e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

「日本のあそび」曲水宴

4月11

kyoku
上賀茂神社の渉渓園に一歩踏み入れると、濃厚なお香の香りを感じて思わず振り返ると、山田松香木店が「薫物(たきもの)」をされていました。
薫物の演出は『源氏物語』等の古典文学にも記されており、今年は染殿后藤原明子の「梅花」をもとに、昔ながらの調合方法で調整されたものだそうです。

「ならの小川」からの分水が流れ、木漏れ日の中には客席が設けられ、そよ風に汗ばむ程の陽気も忘れてしまうほどの心地よさ。
受付から開宴までの合間に、たまたま居合わせた和歌をたしなむという方とならの小川の畔に腰かけて、せせらぎの音に耳を傾けながら昼食を取りました。

「五・七・五・七・七」のリズムを持つ短歌と和歌と違いとは。
和歌には型というものがあり、いわゆる「現代短歌」は、明治以降に入ってきたもので、芸術として自我を表現するものだそうです。
令和元年に選ばれた斎王代が十二単の袖を引いて現れると、場が一層華やぎ、客席も色めき立つのが伝わってきます。

薫物は二箇所であり、遮る物の無い開けた庭園であっても、披講の抑揚ある調べに載せるようにリズミカルに濃淡を変えながら香りが漂っていました。
曲水宴は、中国の禊祓の行事が日本流にアレンジされたもので、自然の中に身を置き、香を焚いて雅楽とともに場を盛り上げ、歌を詠む順番さえも羽觴(うしょう)を運ぶ遣水(やりみず)の流れに任せるという、まるで王朝文化への憧れを投影した「日本のあそび」を象徴するような催しでした。

宴の後は、斎王代が境内の斎王桜の前で美しい立姿をみせてくれました。

ご馳走系パフェでエネルギーチャージ

4月5

tukuru   京都御苑でのお花見の前に立ち寄ったのが、「お菓子 つくる」。
店内は6席のみなので、グループのお客は揃ってからでないと並ぶ事はできません。なので、「おやつ」と言われるランチタイムの営業の1時間前から人が並び始めていました(テイクアウト利用の場合は入店できます)。
今回のお目当ては「イートンメスな苺パフェ」。
「イートンメス」とは、メレンゲにホイップクリームや果物を混ぜて作ったイングランドの伝統的なデザートのこと。

目の前でパフェが作られていく様を見られる割烹スタイルで、スタイリッシュぴかぴかにで手入れの行き届いたキッチンやカトラリーも見どころです。
先立って、「デザートの前のデザート」と飲み物(2種選べます)が出されました。
吉野屑で作られた豆腐やピンクレディという名のりんごと金柑の上に、大原キャベツが春らしい若々しい緑を添えています。

公式インスタグラムにパフェの手描きの図解が紹介されていたのですが、
てっぺんのイートンメスの下には、多重な層の合間も彩る大きな粒の苺(やよい姫)、香ばしくて歯ざわりの良いメレンゲ、カモミールのクリーム、散らした可愛らしいハコベの葉(春の七草の一つ)、アニス 東方美人のシロップ、噛むと洋酒がじゅわっと染み出すサヴァラン、東方美人のゼリー、カルダモンとカキドオシのおもち、生口島レモンアイス、最後に練乳ミルク。
一つのパフェが完成されるのにどれだけの労力と試作がかけられているのか想像できますね。

重なる色彩とボリューム感、交互に現れる食感の違いを楽しめるのがパフェの魅力。
クリームはノンシュガーか、もしくは上質な砂糖で甘さをだいぶ抑えてあるようで、色んな食材が入っていてお腹が満たされても重くありません。
壮年の男性がドリンクを飲みながらパフェの完成を気長に待つのも頷けます。
パフェと共に人気のフレンチトーストを注文したおひとり様女性もいましたが、いつの間にか両方のお皿をきれいにして先にお店を後にしていました。

もともとパフェは大好物で、これまで生クリームのたくさん入った甘くて背徳感たっぷりのパフェを疲れた時のご褒美にしていましたが、今回のご馳走系パフェは、自分へのエネルギーチャージになりました。

2022年4月05日 | お店, グルメ | No Comments »

京都御苑の梅・桃・桜を同時に観る

3月29

konoe
いよいよ桜のシーズン本番ですね。

いつも早めに満開を迎える京都御苑の糸桜
小雨の薄暗さの中でも目の覚めるような新緑の芝生の上に、枝を左右に広げて咲き誇る姿を人々が囲む様子は、まるで噴水のようにも見えます。
まさに満開とならん姿の奥に、まだ蕾を抱えた枝垂れ桜の大木が控えており、むしろそちらの瀧が落ちるような枝ぶりに惹かれて、根本まで歩み寄ってしまいました。

近衛邸跡の糸桜が見頃を迎えるタイミングで御苑を歩くと、梅林の梅、桃林の桃、出水広場の桜等を同時期に楽しむことができます。
花々に見とれるがままに南下していくうちに、大輪の木蓮や、50m以上は続いているかと思われる雪柳など、時を忘れていつまでも歩けそうでした。

ちなみに、新たな休憩所が御苑内に3カ所新設されるそうで現在工事が進められています。
直接尋ねてみたところ、大きな窓一面から桜の大木を臨める近衛邸跡前の休憩所は、3月31日に開業予定だそうですよ。
間もなくですね!

2022年3月29日 | 観光スポット | 1 Comment »

早咲き、遅咲きの桜を求めて

3月24

yodo
連休中は、毎年一足先に満開を迎える淀の河津桜を目当てに、今年最初のお花見散歩。
駅前にある淀城址のシンボル・水車も華やかな桜に囲まれていました。

幼児と乳児連れでしたが、川沿いに延々と連なる桜の連続に子供達も興奮気味。
所々階段もありますが、ベビーカーを畳まずとも降りられました。

今回はお土産の販売を見かけませんでしたが、小雨上等、持参した食料で乾杯する人もちらほら。
既に葉が出ている木もありますが、花の色が濃いピンク色なので気になりません。
桜だけでなく菜の花や雪柳、水仙にパンジーなどの色とりどりの景色を背景に、飼い犬の撮影に真剣なグループの姿も。

木々が雨を受け止めてくれるせいか、子供にとっては傘も要らないようです。
いつの間にか、透明なビニール傘には可愛らしい桜の花びら模様ができていました。
散策路の一部は枝垂れ桜が続くので、ソメイヨシノの盛りが過ぎた頃から再び立ち寄るのもいいかもしれません。

一方、家で競馬予想に真剣になっていた家人は、その日久々の快挙だったそうです。
京都競馬場からほど近い「淀の桜」パワーが届いたのでしょうか。

2022年3月24日 | 観光スポット | No Comments »

雅な?京の動物園・水族館

3月16

ume
今月は久しぶりに京都市動物園京都水族館へ行きました。

明治36年に開園した日本で2番目の京都市動物園は、園内に琵琶湖疏水を引き込み動物の飼育や噴水等に利用しています。
本州において現役最古という観覧車が回っている場所は、平安末期に建っていた法勝寺の八角九重塔の跡地とされているので、思わず見上げてしまいますね。
園内にはかつて西洞院通りに流れていたという西洞院川に掛けられていた橋の親柱が移築されており、「西洞院」や「魚店通(魚棚通り)」の文字が刻まれています。
そのそばでは、祇園祭の「厄除けちまき」や京菓子、京料理に使われる「チマキザサ」も育てられ、不足からの再生活動に一役買っているようです。

京都水族館は開業10周年を迎え、新展示エリア「クラゲワンダー」では西日本最多と言われる約30種5,000匹のクラゲに出逢えます。
京の町の通り名から名付けられたペンギンたちや、その複雑な人間関係(ペンギン関係?)を詳細にまとめた相関図は必見。
運が良ければ、中央から遠望できる東寺五重塔とイルカのジャンプ、新幹線までもカメラの構図におさめる事ができるイルカスタジアムで知られていますが、スタジアムの天井に京都産の木材が使われていることは後から知りました。

館外に出ると、陽気に誘われ日向ぼっこに繰り出した人達で賑わう芝生の向こうに梅林が見えたので、駅まで花見をしながら帰路につきました。

2022年3月16日 | 観光スポット | No Comments »

京の都と鎌倉幕府

3月8

出世恵比寿神社

出世恵比寿神社

2022年の大河ドラマは鎌倉が主な舞台ですが、京都にも関連する場所はあるのでしょうか。
驚くことに、それは秋の時代祭の時代行列の中にありました。

鎌倉時代を表す「城南流鏑馬列」は、承久3(1221)年5月に、後鳥羽上皇が朝廷権力の回復を図り流鏑馬に託して城南離宮に近畿10余りの国の武士1700名余りを集め、鎌倉幕府執権の北条義時追討の挙兵準備をした一場面とされています。
この影響は宇治川や比叡山にまで飛び火することになります。
この承久の乱の後、鎌倉幕府は京都守護に代えて朝廷を監視する六波羅探題を京都に置き、以降、明治維新まで600年以上に及ぶ武家政権が続く大きな転機となりました。

都落ちの際に焼失した平氏一門の邸宅六波羅第と、その後に鎌倉幕府によって設置された六波羅探題の址を示す石標が六波羅蜜寺の境内に建てられています。
建仁寺の勅使門は六波羅探題北方の門、東福寺の六波羅門は南方の門を移築したものと言われています。
詳しくは「歴史さんぽ」をご参照ください。
(ちなみに、粟田神社境内にある出世恵比寿神は、源九郎義経が牛若丸の幼少時代に奥州下向の際、源家再興の祈願をしたとされています)

承久の乱はおそらくこのドラマのクライマックスかと思われ、ちょうど祭が斎行される10月頃になるのではないかと想像していますが、はてさて、どうでしょうか。

月を観たか?

3月2

ao 西陣の興聖寺。
堀川沿いにあるため、前を通りがかったことのある人も多いかもしれませんが、「京の冬の旅」キャンペーンとしては40年ぶりの公開だそうです。

仏殿の天井に描かれた「雲龍図」、わざわざ螺旋状の石段を降りたところにある「降り蹲踞」、目にも鮮やかな、フィジーの海中写真を襖絵に仕立てた『青波の襖』や四季折々の草花を描いた天井画、茶道織部流の祖でもある武将・古田織部の院号を冠した茶室「雲了庵」と織部の木像など。
「ここまで“映える”お寺だったとは….古田織部が現代に蘇ったら、目を丸くして喜ぶかもしれない。」
などと妄想しながら、景気よくカメラのシャッターをパシャパシャ切っていました(※仏殿や茶室は撮影不可です)。

別の日に訪れていた友人のSNSによって、仏殿に「指月標」と書かれていたことを知りました。
「月を示そうと指をさしても、肝心の月を観ないで指を見る。(目先のことに囚われず遠くを見よ)」との意味だとか。
“映え”を気にして記録に残す、見せることばかりに熱心な自分は、ここで何を受け止めただろうか…。

伽藍を出て門へと帰る途中に、立派な枝垂れ桜の木が佇んでいました。
春本番になれば、きっと見事な桜の振袖を見せてくれることでしょう。
この先、このお寺が再び一般公開されるのは何年先となるでしょうか。

日本を元気にする招き猫パワー

2月23

neko
2022年2月22日は「スーパー猫の日」という言葉がにわかに流れてきて、ふと思い立って八瀬にある「猫猫寺(にゃんにゃんじ)開運ミュージアム」に行ってみました。
八瀬比叡山口駅から川に沿って15分程歩きますが、着いてみると駐車場が広い!
中に入ると、これまでの静かな道のりからは想像つかないほど、猫グッズを求めて列を成す人々の熱気が境内(?)にありました。

猫がたくさんいる猫カフェみたいなところかと思い込んでいましたが、現在はカフェとしての営業はされていません(ドリンクのマシーンは有り)。
袈裟風のよだれ掛けを身に付けたもふもふの猫住職見習いのマヨちゃん以上に、猫グッズと猫作家・加悦雅乃さんの作品がどこに目をやっても入ってくるのでした。
幼少の頃より絵画にのめり込み、11歳から猫を描く作家として活動を始め、11年間で16点の作品が国内外で入選・受賞されている雅乃さんの22歳記念を兼ねて個展が開かれています。
5月までの期間中は、普段は特別拝観の人しか入れない地下の「22GBar」に無料で入場できるのですが、洋風アンティークな空間で上階とは別世界でした。
作風は、あふれるままにキャンバスに塗り込んでいくような、素直な発想のものばかり。京都の名所と猫を描いたポストカードもありました。

複数のテレビ番組から取材を受けているらしく、お寺の前にはたくさんの器材が。
招喜猫(まねきねこ)宗総本山に祀られる大日猫来(にゃらい)を前にオリジナルのおみくじを引く人や御朱印を求める人まで。
恐るべし猫好き人の購買力。社会福祉施設の利用者の作品の販売や就労支援等も行われているようです。
日本の経済はにゃんこが回す!!

メジャーどころ目白押し。大徳寺大光院

2月16

daikouin
大徳寺の塔頭の一つ、
大光院が特別公開されています(※2022年2月15日(火)~18日(金)を除く)。
普段は非公開のため、いつも前を素通りするだけの目立たない存在でしたが、豊臣秀吉の弟・秀長の菩提寺であり、客殿の襖絵の雲龍は狩野探幽筆、茶室「蒲庵」は、黒田如水(官兵衛)の好み、露地には如水の子・黒田長政と加藤清正、福島正則の三武将がそれぞれ一つずつ石を寄進したという云われがあり、こじんまりした境内ながら戦国時代のメジャーどころが目白押しで驚きました。
雲龍画の痛みが少し目立つかな、と思いましたが、奥州・伊達家伝来の屏風を襖に直したものと知り納得。
どこか愛嬌のあるお顔を見て、同行の友人が自分の父親に似ていると話していました。

大和郡山城主だった秀長の法号を冠した大光院は、藤堂高虎によって現在の紫野高校のテニスコートの辺りに移され、昭和29(1954)年に現在地に移転されたようです。
門構えは、藤堂高虎の頃の時代を留めているそうです。

大徳寺は禅や戦国時代に興味がある人にとっては聖地のようなお寺。
京都SKY観光ガイド協会のガイドによるウォーキングツアー『茶面の大徳寺を訪ねる~利休の歩いた石畳~』も同時開催されています。

鬼を退け、鬼に願う

2月8

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「疫病神を追い払いたいけど…」と各地で節分行事を行うか否かの判断が分かれるなか、蘆山寺では2年ぶりに追儺式が実施されました。

ある人は肩や腰、またある人は肺や眼など、身体の悪いところを邪気払いされた鬼に加持してもらう「鬼の御加持」では、宝剣で病を削ぎ落とすようにさすってもらいます。
列を成しているのはお年寄りが多いかと思いきや、小さな男の子や、お母さんに背負われた赤ちゃんまでいました。

特設舞台の上を進む追儺師らが手にした「鬼喰い切りの独鈷・三鈷」や「降魔面」はこの日に限り公開されるものです。
人間の三つの煩悩「貪欲」「憎悪」「愚痴」を表した赤・青・黒の鬼が一定のリズムで手足を大きく上げ下ろし、周囲ににらみを利かせる鬼踊り法楽の鬼の動きは猿楽の所作から来ているのだそうです。
松明の火の粉を振りまき大師堂へと乗り込んだ鬼は、報道カメラマンをも威嚇し、後ずさりさせます。

護摩の周りで三匹に踊られては、確かに気が散って邪魔でしょうね。法力にやられた三体の鬼は、まるで酔っ払いのごとくふらふらとお堂から外へと逃げ出しますが、その様が法螺貝の音と妙にマッチしています。
鬼が退散すると、駄目押しに追儺師が東西南北と中央へ邪気払いの法弓を引き、歓声の中で矢が弧を描きました。

最後に蓬莱師や福娘、年男、寺侍による福餅・蓬莱豆撒きが始まり、無事に受け止めて更に中に当たりが入っていた人は、破魔矢がもらえます。
餅はキャッチできませんでしたが、第一投目が頭にポコンと当たったので、それもまた当たりかもと都合良く解釈しました。
本尊の元三大師が魔滅大師(豆大師)と云われ、観世音菩薩の化身として表現されたという蓬莱豆は境内でも販売されていますが、蓬莱豆を紅白一粒ずつ食べるとその人の寿命が6年延び、また福餅を食べると開運、出世するそうですよ。

終了後は鬼との記念撮影が行われているらしく、人混みの彼方から子供達の絶叫が響き渡り、大人たちの笑いを誘っていました。
今年一年、無病息災でいられるといいね。 動画はこちら

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