e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

駅近の山荘・白龍園

6月5

haku  
京都通あるいはリピーターの中で、紅葉の名所は新緑の季節にこそ訪れるのが鉄則です。
秋の特別拝観で人気急上昇中の白龍園も、初夏に傾き始めたこの季節は、とても静かでした。
時折は叡電の車輪の音こそすれ、聞こえてくるのは、鳥のさえずり、水流、庭を手入れする鋏の音、自分の足音。
所有するアパレルメーカーが、その土地の神を祀り手作りで庭園を創り上げ、数年前まで顧客に対してのみ公開していたそうです。
つつじの盛りは過ぎていますが、あちこちの蹲や東屋の花入れに可憐な花が生けられ、おもてなしが感じられました。
園の向かいにある「河鹿荘」はぜひ併せて立ち寄ってみてください。
囲炉裏が二つある古民家の風情で、喉を潤しながら外の新緑を眺められます。
冬になると、子供連れのお客には、灰吹きを体験させたりする事もあるそうですよ。
白龍園、河鹿荘ともに、二ノ瀬駅からから徒歩7分という立地ながら、山深い集落を訪れたかのような錯覚は、京都市の真ん中では味わえない魅力です。
白龍園に入るには、通常は出町柳駅にて拝観券を購入する必要がありますが、この春は白龍園でも拝観券を販売しています。

「リアル」に迫る意味とは

5月29

yoshimura

2日まで開催中の『吉村芳生 超絶技巧を超えて』展は、ぜひ、間近で実物を観て頂きたい展覧会です。
風景や革靴など、題材とする写真を小さな升目に分解し、升ごとに色の階調をつけて塗り潰す様に描き写すという、気が遠くなるような手法です。
1年間毎日描き続けた365枚の自画像や、新聞の紙面を1文字に至るまで全て書き写した上に自画像を重ねたものなど、来館者が「何やってるの、この人…。」と思わず漏らしていましたが、ごもっともです。

展覧会フライヤーのトップ画像にも採用されている藤の題名は『無数の輝く命に捧ぐ』。東日本大震災が起こった年に生まれた作品です。
無心になって鉛筆を動かしているその境地は、写経に似た感覚があるような気がします。
この一見機械的にも見える単調で緻密な技法ですが、吉村氏は「機械が人間から奪った人間の感覚を取り戻す」と語っています。
こちらの作品は、未完成のままの絶筆の作品とは異なり、下書きのような藤の線がうっすら端に向かって白い背景の中に消えていくのが気になりました。

街並みや新聞紙、草花等どの題材も、ごくありふれたものばかり。一つ一つの線や色の重なりの繰り返しによって構成されているのは、私達生物やその営みも同じです。
もしかすると、その事をより強く意識するようになったのは、モノトーンの作風から脱し、180色の色鉛筆を手に花々を描くようになってからなのではないか、と勝手に考えています。
決して描く対象物そのものになる事は無いけれど、極限まで対象物にリアルに近づく事の意味とは何なのでしょうか。

2019年5月29日 | 芸能・アート | No Comments »

祇園祭の新休憩スポット

5月22
きものステーション・京都

きものステーション・京都

「京都経済センター」がこの春、「京都経済センター SUINA(すいな)室町」として新装開店しました。

約1100平方メートルの大規模書店や、その周囲や地下1階に飲食店が集まり、「モリタ屋」が営む食料品店には驚きました。
勿論「きものステーション・京都」も健在で、若い感性でラインナップされた店内は明るく、また和室の小上がりもあり、和裁などのワークショップも参加できるようです。
男女の浴衣と共に展示してあった、丸い籠のショルダーバッグは、和装でも洋装でもコーディネートが楽しめそうでした。

二階に上がり、「ポケモンセンターキョウト」への入り口に至る空間が広々としていると思ったら、ここ四条室町はちょうど祇園祭シーズンになると「鉾の辻」とも呼ばれる最も賑わいのあるところ。
そう考えただけで、お囃子が流れる鉾町の風景が目に浮かんでくるよう。_

祭りの熱気から抜け、涼みがてらこのビルに入ってお土産を選び、また山鉾が建ち並ぶ様を眺められるスポットとなること間違いなしですね。

2019年5月22日 | お店, グルメ, 和雑貨 | No Comments »

川床でカレーランチ

5月14

ina
南座のイベントを体験しようと現地に降り立ったものの、日程を間違えて準備日に来てしまいました。
間抜けな自分を慰めるべく、昼食を川床で取ろうと思い立ち、先斗町を北へ南へぶらぶら。

独りでコース料理は勿体ないので、「京都牛 稲吉」にて「カレーランチ」を頂く事に。
春を通り越して初夏並みの日差しがさんさんと降り注いでいたため、床には出ずに店内で涼しく食事している人もちらほら。
日傘を挿しても良いとの事でしたが、少々の暑さくらいならなんのその、それより鴨川の畔で川床を満喫したい!という方は、帽子をお忘れなく。
上品な佇まいのお店で、和服のお運びさん達の接客も自然なので、こちらは一人でも緊張もせず。

牛肉の旨みが溶け込んだカレーを頬張りながら、対岸でジョギングをする人、家族でサイクリングをする人などをぼんやりと眺めます。
遅めのランチタイムだったので、グラスに浮く氷同士がかすかに触れ合う音が聞こえるくらい静かで、うっすらかいた汗が風と共に額の熱を連れ去っていきました。
京都牛懐石のお店という事で、香合の様な小鉢の中には「牛肉の甲州漬け」。
歯応えのある肉から、ワインやみりんの優しい香りが漂い、コース料理への想像が膨らみます。
気になるお値段は、ソフトドリンクと共に2千円ちょっと。
次回は家族や友人を誘って、京都牛懐石を頂きたいと期待しています。

2019年5月14日 | お店, グルメ | No Comments »

風立ちぬ

5月6

koi
今年は鯉のぼりを初めて買いました。
スーパーでも柏餅など端午の節句にちなんだ食品や、おもちゃに付いた鯉のぼりは多く見かけるのに、近所はマンションが多いためか鯉のぼりを揚げている様を見かけない事を、少し寂しく感じていました。
隣近所への遠慮か、もしもの雨天への懸念か、または室内や玄関に飾っているのかもしれません。
それでも唯一、マンションのベランダから立派な鯉のぼりがのぞいている家を見上げて、「ああ、やっぱりいいものだなあ…」と憧れたのがきっかけです。
変わらない日常風景に、季節の彩りが添えられるのです。

内心「おもちゃの鯉のぼりでいいやん」と考えていそうな家人には、「我が家には立派過ぎない?」と言われてしまいましたが、いいんです。自己満足です。
テレビを消して窓を開けていると、かすかに矢車が回る音が風と共に流れてきます。
姉妹で育ってきたため、窓の外で風を大きく飲み込んで泳ぐ鯉を眺めるのは新鮮。

鯉のぼりは、春のお彼岸が過ぎれば飾ってもいいといわれており、遅いところでは、旧暦の端午の節句に合わせて約1ヶ月遅れの6月上旬まで出している地域もあるそうです。
来年は、もう少し早く揚げてみようかな。

2019年5月06日 | イベント | No Comments »

京北で桜ドライブ

4月24

keihoku 先週末は、右京区京北にある宝泉寺の桜を観てきました。
京都市内よりも開花が遅く、シーズン終盤のお花見が楽しめます。
遠く坂の先の壁越しにピンク色の桜が溢れるように垣間見えてくると、期待値が上がります。
その割に「花より団子」とは言ったもので、着いてすぐさま東屋の日陰の中でぜんざいやよもぎ餅を頬張りました。
京北地域では、お正月に餅で納豆を餅で包んだ「納豆もち」を食べる風習があり、こちらもぱくり(味はそのままでした!)。
徒歩で一周できるほどの丘に、「観音桜」、「平安しだれ桜」、「金剛桜(うわみず桜)」、仁和寺から移植した「御室桜」、「楊貴妃」などの希少な桜が約20本あるそうで、子供が触れられる程の高さに枝を伸ばしたものや、桃色のシャワーの様な木がたくさんありました。
夕方になってからもぽつり、ぽつりと参拝者が絶える事はなかったのですが、不思議と静か、車で時間をかけて来て良かったと呼べるのどかな名所でした。
東屋に置いてあった「花降る里けいほく SAKURAめぐりマップ」によると、樹齢300超年とされる「黒田百年桜」をはじめに周辺にも美しい桜の木があくさんあるようで、紹介されているスポットは39箇所も!
また、夕方の帰路の高速が渋滞していたので、早めに京北に入って車で巡るのが正解かもしれません。
今年の「桜まつり」は終了しましたが、桜は自由に見学できるそうです。まだ間に合うかも!?

一匙の粋

4月17

nodate
平安神宮のホームページによると、枝垂れ桜は満開、八重桜などは8分咲きだそうです(16日現在)。
先立つソメイヨシノは鮮やかな若葉が目立ち始め、川には花筏。散りゆく花びらが美しい頃合いです。
能を習う知人が舞囃子を披露するとのことで、小腹満たしの差し入れを持って観世会館へ向かいました。
能舞台の切戸口から、黒の紋付き袴姿の男性達に混じって紫の袴の女性が現れた瞬間の清々しさ。
女性が踏む能舞台もまたいいものだな、と感じました。
家の近くの公園にも桜が植わっているので、籠に茶碗や抹茶の缶を入れ、道中のケーキ屋でチョコレート菓子を買い、家族とベンチでささやかに一服しました。
タクシーの運転手をしている知り合いは、貸し切りのお客様のためにお茶を振舞うため、車のトランクには野点セットをいつも入れていたそうです。
夏になると、娘さんを乗せて蛍を観に行ったりしていたとか。なんて素敵なお父様でしょうか。
その方はもう故人となられて久しいのですが、今でもその話を思いだします。
ちょっとした事でいいから、日々の生活の延長線上に日本人としのて一匙の粋を持っていたい、そう思う春です。

映える装い

4月9

insho
昨春の新装開館から1年経ってもなお、白壁が眩しい堂本印象美術館。春にふさわしい華やかな展覧会が開かれています。
京の町で舞妓さんとすれ違ったときに、思わず目を奪われますね。それは彼女たちが本物の上質な着物を身にまとっているから。
それと同じように、絵の中の女性たちの着物にも吸い寄せられるのは、古くから染色産業が発展してきた「着倒れ」の町で育まれた審美眼からでしょう。
着物ならではの色合わせの妙などを楽しめるので、レンタル着物で和装デビューの一歩を踏み出した若い女性たちにも、衣笠散策の一案にいかがでしょうか。
他にも、嶋原の太夫道中を松本楼から見学した際のイラストレポートとも呼ぶべき長い巻物も、印象の人となりが垣間見えて楽しく、色彩豊かでモダンな作品の合間に展示されている素描もまた、洗練されていて優美です。
パネルで紹介されていた、智積院のユニークな襖絵『婦女喫茶図』(普段は非公開)や大阪カテドラル聖マリア大聖堂の大壁画なども、機会があれば観てみたいと思いました。
ミュージアムショップでは、堂本印象デザインの羊羹「光る窓」をお土産に買い求めました。
笹屋守栄製で、当館のリニューアルに伴い印象のステンドグラス作品の一部が、琥珀部分に嵌め込まれたような姿をしています。
7㎝と小ぶりながら1000円となかなかのお値段ですが、他には見ないような「なんとか映え」な外観に、勿体なくて未だに切れずにいます。

地上天国の桜

4月3

heian
歴史的風土保存特別地区に指定されている地域の一角にある「平安郷」と呼ばれる庭園が一般公開されています。
入場無料で、両側に続く桜並木と竹林に誘われると、たんぽぽが水玉模様のように咲く芝生が眼前に広がります。
約3万坪の敷地内の約半分が広大なお庭で、寺社の庭園とは異なり、小さな子供達が駆け回っても余りある広さ。
シートを広げてお弁当を食べていたグループも見受けられました。京の桜の名所は数あれど、酔客のいないお花見ができる空間は貴重ではないでしょうか。
西には広沢池を臨み、豊かにざわめく竹林のふもとには白や黄色の水仙が揺れ、二本の小川も夕日を受けて銀の鱗の様に輝いています。
いやはや、宗教の力とは凄いもので、絵に描いた様な地上天国が広がっていました。
当初の公開期間中は、まだ桜は一部しか咲いていなかったので、予想通り、一般公開の期間が延長されたようです。
なお、次回は新緑の頃(5/4~/5)と秋(11/22~/24)に公開される予定です。

2019年4月03日 | 観光スポット | No Comments »

フィンランド発琳派!?

3月27

rinpa
フィンランドの有名ライフスタイルブランド「マリメッコ」の日本人テキスタイルデザイナーと言えば、脇阪克二さん大田舞さんが活躍していますが、石本藤雄さんは現在フィンランドの老舗陶器メーカー「アラビア」に所属、陶芸家としても活動しています。
自然から着想を得る事が多いというそれらの作品と、細見美術館の琳派のコレクションを並べて紹介する展覧会が開かれています。
「森と湖の国のフィンランドは、人も文化も似たところがあります」。現地の人がそう話していた事がありました。
確かに、デフォルメされたパターンは、紙の上のみならず記事や生活道具にも用いられるなど琳派に通じるものがあるかもしれません。
ある草木の柄は、幼い頃に自宅のベッドカバーに使われていました。
また、陶芸作品としての「イヌノフグリ」は、通学路によく咲いていた小さな小さな花でした。
それらをひと目見ただけで、スイッチが入ったかのように思い出の光景が甦ります。
素朴なタッチに華やかな色彩は、まるでビタミンたっぷりの果物のように気分を軽やかにしてくれますね。予想通りミュージアムショップは盛況です。
テキスタイルも陶芸品も、生活空間の中に溶け込んで心を潤してくれるもの。
作品として遠巻きに鑑賞するよりも、実際に自分でテーブルや部屋をコーディネートしてデザインを楽しむのがもっとも美しくみえるだろうな、と感じました。

2019年3月27日 | 芸能・アート | No Comments »
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