e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

山間部への観光は要注意

9月24

kibune
4連休はいかがお過ごしでしたでしょうか。

貴船の川床なら風通しも良いし、京都市中心部よりも涼しいだろうと思い、予約を入れていました。
2日前にお店から予約確認の電話があった時点では、貴船の気温は23度、道も渋滞しているとのこと。
同行者には、調節しやすい服装で来てもらうように伝え、全員叡山電車で向かう事にしました。

ところが、土砂崩れの影響により路線の一部が運休のため、結局は市原駅近くから臨時で出ている京都バスで貴船口まで直行することに。
行き方が分かっていても、交通機関のホームページは当日までに一読しておかないといけませんね。反省です。
貴船口からお店のマイクロバスが出迎えてくれましたが、やはり連休真っただ中。貴船神社の駐車場付近で詰まってしまいました。
「ちょっとほぐして来ますね。」と、車を降りて対向車を誘導する運転手さんが頼もしい。

帰りも再び貴船口から市原まで京都バスに乗車したのですが、中は往路よりも大混雑。
連休のため覚悟はしていたものの、これは貴船に限らず、嵐山や京都の人気店、他府県のキャンプ場まで全国的に渋滞と行列は発生していたようです。
みんな、考えることは一緒。今まで何かと控えていましたものね。

川床でのお食事は終始快適にすごさせてもらいました。その話はまた後日。

言の葉を集めて

9月16

souyu
前回お話したコテージの部屋の隅に、さりげなく小冊子が並べられていました。

『桑兪(そうゆ)』と読むそうで、誰もが知る京都の料亭「和久傳」 が発行しているもの。
京丹波は和久傳の創業の地でもあります。もう随分前の創刊のようですが、これまでその存在を知りませんでした。
文筆家・白洲信哉氏や臨済宗相国寺派管長の有馬賴底氏といった錚々たるメンバーによる、いわばエッセイ集です。

「兪」とは楡(ニレ)の木の事で、桑も楡も糸や紙の原料となる植物だそうです。
いわば、この冊子は言の葉の、あるいは言葉という形となる以前の記憶の粒子の集合体と言えるでしょう。

SNSを開けばコメントが付き、掌のスマートフォンや乗り込んだタクシーのモニター画面からは新着ニュースや広告が表示され、動画を再生すればテロップが流れる。
日々言葉の洪水にさらされていながら、私達の「ことば」は果たして深化しているのでしょうか。
物書きをする身として自分の語彙力や人生経験の少なさを改めて実感し、こんな文章を自分も綴る事ができたらと思いながら閉じました。

短い滞在で一部しか目を通せなかったのですが、短編集なので読書離れしていた人にも好きなところから読み進めやすいかもしれません。
京丹後市にある「和久傳ノ森」のレストランや、オンラインショップでも購入できます。

雑用は家に置いてこよう

9月8

heron

先月の夏休みは、京丹後市久美浜町にある「ウォーターサイドコテージ Heron」へ。
山間の田んぼや海の暮らしが見える漁村を抜け、小さな商店が軒を連ねる一角を曲がると、突然世界が変わります。

たった2つの客室は久美浜湾へと注ぎ込む栃谷川に面していて、向かいの材木商(現在は画家のアトリエだとか)が所有する小船が顔を出しています。
家人は、皆がまだ寝静まっている早朝にむっくり起きて、久美浜公園へ散歩に出掛けました。
きっと気持ちいいだろうなあと思いつつ…こちらは二度寝して、朝日を浴びながらのヨガ。

ここのスタッフは、ホテルのように仰々しいお辞儀はしません。
自然がすぐそばにあるけど、不便ではない距離感。
その土壌に育まれた食材の持ち味を引き出した、程良いボリュームの欧風家庭料理。
よくあるふわふわの大きなゲストタオルではなく、軽くて湯上りの肌に爽やかなオーガニックのリネン。
そんな小さな驚きとくつろぎが本当のおもてなしである事を知っているからです。

まだ蟹の季節には早いけど、客室のテラスの椅子に腰掛けて虫の鳴き声と夜風の中でゆっくり読書する。
行ったばかりなのに、そんな妄想が早くも湧いてくるのでした。

付近には、酒蔵や寺院に豪商のお屋敷、車で牧場や海水浴場、温泉も。
GO TOトラベルキャンペーン」に対応した割引宿泊プランもありますよ。

麒麟はくる?

9月1

kirin
大河ドラマ『麒麟がくる』の放映再開を前に、亀岡の「麒麟がくる 京都亀岡大河ドラマ館」へ行ってみました。
歴史好きというより、この作品のファンのための施設という印象で、公式ホームページの内容を立体化したもの。
実際に使用された衣装やその製作意図、物語にリアリティを与える美術に触れることができ、「なれルンです」コーナーでは、自分の顔を撮影して甲冑姿等の画像に嵌め込む事ができます。
平日の閉館前だったせいもあり、お客はまばらでした。「密」どころではなさそうです。

明智光秀とその娘・細川ガラシャについては、ゆかりの自治体が何年も前から大河ドラマに採用されるよう働きかけていたので、製作会見があった2018年には
「とうとう実現したか!関係者の喜びもひとしおだろう」と思っていました。
放映が開始された2020年。そしてロケも放映も一時休止となってしまったのはご存じの通り。
町おこしどころか丹波亀山城址も当面の間見学が休止され、もしかするとこの大河ドラマ館の客足はまだ去年の予想水準にはまだ達していないかもしれません。
個人的には、錚々たる出演者たちの直筆サインがおすすめです。それぞれに個性があって美しく、見入ってしまいました。

さて、本編では「たま」こと細川ガラシャもいよいよ赤子姿で登場しました。
実は、明智光秀が若い頃の消息は資料が乏しく、具体的な足跡は京都に入ってからのものが多いと聞きます。
これからの展開に注目すると共に、「本能寺の変」への出陣の起点となった亀岡にもまた足を運んでみたいと思います。

大福を願う帳面の寺

8月13

shuin
盛夏から晩夏へと向かう今日この頃。
曇っていて風のある日は、自転車でも意外と快適でした。
小さな街ながら、徒歩より早く車より小回りの利く自転車で巡っていると、思わぬ発見があります。

たまたま通りかかった大福寺というお寺に、若い人々が入って行くのを見て、立ち寄りました。
中にはおびただしい数のご朱印とご朱印帳。この若者たちは信者?それともご朱印マニア?
親指ほどの大きさのご朱印帳もあり、それに応じた規格の小さな小さなご朱印の札も月毎に用意されていました。
なぜこんなにたくさん扱っているのだろうと思っていたら、「大福」という縁起の良い寺号により、お正月には商売繁盛を願う商家の出納帳に寺の宝印を授与する習わしがあったそうで、それが「大福帳」の名の由来となっているそうです。

これも何かの縁と思い、ご朱印を求めることにしました。
令和二年の年号が入った五山の送り火の意匠です。
この朱の点は、おそらく今年の送り火で点火される地点かと思われます。
何十年か経ったころに、自分も子や孫に「あの年はこんなことがあって、送り火がね…」と語り継ぐ日が来るのでしょう。

表の鐘も搗かせてもらい、思わぬ迎え鐘となりました。
お参りの際には、事前に公式ツイッターのご確認を。

「動く美術館」たる所以 

7月8

gion

今年の祇園祭は山鉾の建つ姿が見られないので、代わりに京都文化博物館での特別展『祇園祭 -京都の夏を彩る祭礼-』展に行く事にしました。

入館してすぐ手を消毒し、モニターで自分の体温をチェックして、ビニール幕越しに入場券を購入。
会場前では名前と連絡先を記入した紙や自分の手でもぎった半券を手渡しではなく専用箱に投入。

いつもなら人混みを気にしながら落ち着かない気分で観ていた懸装品の数々や、空を仰いで遥か高いところにある鉾頭、船鉾のご神体・神功皇后の神面、各鉾町によって意匠の異なる籤の小箱など、普段は間近に観る事のできないものが目の前に。
金具の一つ一つ、屋根裏に至るまで、精巧な彫刻、名立たる絵師による下絵と本作、目の詰まった重厚な刺繍、舶来品を購入した事を記録した古文書などに、
「これは鉾町のパトロンだった糸へん業の旦那さん達が競い合うわけやわ」「そら修復にお金かかるわ…」といちいち圧倒されていました。
西脇友一氏による緻密な『祇園祭山鉾絵図』の原画の小ささには驚き。昭和60年完成という古さを感じさせないデザイン性も負けてはいません。

平日の空いた会場の中で、目の不自由な人がお連れさんと静かに語らいながら鑑賞されていました。
今年は祭の熱気や鉦の涼やかな音色を直接体感する事は叶わないけれども、何か肌で感じるものを求めていらっしゃったのでしょうか。

最初はまだ慣れない様式に戸惑いながらの会場入りでしたが、いつの間にか自分がマスクを付けていた事も忘れていました。
願わくば会場に祇園囃子を流してもらえたら…なんて思ってしまいましたが、駄目かな…!?

島原のオンラインお座敷

7月1

mai 日本最古の公許花街である島原。その如月太夫さんによる輪違屋でのお座敷模様がオンラインで中継されました。
太夫道中、かしの式、お茶のお点前、胡弓の演奏に、太夫にしか許されていない舞など…2500円という視聴料で、自宅に居ながらにして観られるとは信じられないひと時でした。
京都の住民ならではのミニツアーが人気の「まいまい京都」による前代未聞の企画です。
もとより信頼関係が築かれていたからこそ実現されたのでしょう。

帯を「心」の文字の形に結んで進む太夫道中は、嵐山の三船祭常照寺でも間近で拝見した事はありましたが多くの人に囲まれていたため、オンラインでは内八文字を描く高下駄の音まで静寂の中で聞き取る事ができました。
優れた教養を持つ最高位の遊女である太夫と客との、いわゆるお見合いの場でる「かし(仮視)の式」にて太夫が盃を鏡のように持ち上げると、自宅でTシャツ姿だった自分も思わず背筋を伸ばし、姿勢を正したくなるのでした。
実際のお座敷なら、きっと粗相が無いようにと緊張して沈黙していたかもしれませんが、チャット機能での参加者の反応がリアルタイムで流れるのもまた面白い。
かわいらしい禿ちゃんが運んできたお菓子を「美味しいです。」とコメントする人多々あり。

後半の質問タイムでは、如月太夫さんや輪違屋のご当主の声も初めて聞く事ができ、二人のウィットのきいたやり取りは、流石おもてなしのプロです。
参加者が次々と「夢のような時間」と書き込んでいた2時間は、あっという間に流れていきました。

なお好評により、見逃してしまった人には、2020年7月4日(土)まで「見逃し配信」で観る事ができます。

龍安寺参道商店街を上ル下ル

5月8

sasaya
縁あって、GW中は龍安寺近くで個人が所有する町家を借り、家族だけで滞在していました。
とはいえ、周辺の寺院はことごとく拝観休止である事は知っていたので、外出したのは殆ど食事に関する時だけ。
例年なら多くの人で賑わっていたと思われる龍安寺参道商店街も、空いているお店はちらほらで、
主にテラス席のあるところや他客との距離が取れるお店、お持ち帰り専門で営業をしているところが殆どでした。

妙心寺と龍安寺に挟まれたエリアは、タバコ屋とパン屋が一緒になったようなベーカリーショップ、何でも揃い高齢者にとって便利そうな小規模スーパーがあり、住宅地への横道に目をやると遠くで子供達が路上で遊んでいたり、通りすがりのおじいさんに話しかけられたりします。
住宅に埋もれて見落としそうな駄菓子屋さんもひっそりと開店中。嵐電の踏切の音がことさら響くような静けさと相まって、まるで昭和から時が止まったかのようなノスタルジックな気分になりました。
それでも、大正期創業という「さくらいや」というスーパーにはとようけ茶屋の商品が置いてあったので思わず買って帰り、宿のフライパンでお揚げさんを焼き、醤油をたらして楽しみました。

お土産には笹屋昌園の「本わらび餅 極み」を。
本わらび餅の出来立ての美味しさを味わうための「SASAYASHOEN CAFE&ATELIER」が話題となったお店の本店です。
国産本蕨粉の中でも、希少で雑味が少ないという国産最高ランクの本蕨粉を使い、機械を使わず銅鍋の中で練り上げるのはきっと骨が折れる作業のはず。
箱に流した状態のわらび餅をスプーンでぐいっ力くすくい取り、添付のきなこや抹茶を付けて食べますが、むしろ何も付けなくてもおいしい。
このすっきりとした透明感と清涼感は、和菓子が苦手という人にもおすすめです。

疫病除けを願う菓子

4月21

kara
上御霊神社では、3月末に臨時の大祓式が行われました。
疫病が蔓延し、幾千もの命が奪われたという貞観5(863)年、清和天皇の時代に悪霊が鎮まるよう願って、その年の5月20日に神泉苑にて始まったとされる御霊会。
この大祓式は例年5月に行われる御霊祭の成功祈願と、新型コロナウイルスの一日も早い終息を祈願するために例外的に斎行されたものでした。

この時に奉納されたのが煎餅菓子「唐板」。応仁の乱で一時途絶えて以来、古書を頼りに、御霊会の際の疫病除けの神饌を文明9(1478)年に再現されたとされています。
上白糖と小麦粉、卵に少しの塩を含ませて練った生地を伸ばし帯状に切り分け、5枚重ねて薄い短冊型に切った焼き菓子で、現在水田玉雲堂で売っているのはなんとこの唐板だけ。
昭和初期までは御霊神社境内の藤棚のふもとで茶店を営んだり、京都府立植物園の中で珈琲等を扱うパーラーを経営していたそうで、店内には当時の写真が残されています。

唐板の独特の幾何学模様は、鉄板の上で生地が水分を吹き出したときにできたものだとか。
こじんまりとした店構えながら、疫病除けのお供えとしてだけでなく、おやつとしても茶席の干菓子としても長年愛されてきた素朴なお菓子は、お取り寄せも可能です。

大原の温泉と味噌鍋

4月6

oohara まだ桜も咲いていない頃の話なのですが、家族で春先の大原山荘にて味噌鍋を頂きました。
自家用車で食事の前に早めに到着して、温泉に入りたい人は大原温泉へ。それ以外の人は外の足湯カフェでリラックスもできます。

既に外国の観光客が少なくなってきた時期だったので、広い座敷の一席に通されたときは、お客は私達のみ。
その後、一組が来ては定食を食べて去り、もう一組来ては去り、という具合で、小さな子供連れでもゆっくりできました。
入り口に売られていたのと同じ味噌でしょうか、大原で育ったみずみずしい有機野菜と香ばしい地鶏が溶け合う自家製樽出し味噌は、地元産キヌヒカリを使用した麹を48時間寝かせたものだそうで、こくがあって美味しい。
誤魔化しのきかないシンプルな料理こそ、素材の良さが現れますね。
野菜も鶏も更に一人分追加して、身体がよく温まりました。

大きな窓から見える山里ののどかな景色。街の中心部から半時間程で澄んだ空と静けさを味わえるコンパクトさも京都の魅力のひとつですね。
また安心してお出掛けできるようになったときの、ご参考までに。

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