e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

大工さんの釿始め

1月10

chona お正月行事の中には「書き初め」「かるた始め」「蹴鞠初め」の他に、大工さんによる仕事始めの行事「釿始式」があります。 広隆寺でも行なわれていますが、今回は城南宮の方に行ってみることに。 他の行事とは違って見学者は身内と初詣客のみのようで、神事が始まってからでも舞台前の床几にすんなり座って観る事ができました。 神饌や昔ながらの大工道具が神前に供えられ、横たわる木材に向かって、紐を使って墨打ちををしたりと、それらの道具を使う所作を再現していきます。 物が溢れ、使い捨てが当たり前になっている現代においては、「鋸(のこぎり)の儀」等とアナウンスしながら仕事道具に対してこんなに敬意を表すなんて、いささか仰々しく感じてしまいそうになります。 安全祈願に加えて、人だけでなくあらゆる物に神が宿るという日本人の宗教観が物を大事にするという価値観に繋がり、こんな儀式が生まれたのでしょうね。 とても素朴な儀式でした。 動画はこちら

お膳でお食事

1月5

zen 毎年大晦日は親戚同士で祖母宅に集まり、おせちを作ったり正月飾りのお手伝いをしてから、銘々に持ち帰っています。
たくさんのお膳が出ていたので尋ねると、なんと今でも元旦には皆正座をしておせちをお膳で食べているとのこと。
ひ孫らのお食い初めの時のお膳やお椀を大事に残して活用しており、中には親の代のものまでありました。
「湯通ししたら、すぐにぬぐって乾拭きしてね!水滴の跡が残るし。」
ところどころ漆が剥げてしまったものもありましたが、柔らかい布で磨くと、内側から滲み出るように光沢が蘇ります。
扱いに多少気を遣うし、しまうにも場所を取るものなのに、よく世代を越えて使い続けてるなあと感心していると、それらをひっくり返して重ねて見せてくれました。
ちゃんとスタッキングできるようになっているんですね。
「お家でお膳でお食事」、ちょっと憧れです。
サイドテーブルとして、ソファの隣に置いても面白いんじゃないかしら?

2017年1月05日 | 未分類 | No Comments »

終い○○

12月26

simai
毎月各地で行われる縁日も、「しまい大国祭」や「しまい金比羅」等、師走は「終い○○」と呼ばれ、最後は「しまい不動」で締めくくります。
人気の「終い天神」は、全国高校駅伝の影響もあってバスがなかなか来ず、到着するまでに時間がかかってしまいました。
真ん中の参道の両側は、主に食べ物やお正月飾りの屋台が並び、本堂側に向かって左手の参道裏は南天や値引きの松、鉢植え等の花の市、向かって左手の参道裏は陶器市が平野神社に迫る勢いで伸びて伸びています。
お参りの長蛇の列も覚悟していましたが、どちらかと言うと市を巡る前にまずお参りする方が、スムーズに済ませられる気がします。
都合で天神さんに来れなかった身内に「大福梅買ってこよか?」と連絡すると、大喜び。やはり人気なのですね。
花柄のホーローのティーポットや千円ちょっとのアンティークなワンピース等に目移りしながらも、結局買ったのは棒だらや祝い箸におじゃこ、昼ご飯代わりのはし巻きや締めの甘酒にお銚子と、結局食べるものばかりに財布の紐をゆるめてしまっていました。
あれ、もともとは割ってしまった抹茶茶碗の替わりを探しに来たんじゃなかったっけ。
まあいいや、年越し始めの「初弘法」で探すとしよう。

テイクアウト年越し蕎麦

12月20

men 事始めも過ぎた辺りから、世間話も年末の話題が多くなってきました。
美味しい蕎麦屋の話から派生して耳にしたテイクアウト専門の「洛北製麺所(075-781-4267」。
工場の隅にレジを置いただけの簡素なお店の中で、おばちゃんが暗算でお会計をして商品を受け渡ししています。
お品がきも、天ぷら(うどん・そば)等の温かい麺のセットやぶっかけ等の冷たい麺のセットのほか、鍋焼や冷麺等の季節の限定商品もあり、風邪から病み上がりだったのでカレー鍋を選びました。
牛肉やわらか、葱は元気に青々としていて、天ぷらも添え物ではなく身も衣もちゃんと主張があります。
辛さは控えめで、とろけたチーズがだしのきいたルーに絡んでとってもまろやかなので、幅広い年齢の人が楽しめそうです。すっかり飲み干してしまいました。
もちろん、麺やこだわりを感じさせるだしの単品もあります。
大晦日も営業されているそうで、一部の商品は予約が必要とのこと。
帰省の手土産代わりに、年越し蕎麦用に、京都のにしん蕎麦(390円)なんていかがでしょうか?

2016年12月20日 | 未分類 | No Comments »

乙女に還るふろくの力

12月11

ribbon 「りぼんのふろく」に惹かれて、開館10周年を迎えた京都国際マンガミュージアムへ。
夢の幸せなパステルカラーに彩られたふろく達は、組み立てて使う紙製のものからプラスチックの小物、ポーチやマニキュア、CD-ROMに至るまで、その時代の流通規格や読者の嗜好に合わせて変化していて、「あ、これ持ってた!」とあちこちの女性から声が上がっていました。
人気漫画家が書き下ろしたイラストのシールやノートに始まり、本立てや小物入れ、ミニアルバムなど、紙とはいえ読者を取り巻くイベントに合わせて実用的に使える工夫は、子供ながらにも感じるものがあり、何十年経った今見ても、やっぱり乙女心をくすぐられてしまうのです。
まさか半年も前からアイデアが練られる程に力を入れられていたとは。毎年発行されていたダイアリーなんて、単体で大人向けに販売してみたら、きっと懐かしさで手に取ってしまう人もいるのでは?
リボンでとじる『ねこねこ幻想曲』のレターセットは、今でも封筒やポチ袋を入れるのに愛用しています。

2016年12月11日 | 未分類 | No Comments »

平成版『古都』

12月5

koto 川端康成の名作を松雪泰子さん主演でリメイクした映画「古都」が京都で先行上映され、続いて全国公開が始まりました。
先日取材した北山杉の里・中川をはじめ、京都が誇る美しい情景が広がり、各ロケ地についてなぜその地が選ばれたのかを知ると、より深い考察が楽しめそうです。
しかしながら、平成の世を生きる千重子の生活ぶりは、同じ京都人が観ても「今でもこんな生活をしている京都人がいるのか?」と首を傾げてしまう場面も少なくないかもしれません。ほんの数十年前まで「当たり前」だった光景が、今となっては京都を訪れる人々の「憧れの古き良き日本」になってしまっていて、京都の人間でさえ、古都という幻想を演出しなければならなくなりつつある現実。
そんな違和感こそ、映画の冒頭の映像と相まって、筆者が強く危惧していた現象そのものかもしれません。全く異なる環境で生きるそれぞれの母娘が、同じ葛藤を抱き、それは世代を越えて繰り返されてきました。原作が生まれた頃に観光都市として歩き始めた京都は現在、世界中の人々の視線を集めながら、また新たな模様を紡ごうとしています。

静かに燃える紅葉

11月29

ei 今年の紅葉の見頃は少し早足のようで、早くも散り紅葉の絨毯が話題に上がっています。
金戒光明寺の山門を潜り、本堂に向かって左側の道を奥に進んだところにある塔頭・栄摂院(えいしょういん)を拝見できると知って、お邪魔してみました。
看板も無く静かに開かれた朱塗りの門に負けないくらいの赤い紅葉が参道の奥からのぞいており、期待感が高まります。

お堂は周りの庭園のみ開放されていて、青から赤へと移ろう様に色付いた紅葉が、木立の中に座する仏様に向かって波の様に降り注いでいました。
またそれらが苔むす石段をより鮮やかに惹き立たせ、むしろその深い碧にしばし目を奪われてしまいました。
お堂の奥へと曲がると、白砂がまぶしい枯山水庭園が広がり、また異なる景色が楽しめます。
金戒光明寺の公式サイトにも掲載されていないにも関わらず、訪れる人の足が絶える事はありませんでしたが、比較的静かでかつ無料で(賽銭箱はありますので、志納金は納められます)こんな手入れをされたお庭を観せて頂けるとは、有難い事です。
帰り際、夜間拝観(27日)が始まるまでの合間に、本堂前で奉納演奏への の準備が進められており、いつの間にか石段にはほのかな行灯光が落ちていました。

2016年11月29日 | お寺 | No Comments »

北山杉の里・中川

11月22

sugi 朝の雨ですりガラスの様に曇ったJRバスの窓は、高雄を越えるあたりから赤や朱、黄色に染まり始めました。

紅葉の名所・高雄のある三尾から更に4キロ程山奥へ進んだところに、川端康成が「古都」で描いた北山杉の産地・中川があります。

ガイドツアーでは、地元の方とも触れ合いながら、中川天満宮で樹齢600年の北山杉の母樹に触れ、山間の街並みや非公開寺院の宗蓮寺の裏庭からの絶景を楽しみ、木造倉庫群の中で、丸太磨きの体験もさせてもらいました。

今週末26日は、松雪泰子さん主演でリメイクされる映画「古都」が京都で先行上映されるとあって、そのロケが行なわれた場所も教えて頂きました。

扇の様に真っ赤に広がる紅葉の枝を背景に、すっと天に向かって伸びる白い大台杉、白い霧と赤い霧の様な紅葉の合間にのぞく深い緑は、杉の木が連なって整然と模様を描いています。

こんな景色は、世界最古の造林地と呼ばれる中川の地ならではと言えるでしょう。

まるで健康的な素肌の様な北山丸太。子供の頃から「触るとすべすべして気持ちがいい木」という記憶が強く残っています。

「床の間は、人の視線を自然に集める事で、おもてなしの気持ちや、大切にしているものを表す空間。神の宿る北山杉を床柱として立て、家に床の間を作って欲しい」とのガイドさんの言葉が胸の奥に届きました。

和室でも洋間でも、そんな空間を設ける事は日本人として意味のある事に思います。

ガイドツアー(075-406-2340)は2名からの催行、所要時間は2時間半程なので、午前中は中川や小野郷、午後からは高雄と、それぞれ異なる風情を楽しむ新たな紅葉狩りコースができそうですよ。

ガイドツアーでは、地元の方とも触れ合いながら、中川天満宮で樹齢600年の北山杉の母樹に触れ、山間の街並みや非公開寺院の宗蓮寺の裏庭からの絶景を楽しみ、木造倉庫群の中で、丸太磨きの体験もさせてもらいました。
今週末26日は、松雪泰子さん主演でリメイクされる映画「古都」が京都で先行上映されるとあって、そのロケが行なわれた場所も教えて頂きました。
扇の様に真っ赤に広がる紅葉の枝を背景に、すっと天に向かって伸びる白い大台杉、白い霧と赤い霧の様な紅葉の合間にのぞく深い緑は、杉の木が連なって整然と模様を描いています。
こんな景色は、世界最古の造林地と呼ばれる中川の地ならではと言えるでしょう。
まるで健康的な素肌の様な北山丸太。子供の頃から「触るとすべすべして気持ちがいい木」という記憶が強く残っています。
「床の間は、人の視線を自然に集める事で、おもてなしの気持ちや、大切にしているものを表す空間。神の宿る北山杉を床柱として立て、家に床の間を作って欲しい」とのガイドさんの言葉が胸の奥に届きました。
和室でも洋間でも、そんな空間を設ける事は日本人として意味のある事に思います。
ガイドツアー(075-406-2340)は2名からの催行、所要時間は2時間半程なので、午前中は中川や小野郷、午後からは高雄と、それぞれ異なる風情を楽しむ新たな紅葉狩りコースができそうですよ。

若冲の天井画

11月14

singyo

伊藤若冲の天井画「花卉図」が3日間のみ公開されるとあって、信行寺はくの字になる程の行列ができていました。

曇天時を考慮して新たに調節可能なLED照明が設けられ、住職が167面の中をポインターで照らしながら解説をして下さいました。

裏側から描いたボタンなど、他にも珍しい植物が多く、中にはサボテンにトリカブト、ハイビスカスまで!サクラやキキョウが無いというのが意外ですが、好奇心旺盛で晩年も創作意欲に溢れた若冲であれば、むしろより奇抜で個性的なものを選んだ事でしょう。
もしかすると、木目さえも絵の一部としてデザインしている可能性だってあるかもしれません。

これだけ豊かな種類の動植物が渡来し、触れる事ができた江戸中期の京の都は、絵師にとって創作意欲をかきたてられる刺激的な町であったと思われます。

もとは石峰寺の観音堂にあったというこれらの天井画のうち、15面は滋賀県の義仲寺の翁堂にも納められており、現在京都市美術館で開催中の「生誕300年若冲の京都 KYOTOの若冲」展でも展示されているそうです(展示期間はお問い合わせ下さい)。

見逃してしまった!という方は、「若冲の花」という書籍も刊行されているので、現代の植物学者が監修した花卉図をくまなく眺める事ができますよ。

京都の教会と寺院

11月8

kyokai秋の非公開文化財特別拝観」が終了する前に滑り込んで来ました。
絞った目的地は、京都ハリストス正教会瑞泉寺。教会と寺院のハシゴです。
今回は珍しく京都ハリストス正教会という教会建築が紹介され、平日でも黒山の人だかり。漆喰の壁に七宝の十字架など、寺院とはまた違う色遣いの和洋折衷な宗教空間です。
山下りんという日本人最初のイコン(聖像)画家の存在も初めて知りました。
高瀬舟と豊臣秀次に因んだ名前を冠する慈舟山瑞泉寺では、秀次に続いて処刑された女子供達の名前や年齢を記した肖像画や、処刑された順序や配置を記録した生々しい資料が展示され、中でも、辞世の句を当時来ていた小袖で表具した掛け軸には衝撃を受けました。
また、高瀬舟を整備し秀次以下を弔うために瑞泉寺を創設した角倉了以の、実弟が秀次の家臣だったという秘められた史実も新たな発見でした。
前者は布教のため、後者は弔いのために、その時勢に合せて造られた宗教空間です。
いずれも目的は異なりますが、手を合せる対象があり、その周りで静かに輝きをたたえる彫金装飾など、祈りを捧げる人々に対して、どの様な空間が求められてきたのかという共通点も見られた気がしました。

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