e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

「変わらず」時を刻み続けるという価値

2月8

sanmon (※画像の金毛閣は現在修復工事中です)

大徳寺三玄院特別公開されています。
普段は非公開の塔頭ですが、閉ざされた門前を通る度に、個人的な思い出が甦ります。もう何年も前に、ある雑誌の記事広告撮影の裏方をお手伝いさせて頂きました。
記事の内容は、スイスの高級時計ブランド「オメガ」と、そのイメージキャラクターとしてスーパーモデルのシンディ・クロフォードさんと当時の競泳選手・千葉すずさんが、三玄院を訪れるというものでした。
記憶が正しければ、お茶席に入るときは時計を外して…と、手首のオメガの時計がアップで写るといった趣向だったように思います。
ゴージャスなイメージのシンディさんはとても華奢な身体をしていて、千葉すずさんは色白でスラッと背が高く、お二人とも美しい女性でした。

三玄院は、石田三成や古田織部の菩提寺だけに、誰もが知る多くの武将や貴人が参禅し、戦国の時代でもまたその時を象徴する人々を呼ぶ空間であったようです。
江戸期の絵師・原在中が各室ごとに技法を変えながらぐるりと襖絵を描き、絵師としてもこの上無い誉だったかもしれません。

拝観の後、ここの方丈前でその広告撮影の際に撮った記念写真を(※特別公開中の撮影は禁止です)見返してみてみました。
これまでもこれからもきっとずっと変わらず時を刻み続けていくのでしょうね。

向かい風に跳ぶ

1月25

hikou 石清水八幡宮をお参りした後、ケーブルを下車してから徒歩4分ほどで、航空安全と航空事業の発展を願う飛行神社という、ユニークな神社に辿り着きます。
ギリシャ神殿のような拝殿の蒼いステンドグラスにはトビウオが羽ばたき、現在放送中の朝ドラでは、主人公が航空の専門学校を受験する際にこちらの合格守りが登場しました。

大正4年に自邸内に私財を投じて創建したのが、飛行原理を発見し「カラス型飛行器」で飛行に成功した二宮忠八氏。
人の乗れる「玉虫型飛行器」を考案するも日清戦争勃発のため出兵、軍での飛行実験も却下されてしまいました。
資金を集めながら自力で研究を進めるも、明治36年にアメリカのライト兄弟が飛行機を完成し飛行に成功した事を知り、忠八は無念の涙を流しハンマーで製作中の飛行器を壊したといいます。

時勢と国の支援不足によって大きな契機を失う。
我が国が何度も直面してきたはずの問題です。

一方、資料館前には、操縦桿を操作しながら空の走行を楽しめるシュミレーターゲーム機が。
おそらく玄人向きゲームなのでどう操作していいのか分からず何度も海へドボン。
館内はおびただしい数の飛行機やロケット、ドローンの模型や、その関連の品が待機中です。
戦時中の痛ましい記憶も例外ではありません。

飛行機があしらわれたお守りは我が子へ。
海外にルーツのあるおともだちの分も受けました。

奇しくも海外で飛行機事故が報じられた時候。
今後おともだちが祖父母に会うため空を渡るときにも、守ってくださいますように。

石清水八幡宮の小正月

1月18

8man 先日は小正月だったので、家の松飾りを外して石清水八幡宮へ納めに行くことにしました。
いつもなら氏神さんに持って行くところですが、今回は石清水八幡宮参道ケーブルに乗ることも目的の一つ。
狙い通り子供達は大喜び。太いワイヤーでゆっくりと山の傾斜を登る様を大きな窓から観るため、行き交う車両のどちらの車掌台周りもたくさんのちびっこでいっぱい。

下車後もしばらく山中を歩いたので、境内の茶店で虫養いしてからお詣り。
参拝者が携える八幡御神矢の白羽が清々しく、再びお正月気分が高揚します。
ご祈祷の度に、神楽を舞う巫女さんはくるくるくるくると忙しく回転中。お疲れさまでございます。
本殿前にも巨大な御神矢がそびえ立つのが恒例の光景、お神酒の樽群の中にはウイスキー樽も。

国宝の社殿なども見どころなのですが、境内に点在する楠木正成の楠といった大木の幹や根の荒々しい造形に心惹かれました。
注連縄が貼られた樹の肌に手をそっと手を当てていると、あちこちの樹皮の隙間に硬貨が挟まっているのに気が付きました。
参拝者が願いを込めての行為なのかもしれませんが、ご神木を人間に例えて見てみたら、なんとも痛々しい気持ちにならないでしょうか。

最後はお善哉を食べて身体を温め、厄除けの念押しとしました。
1月29日には鬼やらい神事、2月1日には湯立神事も行われます。

うさぎの宇治で年明け

12月28

manpuku 萬福寺にて『黄檗ランタンフェスティバル』が2023年の1月末まで開催されています。
訪れた時は平日の晩だったので、境内も駐車場もとても空いていました。
小籠包や綿菓子などの軽食やキラキラ小物を販売する屋台と即席の座席、日本の縁日とはひと味違うちょい派手な遊具もご愛敬。

中国風のBGMと赤、黄、紫…のカラフルなランタンに溢れた境内を回遊していると、時折色の無い光と闇だけで浮かび上がる伽藍を抜ける瞬間もあり、本来の禅宗寺院としての厳かさが際立ちます。

昼間訪れた人は「中華街みたいだった」そうですよ。
年が明けて華やかな新春風情を楽しむのもいいかもしれませんね。(動画はこちら)

さて、年末の大河ドラマ最終回で承久の乱の地の一つとして記憶に新しい「宇治」。
宇治神社には、祭神「菟道稚郎子命(うじのわきいらつこのみこと)」が河内の国からこの地に向かう道中を一羽の兎が振り返りながら導いたという故事にちなんでうさぎをモチーフにした授与品があります。
世界遺産宇治上神社にも「うさぎおみくじ」があるのだとか。

朝は卯年のお参り、昼は宇治茶を楽しみ、夜は萬福寺でそぞろ歩きと、そんな新年のスタートを宇治でを切るのはいかがでしょうか。

出張撮影カメラマンチーム

11月30

amico ぼちぼち観光地でも外国人の方がカメラマンと共に記念撮影をする姿が再び見られるようになってきました。
四季がある日本では紅葉の美しい場所は各地にありますが、それでも京都を撮影地に選ぶのは、背景に映える歴史的・文化的建造物があることが大きいかもしれません。

実は、先日の七五三には後日談があります。
ネットのスキルシェアサービス経由で依頼をしていた出張カメラマンが当月になって手違いで来れなくなってしまい、困り果てていたところを知人から口コミ情報をもらいました。
amico」という関西の出張撮影カメラマンのチームです。
ダメもとで公式LINEに問い合わせしてみるとすぐに返信があり、こちらが急を要していたためやり取りは深夜に及びましたが話はサクサクと進み、繁忙期にも関わらずなんと翌日には奇跡的に出張カメラマンを手配する事ができました。

料金は1時間で2万円(必要に応じて要交通費・データ郵送費)で、目つぶりやミスショット等を除き、明るさ等を調整の上で100枚以上を約1~2週間以内に納品(ギガファイル便での納品は無料)、事前ヒアリングで希望のショットも相談できました。
(※前回のコラムで使用した画像は素人撮影のものです)

余分なオプションの無いシンプルな内容と、自前の衣裳で臨場感ある光景を残したかった我が家にとってはありがたいサービスでした。

もちろん、フォトスタジオを利用して思い切り変身を楽しむのもいい思い出だと思います。
写真館で襟を正して撮影した家族写真も、毎年年賀状で見る度にその家族の変化を知る事ができていいものです。
今回は、こんなサービスもあるよ、というお話です。

余白に込められたもの

11月2

fujin 友人に誘われて夜の人気もまばらな建仁寺へ。
キヤノン株式会社主催の夜間特別拝観・映像体験イベント「ヨルZEN(禅)-自然と共生する日本-」が10月末まで開催されていたのです。
広くは告知されていなかったようで、その友人もまた祇園界隈に勤める知人のSNSで知ったのだとか。

本坊に入ると、遊園地のアトラクションか!?と連想してしまうような轟が床から響いてきました。
綴プロジェクト」によって昨年奉納されたという、国宝『風神雷神図屏風』の高精細複製品に投影されたプロジェクションマッピングがその正体。
雷鳴や風雨、黄金色に輝く稲穂が周囲にも映し出され、農耕を支配する雷や風などの自然に神仏が宿ると信じて来た日本人の信仰がこの屏風に描かれている事を再認識させます。

方丈へと進むと、専用ゴーグルを装着。
目の前に広がる枯山水「大雄苑」に、MR(複合現実)による映像が現れ、最後に墨の様な黒い粒が白砂の上の空間に結集し、まるで墨蹟の様に空中に浮かび上がる様は圧巻でした。
法堂ではスマートフォンやタブレットを通して、天井の「双竜図」を眺めてみると、AR(拡張現実)によって、龍たちが天井を抜け出し、より近づいてその姿を眺める事ができました。

この様な映像技術はこれからますますあらゆる場面で見かける事になり、次世代を担う子供達にとっては当たり前のものとなっていくのでしょう。
それぞれ楽しませてもらったのの、個人的には、日本の美意識の一つである「余白」を目に見える形にして埋めてしまうのはどうなのか、と少々危惧してしまうのです。
だからこそ、これまでは「風神雷神のユニークな姿」という印象しか持っていなかった屏風に、今回の仕掛けによって日本人の信仰の形を見出したように、
オリジナルが何を訴えようとしているのか、と自分で改めて想像力を働かせる意識を持ちたいと思います。

本番前の時代祭

10月25

anzai
時代祭の時代行列は例年正午に御所の建礼門前より進発しますが、今年こそは出発前の様子を見てみたいと思い、朝の平安神宮へ。
8時より2基の鳳輦に御霊代を遷す神幸祭が行われており、既にそこそこの人だかりができていました。
本番だと静々と進む御鳳輦がなんとも京都的ですが、應天門を多人数で担がれながらそろそろと潜り抜け、台座にやっとこさ仮座される際は珍しく「わっしょい」な風情でした。
9時になると、これという合図は無いものの、神幸列が平安神宮の大鳥居に向けて進行を始め、演奏しながら歩く雅楽隊や幟を持つ人々、歴史人物たちはそれぞれのルートで京都御苑を目指していきました。
付近からシェアサイクルに乗って京都御所・建礼門前の行在所へ。
京都料理組合による神饌物の奉献、白川女による献花、関係者が榊を納めたり、維新勤王隊列が京都御苑を出発する前と、平安神宮に到着した時だけ演奏するという「朱雀行進曲」も。
少し離れたところで待機していた徳川城使上洛列の奴(やっこ)たちは、待機場所から行在所へ向かう際にも独特の掛け声を出していたので、次回は御苑での裏舞台の様子も観てみたい!

ところで、神社で風が吹いたり、蝶々が飛んでいるのを見かけたりすると、「神様が喜んでいる。歓迎してくれている」という話を聞いた事があるのですが、ちょうど行在所祭の最中に、2匹の黄色い蝶々が目の前を横切って行ったのです。
時代祭は平安京の最初と最後の天皇を祭神として、その二柱の神々に現在の京都の様子を見てもらうためのお祭。
3年ぶりに斎行された時代行列を、お二方が喜んでおられたのでしょうか。

2022年の時代祭関連動画はこちら

駅の喧騒から離れて楽しむお茶

10月18


aotake

京都駅からそう遠くない距離感、落ち着いた風情でゆっくりとお茶を飲みたい。
そんなお店がありました。
京都駅から北東へ徒歩約8分の「aotake」です。

京都に古くから住む人の家を訪ねるように狭い玄関に入り、引き戸を開けて中へ。
22年に農林水産大臣賞玉露の部で受賞した京田辺市の茶園の手摘みの宇治玉露などの日本茶や中国茶など、四季折々の厳選された美味しいお茶やタルトを頂くことができます。
気軽に手に入るスナック菓子なら、家の冷蔵庫から出したお茶やジュースで流し込むようにぺろっと食べてしまいますが、旬の果物がぎゅっと詰まっていて手間暇かけて作られた食べ応えのあるお菓子には、それに見合った飲み応えのあるお茶や器がやはり合うような気がします。

2階の座敷では、お茶会や日本茶の淹れ方のプライベートレッスン、古建具活用講座などこれまで様々な催しがされてきたようです。
その中で「ふて゛文字教室」に興味があったので、参加してみる事にしました(詳細はまた後日)。

お店の隣の古民家前には「七条仏所跡」の駒札があり、近隣には紅葉さんぽが楽しめて煎茶道にゆかりのある渉成園もあります。
席数に限りがあるので、4名以上での利用の場合には、事前に連絡を入れることをおすすめします。

羽を広げて風に乗ろう

10月12

cho
今年の夏より一般拝観を始めたお寺があります。
これまで何度となく本法寺の境内を歩きましたが、その一角にある尊陽院という塔頭には気づきませんでした。
訪れたきっかけは、SNSで流れて来た、アサギマダラを描いた鮮やかな天井画でした。

朽ちた空き寺だったところを手探りで再興、住職の妻も修行の末に尼僧となり、自身の辛い経験から水子供養を主とする祈りの場として生まれ変わったそうです。
このアマギマダラの天井画を制作したのはmais(マイス)という若き芸術家。音が色で見えるという共感覚を持っているそうです。
墨一色の龍の天井画とは対照的に、彼女の瞳を通すと、世界はこのように色鮮やかに見えたりするのでしょうか。

草花を描いた天井はよくありますが、こちらは蜜を吸いに来る側の蝶。
それも、ひらひらと可憐な、というよりも羽を大きく広げた力強い印象の方が優ります。
浅葱色の羽が美しいアサギマダラは、日本から海を渡り香港まで移動できる程の珍しい蝶でもあります。
アートは目にした人の数だけ解釈があると思いますが、自ら動いて幸せを取りに行くような、風に向かってしなやかに飛び立とうとする女性を象徴しているかのように思えました。

お寺の復興から天井画の完成に至る不思議な物語は、拝観時に教えて頂けますよ。

宮津の海鮮グルメ

9月13

kane
天橋立が国内初の名勝に指定されてから2022年で100年。
しつこく丹後ネタを引っ張りますが、宿から徒歩で行けるお食事処もご紹介しておきますね。
旅に「食」は付きもの。お付き合いください。

夕食は宿のオーナーからの口コミで、七輪焼きと丹後の旬の一刻干し「カネマス」へ。
2階のお座敷を家族水入らずの貸し切りで利用させて頂きました。

保存のためではなく、魚本来の旨味を凝縮させるため、限りなく生に近く薄味に仕上げられた一夜干しです。
海鮮ならたくさん食べても罪悪感無し!子供達には香ばしく焼いたイカが人気でした。
食材も調味料もその土地のものにこだわり、「こどもピーマン」など野菜も色鮮やかで新鮮。締めは味噌を塗った焼きおにぎりでした。
女性杜氏が造られたという赤い日本酒「伊根満開」はまるで食前酒のように甘いので、お酒を初めて飲む人にも飲みやすいかもしれません。

翌朝は、「海味鮮やま鮮」で海鮮モーニング。
焼魚に煮魚、刺身…どれをメインに選ぶか悩むのが旅の贅沢。
卵かけご飯の白身は、ふわふわのメレンゲ状でした。
花街の町家のような外観で、上階はお稽古事に使われているようです。
向かいは、店主が現役レスラーという「プロレスバー」でした。

魚市もあるこの近辺は、京都市内の観光地の様に土産物屋が乱立するでもなく、地元の住居と溶け合う程良い観光地化が好感持てました。

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