e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

「はんげしょうの宝珠」

7月11

hange 関東から京都に移住して来た知人から、干菓子を頂きました。
創作和菓子ユニット「日菓」だった杉山早陽子さんによる菓子工房「御菓子丸」の「はんげしょうの宝珠」です。
先月建仁寺の塔頭・両足院で半夏生の庭園が特別公開されていた期間のみ、現地限定で販売されていたもの。
長野県産の無漂白寒天で作られたすり硝子の様な白い葉が、合掌する手の様にピスタチオをそっと包んだようにも見えるデザイン。
名前に「の宝珠」と付く事から、禅を意識しているのでしょう。
一見、柔らかそうに見えましたが、手でつまむと琥珀の干菓子の固さ。
微かにシャリっと音を立てて齧ると広がる控えめな甘み。スイス産のオーガニックてんさい糖を使っているそうで、素材へのこだわりを感じました。
その知人は、以前より度々京都を訪れていましたが、今年の始めに市比売神社をお参りしてから約1か月後に、京都の企業での仕事の話が舞い込み、京都への移住が決まったのだそうです。
更に、会社から紹介されたマンションも、奇しくもその神社のすぐ近く。
娘が関東を出てしまって、親御さんはさぞ寂しい思いをされているかと思いきや、京都旅行のきっかけができたと喜んで、娘の部屋に泊まるための寝袋まで買われたのだとか。
お参りがきっかけで、京都への良きご縁が結ばれたようですね。

宮川町「游美」

7月3

yubi 宮川町にある「游美」で、少し贅沢なお昼ご飯。
予約の際に、妊婦を含む小さな女子会である事を伝えていたので、献立にもご配慮を頂きました。
珍しい食材よりも、どちらかというと普段から親しみのある食材が多く登場しますが、淡白な蛸はしっかり味を含ませて煮凝りに、当然、魚はきれいに形を保ったまま、炭火でふっくらと焼き上げられて。
素材の魅力はそのままに、堅実に磨きがかけられて、すっと檜舞台に出されます。
なんとなく、お店に向かう道中ですれ違った、素肌の美しい浴衣姿の舞妓さんを思い出しました。
友人は「ここのお料理は元気が出る」と、毎月通いつめて、およそ一年が経ったそうです。
カウンター席とテーブルが一台の内装は、客側の漆喰の壁は店主自ら塗ったそうで、厨房側は更に漆が擦り付けるように黒く塗られています。また、天袋の戸は桜の樹の皮が網代になっている珍しいもの。かつて天龍寺宝厳院で見かけたものに惚れ込み、作れる人を求めるうちに京都を飛び出し、滋賀の職人に依頼したのだとか。
多くを語らない、物腰やわらかな若い主人ですが、質問すればするほど、こだわりの逸話が引き出されそうです。
お店を開いてからもう10年になると聞き、驚きついでに思わず「お弁当やお節はされているんですか?」と尋ねると、「残念ながら…」との返答。
その代わりに、お正月の三が日は営業されているそうです。いいことを聞きました。

2017年7月03日 | お店, グルメ, 町家, 花街 | No Comments »

文化財を利用するということ

6月27

mado 旧三井家下鴨別邸の茶室と二階広間を貸し切って、同窓会茶会を開きました。
重要文化財での開催という事で、来客には足袋か靴下を持参をしてもらうようお願いしました。サンダルを脱いだまま裸足で屋内を見学する人を京都のあちこちで見かけるのですが、足裏の皮脂や汚れで畳を痛めないようにするためです。
また、乳児やお子様連れの場合は、道中で機嫌が悪くなった時にやむを得ず食べ物を与える場合があります。その際に手元に油分がついたまま入場して、柱に触れるような事があってはいけないので、その点にも配慮をお願いしました。
色々と細かいとは自覚しつつ、その様に予め告知していたのには訳があります。
会場の方の話によると、ここが公開されるようになってから半年の間に、何度か茶会で使用された事があったそうですが、主催側の扱いが酷かったために炉が使い物にならなくなり、今後は火気の使用が不可になる方向なのだそうです。
思えば10年程前に、紅葉の美しい寺院が、拝観者のマナーの悪さにライトアップを中止してしまい、以来行われていないところがありました。
少し前にも、文化財を広く多くの人々に親しんでもらうために商業利用する事に関してのニュースが話題になりましたが、入場料を払って入るエンターテイメント施設と同じ感覚ではいけません。
貸す方も借りる方もそれぞれに緊張感があり、またそれを忘れてはいけないと身が引き締まる思いでした。
事前に口うるさく言ってはいたものの、茶会そのものは和やかに進み、雨に濡れた瑞々しい庭園から吹くそよ風を感じながら、赤ちゃんから大人まで心地よくすごさせて頂きました。会場の方に感謝申し上げます。

水景園で蛍狩り

6月19

suikei
今年の蛍狩りは、精華町にある「けいはんな記念公園」の「水景園」へ。
暗闇の紅葉谷にある池の周辺には、家族連れが長いお団子状態に連なって蛍の飛翔を待っていました。
最初は目をこらしても2、3匹しか確認できませんでしたが、人々の喧騒に慣れてきたのか、夜の8時を過ぎた事にはあちこちで光り始め、池の上で、あるいは葉裏で発見する度に子供も大人も次々に歓声を挙げていました
呼吸するように静かに放たれる淡い光は、ライトアップやイルミネーション、花火などの電飾イベントとは違って生命の営みを感じさせるためか、発見した当初は思わず大きな声を出していた子供達も、次第に声を落とし腰をかがめて、葉の陰をじっと見守るのでした。
「河川に生息するゲンジホタルには背に十字の模様があり、田んぼを好むヘイケボタルには縦一本の模様があるんですよ」
「竹林で竹につかまって光るヒメボタルは、かぐや姫が竹藪で発見された場面のアイデアになった可能性があります」
15分程の「ホタルのミニ講座」や蛍の生態を紹介したパネル展示も楽しませて頂きました。
今季の蛍の催しは終了しましたが、24.1ヘクタールもの広大な庭園では自然に親しむイベントが頻繁に催され、無鄰菴と同じ造園会社が管理している事もあって、秋の錦模様も期待できそうです。
次回はぜひ「公園ガイドツアー」にも参加して、昼間の庭園を散策してみたいと思います。

2017年6月19日 | イベント | No Comments »

鷹峯で森林浴

6月12

shouzan 鷹峯にて、外国人達が亭主役を務める茶事に参加して来ました。
すぐそばで流れる紙屋川は、所々が深くなっていて、思わず「着物ごとダイブしてみたい」と談笑。夜になれば、にも出逢えるかもしれません。
お食事は青もみじを忍ばせた竹籠弁当とお吸い物という正統派の和食でしたが、食後は自国ゆかりの果物を使った餅菓子やドライフルーツが、お茶のお供でした。
海外で釜を掛けようと思うと、炭は危険物扱いとなるため飛行機では輸送できず、船便になるそうです。
帰り道は、亭主が「人が少なく菖蒲が見頃で、500円で貸し切り状態だよ」とおすすめしていたしょうざん庭園へ。
華しょうぶの会」が終了した後だったので数々の茶室の内部を伺い知ることはできませんでしたが、人が去った後でひっそりとしていて、遠くで聞こえる水撒きの音が、まるで自分にも優しく降り注いでいるような心地でした。
散策の途中で現れる茶花や竹筆のお店も覗いてみたりと、素敵な寄り道でした。
今度は川床にもお邪魔してみたいと思います。

2017年6月12日 | 未分類 | No Comments »

「花を立てる」とは

6月6

hana いけばなを大成した花僧・初代池坊専好を、狂言師の野村萬斎さんが演じる戦国エンターテイメント映画「花戦さ」の公開が始まりました。
伝統芸能の枠を越え、これまで超人の陰陽師や怪獣のゴジラまで、変わり種の役をこなしてきた萬斎さんだけに、専好役は非常に「キャラ立ち」していました。
その大袈裟な程に歪むユーモラスな表情は、漫画『へうげもの』の主人公・古田織部を連想させます。
作中では茶の湯の場面も多く描かれるのですが、剣ではなく文化の力で時の権力に立ち向かった専好と千利休。
己が良しとする美意識をぶつけ合った利休と、菖蒲を手に勝負を仕掛けた専好は、異なる結末を迎えます。
「花を立てる」とは、それぞれの個性を活かして調和させること。確かにこれは、自分自身もいけばなを体験するといつも感じていた事でした。
一言で「美しい花」と言っても、棘のあるものや、大輪で華やかだけど香りが強いもの、花は貧相な程小ぶりなのに枝や茎の流線形が優美なもの、「それぞれに、」に個性があります。
それらと正面から向き合いながら自らの指で生命に触れる時間は、心地のよいもので、またその手ぶりや姿を眺めていると、尊い時間を感じます。
鑑賞後は、なんだか花や茎に触れたくなりました。

コレでみたアレが食べたい。

5月29

ninjin 漫画で観た「マンガ飯」のように、テレビや映画で観た食事のメニューが余りにも美味しそうで、つい食べに出掛けてしまった、あるいは作ってしまった!という経験はありませんか?
現在放映中の朝ドラに度々登場する洋食屋のメニューにいつも食欲をそそられており、中でも「ビーコロ1(ワン)!」とセリフで発せられる「ビーフコロッケ」に心を奪われてしまった人は少なくないのではないでしょうか?
今回は「グリルにんじん」というお店を初訪問。
北白川の住宅街には珍しい三角屋根の、フランスの田舎の家の様な店構えと広い駐車スペース、
大胆なコの字型のカウンター席と周りを囲むテーブル席という、広々とした空間を観た瞬間、長年愛されてきた洋食屋の人気と自信を直感しました。
メニューには、ドラマで観たようなビーフコロッケは無かったので、代わりに「カニクリームコロッケ」をお願いしました。
二皿注文したためか、それぞれに別の野菜が添えられていたのが嬉しい。
さて、薄めの衣の中に、なんとかギリギリ破れないくらいにクリームがたっぷりと詰まったカニクリームコロッケ。
箸からも伝わる揚げたてのさくさくを、切り開いてこぼれない様に口に運ぶ瞬間は幸せの絶頂。
乳白色のおふとんからのぞくのは、ほぐし身ではなく、カニ足の身そのものでした。
夕焼け色のソースを纏っていましたが、一緒に頼んだ一口カツにかかっていたデミグラスソースも時折拝借しながら楽しませて頂きました。
店の片隅にはワインショップも併設されており、回転棚には一枚ずつ色んなワインの解説が書いてあるペーパーがびっしり。
「よし!次に来店した時は、ワインとビーフシチューだ!」
これもまた、ドラマの影響です。

2017年5月29日 | お店, グルメ | No Comments »

日本と西洋の豪華さの違い

5月22

van ただ今開催中の「ヴァン クリーフ&アーペル ハイジュエリーと日本の工芸」展。
実家が宝飾店の友人を誘って行ったので、「この石は柔らかいから加工がしやすくて…」と、業者ならではの話を聞きながら巡る事ができました。
「ミステリーセッティング」という、爪や地金を一切見せないよう隙間なく宝石を敷き詰めた技法の行程を観てから改めて作品を眺めると、やはりダイヤモンドよりもルビーやサファイアが最も映るものだと、素人ながらでも感じられます。
その気の遠くなるように精密な技法は、ぜひとも特設会場の専用アイパッドを繰りながら観て頂きたいのですが、映像に職人達の顔が映らないのは、やはりその技法と保有者を護るためではないでしょうか。
これらのハイジュエリーとモチーフの一部が共通しているような、日本の伝統工芸品も並列して対比されているのですが、いずれも動植物の造形美を超絶技巧で写し取ろうとする思いは同じでも、ありとあらゆる宝石をふんだんに使用し、建物や彫刻にも石が用いられた華やかで開放的な「石の文化」のヨーロッパと、木や土や玉虫の羽、貝殻などを用いた「木の文化」としての日本の伝統工芸品の、土からつかず離れずのシックさは、一言「豪華」と言っても、その土地の風土が大きく影響して異なるベクトルへ進化している事が、手に取るように伝わります(この手に取れず残念ですが)。
「ほら、キラキラだよ~」と、友人は抱いた赤ちゃんにガラスケース越しに豪華なネックレスを見せるのですが、生後6か月の彼女はむしろ、日本人作家による金色のオブジェの方が気になるようでした。
8月までの開催期間中、ヴァン クリーフ&アーペルのプレジデント兼CEOや、日本人デザイナーによる記念レクチャー 、親子向けのギャラリーツアーも予定されています。

2017年5月22日 | 芸能・アート | No Comments »

旧邸御室

5月15

omuro JR「花園」駅から歩いて15分程の閑静な住宅地の中に入ると、蔵を有するお屋敷が見えてきます。
1937(昭和12)年築で、昨年秋に国登録有形文化財となった「旧邸御室」では、月に一度、落語などの文化イベントが催されています。
今回の「新緑のJAZZコンサート」は、サックスとクラリネットを吹く麻紀さんと、リュートの先祖と呼ばれる「ウード」という楽器やギターを奏でるフランス人・ヤン(YANN PITTARD)さんとのデュエットでした。
二人が立つ縁側の背景には、埋め尽くすように茂った二ヶ丘の豊かな新緑が、額縁のように外の空間を切り取っています。
以前はここに大手酒造会社の役員が住んでいたそうで、この開放的な縁側でうたた寝ができたら、なんて幸せだろうと想像してしまいました。
「ジムノペティ」や「テイクファイブ」などの耳に親しいナンバーは序の口で、フランスやシリアといった日本から遠く離れた国の町に伝わる民謡など民族色が強い曲目。
そこに何故か和音階や三味線、演歌にも似た響きが流れ、文化には国境が無く、何マイルもの距離、何年もの時間を渡って日本にも届いている事に気付かされます。
アンコールになると、ヤンさんのボイスパーカッションまで入り、アップテンポな現代音楽に変化しました。
来月は10日にもトランペットやドラムによるジャズセッションが行われるそうです。
椅子席(指定)を予約して、演奏前の明るいうちにお屋敷の意匠や茶室もあるお庭の散策を楽しまれる事をおすすめします。

現代人の特権

5月8

nishi 連休中は一旦休止されていた「西本願寺花灯明 ~夜の参拝・特別拝観~」が、9日より再び期間限定で始まります。
入場料の代わりに熊本地震の災害義援金を志納するのですが、入り口で記念冊子(記念しおりや龍谷ミュージアムの割引引換券付き)が一人ずつに手渡されます。
これを袋に入ったまま見学している人がたくさんいましたが、それでは勿体無い!袋の中には拝観ルートの解説も同封されているので、予め一読して散策される事をおすすめします。
伽藍が整備された当初は、篝火や蝋燭で灯された様もきっと美しかった事でしょうが、ライトアップという形で金箔や水鏡が輝く光景を拝める事は、天下人の秀吉さえ叶わなかったことであり、私達現代人の特権とも言えます。
国宝の唐門や北能舞台、鴻の間や白書院などは、まさに「荘厳」の一言そのもの。しかしながら、ソテツが南国の景色の様にあちこちににょきにょきと聳え立つ特別名勝の「虎渓の庭」は京都の庭園としては非常に珍しいものでした。
ちなみに、屋内でも扉は開放されて風通しが良いため夜は少し肌寒いので、調節しやすい服装で春の宵歩きをお楽しみ下さい。
また、取材当時(5/1)は、境内の仮設フードコート「本願寺 おてら かふぇ&まるしぇ AKARI」は、飲み物と甘味のみの営業だったので、お食事でご利用の際には事前にお問い合わせ下さい。
フェイスブックの方では、会場から徒歩圏内で立ち寄った飲食店をご紹介しますね。

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