e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

茶を味わい尽くす家

9月28


kouro

お彼岸の頃、お墓参りを済ませて大徳寺を出た門前にある「皐盧庵茶舗」さんに立ち寄りました。
子連れでも可能か恐る恐る敷居をまたぎましたが、2つの茶室を含め部屋が5つもあるようで、他のお客さんが続いてもそれぞれ個室のようにすごせました。

やはりここは宇治茶カフェ。メニューにある各お茶の味の特徴がチャートにしてあって選びやすく、飲み比べメニューも豊富です。
既によく湧いていた鉄瓶のお湯で淹れてもらえるのが嬉しい。
目の前で玉露や煎茶などを、缶から茶葉をすくい出すところから見せてもらえるので、自分で淹れるときの参考になります。
お店の外にも床几があったので、秋晴れの日は外でお茶するのも気持いいでしょうね。

お膳の上に、畑作りからこだわったお茶と、干菓子と主菓子、そしてほうじ茶が香ばしいかき氷が同居する贅沢。
幼い子供達はお茶周りにハイエナのごとく食らいつくので、粗相しないよう抑えるのに必死でした。

帰り際に「月白風清」という禅語の色紙を拝見。
「やっぱり今度は一人でゆっくりお茶を味わいに来よう…。」と思うのでした。

2021年9月28日 | お店, グルメ, 町家 | No Comments »

知る人ぞ知る鷹峯の市場

9月22

taka

京都に長年住んでいる人でも知らないことはまだまだあります。
「鷹峯メルカート」という市を初めて知りました。
「ほんまにこの道で合ってるんか?」と家人に言われながら車一台通るのがやっとの山道を越えると、空が開けて京都市街を見下ろす広場に出ました。
台風一過の後だったためか、出店はいつもの半分程のようでしたが、氷室の新米や鷹峯の野菜、すぐそばで産んだばかりの有精卵、トリュフオイルやレザー用品が並んでいました。

秋の青空とそよ風を全身に感じながら、チキンクリームコロッケや自家製の野趣あふれるジェノベーゼパスタに絡まるカトラリーの音の気持ちの良いこと。
今の季節が最もおすすめかもしれません。
半分は持ち帰りにしようと思っていたローストチキンは、見事に家族に食い尽くされました。

ここではなんと、2頭の馬が飼われている馬場があり、有料で馬に乗せてもらえます。
穏やかな馬の背にまたがった子供達は大喜び。

帰り際に、「ネットで調べても、連絡先が見つからなくて…」とお店の電話番号を尋ねようと思ったら、
「大雨でもない限りは毎週日曜にやってますわ」とのこと。
行き先はGoogleマップで「鷹峯メルカート」と検索すると出て来ます。
客層は年齢層高めで、常連さんの様子。知る人ぞ知る市場なんですね。
「鷹峯メルカート」は、2021年12月12日まで。
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2021年9月22日 | お店, グルメ | No Comments »

土地の記憶も継承する

9月15

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2年前、花街とそこでの景色をカメラに収める観光客とのニーズは果たして噛み合っているのだろうか、と疑問に思った事がありました。

現在、建物の老朽化や耐震性問題により宮川町歌舞練場が建て替えられるのに伴い、向かいの旧新道小学校の跡地と一体的に再整備する計画が進められています。
設計を担う隈研吾さんによると、1916(大正5)年の木造建築の大屋根のデザインを宮川町のシンボルとして踏襲し、元新道小はホテルとなりレストランを伎芸披露の場へ、また周辺には学校の歴史を伝えるスペースや児童館、多目的ホール、防災倉庫等多様な機能を備えた地域施設が新設されます。
劇場内部の唐破風は復元され、すだれ格子をデザインしたファザード、照明や幕を吊るす装置として使われていた竹すのこもホテルのホワイエに活用、小学校のファザードも再現されると共に外壁のタイルや枝垂桜も移築して活かされます。

ただ和モダンにリニューアルするのではなく、普段は花街との接点が無い観光客や地元に住まう人達と宮川町を繋ぎ、花街文化を継承していくためにICT技術を取り入れるという試み。
ICT(情報通信技術)とは、様々な形状のコンピュータを使い「IT(情報技術)」にコミュニケーションの要素を含めたもの。
川端通りと大和大路通りとの間には新たな小路「新道通」を通し、「“街の記憶の継承”と“新たな共存価値”の創造」を目指すのがこの事業のコンセプトだそうです。
これまでにも、宮川町お茶屋組合とNTT都市開発は京都から離れた場所からもインターネットを通して「京おどり」を好きな角度で観られるようにするVR配信サービスを行ってきました。

具体的には、観光客がホテルからの紹介で宮川町のお茶屋を訪れ、遠方にいる別のお客は分身ロボット「OriHime」を通して遠隔操作でお茶屋でのひと時をヴァーチャル体験。
その後実際に宮川町を訪れ本物を体験してもらうきっかけ作りに繋げるほか、この「OriHime」をによってインバウンド客への通訳も可能となるそうです。

まもなく宮川町歌舞練場は解体されますが、歌舞練場と旧新道小学校は3Dスキャンによって取り込まれた点部データを加工し作られる「デジタルアーカイブ」として閲覧できるようになる予定で、卒業生がまるで母校を訪れ内部を歩き回るかのようにいつでも観に行く事ができるそうです。

「勝つ」のでなく、「解き明かす」

9月7

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説明するまでもなく有名なテレビドラマ『科捜研の女』が大好きな家族と一緒に、初となる劇場版を観に行ってきました。
既にシーズン20とは驚異的な長寿番組ですが、映画化されるのは初めてのこと。

昔からこのドラマを観ている人にとっては、懐かしいキャストがてんこ盛りで、思わずニヤリとしてしまうこと受け合いです。
(ドラマをよく知っている人は、前情報無しで観た方が楽しめます。過去の放送が観たい人は公式サイト参照)
内藤剛志さんと金田明夫さんが掛け合うシーンでは、お決まり(?)のあのセリフも。

初めて観る人にとっては、合間に登場する京都のお店や紅葉の美しいロケ地が気になったり、主人公・榊マリコのエレガントかつパワハラすれすれの突破力で真犯人に迫っていく様は、最後まで引き込まれるはず。
科学捜査研究所ならではの多角的な分析が映画でも見どころになりますが、実在する世界最高性能の大規模施設まで登場するのは、素人でも興奮しました。

物語の終盤では、驚きの場面に意外な京都企業の登場や、榊マリコと土門刑事との甘いやり取りも…いやいや、この辺にしておきましょう。
未知なる敵に、ひるむ事なく諦める事なく人智の全てを駆使して(周りも大変)挑むマリコさんの強さは、見えないウイルスと生きる今の私達にも必要な姿勢のような気がします。
彼女にとっての「闘い」とは、相手を打ち負かす事ではなく、「解き明かす」ことなのでしょう。

余談ですが、「北山 下鴨店」という焼肉屋さんには、ロケスタッフが良く利用するのでしょうか、壁には沢口靖子さんからの年賀状や、内藤剛志さんの大きなポスターが貼られています。
お店の方に尋ねたら何かエピソードが聞けるでしょうか!?

日常と非日常の交差

8月31

mini2 京町家に宿泊ができる「庵」の「三坊西洞院町 町家」にて、展示会「京を楽しむ」が開催されました(※8/31で終了)。
前回仁和寺での個展でも拝見した関山隆志氏による精巧なミニチュア茶室と、6名まで利用できるという一棟貸しの京町家の中を見ておこうという好奇心から来訪。

会場は、持ち主が家業の刺繍の工房をアトリエに変えたもので、芥川龍之介氏も訪れた事があると聞いた事があります。
来客は途切れる事は無かったものの、平日に訪れたためか、1、2組去ってもう1組来られるという程良い流れでした。
さすがに各部屋の隅々まではチェックできませんでしたが、キッチンや床暖房の檜風呂もあるそうです。

京町家の茶室の中に展示されたミニチュア茶室は、拡大して撮影しても模型と分からない程に精巧で、遠くの庭の木々からのそよ風まで感じられそうな奥行き。
逆に手前の畳に置かれた茶道具は極小ながら質感まで本物そっくりなのです。
光の入り具合まで計算して作られているので、畳をぼんやりと照らす行燈の対称に月を臨む作品では、月光浴をしている気分に浸ってしまうほど。

上階には主に『うるわし屋』堀内明美氏の茶箱・茶籠のコレクションと、それぞれのそばに京都出身の画家・池田良則氏が柔らかいタッチで描いた京都の水彩風景画が展示されていました。
「こんな景色を眺めながら、家族や友人達とアウトドア茶会をしてみたい…」と思わず憧れてしまう演出です。
これからすごしやすくなる季節だし、チャレンジできるかな。

京丹後のうまいもの

8月24

miso
京丹後市へは京都市内から車で約1時間半、電車だと特急に揺られて約2時間半です。
山に囲まれた盆地暮らしの京都市民にとって、海が迎えてくれる爽快な景色の中で開放的な気分を感じられる「もう一つのふるさと」。
これまでに実際に食してみて美味しかったものをご紹介します。

宿泊先で食事の際に供されたのは、木下酒造の「玉川」
女性にもとても飲みやすい風味だったので、酒蔵の直営店まで寄ってお土産にしました。
風格ある佇まいながらバーカウンターの様な一角もある明るい店内で、子供達と共にノンアルコールの地酒ソフトをペロペロ。
湯気立ち昇る酒造りを紹介したVTRを眺めながらだと、よりお米の甘みが感じられます。
約175年の歴史を持つ中で、イギリス人の杜氏を迎えるなど、「心を込めて旨い酒を造る」という理念のもと既成の概念にとらわれず、玄米から清酒まで一貫した管理を自社で行っているそうです。

京丹味噌・片山商店の「丹波の赤づくり味噌」。
塩辛く濃い赤だしに慣れた舌にとって、この味噌はとても穏やかで軽く、優しい甘さでした。
後でホームページを覗くと、NHK『美の壺』で紹介された影響でしょうか、現在通販では生産が追い付いていない様子。
帰りに立ち寄った「道の駅 京丹波 味夢の里」でたまたま手に取ったのは幸運だったのかもしれません。

京丹後の自然の恵みをまるごと頂く、うまいもの。
今すぐとはなかなかいかないかもしれませんが、次の京都旅は足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

二刀流で拝む送り火

8月18

live 連日の大雨で否応なしにステイ・ホームとなった今年のお盆。
送り火はライブ映像配信の両方で拝ませてもらう事にしました。

パソコンの方は残念ながら繋がらなかったのですが、スマートフォンでは観られたので、テレビ中継と片手の携帯の二刀流です。

やんちゃ盛りの子供達が家の中で怪我をしないか常に冷や冷や見守りながらの状態だったので、しっとりとご先祖様を見送る風情は我が家には皆無でしたが、大文字、妙法、船形、左大文字、鳥居型の五山全てをそれぞれの現場から編集無しで観られるのは新鮮でした。
最初の大文字が点火されてから、次の妙法の映像を観ると、夜景の向こうに大文字の炎らしき灯りが見えるのです。

友人のSNSに興味深い思い出話があったのでご紹介します。
初めて「お盆って何」と親に尋ねたとき、「生き物の数え方は死んだ時に残るもの」と教わったのだそうです。
「家畜は『頭』、鳥は『羽』、人は『名』。だから亡くなった人のことを思い出してあげるのよ」

2021年8月18日 | イベント | No Comments »

日本三景「天橋立」の記憶

8月11

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一度は観てみたい日本三景。
陸奥の「松島」、安芸の「宮島」と並び、京都府北部にある「天橋立」もその一つです。

「股のぞき」できる高台は「天橋立ビューランド」前にあり、小型のモノレールまたは一人乗りのリフトで昇りますが、リフトは足が届きそうな高さのまま進むのでご安心を。
何十年ぶりかに天橋立へと向かう道中では、「〇大名所とか呼ばれるところって、思ったほど魅力的でもない“外れ”もあったりするよね。」と半ば高をくくっていました。
ちょうどその日は空にさざ波のような雲の筋が入り海面は滑らかだったので、まるで空と海が逆さまになったかのようで、想像したよりもずっと美しく清々しい景色でした。

「天橋立ビューランド」は、子供も運転できるコインカーにゴーカート、アーチェリー、SLや観覧車、天橋立を眺めながら漕げるサイクルカーなどなど子供から大人まで楽しめて、ちょっと懐かしい施設がいっぱいです。
幼い頃にこの遊園地で遊んだかどうかは覚えていないのですが、天橋立で「股のぞき」をしたその瞬間の記憶だけがなぜか残っています。

対岸へと渡った先にあるのが「元伊勢」として信仰を集めている「籠神社」。
本殿は檜のいい香りが漂い、境内は30分もあれば十分にお参りできる程の広さなので、ぜひ徒歩5分程の奥宮の真名井神社もお参りしてみてください。
長い階段を登りますが、蝉の声が木々と磐座の中に染み入るようで、自然との一体感をより感じます。

地形に係わる名所や神社は、時間を経てもそう簡単には無くなりません。
「一度は行ってみたい場所リスト」に加えてみませんか。

2021年の祇園祭は②

7月31

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31日に八坂神社境内の疫神社での夏越祭をもって、2021年の祇園祭は締めくくられます。

後祭の7月24日。
榊を背に氏子地域を歩んだ神馬は、祇園祭発祥の地・神泉苑又旅社を経由して八坂神社へと帰還しました。

神社の石段下では、輿丁達や祇園の花街の方など、祭神を待ち侘びた人々が「ホイット、ホイット!」の掛け声と手拍子で迎えていました。
陽が落ち、榊を神輿に返して、ここから神霊を本殿に返す儀式が行われます。

時が満ちて消灯。一斎が沈黙し満月の光だけに照らされた暗闇のなか、本殿からは手招くような琵琶の音色が聴こえてきます。
誰一人言葉を発しない境内だと、水が流れる音が聞こえる事を初めて知りました。
白布の向こうでほのかな光が動き、神霊は本殿へと還られました。

世界的な疫病の流行下で、疫病退散の祭を多人数で行う事が正しいのかどうかは分かりません。
「文化を継承する」のも、「神に祈りを捧げる」のも、あくまで人間の都合だからです。
取材に際しては様々に注意を払っておりましたが、それでも人の密集が避けられない瞬間は何度かありました。
自分もその一因である事は間違いありません。

祈りを届けるために天地を繋ぐのなら、鉾と神木を立てるだけでよいところを、集めた財によって舶来品と匠の技の結晶で飾り立てた山鉾の姿は、まさに「町衆の祭」の象徴ですね。

儀式の間に感じた、暑さを感じないほど穏やかな夜風。
にわかに本殿側だけ踊っていた提灯。
藍色の空に顔を出した神々しい満月。

複雑な心境とこの清々しさを、どう捉えたらいいのだろうと、ぼんやりしながら社を後にしました。

動画はこちら(順次アップしていきます)

祭に食するもの

7月27

hamo 歳時記を大事にしている京都人の友人は、6月も末になると「水無月食べなきゃ」。
祇園祭の季節に入ると「したたり買って帰ろ!」「今年まだ稚児餅食べてない!」と大騒ぎ。
なんとも律儀な事です。確かにそれぞれ美味しいので好きですが、まあ忙しいこと。
食べる事で厄払いしたような安心感が得られますもんね。

その人が祇園さんの紋に似ているからと真面目にきゅうりを避けているかどうかは知りませんが、
「鱧まつり」と呼ばれるこの時期には、季節限定の食品が実にさまざま。
ずっと昔に料理人の知人から教えてもらっていて食べ損ねていた「たん義」のはも丼を思い出し、お持ち帰りを予約しました。
祇園の割烹とはいえ、3000円から5000円程でお食事ができるのは、若い人達にも嬉しいですね。
明るく感じの良い電話口の応対で、地元に長年愛された良いお店である事が伝わります。

初代から伝わる秘伝のたれをまとった焼き鱧は、箸でほろほろ、ほくほくととそぼろのようにこぼれます。
同じくご飯もほんのりたれの色に染まっていて、家族にも好評でした。
折詰のたん義弁当は、虫養いにちょうど良い分量です。
個人的には鱧の落としが好物なので、次は割烹の風情の中でライブ感を肴に頂こうと、今後のお楽しみとしました。

2021年7月27日 | お店, グルメ | No Comments »
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