e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

二条城近くで蕎麦ランチ

9月17

sobaya 世界遺産・二条城で18年ぶりに開催された本丸御殿の一般公開
近くに住むグルメな友人に、二条城近くで軽く昼食を食べられるところを聞いてみると、2軒の蕎麦屋を教えてくれました。

一軒は「手打蕎麦 みながわ」。
外のお品書きも見ずに入ったので、カウンター席に腰を下ろしてから、なかなかええ値段することに気がつきましたが、目の前でじっと鍋を見つめながら注意深く湯がかれた蕎麦はやはり美味でした。
単品で追加した自家製にしん煮は、甘さ控えめ。
箸でつかんだだけでほぐれ落ちそうなくらいに柔らかい。
どうやったら、ニシンの原型を綺麗に保ったままあそこまで柔らかくできるんでしょう。丁寧な仕事を感じさせる一品でした。
着物女性を連れた男性もいて、デート利用で蕎麦一枚に酒一献もいいですね。

もう一軒は「御蕎麦・京吉美」。
40年以上もそこにあるというのに、これまで気づかなかったくらいに奥ゆかしい店構え。
ありふれた蕎麦屋の内装を想像して入りましたが、思った以上に渋い!
お値段手頃ですが味はお値段以上。店主とお客との会話を聞いていると、近くの勤め人達に長年愛されてきたのが伺えます。
ニシンも、自分の記憶に近い馴染みのある風味でした。

どちらのお店もそれぞれに良さがあり、ちょうど良い具合に人が絶え間なく出入りしていて甲乙つけがたいところ。
あなたなら、どちらの暖簾をくぐりますか?

本からの声を聞く

8月14

hon
毎年恒例、下鴨神社糺の森の木陰で開催される「納涼古本まつり」。
今回は子供達の手を引き、児童書目当てで森の中に入りました。

木陰で暑さはやわらぐものの、人の熱気を感じます。
日頃は街中で古本屋の前を通り過ぎても、おじ様や外国人しか見かけないのに、こんなにもたくさんの老若男女がお気に入りの一冊を求めて歩き回る光景には圧倒。

今やネットで欲しい本を一瞬で検索して翌日には手もとに届いてしまう便利過ぎる世の中ゆえに街角の書店も減りましたが、今でもこんなに本の愛好家がいるのですね。

会場内には飲料のみ提供ブースがありました。
境内には茶店、神社周辺にも飲食店は幾つかありますので、お食事の心配は無用です。キャッシュレス決済に対応している店舗もあって時代を感じます。

歴史書など高尚で分厚い専門書から、昭和のアイドル雑誌、ヒット漫画の全巻セット、関連グッズなどなど。
児童書は、どのお店でも通路側の低い位置にまとめて置いてあったりします。
子供達は直感的に手に取って次々と選んでいきました。

絵本というのは、適齢期を過ぎても大人になって見返しても、その色遣い等のデザイン性やストーリーに惹かれ、再び手もとに置きたくなるものですね。

全ての古書店を隈なく覗く時間がなくても、店主が面白い、人の気を惹きそうなものをちゃんとディスプレイしているので、案外何気なく手に取って求めた本が役立ち、今でも時折開いて読んだりします。
きっと本の方から呼んでくれてたりもするのかもしれませんね。

「納涼古本まつり」は、毎年五山の送り火の日まで開催されています。

“Cawaii”おみやげ探し

8月7

miyageアジア圏の知人に渡すお土産探し。

日本のCawaiiキャラクターがお好きなようなので、初めて河原町のキディランドサンリオギャラリーをハシゴました。
京都限定らしきぬいぐるみに後ろ髪をひかれつつ、最終的にはハローキティの九谷焼の豆皿を買いました。キティちゃんは今年で50周年ですもんね。

最近は抹茶にも興味があるご様子なので、今度は茶碗探し。
その日は陶器市(五条若宮八幡宮祭:8/7~/10)にはまだ早く、五条の陶器商へ赴くにはちょっと遠いな…と近場をウロウロ。
まるで自分が観光客になったかのように寺町を歩き、日本の食器を扱う『伝DEN ON THE TABLE 』で椿柄が可愛らしい一碗を求めました。

せっかくなので京焼も見てみたくなり、錦市場の『陶葊(とうあん)』に寄ってみたところ、規格外のお値打ち品の中に自分好みのお碗に出会ってしまいました。
するとお店のご主人が器について色々と詳しく教えて下さいました。

本来はご飯茶碗だそうですが、大小重ねて野点に良さそう…とお店のご主人とお互いのマイ野点セットの事で会話に花が咲きました。

どうかそれぞれの品が気に入って頂けますように!

ガツンとくる京うどん

7月9

benkei暑い季節に熱い話題で恐縮ですが、以前から行ってみたかった「辨慶うどん 東山店」の訪問記です。

昭和50年に創業し、五条大橋のふもとに出した屋台から始まったそうで、以来ずっと京都人に愛されたきた京うどんの名店。
五条坂は何度も歩いているはずなのにいつも素通りしてしまっていました…。
検索してみて意外にもネット通販と公式インスタグラムまであることも初めて知りました。

外からは店内の様子は見えませんが、引き戸を開け一歩中に入ると、出汁の香りが細長い店の奥まで充満しています。
「けいらんうどん」に「かやくごはん」、「おにぎり」や「いなりずし」など、手書きのメニューと有名人のサインが所狭しと並び、席はカウンターも小上がりもあり、子供連れ家族からお年寄りまで美味しそうにうどんをすすっています。

看板メニュー「べんけいうどん」は、やはりやわらかな京うどん。
しかしながら、その出汁はガツンと鰹がぶつかってくるような力強い風味で、きんぴらはピリッと大人の味。甘きつねもスーパーや定食屋のペラペラなのではなく、厚くてしっかりとした味付けでした。
生姜の香りも相まって、これはきっとすじカレーうどんも美味しいに違いない。

帰り際にどうしても気になった「“ソッパうどん”て何ですか?」と尋ねると、「スジ肉のことなんです」とのこと。今でこそスジ肉は人気ですが、昔は人々に好まれず『ソッポを向かれる』というのが語源らしいですよ。

来月に五条坂周辺で開催される「五条若宮陶器祭」や清水寺の「千日参り」の前の腹ごしらえにいかがでしょうか。

2024年7月09日 | お店, グルメ | No Comments »

古門前でコーヒーを。

7月3

loto 祇園さんこと八坂神社の氏子地域は広範囲にわたります。
中でも17日の神幸祭で祇園祭の神輿が通る古門前通りは、画廊美術商懐石料理店等が並び、祇園の中でも落ち着いた大人向けのエリアといった趣きです。

その一角にある「Cafe Loto Kyoto」は、アート巡りの合間の喉を潤すのにちょうど良いスタンディングカフェ。

大理石のカウンターに淡いグリーンが目を引くエスプレッソマシンは、シアトルのMavam製。開店当初は、京都のコーヒー店で初めて導入されたものだそうです。
香しい珈琲豆の香りの中で、今までに見たこともない動きに目を奪われてしまいました。

訪れたのは6月も下旬、ベリーが鎮座するタルトが水無月に見えてしまい、アイスカフェラテと共に頂きました。
細い路地を抜ける風、さくさくのタルト生地と果実の酸味、ミルクに溶け込むビターなコーヒーを交互に行き来する、ささやかだけど深い幸せ。
季節の果物のジュースや、抹茶を楽しむイベントもあります。

マドレーヌ等の焼き菓子は、このカフェをプロデュースした料理研究家・武田雅代さんの手作り。2階は料理研究所武田サロンとなっていて通常は非公開ですが、「ウェルカムセット」をオーダーすると上がらせてもらえるのだとか。

お土産には、限定帆布バッグ入りのコーヒドリップバッグのセットも。
一澤帆布とのコラボはとても珍しいそうですよ。

更に注目していただきたいのは、しつらいだけでなく公式インスタグラムの投稿に散りばめられた、京都に息づく職人技などの文化に触れられる話題です。
古門前に足を運ぶ人々の審美眼にかなうカフェでした。

扇子屋めぐりのススメ

6月26

sensu新しい扇子が欲しいけど、果たしてどこで買おうかな。
自分の行動範囲からGoogleマップで検索してみると、有名どころから知らないお店まで、様々な扇子屋さんがヒットしました。

初訪問したのが五条通り下ルの「伊藤常」さん。
仰ぎ用として紙扇子で探したつもりが、 憧れの香木の扇子に目が留まり。
白檀はさすがに2万超えでしたが、香りは強くない方が好みだったのでお手頃な方を選び、別売りの房に付け替えてもらって自分好みにカスタマイズさせてもらいました。
事前にネットショップも拝見していましたが、こういう楽しみは店頭ならではですね。

「自分の扱いが雑なのか、袋に入れても鞄で毎日持ち歩いているうちに数年で痛めてしまう」と嘆くと、「2、3本を使い分ける方も…」と。高価なものは二の足を踏んでしまいますが、それもありかもと思い、今度は「大西常商店」さんにも足を伸ばしてみることにしました。

久々の訪問、変わらず素敵な店構えです。
こちらでは上品な広沢があり、京都らしく骨数の多い紙扇子にしました。
起こした風にうっすら良い香りも載っています。
奇しくも、どちらも「常」が屋号に付いていますが、女将さん曰く特に親戚関係では無いそうです。

扇子選びで実感したのは、百貨店やオンラインで自由自在に選ぶのも便利だけど、それぞれのお店の佇まいも風情の一つで、心なしか値段も二、三千円代からとお値打ちな気がします。
より風を起こせるサイズに変えてみるもよし、材料が全て国産の「京扇子」にこだわるもよし。
扇子選び、扇子屋巡りはこれからも初夏の楽しみになりそうです。

水無月食らうは京都人のノルマ!?

6月19

mina 6月に入ると、京都の家庭や茶席では、当然のように卓に上がる菓子・水無月
どちらかというと漉し餡派なので、特に購入する意欲が無かったとしても、結局手土産やおもてなしで頂くことがあったりして、なんだかんだ毎年食べている気がします。
京都暮らしの「定番」というよりもはや「ノルマ」に近い気が…。

水無月に関する蘊蓄についてはあちこちで語られているので割愛しますが、どこかドライな感覚を持っているお茶の師匠が、
「氷を象ったとか、魔除けとか言われているけど、四角い型から対角線上に切り取るだけで無駄が無いから菓子屋に重宝されたんじゃないか」
と話していて妙に納得した覚えがあります。

なにはともあれ、京都人にとっては「え、水無月って全日本人が食べてるもんとちゃうのん!?」と県民ショーばりの驚きであって、「土用の鰻」や「節分豆」のように、「食べるおまじない」のような存在ですね。

ちなみに、画像の水無月は「たからや」のもの。
素材の風味がストレートに伝わってきて、あんこがそのまま自分の身体に馴染んでいくような、おまんやさんの素朴な水無月です。
お皿をあらかじめ冷蔵庫でひんやりさせて、おいしく頂きました。

2024年6月19日 | お店, グルメ, 歴史 | No Comments »

昭和と平成の狭間とサイフォン式コーヒー

6月11

kiku祇園 花街芸術資料館」に行く前に軽くお昼を食べようと、友人が提案してくれた「菊しんコーヒー」に行ってみることにしました。

観光客が行き交う四条通りを避けるため、団栗通りから祇園へ入ります。
東大路通りを渡って一筋東の静かな通りの中にそのお店は溶け込んでいました。

お昼前とはいえ観光地エリア内なので待つのを覚悟していましたが、運が良かったのか誰もいないタイミングで暖簾をくぐることができました。

目の前で、サイフォン式で珈琲が淹れられる不思議な動きに目を奪われながら、はちみつチーズトーストを頂きます。
細かく切り込みが入れられた食パンを昔ながらのトースターで焼き、バターとスライスチーズ、蜂蜜を縫って黒胡椒を挽いたトーストが、シンプルで真似したくなる美味しさ。

後で調べてみると、お湯をコーヒーの粉に注いで抽出し、成分が濃くしっかりとした味わいが出るのがドリップ式、サイフォン式は粉とお湯を混ぜて飽和させて抽出し、
柔らかくすっきりとした味わいになるそうです。なるほど。確かに透明感のある軽やかな一杯でした。

マスターの男性はずっと寡黙に見えましたが、常連さんが来ると少し緊張が解けたように会話をされていました。
アスファルトに落ちる初夏の眩しい日差し、開け放した戸と暖簾の間から入って来る穏やかな風、昔どこの家にもあったようなラジカセから流れて来る少しこもった音声。
もとは「仕出し屋」だったという屋号を受け継いだ店名だそうです。
黒電話やトースター、食器類も、昭和から平成初め頃の懐かしさを損ねないバランスで統一されています。

常連のおばちゃんを真似て自宅用に挽いてもらった珈琲豆。家で棚を開く度にいい香りが漂って癒されています。

2024年6月11日 | お店, グルメ | No Comments »

誰かの実家で食べるごはん

5月27

chikoro 大文字山を下山したころ、世界遺産・銀閣寺の参道のお店がすっかり営業を開始していて、多くの観光客で賑わっていました。
一息つくのにどこに寄ろうか彷徨ううちに南側へ延びる脇道が目に入り、直感的に進んで行くと、やっぱりありました。古民家カフェ。

入れ違いに玄関を出てきた外国人のマダムの穏やかな表情が、静かで落ち着いた時間をすごせたことを物語っています。

縁側の隅には持ち主のものと思われる文庫本がしまわれており、いかにも銀閣寺界隈に古くからあるような、文芸的な薫りのするおうち。
「家は使わないと傷んでいってしまうから…」と、身内の方が静原の自家農園で採れた野菜や近隣の新鮮な有機野菜や有機食材でこしらえた自家製のランチやお菓子を提供しています。

床の間の棚の扉には「大」の字が。「大文字」の送り火のお膝元なので、後から入れられたのだそうです。珍しく高さのある木枠に収まった火鉢など、アンティークショップにあるような家財がそこかしこに馴染んでいます。
帰り際に玄関に飾られているお花は、なんと人参の花なのだそう。

アップテンポなBGMや映えるスイーツのカフェも気分がアガるけど、「誰かの実家で食べるごはん」という環境は腰を下ろしてほっとするのに最適ですね。
Cafe Chikoro」はまだ昨年オープンしたばかり。銀閣寺を目指して人混みを歩く人々にも教えてあげたくなりました。

宇治市に『ニンテンドーミュージアム』

4月24

nin 宇治市小倉町に2024年3月末までに完成予定と発表されていた
ニンテンドーミュージアム』。
主にトランプや花札の製造や、ゲーム機の修理業務を行っていた任天堂宇治小倉工場をリノベーションし、過去に発売した商品を展示することで当社のものづくりに対する考えを紹介する資料館なのだそうです。

4月になったらお友達親子と一緒に見学して、
宇治茶平等院もご案内しようとわくわくしているのですが、これまでに現地に2度足を運んで撮影した2月中旬時点でも外観は特に変わらず、新しい公式発表も無い様子。

空撮写真により判明した、屋上に描かれている「ハテナブロック」はもちろん地上から見えません。かろうじて、「スーパーマリオブラザーズ」の背景に出てくる「雲」がちらっとだけ。
近くに大きな駐車スペースは整備されている様子でした。

近鉄小倉駅から徒歩6分、JR小倉駅から徒歩8分という立地ではありますが、観光向けのお店はまだ僅かですが、近くに奈良街道が南北に通り、それに沿って宇治茶関連のお店や、巨椋神社隣には「玉露製茶発祥之碑」という石碑がある静かな住宅地です。

なんとGoogleマップではオープン前から高評価が付いている不思議。
それだけファンの期待が高いのでしょうね。

オープニングスタッフの求人を見てみると「勤務開始日 2024/6/1~」とのこと。
まだまだ正式なオープンは先のようですね!

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