e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

薬膳レストラン あわさい

4月2
コースの一部です。
薬膳レディースランチの一部です。

 京都を何度も訪れている東京のマダムから、「薬膳レストラン あわさい」(0774-73-1175)を教えて頂きました。
薬膳とは、東洋医学に基づき、気候や風土、季節の変化に合わせて旬の食材でバランスの良い食事を取る事で、自然治癒力を高め病気になりにくい身体を作るというものです。

小麦などのアレルギー食材を含まないお子様用カレーや砂糖不使用の抹茶ケーキ(ご利用の際には、予めご確認下さい)、フルコース仕立てのレディースランチ、予約制で仕出し等のサービスや薬膳幕の内弁当・御膳もあります。
平日の昼間に訪れたときには、年配の方が多い印象でした。

木津川市内と、奈良寄りの立地ですが、身体への負担が少ない洋風薬膳料理は、健康上の理由で外食を控えている人や、その家族にとっても嬉しい事ではないでしょうか。

2014年4月02日 | お店, グルメ | No Comments »

遊狐草舎「現代の雄勝硯」展

3月24

yuko 「書」を生み出す硯・筆・墨・紙は「文房四宝(至宝)」と呼ばれ、そのもの自体も観賞の対象となってきました。
室町時代から600年もの歴史を誇り、仙台藩主・伊達政宗にも愛用され、かつては日本製硯の約9割を生産していたという宮城県石巻市雄勝町は、東日本大震災による津波で硯と共に工房や店舗も流されてしまい、現地に残る職人はたった一人のみと聞きます。
大徳寺に程近い古民家ギャラリー「遊狐草舎」では28日まで、若手デザイナーに依頼して製作された「現代の雄勝硯」展を開催しています。
シンプルでシャープなデザインの硯は、まるでスマートなビジネスマンの様な佇まいで、デスクに置いてあるだけでも端正な品があります。
もともと墨をする時の感触や香りが好きな事もあり、遊狐草舎という、柱や障子の直線と床板の柔らかな木目で構成された空間にも溶け込む様を見ていて、雄勝硯が欲しくなってしまいました。
スマートフォンケースにぴったり収まる程の薄さの硯は、古の日本人が携帯していた様に、”モバイル硯”として活用できそう。
中には、3Dプリンターでデザインを立体に起こし、それを職人が硯に仕上げたという作品も。
最先端技術で形状をそのまま再現する事はできても、硯の原料となる玄昌石の硬さや層状の目を見極めるのは、職人さんの手が記憶する経験があってこそ。
現代生活に活かせるデザイン力と職人技、インターネットの発信力の新しい相乗効果に期待しています。

報恩寺と妙顕寺

3月17

myoken 梅の香りがほのかに香るなか、通常非公開の報恩寺妙顕寺に行ってきました。
大河ドラマ主人公・黒田官兵衛の息子・黒田長政の宿舎であった報恩寺で有名な「鳴虎図」は、複製でありながらも1本1本書き込まれた毛並みは触感が伝わってきそうな質感。
また、ちょっと頭の大きな織田信長や無精髭を蓄えた豊臣秀吉の肖像画(作者不詳)も珍しいものでした。
京都初の日蓮宗道場で、門下唯一の勅願寺である妙顕寺では、尾形光琳ゆかりの「光琳曲水の庭」等異なる趣向の三つの庭園もありましたが、日蓮宗開祖・日蓮聖人直筆とされる十界曼荼羅と、その要素を立体的に再現した本堂須弥壇は、まるで誰かが扮しているのでは!?と思うほど迫力のあるものでした。
また、日蓮の孫弟子にあたり当寺を創建した日像上人が、通常なら7巻にもわたる法華経を、携帯用ケースに収めるべく極小文字で1巻に纏めており、鼠の髭で書かれたとも言われるその文字は1㎜四方にも満たない大きさ!それでも、添えられた虫眼鏡で見ると、ちゃんと文字の形になっているのです!!
やはり、インターネットで拾った見どころ情報だけで知ったような気分になっていても、実際に足を運んで得られる発見は、その行間にあるものなんですね。
京都市観光協会「京の冬の旅」主催の「非公開文化財特別公開」は18日で終了しますが、4月下旬からは京都古文化保存協会が主催による「京都春季非公開文化財特別拝観」が始まります。

名月堂のニッキ餅

3月10

nikki 「京都の和菓子に詳しい方に教えてもらったの。」と、名月堂の「ニッキ餅」をお土産に貰いました。
ケーキなら紅茶、甘~いパンなら珈琲、そして和菓子の場合は抹茶を、お供のドリンクに選ぶところなのですが、今回はニッキ(肉桂)と言えばシナモン味を想像するので、大好きなロイヤルミルクティーと合わせてみました。

フォーク越しに指にも伝わってくるふわふわの触感に、こちらの期待心もふるふると、軽やかに踊ります。
しゅっと溶ける噛み応えは、わらび餅とは違うもっちり感で、大きなマシュマロにかぶりついているような楽しさ。
口いっぱいに広がるニッキの香りと、どこかジューシーさのある後味に、思わずかじった後の断面を眺めてみたりして。
まだニッキの余韻に浸っている間にミルクティーを飲むと、またいい感じ。

花街・宮川町にあるお店なので、「京おどり」の頃には、お花見団子と一緒に買い求める人で賑わいそうですね。

2014年3月10日 | お店, グルメ, 花街 | No Comments »

「文化の発信装置」としての百貨店

3月3

taka 普段、色々な百貨店を利用するなかで、高島屋に対して個人的に持っている印象と言えば、“高級感”や“美術に力を入れている”、“客の年齢層が高め”でしょうか。
1831(天保2)年、烏丸通松原上ルに古着・木綿商「高島屋」を開いてから約180年。「暮らしと美術と高島屋」展が、創業地の京都で開催されています。
明治期の高島屋を再現したミニチュアから、京都と百貨店、そして日本の歴史を併記した巨大年表に始まり、レトロな広告や美術品、史料の中でも、吉野の桜やベニスの月、ロッキー山脈の雪を描いた「世界三景 雪月花」ビロード友禅の原画は圧巻でした。
竹内栖鳳や池田遥邨、富岡鉄斎など、誰もが知る作家の名が次々と登場しますが、これは意識して収集されたのではなく、創業以来の歴史の間に自然に集まったものなのだそう。
オリンピックに出場した選手が多くの人々や企業に支えられていたように、美術工芸の分野においても、日本の企業と文化が共に育ちながら、万国博覧会を通して世界に受け入れられていった経緯が読み取れます。
今でこそ百貨店にレストラン街や美術館に画廊、催事空間を設けているのは当たり前となりましたが、身の回りの人が、「特に買い物の予定は無いんだけど、ちょっと高島屋に寄って行こうかな…」と呟きながら、入口へと吸い込まれていくのを今でもよく見かけます。
客の需要に応え、またある時は時代に先駆けて新たな価値観を提案する「文化の発信装置」としての百貨店は、これからも姿を変えながら進化をし続けていくのでしょうね。

冬の貴船

2月25

botan 冬の貴船を訪れました。夏の川床、秋の紅葉シーズンは多くの人が足を伸ばすこの地も、人影はまばらだな…と思いきや、若い女性のグループやオフシーズンならではの静けさを楽しむ外国人カップルなど、意外に人足が絶える事は無いようでした。
特に貴船神社では最も人が多く、水に浮かべてご神託を受ける「水占おみくじ」を試みる家族連れや、お札を求める夫婦などの姿があり、パワースポットとしての人気は冬場も衰えを見せません。
川沿いでは3月まで店を閉めているところもありましたが、今回は「べにや」で寒い時期のお楽しみ、「ぼたん御膳」を頂く事にしました。
「昔は猪に抵抗のある人が多かったけど、最近は若い人がよう食べはりますね。」と仲居さん。
締めには、野菜と猪肉の旨みが溶け込んだスープでおじやを作ってもらい、お腹の中からぽかぽか温まります。
なにより料理旅館なので、仲居さんにお座敷へ通された時から、まるで旅行に来た様な気分。窓を開けると、せせらぎも聞こえてきます。
冬の貴船は、京都の人にとっては小旅行の気分を味わえ、他府県から観光で来た人にとっても、京都の町中とは景色がガラッと変わるので、このしんと冷えた空気も気持ちよく感られました。

椿堂茶舗・ 茶房竹聲

2月17

tubaki 2月の半ばから下旬にかけては、京都の観光「オフシーズン」。寒さが最も厳しくなる頃ですが、年に数回程度の積雪による「雪の京都」が楽しめたり、観光地や飲食店でも比較的ゆっくりとした時間を過ごす事ができます。
こんな時こそ行こうと思っていた、墨染の地の「椿堂茶舗・ 茶房竹聲 」。茶房は京都府内数あれど、こちらは煎茶道の趣です。
本来なら店主が厳選した煎茶や玉露を頂きたいところなのですが、今回は以前から国産の紅茶を試してみたかったので、茶房「竹聲」にて「京都紅茶」を頂く事にしました。
コチコチと柱時計の音だけが響く店内で、自家製の和菓子と共に運ばれて来ます。
砂糖もミルクも添えられてはいませんが、ストレートでもすっきりと飲みやすく、繰り返しお湯を注ぎ足して飲んでも苦みが出ません。
このまろやかさは、きっと京都産の最高級品種のお茶を使用しているからこそ引き出されたもの。むしろ何も足さずに、純粋に紅茶のみの味を楽しむのが正解なのでしょう。
抽出した後の、まだ湯気の残るお茶の葉に鼻を近付けてみると、普通の紅茶とは異なる、何か植物系の独特な甘い香りがしました。
店舗にも、煎茶や抹茶、番茶、国産烏龍茶等と並んで、「京都紅茶」はティーバッグや茶葉の缶入り、お土産にも便利なサイズの箱モノもがあり、そのバラエティに富んだラインナップに人気ぶりが伺えます。
甘味以外はちょっと玄人向けな風情ですが、次回はカウンター席で、お茶の飲み比べに挑戦してみようかな。

2014年2月17日 | お店, グルメ | No Comments »

伊藤若冲と宝蔵寺

2月12

hozo 若者で賑わう“裏寺”エリアにひっそりと佇む宝蔵寺は、江戸中期の絵師・伊藤若冲を輩出した伊藤家の菩提寺です。
若冲自身の墓は伏見区の石峰寺にあるのですが、宝蔵寺には若冲の父母や弟、親族ら伊藤家先祖の墓石が4基あり、現在は無縁墓となっていて、欠損や剥落等が進み、倒壊の恐れがあるそうです。
当寺では伊藤家の墓石の保存と維持・継承のための「若冲応援団」が結成され、寄付を募る事になりました。
その宝蔵寺で、今年に入って若冲初期の作と確認された「竹に雄鶏図」が12日まで公開されています。
伊藤家から贈られた若冲筆の「髑髏(どくろ)図」のほか、版木の継ぎ目が分からない程に精緻で広大な墨摺「当麻曼荼羅」、円山応挙の孫・円山応震筆の「山水花鳥人物図巻」などの展示品の中に、「処冲」という人物の水墨画「蟹図」がありました。「若冲と関わりがあるとされる」とだけ書かれていましたが、この人は一体誰!?
今のところ若冲に妻子や弟子がいるという話は聞いた事はありませんし、若冲が描いた水墨画「蟹図」はもっと荒々しい筆致です。ですが、四代目伊藤源左衛門が「若冲居士」と号するようになったのは、彼が両親の墓を宝蔵寺に建てた翌年のこと。
2015年に伊藤若冲生誕300年を迎えるにあたって、まだまだ新たな発見があるかもしれませんね。

「いもぼう」

2月3

imobou 節分も旧暦のお正月も迎え、冷たい風の合間にさす日差しも春めいて来ました。
京都のお正月料理として、また毎月15日に食べる伝統的なおばんざいとして知られる「いもぼう」。
カチカチの干物である棒鱈(ぼうだら)を水で戻すには1週間以上もかかるという手間から、我が家では余り作った事がありません。
そんな経緯により、仲間内の新年会で「いもぼう」を食べようと、「いもぼう平野家本店」の暖簾を潜りました。
事前に念を押していたにも関わらず、「本店」と間違えて目と鼻の先にある「いもぼう平野家本家」に辿り着いてしまう人が出てきてしまうのは、もはや「お約束」でしょうか。
別々に煮て一つに盛る炊き合わせとは違って、「いもぼう」は煮崩れやすい芋と、煮えにくい棒鱈を一緒に炊きます。
それなのに双方に味がしっかり染みて(京都弁で語るなら「味がしゅんで」)、型崩れせずに綺麗な面取りの形を留めているのに感動!
それは、海老芋から出る灰汁が棒鱈を柔らかくし、棒鱈から出る膠成分(コラーゲン)が海老芋を包み込む事で煮崩れを防ぐのだそうで、お互いを助け合う「出会いもの」として、相性の良い組み合わせなのだそう。
我が家の煮物は甘口なので、程良い塩梅でしたが、同じ京都人達の中には「結構甘い味付けなんだね」と驚いていました。
今回は縁あって「本店」の方にお邪魔しましたが、次回は「本家」にも伺って味比べをしてみたいですね。

2014年2月03日 | お店, グルメ | No Comments »

『シェフの饗宴 in KYOTO』

1月28

tower 京都タワーホテル内の「タワーテラス ダイニングべにしろ」で『シェフの饗宴 in KYOTO「春の京」』の期間限定ディナーコースを頂いて来ました。
リニューアルオープンしてからまだ約1年という店内は、同フロアにあるバイキングスペースとは分けられているので喧騒も聞こえる事無く、壁一面の窓かの京都駅の蒼い夜景を眺めながら落ち着いてゆっくり過ごせました。
京野菜も取り入れられたメニューの中で、「真鯛と帆立貝のマリネ」は優しい酸味のカルパッチョソースが美味しく、色どりも春らしい華やかさ。この日は人参のポタージュで、ふんわりと乗ったオレンジの泡が素敵なアクセントになっていました。
京都駅周辺のホテル共同企画『シェフの饗宴 in KYOTO』 の「春の京コース」は、加盟する8ホテルならどこでもランチで 2,000円、ディナーで3,000円(共に消費税・サービス料込。デザートとコース外のドリンクは別)とお手頃価格。
そのボリュームは、男性ならシェフの味を腹八分でお試しする感覚、女性や年配の方ならちょうど良い量ではないでしょうか。
高級感も満足感も味わえて、今回で58回目、まもなく16年目という長寿イベントなのも納得!
WEB予約限定のサービスがあるお店もあるので、ぜひチェックしてからお試しを。
来月からは「ダイナースクラブ 京都レストランウインタースペシャル2014」もあり、既に一般予約も始まっています。
京野菜が美味しくなる初春。ますます食欲が抑えられそうにありません!!

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