e-kyoto「一言コラム」

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遊狐草舎「現代の雄勝硯」展

3月24

yuko 「書」を生み出す硯・筆・墨・紙は「文房四宝(至宝)」と呼ばれ、そのもの自体も観賞の対象となってきました。
室町時代から600年もの歴史を誇り、仙台藩主・伊達政宗にも愛用され、かつては日本製硯の約9割を生産していたという宮城県石巻市雄勝町は、東日本大震災による津波で硯と共に工房や店舗も流されてしまい、現地に残る職人はたった一人のみと聞きます。
大徳寺に程近い古民家ギャラリー「遊狐草舎」では28日まで、若手デザイナーに依頼して製作された「現代の雄勝硯」展を開催しています。
シンプルでシャープなデザインの硯は、まるでスマートなビジネスマンの様な佇まいで、デスクに置いてあるだけでも端正な品があります。
もともと墨をする時の感触や香りが好きな事もあり、遊狐草舎という、柱や障子の直線と床板の柔らかな木目で構成された空間にも溶け込む様を見ていて、雄勝硯が欲しくなってしまいました。
スマートフォンケースにぴったり収まる程の薄さの硯は、古の日本人が携帯していた様に、”モバイル硯”として活用できそう。
中には、3Dプリンターでデザインを立体に起こし、それを職人が硯に仕上げたという作品も。
最先端技術で形状をそのまま再現する事はできても、硯の原料となる玄昌石の硬さや層状の目を見極めるのは、職人さんの手が記憶する経験があってこそ。
現代生活に活かせるデザイン力と職人技、インターネットの発信力の新しい相乗効果に期待しています。

2014年3月24日 | 和雑貨, 町家, 芸能・アート

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