e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

静かに燃える紅葉

11月29

ei 今年の紅葉の見頃は少し早足のようで、早くも散り紅葉の絨毯が話題に上がっています。
金戒光明寺の山門を潜り、本堂に向かって左側の道を奥に進んだところにある塔頭・栄摂院(えいしょういん)を拝見できると知って、お邪魔してみました。
看板も無く静かに開かれた朱塗りの門に負けないくらいの赤い紅葉が参道の奥からのぞいており、期待感が高まります。

お堂は周りの庭園のみ開放されていて、青から赤へと移ろう様に色付いた紅葉が、木立の中に座する仏様に向かって波の様に降り注いでいました。
またそれらが苔むす石段をより鮮やかに惹き立たせ、むしろその深い碧にしばし目を奪われてしまいました。
お堂の奥へと曲がると、白砂がまぶしい枯山水庭園が広がり、また異なる景色が楽しめます。
金戒光明寺の公式サイトにも掲載されていないにも関わらず、訪れる人の足が絶える事はありませんでしたが、比較的静かでかつ無料で(賽銭箱はありますので、志納金は納められます)こんな手入れをされたお庭を観せて頂けるとは、有難い事です。
帰り際、夜間拝観(27日)が始まるまでの合間に、本堂前で奉納演奏への の準備が進められており、いつの間にか石段にはほのかな行灯光が落ちていました。

2016年11月29日 | お寺 | No Comments »

北山杉の里・中川

11月22

sugi 朝の雨ですりガラスの様に曇ったJRバスの窓は、高雄を越えるあたりから赤や朱、黄色に染まり始めました。

紅葉の名所・高雄のある三尾から更に4キロ程山奥へ進んだところに、川端康成が「古都」で描いた北山杉の産地・中川があります。

ガイドツアーでは、地元の方とも触れ合いながら、中川天満宮で樹齢600年の北山杉の母樹に触れ、山間の街並みや非公開寺院の宗蓮寺の裏庭からの絶景を楽しみ、木造倉庫群の中で、丸太磨きの体験もさせてもらいました。

今週末26日は、松雪泰子さん主演でリメイクされる映画「古都」が京都で先行上映されるとあって、そのロケが行なわれた場所も教えて頂きました。

扇の様に真っ赤に広がる紅葉の枝を背景に、すっと天に向かって伸びる白い大台杉、白い霧と赤い霧の様な紅葉の合間にのぞく深い緑は、杉の木が連なって整然と模様を描いています。

こんな景色は、世界最古の造林地と呼ばれる中川の地ならではと言えるでしょう。

まるで健康的な素肌の様な北山丸太。子供の頃から「触るとすべすべして気持ちがいい木」という記憶が強く残っています。

「床の間は、人の視線を自然に集める事で、おもてなしの気持ちや、大切にしているものを表す空間。神の宿る北山杉を床柱として立て、家に床の間を作って欲しい」とのガイドさんの言葉が胸の奥に届きました。

和室でも洋間でも、そんな空間を設ける事は日本人として意味のある事に思います。

ガイドツアー(075-406-2340)は2名からの催行、所要時間は2時間半程なので、午前中は中川や小野郷、午後からは高雄と、それぞれ異なる風情を楽しむ新たな紅葉狩りコースができそうですよ。

ガイドツアーでは、地元の方とも触れ合いながら、中川天満宮で樹齢600年の北山杉の母樹に触れ、山間の街並みや非公開寺院の宗蓮寺の裏庭からの絶景を楽しみ、木造倉庫群の中で、丸太磨きの体験もさせてもらいました。
今週末26日は、松雪泰子さん主演でリメイクされる映画「古都」が京都で先行上映されるとあって、そのロケが行なわれた場所も教えて頂きました。
扇の様に真っ赤に広がる紅葉の枝を背景に、すっと天に向かって伸びる白い大台杉、白い霧と赤い霧の様な紅葉の合間にのぞく深い緑は、杉の木が連なって整然と模様を描いています。
こんな景色は、世界最古の造林地と呼ばれる中川の地ならではと言えるでしょう。
まるで健康的な素肌の様な北山丸太。子供の頃から「触るとすべすべして気持ちがいい木」という記憶が強く残っています。
「床の間は、人の視線を自然に集める事で、おもてなしの気持ちや、大切にしているものを表す空間。神の宿る北山杉を床柱として立て、家に床の間を作って欲しい」とのガイドさんの言葉が胸の奥に届きました。
和室でも洋間でも、そんな空間を設ける事は日本人として意味のある事に思います。
ガイドツアー(075-406-2340)は2名からの催行、所要時間は2時間半程なので、午前中は中川や小野郷、午後からは高雄と、それぞれ異なる風情を楽しむ新たな紅葉狩りコースができそうですよ。

若冲の天井画

11月14

singyo

伊藤若冲の天井画「花卉図」が3日間のみ公開されるとあって、信行寺はくの字になる程の行列ができていました。

曇天時を考慮して新たに調節可能なLED照明が設けられ、住職が167面の中をポインターで照らしながら解説をして下さいました。

裏側から描いたボタンなど、他にも珍しい植物が多く、中にはサボテンにトリカブト、ハイビスカスまで!サクラやキキョウが無いというのが意外ですが、好奇心旺盛で晩年も創作意欲に溢れた若冲であれば、むしろより奇抜で個性的なものを選んだ事でしょう。
もしかすると、木目さえも絵の一部としてデザインしている可能性だってあるかもしれません。

これだけ豊かな種類の動植物が渡来し、触れる事ができた江戸中期の京の都は、絵師にとって創作意欲をかきたてられる刺激的な町であったと思われます。

もとは石峰寺の観音堂にあったというこれらの天井画のうち、15面は滋賀県の義仲寺の翁堂にも納められており、現在京都市美術館で開催中の「生誕300年若冲の京都 KYOTOの若冲」展でも展示されているそうです(展示期間はお問い合わせ下さい)。

見逃してしまった!という方は、「若冲の花」という書籍も刊行されているので、現代の植物学者が監修した花卉図をくまなく眺める事ができますよ。

京都の教会と寺院

11月8

kyokai秋の非公開文化財特別拝観」が終了する前に滑り込んで来ました。
絞った目的地は、京都ハリストス正教会瑞泉寺。教会と寺院のハシゴです。
今回は珍しく京都ハリストス正教会という教会建築が紹介され、平日でも黒山の人だかり。漆喰の壁に七宝の十字架など、寺院とはまた違う色遣いの和洋折衷な宗教空間です。
山下りんという日本人最初のイコン(聖像)画家の存在も初めて知りました。
高瀬舟と豊臣秀次に因んだ名前を冠する慈舟山瑞泉寺では、秀次に続いて処刑された女子供達の名前や年齢を記した肖像画や、処刑された順序や配置を記録した生々しい資料が展示され、中でも、辞世の句を当時来ていた小袖で表具した掛け軸には衝撃を受けました。
また、高瀬舟を整備し秀次以下を弔うために瑞泉寺を創設した角倉了以の、実弟が秀次の家臣だったという秘められた史実も新たな発見でした。
前者は布教のため、後者は弔いのために、その時勢に合せて造られた宗教空間です。
いずれも目的は異なりますが、手を合せる対象があり、その周りで静かに輝きをたたえる彫金装飾など、祈りを捧げる人々に対して、どの様な空間が求められてきたのかという共通点も見られた気がしました。

町家のゲストハウスで同窓会

10月31

haru 学生時代の仲間と同窓会を開く事になり、集合した場所は古川町商店街の中にある「宿はる家Kyoto」という町家のゲストハウスでした。普段は一部屋ずつの貸出営業のようですが、こちらが大人数のため貸し切りとなりました。
備え付けの鍋や器の他に、持参した調理器具を持ち込み、商店街やその付近で買い出し。
自分達で鍋を作れば、お店を予約するよりも手頃で、二次会の店を探して寒空の下をうろうろする事もありません。
何より、「子供を預けられるか、それとも連れて行けるのか」と参加を躊躇しがちな子育て世代の人にとっては、他人の目を気にする事もなくすごせて、子供達はふかふかの布団の上で大喜び。
また、遠方からの参加者は飲んでもそのまま泊まれるので楽ちんです。
各部屋は「客室」というよりまさに「布団で寝るための部屋」。そう広くはありませんが、近くの銭湯に行ったり、商店街の中のバルに飲みに行ったり、知恩院での朝のお勤めに参加したり、はたまた本棚の美術書や漫画を畳の上に寝転んで読んだりと、京都での学生暮らしを連想させるような時間の使い方を楽しみたいところです。
商店街の中には、似た形態の旅館が点在しているようで、数世帯でそれぞれを行き来しても楽しいでしょうね。
紅葉の名所からも近い東山エリア内なので、これからの季節は人気が出そうですよ。

2016年10月31日 | お店, 町家 | No Comments »

ハロウィン向け?なかき氷

10月24

nijo 豊富な種類のシロップのかき氷が一年中頂ける「二條若狭屋寺町店」。
「ようやく涼しくなってきたし、10月にかき氷でも無いよね」と心の中でつぶやきながら、注文したのは「炙りかぼちゃ氷」でした。 
お品がきにある「かぼちゃ氷」とは別の、10月末まで、しかも平日と土日祝日の午前中限定のかき氷です。
丸ごと果肉の4分の1は使っているかと思われる濃厚なシロップの上に、更に覆い被さるメレンゲには炙った跡があり、かき氷でありながらお焦げの香ばしさも味わえるという奇跡。こぼし落とさないよう注意を払いながらすくうと、中にはグラノーラが底の方まで入っています。
ふわふわ、もったり、ポリポリ、さくさくと、様々な食感を楽しみながら、それぞれを個別に食べて素材感を楽しんだり、一気に各層ごとすくって複雑な絡みを確かめてみたり。
シンプルなかき氷では食べ進めているうちに飽きてしまうという人には、贅沢なひと品でしょう。
氷とメレンゲの軽い食感と、温かいかぼちゃシロップのためか、食べた身体が冷えてぶるぶる震える事もありませんでした。
添えられたキャラメルシロップは必要無くらいでしたが、カロリーを気にしたところで「ベースは氷だし。水だし。」と言い訳をしながらふりかけて、残りの氷まで飲み干しましたとさ。

2016年10月24日 | お店, グルメ | No Comments »

商売人の大邸宅

10月17

rakuto 川端通りの七条~五条間を通ると東側に見える並木は棕櫚でしょうか、その後ろには柏原家住宅(洛東遺芳館)と呼ばれる大邸宅があります。
江戸期には更に広大な敷地を誇り、間取り図には蔵が5つも見られました。
円山応挙や歌川国芳など誰もが知る絵師の墨画や、指先程の雛道具に施された蒔絵など、毎春秋ごとに公開出来る収蔵品がある事を思うと、当然のことかもしれません。
婚礼調度のありとあらゆる小物に入った四つ目結びの家紋に見覚えがあると思ったら、やはり北三井家の娘がここに嫁いでいるとのこと。前回に引き続き、こちらでも三井家に繋がりがありました。
平日だった事もあり他に見学者がいないため、往時の暮らしに想像を巡らせながら、脳内で「豪商の娘ごっこ」もできてしまいます。
どの部屋からも庭が楽しめるよう、蹲などが巧みに配置されるなか、最も視界が開けて美しい庭を眺められる部屋には、大人が両手両足を広げても足りない程に重厚な仏壇が据えられていました。まるでご先祖様達に手入れした庭を楽しんでもらうかのような構図です。
これまでの財はご先祖様がお客と積み重ねてきた信頼の証、婚姻によって結ばれた横の繋がり。特に人の繋がりを大切にする商売人の姿勢が現れた邸宅でした。
すぐ近くにある「お辧當箱(べんとうばこ) 博物館」も内容と建築共に非常に面白いので、あわせてどうぞ。

三井家繋がり?

10月11

mitui この秋は、行ってみたい特別公開スポットが多すぎて困ってしまいます。
この度初めて一般公開された旧三井家下鴨別邸でゆっくりし過ぎて、すぐ近くにある「秀穂舎」の入館時間に間に合わないという失態。

旧三井家下鴨別邸の望楼のある造り、どこかで観た気がすると思ったら、同じく小石川三井家の娘(広岡浅子の異母姉)が嫁いだ天王寺屋五兵衛の遺構が残るとされる松殿山荘にも眺望閣がありました。この時代の豪商の間で流行っていたのでしょうか。
また、2階座敷や3階の望楼部分は茶室と共にそれぞれ有料で利用することもでき、茶室はもともと煎茶・茶道両方に対応できる造りだったそうです。

それらは11月19日(土)から期間限定で公開されますが、その頃には庭の紅葉も美しく色づいているかもしれませんね。

2016年10月11日 | イベント | No Comments »

声援より行動で支援する

10月3

onna  平成女鉾が約10年ぶりに建てられる(※10/2で終了)と聞いて、夜にロームシアター京都の中庭へ赴くと、提燈の淡い灯りを携えた女鉾が雨の中でしっとりと佇んでいました。
新しいグッズも販売されており、平安女鉾清音会の20周年記念冊子を買うと、女鉾に登る事ができるとのこと。
その冊子を持って翌日の昼間に再び訪れると、前日とはうって変わり、お囃子が始まるとたくさんの老若男女がどことなく集まり始め、その音色はシアターの反対側のテラスでくつろいでいる人々の耳も楽しませているようでした。
赤い鼻緒の可愛らしい下駄が揃えられているのを横目に、急な階段を上って、いざ女鉾の内部へ(もちろん男性も登れるとのこと)。
豪華な装飾品こそありませんし、骨組みも他の鉾から借りたりしているそうですが、美しい紫の浴衣を着た女性達に色々と質問をしたり、正面の椅子に座らせてもらったりできました。囃子方が鉾の縁に腰かけて奏でる際には、前に横たわる頑丈な柱と自分を命綱で繋ぐのだそうです。
これが祇園祭宵山のピーク時の鉾であれば、こんなにゆっくりとはできません。他の人々と数珠つなぎのまま慌ただしく中を拝見しては、まるでところてんの様に出て行くのが関の山です。
更に正面から外の景色を眺めると、目の前に見える二階のテラス席に見覚えある人影が。それは、京都を舞台にした刑事ドラマでお馴染みの俳優さん(名前は伏せておきますね)が読書している姿なのでした。
女鉾へは結局夜と昼の二回も足を運ぶ事になりましたが、ちょっと得した気分も味わえました。
大船鉾が復活を果たし、鷹山や布袋山にもその機運が高まりつつあるなか、復興では無く新設という形で20年もの年月の間灯を絶やさなかった平成女鉾。
平成女鉾の歩みは、日本の女性の社会進出が目覚ましくなってきた時代の流れと共にありました。この先どんな姿を見せてくれるでしょうか。
インターネット上で情報拡散、という応援の仕方もありますが、無料の催しであってもグッズを買う等して何かしらの小銭くらいは落としていくのが本当の支援だと思っているので、オリジナル手ぬぐいも買う事にしました。

高級品の必要性

9月26

saka 涼を取ったり、芸事で使われるだけでなく、「末広がり」な縁起物として、古くから国内外の人々から愛されてきた扇子。
憧れの坂田文助商店の扇子は、鞄から頻繁に出し入れしたりする度に壊したり汚したりしてしまうガサツな自分が日常使いにするには、正直高根の花でした。
それが最近、奮発してお礼を兼ねた縁起物を贈りたい相手がいたので、これはチャンスとばかり、お店の重い扉を開ける事になりました。

ここの特徴とも言えるフランスリネンを巻いたスティック(親骨)は、上品な色遣いと風合いが貴婦人のよう。完全手作業で仕上げられ、選べる組紐のタッセル(房)も一色ではなく、微妙な色の束から成っています。
漆黒のレザーを巻いた扇子からは、高級ブランドを着こなす男性を連想させるように、なぜか和装よりも洋装の持ち手を思い起こすのです。
お店のオリジナルの、芯を入れた紐で編まれた扇子立ても、ゆるやかにたわんで優雅です。
かつては店の表に掛けられていたという漢詩の彫られた古木の看板を眺めている間に、丁寧に包んで頂きました。
ああ、これが自分の扇だったら。いえ、いつかは自分もオーダーメイドをしてみよう。

それにしても、京都にはたくさんの扇子の老舗があるんですね。
手頃に愛用できる商品が手に入るお店も大切だけれども、ここぞという場面のための高級品を扱うお店も、やはり必要なのだと実感しました。

2016年9月26日 | お店, 和雑貨 | No Comments »
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