e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

白味噌雑煮とはまぐり

1月17

zouni
新装の南座に、新たに和菓子の老舗「とらや」の喫茶室が入ったとの嬉しい話題を聞き、お邪魔してみました。
時間はランチタイム。ちょうどお品書きの冒頭にあったので、
「とらやさんのお雑煮ってどんなんやろ?」
と試してみることに。
一口大の小芋や金時にんじんが、まるでホワイトシチューのように顔をのぞかせる、京都の白味噌仕立てのお雑煮
ん?うちのと同じ味?」
もともとが限られた食材から作られる汁物だし、我が家と同じ本田味噌を使用しているのなら似るのは必然的。
これはやはり、他府県から来た人々が異文化を体験するためにあるメニューですね。
「同じ1400円くらい出すなら、花びら餅にすれば 良かった…」と激しく後悔。
「そりゃそうだろ!」
と総突っ込みが入りそうなところですが(もちろんお雑煮は美味しかったです。周りの殆どの人が注文していました。)、既に汗ばむくらいにお腹が温まってしまい。
とらやに来て甘いものを食べずに帰るなんて、勿体無くてできる筈がありません。
きなこあんみつのミニサイズで口直しとなりました。

2019年1月17日 | お店, グルメ | No Comments »

年末年始のあれこれ

1月8

huku
昨年姪っ子が生まれたので、お年玉代わりに「福玉」をプレゼントしました。
もともと舞妓さんがご贔屓さん達からもらう物なので、中の小物は赤ちゃんにはまだまだ早いのですが…自己満足です。
井澤屋」のは以前に購入した事があるし、「切通し進々堂」のは予約不可だったので、今回は一銭洋食の向かいの和菓子屋の「福栄堂」になりました。
最中の様に軽い玉なので、運ぶのも保管も割らないように気を付けながら。さて、いつそれを開くかは相手次第です。
お年玉の準備に大掃除、お正月飾りにお節作りに年賀状…。仕事納めに向かってひたすら忙しい師走に、どうして日本人は色んな風習を詰め込むのでしょう。
「クリスマス終わったとこやん!」「梅雨明けに大掃除した方が色々乾きやすそうやん!」「年始の挨拶なんだから、年賀状は年明けてからの投函にすればいいのに」とぶつぶつ言いながらも、なんだかんだで結局いつも通りに。
三が日を過ぎ、乾かした塗りのお椀を布で磨きながら、その漆の深い艶に「きれいだな。面倒でもやっぱり出して来て良かったな」と思うのです。
携帯電話に目をやると、年末に京都に引っ越して来た友人から「護王神社は3時間待ちだって!」とのメッセージ。
「断捨離」や「ミニマリスト」という言葉が生まれる一方で、無駄なものに見えるたくさんの物事に支えられて生きている事を再確認する年明けでした。

2019年1月08日 | お店, 和雑貨 | No Comments »

孔雀で邪気祓い

12月26

tanaka
2019年の年賀状用に、干支「亥」にちなんだ寺社をお参りしたり、写真撮影をした人は多いのではないでしょうか。
干支にはありませんが、叡電「元田中」駅より程近くのところに、孔雀のいる珍しい神社があります。
田中神社の一の鳥居をくぐってすぐのところの檻に美しい羽根をした孔雀が佇んでいて、すぐそばで観ることができます。
もともと孔雀とは関係が無かったそうですが、かつて宮司さんがとあるサーカスから譲り受けたことがきっかけで、やがて白い孔雀は亡くなり、京大で飼育されていた孔雀が迎えられて、今では3羽がその羽根を休ませています。
社務所には水引で形作られた孔雀のお守りや、卵の形をした珍しいおみくじも。中身は開けてからのお楽しみ。
葵の紋が気になったので尋ねてみると、社殿は下鴨神社から移築されたものだそう。
ちょうど神社の位置も、下鴨神社の南端にある御蔭通りをまっすぐ東へ進んだ延長上にあります。
胸元から首にかけて、吸い込まれそうに深い瑠璃色の孔雀は、「悪を食い尽くす鳥」とされており、仏教の襖絵等でも見受けられますね。
三ツ葉丸葵の紋の縁から徳川家の崇敬社とも、また「田中姓の祖」とも言われるそうで、絵馬には田中姓の芸能人を応援する絵馬も見受けられました。
境内には氏子の希望で建てられたという玉柳稲荷社の朱色の鳥居が並び、また伊勢神宮逢拝所もあり、こじんまりとした境内ながらおめでたい要素がたくさん。
新年の幸先良いスタートを切るため、お参りしてはいかがでしょうか。

文化は「食」から

12月19

imura
お正月準備を始めるとされる「事始め」よりもずっと早くから、お歳暮需要で賑わう百貨店。
大幅に増床し、リニューアルされたジェイアール京都伊勢丹地下一階の食品フロアが話題になっています。
特に変化が顕著なのはお菓子や酒のコーナーで、パン屋も多くの有名店が入店した模様です。
菓子編集のコーナーはその品揃えから、「京都土産の定番」から「関西限定土産」、「現代版日本土産」に範囲が広まった事を象徴するような展開でした。
京都はリピーターも多いので、「定番の進化系」が最も安心感や話題性が求められるのでしょう。
また、体験型イートイン空間「TASHINAMI」が新たに設けられ、喫茶室「菓子のTASHINAMI」では、フロア内の約100ショップ・3000種類以上の和洋菓子からバイヤーが選定した旬の菓子と、日本茶やコーヒーを合わせたメニューが提案されています。
旬の銘酒と酒肴を嗜む割烹風カウンター「酒のTASHINAMI」では、京都を中心とした老舗料亭やホテル、レストランの酒肴と、バイヤーやスタイリストがおすすめする旬の銘酒を気軽に楽しめるとあり、既に何組かの大人が談笑していました。
後者は席に限りがあるので、ぜひ一度予約してみたいと思いました。
反対側の和洋酒ゾーンはガラッとシックな装いとなり、700本を貯蔵するというワインセラーや全国120蔵の日本酒を揃えています。
新たな京都の食の玄関口。「新幹線の待ち時間に寄ろう」なんて言ってると、時間が足りなくなりますよ!

2018年12月19日 | お店, グルメ | No Comments »

世の中の「すぐにはよくわからないもの」

12月12

niti
故樹木希林さんが茶道の先生として登場する映画『日日是好日』を、滑り込みで観て来ました。
茶道を経験している人も、そうでない人にも、自分の生きて来た道を振り返り共感できる光景が幾度もあったように思います。
黒木華さん演じる主人公の典子が、家庭を持ち母となったのか、フリーランスの仕事は成功したのか、幕が降りるまで具体的には描かれていませんでした。
確かにそれぞれは素晴らしい人生の彩りには違いないけれども、必ずしも1番大事な事、ではない。だから描く必要もなかったのでしょう。
それよりも、今自分の周りにいる人々や、目の前の移ろいゆく事象に向き合うこと。その様に受け取りました。
茶道をテーマとした映画ということで、あえてお茶の世界にどっぷり浸かっていない人と観てみたいと思い、この映画に誘った友人は、自分とは真逆の人生を選んだひとでした。
独りで生きていくことを決めた彼女と、同じものを観て同じように「良かったね」と言い合えたことは、なんだかとても意味のあることだったように思います。

2018年12月12日 | 芸能・アート | No Comments »

番外編の真珠庵

12月5

sinju
「由緒ある禅宗寺院が、よくここまで振り切ったものだ。」
一休禅師を開祖として創建された大徳寺真珠庵で特別公開されている襖絵のニュースを聞いて、多くの人がそう思ったに違いありません。
江戸前期の建築で重要文化財の方丈の、曽我蛇足や長谷川等伯といった絵師による襖絵の修復にあたり、代わりに納まっている現代の襖絵計45面は、中央の部屋は「釣りバカ日誌」で知られる漫画家・北見けんいちさん、方丈東側の部屋はアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」制作会社社長・山賀博之さん、西側「礼の間」にはゲーム「ファイナルファンタジー」のアートディレクター・上国料勇さんや、他にはNHKのアニメ「オトナの一休さん」を手がけるイラストレーター・伊野孝行さん、日本画家で僧侶の濱地創宗さん、花火の閃光で作品を仕上げる京都造形芸術大出身の美術家・山口和也さんが手掛けています。
いずれも現住職が旧知の漫画家や、東京で開く座禅会メンバーらで、絵の制作を依頼してからは一部の作家は真珠庵に寄宿、作務をしながら描いたのだそうです。
墨絵に浮かぶ戦闘機、カラオケで歌う一休さんを眺める髑髏、「EXILE」メンバーがモデルだという風神、雷神。今しか見られない番外編の真珠庵です。
北見けんいちさん自身がすごし、その様子を描いた与論島の風景はなんとも楽しげで、拝観者の顔も思わずほころびます。
本人や真珠庵歴代の住職、亡き妻、島の知人たちが遊び心いっぱいに書き込まれた現世と来世が入り混じるバーベキューの世界。
穏やかな天気のもと、愛する人々と食を共にし、音楽を楽しむ光景は普遍的な幸福に満ちていて、まさしく「楽園」の名にふさわしいものと感じました。
16日までの一般公開では、他にも通常非公開の書院「通僊院」や茶室「庭玉軒」、村田珠光作庭と伝わる「七五三の庭」が公開されています。

内外の力で支える京都の文化財

11月27

seiken
紅葉の美しいところは日本全国にあります。それでも多くの人が京都に訪れるのは、背景に歴史的建造物の重厚さがあり、またそれぞれの名所がコンパクトにまとまっているからなのでしょう。
先日初めて足を踏み入れた上高野の禅宗寺院は、今年9月の台風の被害の影響で足場が組まれているものの、紅葉や銀杏が見事でした。
約3千平方メートルの広大な境内には庭園や鐘楼、鳳凰閣、茶室、本堂を有していますが、観音堂前にあった杉の大木数本は台風により全て根元から倒れ、建造物群も大いに破損してしまいました。
それでも台風の翌日から多くの有志が境内の片付けや倒木の伐採にあたったそうです。
鳳凰閣の公開は28日で終了しますが、檀家を持たないため普段はひっそりとした環境を活かし、座禅修業を中心として毎朝の座禅会や新月・満月の座禅会、作務、茶道体験や整体等の活動をしているそうです。
もともと観光客に向けて広く開いている寺院ではないので、入り口には「宣伝なされませんよう」と書いてあり、ここでは名前を伏せますが、復興のための喜捨は集まるよう広く知られて欲しい気
世界的に「オーバーツーリズム」が問題になっている今、自分たちの微力を集めて文化の再興を目的とした観光にそろそろシフトしていってもいいのではないでしょうか。

2018年11月27日 | お寺 | No Comments »

人も紅葉も十人十色

11月21

saga  
紅葉シーズンでも人が少ないと聞き、北嵯峨にある直指庵へ。
本数の少ない嵐山駅からのバスを逃してしまい、待ち続けるくらいならと、30分かけて歩くことに。
予想はしていたとはいえ、観光客が車道にあふれんばかりの賑わいに「えらい時に来てしまった…。」と気後れ。渡月橋が今年の台風で被害を受けていた事なんて、渡っている途中まで思い出さなかった程です。
それでも府道29号線の高架下の住宅地へと逃れると、驚くほど人が少なく、大覚寺の北へと更に進んでいくと、歩いているのは殆どが近辺の住人です。
山門をくぐると、人の騒めきが多過ぎた場所から、音が最小限に削ぎ落とされた空間にやって来た事を実感します。
先の参拝者が去った後の本堂には、「「想い出草ノート」。3冊が残され、いずれも拝観者の思いの丈がまるで写経の様にびっしりと書き込まれています。
大切な人と訪れた人、病と共に生きる人、将来への不安を抱えている人、2~3行でさらっと書き残す人もいれば、1ページを丸ごと費やす人も。
強い筆圧でページがでこぼこになったノートは厚みも重さも倍にもなったかのようで、その点字の様な手触りを指先で感じていると、先程まで袖振り合ったたくさんの人一人ずつにそれぞれの物語があるのだ、「人混み」等という言葉を安易に使うものではないな、と思い直しました。
バス停までの帰り道。夕焼け空が開けた畑で、黙々と農作業をする夫婦を眺めながら歩いていると、北嵯峨の本来の素朴な美しさを垣間見たような清々しい気持ちになりました。

西陣の町の息遣い

11月13

miyako
生活スタイルの変化や相続、様々な事情で減りつつある京町家。
その建築物を外からの照明で煌々と照らすのではなく、地域住民の協力のもとで町家の内から外の通りに向けて照らし、家々の格子からもれだす「暮らしの灯り」を表現したライトアップイベントが「都ライト」です(今年度は11日で終了しました)。
ビロードを活かした着物のお手入れグッズの製作体験も行っている「天鵞絨(びろーど)美術館」や、かつて北野界隈を走っていたチンチン電車の映像を投影している翔鸞公園、機織りが並び普段は手織り体験もできる「奏絲綴苑」、そして、上七軒の名の由来となった7つの茶店のうちの一つと言われている元お茶屋を巡りました。
虫養いとして、地ビールや甘酒、コーヒーや麺類を提供するスポットも点在しています。
会場間は徒歩数分程ですが、住宅地を通る際、辺りはわずかな道案内の行燈のみで殆ど真っ暗なのですが、子供が母親を呼びかける声が家から聞こえてきたり、犬の散歩で立ち話をする声や通り過ぎる自転車のライトの音、じょうろを片手に路地へと消えてゆく人の姿など、西陣に住まう人々の息遣いがリアルに感じられました。
京都暮らしが長いとは言え慣れない町でもあり、幾つかの角で配布されているパンフレットの地図を手に見回していると、主催の学生さんが気にかけて歩み寄ってくれました。
今年で14回目を迎えた「都ライト」。嵐山や東山の「花灯路」イベントと同じくらい前から京都の大学生らの手によって引き継がれてきました。
京都らしい写真映えがするライトアップイベントのさきがけだと言えますね。

アートを多角的に発信する

11月5

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もとはスナック等が入る祇園の雑居ビルが、ギャラリーやカフェ、イベントスペースを内包した複合施設「y gion」として生まれ変わり、白く長い暖簾をたなびかせています。
イベント開催中は反対側に併設されたカフェのキッチンも稼働し、連動した企画が楽しめるようになっているそうで、訪れた当時は地球環境をテーマにした現代アート展に合わせて、なんと昆虫食の会が開かれていたとか。
なお、通常の企画展の期間中は「カカオ∞マジック」のローチョコレートメニューが楽しめるのでご安心を。
また、屋上には「sour」による期間限定ルーフトップバー「サワーガーデン」、5階にはレコードショップ「JAZZY SPORT KYOTO」、「CANDYBAR Gallery(キャンディバーギャラリー)」が入居しています。
DJターンテーブルやミキサーも備え、結婚式の2次会や忘年会といった利用もできますが、ただアートを並べるだけでなく、ビル全体で多角的に展開することをコンセプトとしているようです。
スペースの窓からは夕暮れの鴨川、カフェの窓からは東山と夜の海の様に波打つ瓦屋根を見下ろし、これもまた、京都の古美術の一面を見せてくれました。

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