマモトソウヘイさんが作った器や、自ら選んだ選んだ暮らしの道具を展示販売しています。
カフェではオーナーの母親が手作りしたランチや、貴重なコーヒーのスペシャルティ、宇治の抹茶を使ったロールケーキ等が頂けます。
わずかに灰色がかった白い皿やカップの京焼・清水焼、サイダーの様な水泡を閉じ込めたガラスの器は、主張し過ぎず日常に溶け込んで、生活空間にささやかな高揚感を加えてくれそうなものばかり。
木造の梁を残す高い天井にファンが回る店内は、各席のイスやシャンデリア等のインテリアだけでなく、ジュースのグラスやストローの色など細部に至るまでこだわりとセンスが光っていました。
京焼・清水焼は、昭和46年の条例で京都市内にて薪窯を焼くことが禁止された事から、清水坂界隈の窯元が山科の清水焼団地や宇治の炭山に移転して創作を続けていました。
車が無いと少し不便な立地ですが、観光客で賑わう駅前の茶店街や茶畑、萬福寺・三室戸寺界隈とは異なる宇治の一面です。
その後は宇治川沿いの「朝日焼ショップ&ギャラリー」(7、8日に「夜の音楽会」を開催)や平等院鳳凰堂(5日からライトアップを開催)にも立ち寄りましたが、その話はまた後日。

生命を写し取る

11月21

CF06A51E-1203-464F-BD9E-3F71B61B7B1F 賀茂社資料館「秀穂舎」では、学問所であった社家建築の解説と共に、「光りと游ぶ」展として、写真家・井上隆雄氏が晩年に毎日の様に通って撮り溜めていたという糺ノ森の写真を中心に展示されています。
聞いた話によると、井上氏がかつて病気で倒れ、生死を彷徨っている間に、夢の中で下鴨神社の宮司さんに呼び止められ、生還された体験があるそうです(後日に宮司さんにその話をした時、宮司さん側は特に身に覚えが無かったそうですが)。
この紅葉の盛り、カメラを手に痛感している 人は多いと思いますが、美しいものを感じたまま写し取るのはとても難しいもの。
光量や露出の調整といった技術的な経験だけでなく、何かをキャッチするまで対象を見つめ続ける体力や気迫、感度が違うのは言うまでもありません。
泉川に浸る紅葉、幾重にも重なった落ち葉、それらの感触や音、温度までも、自らの手に刻まれた記憶が呼び覚まされます。
私達が実際に歩いて観てきた森の景色と、車椅子に座った位置からレンズ越しに観る景色もまた、違って見えるのでしょうか。

鷹峯で森林浴

6月12

shouzan 鷹峯にて、外国人達が亭主役を務める茶事に参加して来ました。
すぐそばで流れる紙屋川は、所々が深くなっていて、思わず「着物ごとダイブしてみたい」と談笑。夜になれば、にも出逢えるかもしれません。
お食事は青もみじを忍ばせた竹籠弁当とお吸い物という正統派の和食でしたが、食後は自国ゆかりの果物を使った餅菓子やドライフルーツが、お茶のお供でした。
海外で釜を掛けようと思うと、炭は危険物扱いとなるため飛行機では輸送できず、船便になるそうです。
帰り道は、亭主が「人が少なく菖蒲が見頃で、500円で貸し切り状態だよ」とおすすめしていたしょうざん庭園へ。
華しょうぶの会」が終了した後だったので数々の茶室の内部を伺い知ることはできませんでしたが、人が去った後でひっそりとしていて、遠くで聞こえる水撒きの音が、まるで自分にも優しく降り注いでいるような心地でした。
散策の途中で現れる茶花や竹筆のお店も覗いてみたりと、素敵な寄り道でした。
今度は川床にもお邪魔してみたいと思います。

2017年6月12日 | 未分類 | No Comments »

元・立誠小学校

2月14

cinema 歌舞伎役者の中村雁治郎さんや俳優の近藤正臣さん、中村玉緒さんが卒業したという元・立誠小学校の3階にある「立誠シネマプロジェクト」で映画を観て来ました。
日本で最初の映画上映が行われた地という事で、「日本映画原点の地」とも言われています。
少し薄暗い廊下と冷たくて堅い階段、きしむ床板に懐かしさを覚えながらも、かつて自分が通っていた小学校よりもモダンな造りに新鮮さも感じます。
校舎の突き当たりにある教室の中へ入ると、黒板や机は残るものの、そこはポスターやパンフレットを備えた小さな映画館の受付になっていました。
上映前になり更に暗幕の奥へ進むと、幕に囲まれた小さな空間の段差に座椅子が並べられており、まるで大学時代に度々訪れた小劇場の様で気分が高揚しました。
広告の代わりに、上映合図はスタッフの口頭で。座布団はありましたが、映画が終わる頃には少しお尻が痛くなってしまいました。
ちなみに、こちらでは鑑賞券のインターネット販売は無く、各日の最初の上映時間より30分前から受付で購入する必要があるので御注意を。
鑑賞後は1階の「Traveling Coffee」で、淹れたての珈琲を一杯。
教室の窓から差し込む陽光をぼんやり眺めたのは、もう何年ぶりの事でしょうか。映画の余韻に浸るために存在するような教室でした。
少子化により子供の足音が減ってしまった寂しさはちょっぴり残る校舎ですが、「高瀬川会議」等の有志によりその景観は守られ、学区外の子供から大人までがイベントに参加できる施設として今も息づいています。

2017年2月14日 | 未分類 | No Comments »

時空を越えて行く茶碗

1月24

raku 吹雪く程寒い日は、あちこち巡るより美術館でゆっくりすごしたくなります。
「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」展が開催中の京都国立近代美術館へ。
手捻りから生み出される樂茶碗は、両手に包まれ湯気をたたえる冬が最も映える気がします。
展示品の約半数は十六代を継ぐ篤人氏を含む樂歴代や本阿弥光悦等の作品を展観し、また半分は十五代樂吉左衞門氏の茶碗と新たな創作で構成されていました。
漆黒または朱色の肌で一般に知られているとはいえ、その造形はやはり時代の影響を映しており、ただ初代の作風を模倣するだけではここまで存続する事は無かったでしょう。
観賞順路も一方通行では無く、最後は出口にも初代長次郎の作品のある入口にも戻る事ができるようになっているのは、おそらく意図されたものだと思われます。
聞くところによると、当代は若き篤人氏に譲られ、樂美術館での企画も任されているのだとか。
京都会場のみ展示される作品や関連イベントも多く、樂美術館では「茶のために生まれた「樂」という、うつわ展」も開催中です。

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