e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

牟尼庵のカカオ亭

2月5

munian
オンラインショッピングはよく利用しますが、実際に試食ができない食品をそのまま先方に送るのはちょっと不安になるので、できれば事前に自分用に買って試したいタチです。
テレビで観て、早速オンラインショップを検索した「京都ショコラ菓房 牟尼庵」の「フロマージュ・ムニアン」。
チョコレートとチーズケーキが好きな人へのバレンタインの贈り物にぴったり!売り切れないうちに!と珍しく勇み足でオンラインショップで注文したものの、やっぱり実店舗『atelier du munian』にも出向いてしまうのでした。
四条という繁華街の中にありながら、ビルの谷間の路地に吸い込まれていくと、町の喧騒が遠のいていきます。
併設の「プティ・カフェ」にて、北白川や鞍馬の貴重な石を配した100年越えとも言われる日本庭園を眺めながら、カカオティーの香ばしい香りでしばし外の寒さを忘れます。
スタッフは若い女性が数名でしたが、配送作業でしょうか、バックヤードからガムテープを切る音が賑やかに響き、よっぽどオンラインショップが盛況なのかもしれません。
まだ1月だったためか店内は空いていたものの、それでも客足が途切れる事はありませんでした。
トリュフが一粒750円と聞いて、買い物は次回のお楽しみとして先送りしましたが、チョコレート好きなら外せない定番に加えて「カカオ亭」というラインナップもあり、秋冬期の懐中チョコレートや春夏期のわらび餅など、京都発祥のお店なら是非欲しい和のテイストを取り入れた魅力的な商品達に、再訪を促されてしまうのでした。

2018年2月05日 | お店, グルメ | No Comments »

豆まきの発祥の地

1月31

midoro 「深泥池』停留所から少し歩いたところに、「深泥池貴舩神社」があります。
平安の頃より「水の神様」として洛中より多くの参詣者からの信仰を集めていた貴船神社を分社したもので、節分の豆まきの発祥の地とされているそうです。
節分当日の2月3日は、夜7時半から8時半まで豆まきが行われる予定で、一般の人も参加でき、福豆が頂けます。
また、秋葉神社という火伏せの社もあり、上賀茂という土地らしく「すぐき漬け発祥の地」でもあるそうです。
境内の石碑によると、明治の廃仏毀釈によって壊された社殿の修復を村が怠ったため一帯が大火に見舞われ、その際焼け残った漬物樽の漬物を食べた村の長が「酸い茎や」と言ったのが「すぐき」に転じ、その味を再現したものが始まりなのだとか。
更に、江戸期の文人画家・池大雅はこの辺りの出身だったとして、1月30日は記念碑の序幕式が行われたようです。ごく小規模な神社ながら寄進者も多く、エピソードが豊富なんですね。
来訪の際には、深泥池沿いの道路は歩道が狭く交通量も多いので、移動は十分にご注意ください。
なお、池の畔にはよもぎ餅が美味しいおまん屋さんの「多賀良屋(075-781-1705)」もあります(※営業日時については要問い合わせ)。

座席の無いデザイナーズカフェ

1月23

walden 眩しいほどに真っ白な壁や、装飾を排除した白いお皿やカップに囲まれた、いわゆる「お洒落なカフェ」はなんとなく落ち着かないのですが、それが塗られたような白、つまり物語を重ねた痕跡が残るところなら、まだ少し気分的な敷居が下がります。
先月オープンした「Walden Woods Kyoto」。大きな焙煎機を前にしてコーヒーとチャイ、フレーク菓子を受け取り二階に上がると、そこにはテーブルもイスも無く、壁際をぐるりと囲む二段の段差のみ。来客はその段の上にトレイを置き、また腰掛けて自由にすごしています。
ユニオンジャックのごとく組まれ剥き出しになった屋根の梁が、壁と同じく白く塗られている様を見ていて、町家とは異なる空気を感じたので尋ねてみると、元はオーダーカーテンのお店で、築100年は越えているとのこと。
白いサウナ室の様な部屋の真ん中の何も無い空間は、演劇や音楽ライブ、キッズイベント等様々な活用ができそうです。一言で言えば「渉成園の北にあるデザイナーズカフェ」。
美大に通っていそうな女子の二人組や、お一人様男子数名が当時の客層でした。
建築やアート好きな友人が京都に来たときに、渉成園の日本庭園や建築を巡った後で、昭和の香りが残る周辺の下町を経てこのカフェに連れて行ったら、一体どんな反応をするだろう?そんな妄想をしてしまうのでした。

島津家と相国寺と田辺製薬

1月16

houkou
京の冬の旅」で公開されている相国寺林光院と豊光寺を初めて訪れました。
龍の気配を察して片目を開いている猫の姿がユニークな龍虎図ならぬ「猫虎図」や、襖絵としては珍しくリスが描かれている林光院
関ヶ原の戦いの際、敗れた西軍に属していた島津義弘を大阪の豪商・田辺屋今井道與が庇護し、薩摩への逃避行を海路で誘導した功により薩摩藩の秘伝調薬方の伝授を許され、これが現在の田辺製薬(現田辺三菱製薬)の始まりなのだそうです。
後に道與の嫡孫が林光院の五世住職となり、林光院は薩摩藩が京都に作られるきっかけの寺院となりました。
豊臣秀吉の追善のため創立された豊光寺では、富岡鉄斎が碑文を書いたという「退耕塔」や葉書の語源となった「多羅葉(たらよう)」の木、山岡鉄舟の書等があります。
山岡鉄舟は剣や書の達人として知られ、獨園和尚のもとで禅修行にも励み、江戸城の無血開城にも関わった人物です。
いずれも、「鶯宿梅」の咲く頃に拝観されるとより楽しみが増しそうです。
「明治維新150年記念」と「西郷隆盛」のテーマに沿って、よりマニアックに町巡りをしたい人には、「龍馬伝 京都幕末地図本」がおすすめです。

京丹後市・久美浜の新スポット

1月9

heron 年末年始からの連休はいかがでしたでしょうか。休暇中、日常と離れたお気に入りの場所に、自分の別荘を持っていたら楽しいだろうな。そう感じた人もいるかもしれませんね。
でも、実際に別荘を所有すると、メンテナンスや掃除を定期的にしなければなりませんし、人を招くとなると、おもてなしに追われて自らが寛ぐどころか疲れ果ててしまう事も…。
京都北部の丹後半島の南西端、久美浜湾と栃谷川に面したコテージスタイルのホテル「waterside cottage Heron」(0772-82-0101)は、たった2室だけの別荘の様なプライベート感に、自家農園や地元農家の季節の野菜や旬の魚介が程よいボリュームで提供されるオーベルジュの様な快適さも叶います。
余分な装飾を省いたごくシンプルなインテリアの客室には水辺に張り出したデッキがあり、この地域ならではの舟屋も景色のアクセント。「ウォーターフロントリゾート」というよりも、雪や霰の降る田舎で何にも縛られずにゆっくり過ごしたい人向けです。
3月までは薪釜で茹でたカニが楽しめますが、地元の人からの利用もあるので、食事のみでも予約をしておいた方が良さそうです。
なお、付近には「和久傳の森」もあり、豊かな自然と「ふしぎなえ」で知られる絵本作家・安野光雅氏の絵画を収めた安藤忠雄氏の建築、「れんこん菓子・西湖」を製造する工房(要事前予約)もあります。

仕出しでおうちのおもてなし

12月19

akoya 自宅に来客の予定があり、仕出しを頼む事になりました。いわゆる「ケータリング」ですね。
表千家流のお茶の先生をしている方に評判の良いところを尋ね、松屋町中立売下ルにある「阿古や」(075-441-3988)を利用する事に。
約束の時間に、木箱に入った人数分の弁当箱とお椀が届けられ、板前さんからステンレスのポットに入ったお吸い物のだしと天つゆを受け取り、自宅の鍋に移し替えて返します。
塗りの蓋を開けると、お造りや焼き魚、天ぷら、炊き合わせ等がはんなりと盛り付けられ、まさにお弁当の中に凝縮された京料理のフルコース。
味付けもしっとりと上品で、師走という季節柄、お正月を連想させる具材も入っていました。
これにお吸い物まで付いて3千円とは、申し訳ないほどお手頃価格です。
箸袋に書いてあるお店の所在地を見て、お客様が早速スマートフォンでお店の場所を確認しているあたり、満足頂けたようです。
また、足の不自由な人もいたので、移動の苦労や介添えで互いに気を遣う事も無く、また家という空間で主客共にくつろいで楽しむ事ができました。

2017年12月19日 | お店, グルメ | No Comments »

京都はギャップの連続

12月11

kakimoto
秋はチョコレート、冬に入るとココアが飲みたくなる季節です。
とある秋の日。京都の古い神社をお参りした後、「アッサンブラージュ・カキモト」を初訪問。
京都に続々と出現しているチョコレート専門店の中でも新顔で、小さな店構えながらも絶え間なく人が訪れていましたが、町家を改装した店舗の飲食スペースにはワイングラスが並び、カウンター席にサーブされるところは、まるで夜のバーか割烹を訪れたかのようでした。(ちなみに、近くの紙司柿本」とは無関係だそうです)
上質なカカオビーンズで作られたフォンダンショコラをシルバーウェアで頂き、カカオの豆の香りがふくよかなお茶で身体を温めると、その時間さえも贅沢なものになります。
テイクアウトのケーキも一切れ600円前後と、さすがに良いお値段でした。
お店を出ると、すぐ隣に「鶏卵問屋 中川幸商店」が。積み重ねられた卵の箱が透けて見えるガラス戸の「だし巻き200円」の張り紙に、思わず相方と顔を見合わせ「買って帰る!?」。
我が家で温めて、ほうじ茶と共に頂きました。
こんなギャップの連続が、なんとも京都らしい気がします。

2017年12月11日 | お店, グルメ, 町家 | No Comments »

京都は寒天の発祥地

12月4

kanten 下鴨神社の南端、御蔭通りを東に入って行ったところの住宅前に、「明治天皇御駐輦所寒天製造場阯」という小さな石碑が建っています。
「京都に寒天工場?しかも明治天皇が立ち寄られる程の?」と常々不思議に思っていました。
調べてみると、意外にも寒天の発祥地は京都なのだそうです。江戸中期、参勤交代中の薩摩藩主・島津公が宿泊した伏見の宿「美濃屋」の主人・太郎左衛門が、余ったところてんを外に捨て置いたところ、寒さで凍り日中は解凍され、自然乾燥状態になりました。これを目の当たりにした太郎左衛門が寒天の製法を編み出したのだとか。
それが後に萬福寺の隠元禅師が「寒晒しのところてん=寒天」と名付けたそうです。
後に寒天は日本にとって重要な輸出品となったため、上下賀茂神社に行幸した明治天皇が、その帰りに近くの寒天工場を視察されたというのも頷けます。
温暖化の進んだ現在の京都においては、寒天作りの風景を想像するのは難しいですが、交通の要衝であった出町柳に程近い立地にあったのも、きっと工場を構えるのに都合が良かったのでしょう。
京の町のあちこちにある歌碑や石碑。あまりにも景色に馴染み過ぎて地味な存在ですが、ガイドブックには載っていないような隙間エピソードが秘められていることも。今後も注視していきたいと思います。

稽古場ご用達の和菓子

11月27

kuriko 京都に長年住んでいても、知らない和菓子屋さんはまだまだたくさんあるもので、今回は紅葉の名所である東福寺や泉涌寺に程近い、「京菓子処 末廣屋」をご紹介します。

昔から神社の門前には、参拝客の一服に重宝されてきた「お饅やさん」がつきものですが、ここのお菓子は、泉涌寺の塔頭での煎茶道教室で使われていると聞いたのが出逢いのきっかけでした。
きめ細やかに裏漉しされたほくほくの、密度の濃い栗の餡が、羊羹のベールを纏っている、秋ならではの味覚。
ここに芥子粒の袴でも穿かせようもんなら一気にカジュアルな栗菓子になるところですが、そうしないで一見松露に似た風情を醸しているのが京都の菓子舗らしい。
でも名前は「くりこ」。なんとも気負いの無い、可愛らしい響きに拍子抜けしました。

ケーキもクッキーも大好きだけど、なんだか身体が和菓子を欲している時ってありませんか?
改まった茶席の主菓子では高価過ぎて勿体無いし、スーパーやコンビニの定量生産系和菓子だと物足りないと感じるとき、「お茶の稽古場ご用達」な和菓子屋さんが、そんな気分を満たしてくれる気がします。

2017年11月27日 | お店, グルメ | No Comments »

生命を写し取る

11月21

CF06A51E-1203-464F-BD9E-3F71B61B7B1F 賀茂社資料館「秀穂舎」では、学問所であった社家建築の解説と共に、「光りと游ぶ」展として、写真家・井上隆雄氏が晩年に毎日の様に通って撮り溜めていたという糺ノ森の写真を中心に展示されています。
聞いた話によると、井上氏がかつて病気で倒れ、生死を彷徨っている間に、夢の中で下鴨神社の宮司さんに呼び止められ、生還された体験があるそうです(後日に宮司さんにその話をした時、宮司さん側は特に身に覚えが無かったそうですが)。
この紅葉の盛り、カメラを手に痛感している 人は多いと思いますが、美しいものを感じたまま写し取るのはとても難しいもの。
光量や露出の調整といった技術的な経験だけでなく、何かをキャッチするまで対象を見つめ続ける体力や気迫、感度が違うのは言うまでもありません。
泉川に浸る紅葉、幾重にも重なった落ち葉、それらの感触や音、温度までも、自らの手に刻まれた記憶が呼び覚まされます。
私達が実際に歩いて観てきた森の景色と、車椅子に座った位置からレンズ越しに観る景色もまた、違って見えるのでしょうか。

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