e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

味の記憶

8月14

curry
暑くてもホットなものが食べたくなるのはなぜ?
帰省したときに食べた「うどん わだ」のカレーうどん。
下鴨にあった「しみず」で修業していた人が名物のカレーうどんの味を引き継ぎながら独自にアレンジしたものだそうです。
お店の方いわく、持ち帰って自宅で仕上げる場合は、とろみの付け方にちょっとこつがいるようです。
お腹に流れ込んだ温もりと湯気を受けて、額に浮かんだ汗を扇風機の風が乾かし、暑いやら涼しいやら身体はもう大騒ぎです。
もう随分昔のことなので、「しみず」のカレーうどんの味がもはやどの様であったか、文字に起こす事ができませんが、かつて児童公園の横にひっそりと建つお店の小上がりの畳の上で正座しながら、だしの香りとルゥが絡む麺をすすっていた事を思い出しながら、頂戴しました(画像は持ち帰りを自宅調理したものです)。
生風庵の雪餅、グリルよね田のハンバーグ…今やお目にかかることも叶わない名店の味
。「喫茶マドラグ」や「喫茶ガボール」にある「コロナの玉子サンド」のように、誰かに引き継がれていたらなあ、と今でも思い返します。

2018年8月14日 | お店, グルメ | No Comments »

日本人の知らない日本語

7月31

machi
特に読書家というわけではないのですが、書店でもインターネットでも古本を購入したことがあります。
欲しい本が書店に無いとき、また自発的に探すときにネットの利便性に頼りますが、本の方から語りかけてくるような感覚があるのは新書のある書店、より思いがけない出会いがあるのは古書を扱う蚤の市や古書店、図書館の方が多い気がしませんか?
まちライブラリー」という全国に展開している私設図書館をご存じでしょうか。
京都府内にもあり、友禅工場や京町家の一角にも設けられているようです。
画像の図書は京都府外の地域で借りたものですが、『懐石サントリー』なる珍しい題名がすぐに目に着き、一周回っても気になったので手に取ることになりました。
もはやサントリーにも淡交社にもおそらくこの本について知る人は少ないのでは。
ウイスキーの傍らに置いて楽しむ懐石の献立や花を季節毎に紹介しているもので、これだけ四季の移ろいを細分化して繊細に楽しむ文化を持つ民族は日本人だけではないかと感じました。
普段「物語を熟読する」よりも「記事を斜め読み」しがちな毎日において、未知の言葉の表現に触れられるのもまた、書物ならでは。
私達には、まだまだ知らない日本語がたくさんあります。
ちょうど五山の送り火の頃に糺の森でも「納涼古本まつり」が行われます。
暑さ指数を目で追うより、心潤すことばを探しませんか。

こどもと楽しむ祇園祭

7月18

kodomo
記録的な猛暑、青い瞳の浴衣美女、リユース食器で食べる屋台もの。祇園祭の宵山の光景も様変わりしてきましたが、赤ちゃん連れでそぞろ歩きを楽しむ親子や、子供向けの遊び場も増えた気がします。
乳幼児連れでも安全に祇園祭を楽しむための休憩スポット「こどもステーション」が、今年も前祭宵山で設けられました。
協力店舗が授乳や食事、おむつ替えのスペース、ミルク用のお湯を提供するなど、それぞれが可能なサービスで開放するというもの。
人混みを抜けて、冷房の効いた畳の上に辿り着いたら、汗もみるみる引いていきます。
子供も水を得た魚のようにおもちゃで遊び始めました。
祇園祭が大好きな知人は、子供達に浴衣や甚平を着せ、自身も和装で毎日宵山を楽しんでいると聞き、その気合いに脱帽!
烏丸御池のNHK京都放送局が、トイレでおむつ替えができ、涼しくて広いので休憩に良いとの事でした。
「こどもステーション」は前祭がメインのプロジェクトですが、一部の施設では曜日限定もしくは通年でサービスが継続されています。

2018年7月18日 | お店, イベント | No Comments »

子供の浴衣、どこで買う?

7月9

jinbei
いつもはオフィス街の四条烏丸近辺に、祇園囃子が流れる季節になりました。
お祭、花火、地蔵盆…子供達にとっても和装に触れる良い機会です。
最近では子供用でも、北欧ブランドさながらにカラフルなものもあれば、子供服メーカー独自の柄のものもあり、値段もさまざま。
「赤ちゃん用の甚平ってどこで買えばいいかな?すぐに大きくなるから高価なものは勿体ないし…」と話すと、実家が鉾町の呉服商の人から「ほな「優彩」さんがええんちゃう?」との返答が。
残念ながらお店には1歳児以上のサイズ展開だったので購入には至りませんでしたが、手頃な価格帯の浴衣や小物などがたくさんハンガーに掛けられていました。
結局のところ、西陣の「たんきり飴本舗」の向かいにある「日の出や」で、いつの間にか母が誂えてくれていた甚平に袖を通す事に。
張りのある注染の浴衣生地で、パンツの無い昔ながらの丈長タイプです。
子供用は小・中・大の3サイズで4300~5800円、仕立て上がりは我が家で4、5日でしたが、長くて1週間だそうです。
お店には反物に始まりガーゼハンカチや祝儀袋の小物のほか、奥には作業スペースがあり、女将さんの柔らかな物腰も素敵でした。
子供の甚平・浴衣探し。なお、祇園祭の宵山期間中は、鉾町のあちこちでセールもされているので、お子さんと一緒に選ぶのも夏の思い出になりますね。

和食の粋の詰め合わせ

6月26

nosi
京料理 乃し」のお弁当を頂きました。
つややかなお造りに香ばしい八幡巻き、優しく甘く煮ふくめたもみじ麩に、淡く可愛らしい色合いのあられ揚げ。「和食の美味しいもん」が全部揃っています。
料亭が主催する料理教室や、茶事に伴う懐石料理の裏方を手伝う時にいつも驚かされるのは、ほんの小さな一品でさえ手間暇が掛けられていたりするということ。
食材の表面の照り、青菜の鮮やかな色、食する人の口に運ばれるまで時間を経過していても損なわれない味わい。
それら全てに理由があるのですが、そんな理屈を知らない家人も「美味いな…」と箸を止めてしみじみ。
これだけの品数が彩りよく入っているという事は、当然ながら素人ではとてもできませんね。
持ち帰りの折詰は2700円から、画像の松花堂弁当は4320円でした。お店で食事したとしても、祇園や中京区にある同等のお店と比べるとリーズナブルな価格帯です。
京都旅行帰りの新幹線での贅沢な余韻に、外出が困難な方とのお食事会に。
「Bentou」が世界にも定着しつつあるのなら、こんな和食の形も広く知ってもらいたいですね。
ぜひお店にも伺ってみたいと思います。

2018年6月26日 | お店, グルメ | No Comments »

お茶の個性を知る

6月18

en
美味しいお茶が頂けるお店は京都に幾つかありますが、「茶菓 えん寿」は、単一農園単一品種(シングルオリジン)の日本茶を扱う珍しい茶房です。というのは、日本茶はブレンドによって味の特徴を決めるからです。
他の茶葉を合わせないため、その産地だけの、あるいは生産者の個性がストレートに現れると言えます。
スモーキーな薫りがするもの、ミルクの様な味にふくらみのあるものなど、ひとつひとつ自己紹介の如く詳細に書かれたお品書きを読んでいるだけで楽しくなり、なかなか一つに絞れません。
普段は宇治茶を飲む事が多いので、他の産地の釜炒り茶を選んでみました。それも、標高の高いところで採れる山茶を、おばあさんが8時間かけて釜炒りしたというもの。これが飲めるのも、おばあさんがご健在なうちとのこと。
野趣にあふれた大味かと思いきや、味や香りも上品で透明感のある味わいでした。
かつてはどの家庭でも、畑の端っこで茶の木を育て、自前のお茶を炒って飲んでいたと聞きます。それこそ、家庭ごとのシングルオリジンですね。
「なぜ太秦に出店したのか?」とよく尋ねられるそうですが、夕方の大映通り商店街の、のんびりとした昔懐かしい空気感に触れていると納得です。
昔は当たり前だった光景が、今では珍しいものとなってしまった事は、少し物寂しい気もしますが、若い人には新鮮に映るのかもしれませんね。
お茶のお供には、これまた珍しい白小豆の羊羹を。
物腰柔らかな店主さんは、京菓子の老舗「老松」で菓子職人として18年間修業を積んだ経歴を持ち、和菓子のテイクアウトを頼むと、わざわざ蒸し直してくれました。
店内は意外に小さな子供連れの家族が多かったのですが、店主と向かい合って割烹のようにお話できるカウンター席がおすすめです。

2018年6月18日 | お店, グルメ | No Comments »

妙心寺・龍安寺近くの子連れカフェ

5月21

home
先週お伝えした妙心寺大雄院から徒歩5分ちょっと。子供連れでもくつろげるカフェ「HOME」があります。
点前にテーブル席と雑貨、畳の座敷席の先の大きな窓の前には、大人も心躍るような、たくさんのおもちゃと本棚が。京福「龍安寺」駅の路地裏にあるので、時折電車が通り過ぎるのが窓から垣間見え、電車好きな子供も喜ぶかもしれません。
自身も母親であるオーナーさんは、赤ちゃん連れのママさん達に、ベビーカーを置くのを手伝ってくれたり、「おむつ替えもしてもらって大丈夫ですよ」と座布団をすすめてくれたりと、ごく自然に気遣ってくれます。
数秒でも子供達から目を離せない毎日の育児の中で、ほんのひと時でも子供達がそれぞれの遊びに没頭してくれたら、ママさんもお茶や甘いものを楽しむゆとりができるというもの。
赤ちゃんを横たわらせておける、おもちゃがある、なにより店側も客側も子連れに理解があるというのは、周りに遠慮しがちな普通のカフェよりもずっと安心感があるのです。
木のテーブルと椅子や暖かな照明が作る、ミルク多めのカフェオレのような配色の店内。
外に出れば、行き交う人がオーナーさんにひと言、ふた言立ち話。
下町の人間同士の懐かしい距離感がそこにありました。

2018年5月21日 | お店, グルメ | No Comments »

茶のある暮らしと朝日焼

4月9

asahi
宇治の地で400年の歴史を持つ窯元「朝日焼」。初代は、小堀遠州より指導を受け「朝日」の印を与えられるなど大名や公家の茶道具を制作する遠州七窯のひとつとして数えられ、宇治茶の茶器でも親しまれています。
工房に近い宇治川の右岸、朝霧橋を臨む平屋を改装し、昨年に新店舗「朝日焼ショップ&ギャラリー」を開かれました。
小規模ながら、朝日焼の陶土を土壁に用いた茶室では器を展示するほか茶会も催し、長テーブルの椅子席では、急須を使ったお茶の入れ方などのワークショップスペースとなっており、国内外の客人が煎茶碗を手に取り語り合っていました。
いずれも宇治川に面する側は一面のガラスから陽の光と川面の反射光がふんだんに採り込まれ、水辺のデッキでお茶を一服できるような小さな机と椅子も。
鴨川よりも早い宇治川の流れは清々しく、土だけでなく、水も光も空気の流れもまた宇治の茶文化の要素なのだと体感できる空間です。また、2016年に襲名したばかりの十六世松林豊斎さんは30代半ばとあって、全体に若い感性がうまく調和していました。
ちょうど家で使う抹茶の茶碗を探していたので、ひとつ購入することに。
こんな風に暮らしを潤す日用品を、京都をはじめとする各地の窯元でひとつずつ揃えていくのも楽しいですね。

宇治の炭山へ

4月2

moto
空は青、桜満開の宇治市に入り、車でつづら折りの細道を進みながら最初に目指したのは、炭山というのどかな住宅街の中にある「基牛舎」でした。
4,50年程前には牛舎、その後は椎茸の栽培にも使われていたいう建物を、カフェと暮らしの雑貨を展示販売するギャラリーに改装しており、陶芸作家であるオーナーのヤマモトソウヘイさんが作った器や、自ら選んだ選んだ暮らしの道具を展示販売しています。
カフェではオーナーの母親が手作りしたランチや、貴重なコーヒーのスペシャルティ、宇治の抹茶を使ったロールケーキ等が頂けます。
わずかに灰色がかった白い皿やカップの京焼・清水焼、サイダーの様な水泡を閉じ込めたガラスの器は、主張し過ぎず日常に溶け込んで、生活空間にささやかな高揚感を加えてくれそうなものばかり。
木造の梁を残す高い天井にファンが回る店内は、各席のイスやシャンデリア等のインテリアだけでなく、ジュースのグラスやストローの色など細部に至るまでこだわりとセンスが光っていました。
京焼・清水焼は、昭和46年の条例で京都市内にて薪窯を焼くことが禁止された事から、清水坂界隈の窯元が山科の清水焼団地や宇治の炭山に移転して創作を続けていました。
車が無いと少し不便な立地ですが、観光客で賑わう駅前の茶店街や茶畑、萬福寺・三室戸寺界隈とは異なる宇治の一面です。
その後は宇治川沿いの「朝日焼ショップ&ギャラリー」(7、8日に「夜の音楽会」を開催)や平等院鳳凰堂(5日からライトアップを開催)にも立ち寄りましたが、その話はまた後日。

台湾の喫茶文化を京都に

3月12

xiao
台湾の台北市にある人気茶藝館「小慢(シャオマン)」が、京都にもお店を出したと聞きました。
観光客も通らないような静かな住宅地の中、周囲に溶け込む木造住宅に、まるで世間から知られたくないかのように目立たない看板が掛かっているだけ。
一度はうっかり通り過ぎ、また入り口に立っても営業しているかどうかも分からない静けさに、引き戸に手を伸ばすのもためらってしまいました。
大人の隠れ家のような台湾茶カフェを想像していたのですが、実のところはお茶を取り巻く工芸品を扱う、薄暗く落ち着いたギャラリーでした。
他の来客も同様に喫茶目的だったようで、お店のスタッフが小ぶりの台湾菓子とお茶を出して下さいました。
日本にも日本茶を扱い、茶道体験ができる茶房もたくさんありますが、たくさんのお土産を手に疲れを癒す旅客が多く見られるのに対し、台湾の茶藝館で見かけた客人達は、より地元の人々が自然と集い、茶葉から淹れる喫茶が日常に溶け込んでいる印象がありました。
ここでは限られた種類の中国茶と台湾茶、台湾の紅茶を扱っており、値段も高級路線。当時展示してあった茶器もとてもシンプルで、茶を嗜むことと、その周辺の日用品や時間にも潤いを忘れない人のためのお店なのだと実感しました。
イベント用スペースと思われる二階は、たまたま茶会の最中だったようで上がる事はできませんでしたが、次回は4月に開催予定だそうで、詳細は公式フェイスブックを見て欲しいとのことです。
スタッフの方が蒸籠を持って階段を上り下りする様子から、台湾の点心も頂けるのかもしれません。期待が膨らみます。

« Older Entries