e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

南座とロシア料理

10月17

kiev
京都市とウクライナの首都・キエフ市が姉妹都市として結ばれた1972年から、南座のすぐ近くのビルで営業している「レストラン キエフ」は、祇園という花街の立地ながら本格的なロシア料理とウクライナ料理が味わえるお店として知られています。
アンティークのルビーのような滋味深い「ボルシチ」、むちむちさらさらな子供の手のような「ピロシキ」に始まり、十勝のマッシュルームが沈んだ濃厚なクリームをパンに浸して食べる「グリヴィ」のおいしいこと。
「花」か「月」かで味を選べる「ヴァレーニキ」は、まるでギョウザのような生地にクリームチーズがくるまれ、冷たく温かいデザートでした。
どれもお店の貫禄と相まって、現在の洋食ではあまり出会えなくなった「むっくり」とした、懐かしくー温かみのある味わいでした。
家族連れでの来店も多いといい、ベビーカーのままでも入店可能です(おむつ台はありませんが、ベビーカーごと入れます)。
何故か歌手の加藤登紀子さんの歌声がよく流れていると思ったら、お兄さんがこのお店を経営されているそうですね。
夏はビアガーデンでも知られていますが、これから空気が冴えてきて、またまもなく南座がリニューアルオープンする季節に嬉しいお店です。

2018年10月17日 | お店, グルメ | No Comments »

羽ばたくための巣「あじき路地」

9月19

suzume
浴衣の舞妓さんの後ろ姿を眺めながら、「あじき路地」へと向かいました。
築100年超えとされる町家長屋の各部屋に若手作家が住み込み、それぞれ創作活動や主に週末に販売をしています。入居は若き職人や作家を応援する大家さんとの面談で決まり、家族の様な距離感で知られています。中には独立して店舗を構えるために巣立っていった住人もいるそうです。
それゆえお店は入れ替わりも多く、訪れた当時はちょうどその時期で空いている店舗が限られていましたが、ここは作業場に展示販売スペースが付随しているものと考えた方が良さそうです。玄関がどこも狭いのは、昔の日本人サイズに合わせてのことでしょう。
手作業の皮製品のお店「MATSUSHIMA」では、皮ごと、値段ごとの違い等を教えてもらいました。スマートフォンケースや時計のベルトもオーダーメイドでき、また製作教室も開催されているようです。
オーダー専門の帽子店「evo-see」では自由に試着でき、なぜか近くのコーヒースタンドも教えてもらいました。
手製の本と紙の小物を扱う「すずめ家」では、和綴じの小さなノートに目が留まりました。
お洒落なノートは心躍るけど、結局勿体なくてろくに使いきれないまま家で眠ってしまうかも…としばし迷いました。しかし、ふと友人が飲食店でぐずる子供に小さなスケッチブックと色鉛筆を渡していた事を思い出し、その子の分と、古典芸能が好きな知人のためにも、お土産にする事にしました。
鴨川を隔てた反対側は四条河原町、あらゆる人の欲求に応える繁華街です。そしてこちら側は、好きなことを仕事にしている人たちの、職住一体の静かな町でした。

五条の楽園は今

9月10

5jo 高瀬川沿いの五条より南の辺りは、10年程前まで「五条楽園」との看板のかかった現役の遊郭でした。
現在は、お茶屋だった町家やビルを改装したゲストハウスやカフェ等ができてきて、様変わりしつつあるようです。

その界隈の中にあるのが「五条モール」。名前から連想するようなイオン系列でもないし、好立地で年末年始も休まず営業しているような大規模な商業施設でもありません。
昭和の香りを残す建物の中の各小部屋を若手アーティスト達がそれぞれのペースで営業し、個性を発信しています。
人の気配があるようで無い入り口に足を踏み入れるとすぐに現れるタイルの流し。棚の昆布茶に貼られた「飲んでいいよ!」の文字は誰に対してのものでしょうか。
きしむ床板を踏みしめながら、ギャラリーや雑貨店、作家が不在のアニメーション作品を見て回ります。
一角に置いてある絵本のタイトルは『ピーマンのにくづめだったもののはなし』。 アート好きな人でなければ「ここに来て自分は何を一体すればいいんだ!?」と戸惑うかもしれません。
各店舗は主に週末に開いているようなので、週末やイベントが開催中の間で、「すなっくごっこ えでん」が営業を始める頃合いに訪れるのがおすすめです。

あんこ色、みたらし色に染まりたい

9月4

ume
買い物で歩き疲れたころ、寺町通りの先で出迎えるように佇む「甘党茶屋 三条寺町店」。
店内は、眩しい程に真っ白な壁やお皿…というよりもココア色。いやいや、みたらし団子のたれの濃厚な溜まりと伸ばしたところを連想させるようなやや日陰な色合いです。
甘党のお店はこうでなきゃ、と勝手にそう思ってしまうのです。
お品書きの冒頭にある「寺町点心」は、お馴染みの四角いみたらし団子にわらび餅、栗の渋皮煮などなど和洋菓子を組み合わせた、いいとこ取りの五種盛りです。
もちもちの生地であんを挟んだ新作「あんの花束」も試したいけど、河原町店からずっと愛されているみたらし団子も食べたいし、という食いしん坊の心理を巧みに汲んでいますね。
若者が行き交う賑やかな繁華街の中でも落ち着きがあり、またノスタルジックな風情が合うのか、和服姿の人が多く訪れていたのが印象的でした。
「あんの花束」はちょっとした手土産にすることに。
「ディル」「紅茶」「マンゴー」。和菓子では出逢えない素材が、指先でつまめる程の小さな花束に。
喫茶で登場しているものとは違う種類のようで、「私も食べたいな…うう」と後ろ髪をひかれる思いで差し出しました。

2018年9月04日 | お店 | No Comments »

味の記憶

8月14

curry
暑くてもホットなものが食べたくなるのはなぜ?
帰省したときに食べた「うどん わだ」のカレーうどん。
下鴨にあった「しみず」で修業していた人が名物のカレーうどんの味を引き継ぎながら独自にアレンジしたものだそうです。
お店の方いわく、持ち帰って自宅で仕上げる場合は、とろみの付け方にちょっとこつがいるようです。
お腹に流れ込んだ温もりと湯気を受けて、額に浮かんだ汗を扇風機の風が乾かし、暑いやら涼しいやら身体はもう大騒ぎです。
もう随分昔のことなので、「しみず」のカレーうどんの味がもはやどの様であったか、文字に起こす事ができませんが、かつて児童公園の横にひっそりと建つお店の小上がりの畳の上で正座しながら、だしの香りとルゥが絡む麺をすすっていた事を思い出しながら、頂戴しました(画像は持ち帰りを自宅調理したものです)。
生風庵の雪餅、グリルよね田のハンバーグ…今やお目にかかることも叶わない名店の味
。「喫茶マドラグ」や「喫茶ガボール」にある「コロナの玉子サンド」のように、誰かに引き継がれていたらなあ、と今でも思い返します。

2018年8月14日 | お店, グルメ | No Comments »

日本人の知らない日本語

7月31

machi
特に読書家というわけではないのですが、書店でもインターネットでも古本を購入したことがあります。
欲しい本が書店に無いとき、また自発的に探すときにネットの利便性に頼りますが、本の方から語りかけてくるような感覚があるのは新書のある書店、より思いがけない出会いがあるのは古書を扱う蚤の市や古書店、図書館の方が多い気がしませんか?
まちライブラリー」という全国に展開している私設図書館をご存じでしょうか。
京都府内にもあり、友禅工場や京町家の一角にも設けられているようです。
画像の図書は京都府外の地域で借りたものですが、『懐石サントリー』なる珍しい題名がすぐに目に着き、一周回っても気になったので手に取ることになりました。
もはやサントリーにも淡交社にもおそらくこの本について知る人は少ないのでは。
ウイスキーの傍らに置いて楽しむ懐石の献立や花を季節毎に紹介しているもので、これだけ四季の移ろいを細分化して繊細に楽しむ文化を持つ民族は日本人だけではないかと感じました。
普段「物語を熟読する」よりも「記事を斜め読み」しがちな毎日において、未知の言葉の表現に触れられるのもまた、書物ならでは。
私達には、まだまだ知らない日本語がたくさんあります。
ちょうど五山の送り火の頃に糺の森でも「納涼古本まつり」が行われます。
暑さ指数を目で追うより、心潤すことばを探しませんか。

こどもと楽しむ祇園祭

7月18

kodomo
記録的な猛暑、青い瞳の浴衣美女、リユース食器で食べる屋台もの。祇園祭の宵山の光景も様変わりしてきましたが、赤ちゃん連れでそぞろ歩きを楽しむ親子や、子供向けの遊び場も増えた気がします。
乳幼児連れでも安全に祇園祭を楽しむための休憩スポット「こどもステーション」が、今年も前祭宵山で設けられました。
協力店舗が授乳や食事、おむつ替えのスペース、ミルク用のお湯を提供するなど、それぞれが可能なサービスで開放するというもの。
人混みを抜けて、冷房の効いた畳の上に辿り着いたら、汗もみるみる引いていきます。
子供も水を得た魚のようにおもちゃで遊び始めました。
祇園祭が大好きな知人は、子供達に浴衣や甚平を着せ、自身も和装で毎日宵山を楽しんでいると聞き、その気合いに脱帽!
烏丸御池のNHK京都放送局が、トイレでおむつ替えができ、涼しくて広いので休憩に良いとの事でした。
「こどもステーション」は前祭がメインのプロジェクトですが、一部の施設では曜日限定もしくは通年でサービスが継続されています。

2018年7月18日 | お店, イベント | No Comments »

子供の浴衣、どこで買う?

7月9

jinbei
いつもはオフィス街の四条烏丸近辺に、祇園囃子が流れる季節になりました。
お祭、花火、地蔵盆…子供達にとっても和装に触れる良い機会です。
最近では子供用でも、北欧ブランドさながらにカラフルなものもあれば、子供服メーカー独自の柄のものもあり、値段もさまざま。
「赤ちゃん用の甚平ってどこで買えばいいかな?すぐに大きくなるから高価なものは勿体ないし…」と話すと、実家が鉾町の呉服商の人から「ほな「優彩」さんがええんちゃう?」との返答が。
残念ながらお店には1歳児以上のサイズ展開だったので購入には至りませんでしたが、手頃な価格帯の浴衣や小物などがたくさんハンガーに掛けられていました。
結局のところ、西陣の「たんきり飴本舗」の向かいにある「日の出や」で、いつの間にか母が誂えてくれていた甚平に袖を通す事に。
張りのある注染の浴衣生地で、パンツの無い昔ながらの丈長タイプです。
子供用は小・中・大の3サイズで4300~5800円、仕立て上がりは我が家で4、5日でしたが、長くて1週間だそうです。
お店には反物に始まりガーゼハンカチや祝儀袋の小物のほか、奥には作業スペースがあり、女将さんの柔らかな物腰も素敵でした。
子供の甚平・浴衣探し。なお、祇園祭の宵山期間中は、鉾町のあちこちでセールもされているので、お子さんと一緒に選ぶのも夏の思い出になりますね。

和食の粋の詰め合わせ

6月26

nosi
京料理 乃し」のお弁当を頂きました。
つややかなお造りに香ばしい八幡巻き、優しく甘く煮ふくめたもみじ麩に、淡く可愛らしい色合いのあられ揚げ。「和食の美味しいもん」が全部揃っています。
料亭が主催する料理教室や、茶事に伴う懐石料理の裏方を手伝う時にいつも驚かされるのは、ほんの小さな一品でさえ手間暇が掛けられていたりするということ。
食材の表面の照り、青菜の鮮やかな色、食する人の口に運ばれるまで時間を経過していても損なわれない味わい。
それら全てに理由があるのですが、そんな理屈を知らない家人も「美味いな…」と箸を止めてしみじみ。
これだけの品数が彩りよく入っているという事は、当然ながら素人ではとてもできませんね。
持ち帰りの折詰は2700円から、画像の松花堂弁当は4320円でした。お店で食事したとしても、祇園や中京区にある同等のお店と比べるとリーズナブルな価格帯です。
京都旅行帰りの新幹線での贅沢な余韻に、外出が困難な方とのお食事会に。
「Bentou」が世界にも定着しつつあるのなら、こんな和食の形も広く知ってもらいたいですね。
ぜひお店にも伺ってみたいと思います。

2018年6月26日 | お店, グルメ | No Comments »

お茶の個性を知る

6月18

en
美味しいお茶が頂けるお店は京都に幾つかありますが、「茶菓 えん寿」は、単一農園単一品種(シングルオリジン)の日本茶を扱う珍しい茶房です。というのは、日本茶はブレンドによって味の特徴を決めるからです。
他の茶葉を合わせないため、その産地だけの、あるいは生産者の個性がストレートに現れると言えます。
スモーキーな薫りがするもの、ミルクの様な味にふくらみのあるものなど、ひとつひとつ自己紹介の如く詳細に書かれたお品書きを読んでいるだけで楽しくなり、なかなか一つに絞れません。
普段は宇治茶を飲む事が多いので、他の産地の釜炒り茶を選んでみました。それも、標高の高いところで採れる山茶を、おばあさんが8時間かけて釜炒りしたというもの。これが飲めるのも、おばあさんがご健在なうちとのこと。
野趣にあふれた大味かと思いきや、味や香りも上品で透明感のある味わいでした。
かつてはどの家庭でも、畑の端っこで茶の木を育て、自前のお茶を炒って飲んでいたと聞きます。それこそ、家庭ごとのシングルオリジンですね。
「なぜ太秦に出店したのか?」とよく尋ねられるそうですが、夕方の大映通り商店街の、のんびりとした昔懐かしい空気感に触れていると納得です。
昔は当たり前だった光景が、今では珍しいものとなってしまった事は、少し物寂しい気もしますが、若い人には新鮮に映るのかもしれませんね。
お茶のお供には、これまた珍しい白小豆の羊羹を。
物腰柔らかな店主さんは、京菓子の老舗「老松」で菓子職人として18年間修業を積んだ経歴を持ち、和菓子のテイクアウトを頼むと、わざわざ蒸し直してくれました。
店内は意外に小さな子供連れの家族が多かったのですが、店主と向かい合って割烹のようにお話できるカウンター席がおすすめです。

2018年6月18日 | お店, グルメ | No Comments »
« Older Entries