e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

京風中華

6月17

8raku 花街に詳しい人に教えてもらった「中国料理 八楽」は、高台寺近くの、観光客が素通りしてしまいそうな路地を入ったところにありました。
夫婦で切り盛りされていて、カウンター席のみ。大人向けですがコースでもリーズナブルで、肩ひじ張らずに足を運べそう。
さっぱりとした味付けは胃が重くなる事も無く、軽やか。殆ど常連客のみで続いているのが素晴らしい。
お店の中央にある柱には、芸舞妓さんなど花街にゆかりのある人々の千社札でいっぱい。
その中で三角の紙が気になったので尋ねると、舞妓さんがデビューするときに配られる「さし紙」に対して、こちらは芸妓さんが引退するときに挨拶回りに配る「引祝」だそうです。
芸妓さんに定年は無いと聞きますが、結婚等で芸妓さんが引退するときには、引祝の紙と共に白飯(またはおこわ)とお赤飯を半々にしたものを一緒に配るのですが、引退してもまた復帰するかもしれないという時は紅白、もう戻って来ない場合は白飯にするのだそうです。
芸舞妓さんのデビューを追ったドキュメンタリーはよく見かけますが、引退のエピソードは初めて聞きました。
お味も雰囲気も、「京風中華」と形容したくなるお店でした。

2013年6月17日 | お店, グルメ, 花街 | No Comments »

下鴨神社「蛍火の茶会」

6月10

hotaru  下鴨神社での「蛍火の茶会」。
今年は御手洗池ではなく、糺ノ森の泉川に蛍が放流され、参拝者たちは普段は公開されていない糺ノ森の東側を回遊します。
真っ暗闇の森の中、遠くの川の向こうで呼応するかのように光ったかと思えば、頭上をふわりと通り抜ける蛍も。
ふと人々の歓声の中に紛れ込み、誰かの鞄にくっついて光る姿を見ると、思わず周囲の人と顔を見合わせてにっこり。

帰り道に、松ヶ崎疏水にも寄ってみました。
住宅に囲まれた静かな小川には、既に近所の人たちが蛍を観るために集まっていました。
目を凝らし指で追いながら蛍の数を数えるお孫さん達に、おじいさんが「今日は少ないなあ~」とぽつり。
かつて自分自身も幼い頃に、近所のおじさんに連れられて蛍を観に出かけた事がありました。
その頃は、頬にぶつかることもあるくらい、蛍がたくさん飛んでいたように思います。
この先、自分の子供や孫にもこの神秘的な景色を見せてあげられるでしょうか。
人々が銘々に家へ帰って行った後、しばらく暗闇のせせらぎに舞うかすかな光を眺めていました。

京の居酒屋「神馬」

6月4

sinme 千本通中立売上ルに、酒蔵を模した居酒屋「神馬」(075-461-3635)があります。
うなぎの寝床の様に細長~い店内はカウンター席に始まり、その先には屋内なのに灯篭が立ち太鼓橋が架かっています。奥には簡素なテーブル席があり、屋外で飲んでいる様な趣向なのでしょう。

手書きのお品書きには、「のど黒」や「白ずいきのくず引き」に「ローストビーフ」などなど。
居酒屋といっても、一皿のボリュームは意外に控えめ。
“素材の良いものを少しずつ”という印象ですが、何気なく添えられたソースも美味しく、静かな底力の様なものが感じられて、そこがまた京都っぽい?

昭和9年創業とのこと。市電が通り、映画産業で賑わったかつての千本通りや北野を映した古写真が店の歴史を物語り、移ろう時代の中でも変わらず人々に愛されているところに感服します。
訪れた暁には、レトロなレジや、数字パズルの様な独自の勘定書にもご注目。

2013年6月04日 | お店, グルメ | No Comments »

「出町ふたばの新顔さん

5月27

futaba新茶のお供にしようと、「出町ふたば』(075-231-1658)さんへ出かけると、新顔発見!
かぼちゃの餡が入った豆もちです。1個170円。
ほんのり色の透けたおもちにかぶりつくと、分厚いおもちもの中にとっても鮮やかな黄色のこし餡が包まれています。周りの大豆も香ばしく、なんだか元気をもらえそうなおやつ。
今年の初め頃から販売されているそうで、まだまだ当分店頭に出されるそうです。

まだぬくもりの残っている急須の蓋を開けて見ると、お湯を含んで明るい黄緑色になった茶葉は、まさに今年生まれた葉っぱの赤ちゃん。
さわやかな香りの新茶に、ビタミンカラーの豆もち、そしていよいよ水無月の季節。
初夏は自然の恵みがいっぱいです。

2013年5月27日 | お店, グルメ | No Comments »

「二葉葵展」

5月21

afuhi 今年の葵祭も快晴のもとに無事終了し、週末には上賀茂神社で「二葉葵展」が開催されました。
境内では「第3回葵・手づくり市」や渉渓園の特別公開(毎月第1、第3日曜)も同時に行われ、小雨にも関わらず多くの人が会場の庁屋に立ち寄っていました。
「二葉葵展」は、葵祭行列を飾る葵の葉が年々減少しその再生を目指す「葵プロジェクト」に賛同した表具師、左官職人、大工、空間デザイナー等の若手の職人集団「景アート」が主催しています。
宮司が作られた茶碗を初め、葵を模った皿や鏡、木のぬくもりを掌で感じるおもちゃの様なオブジェやテレビボード、ライブペインティングもありました。
葵の葉も、若手の「ものづくり」も、育て根付かせていくためには、職人だけではなく私たちも美しいものや丁寧に作られたものにたくさん触れ、作り手と共に技術と審美眼を養っていく必要があるように思います。
今年はあいにくの雨で、ならの小川のせせらぎを楽しむ川床茶席は見当たりませんでしたが、来年こそは体験してみたいと思います。

サロンドロワイヤル京都の「カフェ床」

5月14

yuka 学生の頃は鴨川から見上げていた納涼床も、懐石料理だけでなく洋食屋やエスニック、バーなどバラエティに富み、ここ数年では「カフェ床」も増えてきて随分と敷居が低くなりました。「川床って高いんでしょ?」と思い込んでいては勿体ない!

鴨川の新緑が青々と茂り、「昼床」が最も気持ちがいい5月に入ったので早速おでかけ。
大阪で創業の老舗洋菓子屋のチョコレート専門店が、川床のあるカフェを併設した「サロンドロワイヤル京都」へ。
ゴールデンウィーク中だったので行列を覚悟していたのですが、思いのほか空いていてすんなり席に着けたので驚きでした。
通り抜ける風が木々を揺らし、せせらぎの向こうで遊ぶ親子や散歩中の人々を眺めていると、他の席で談笑する和服女性たちもまた風景の一部のようです。

京友禅を連想させるパッケージの商品も、京都土産としてぬかりなく。
ワインリストもあるので、フォワグラやショコラと共に、食後の一杯…なんて一夜も今後のお楽しみですね。

2013年5月14日 | お店, グルメ, 町家 | No Comments »

宝福寺の秘仏たち

5月7

inyou 5月の第一日曜日に限り秘仏が御開帳される伏見の宝福寺。豊臣秀吉と淀君に嫡子(秀頼)誕生の祈願をしたという「子授けの石」で知られ、今年は「こどもの日」と重なりました。
「子授けの石」は、男天・女天2体の立像が抱き合う姿の秘仏「雙身歓喜天」に由来し、「陰石」と「陽石」を男女が反対の石を交互に跨ぎ、心身を清浄にして願うという祈祷の様子は、本人達と御住職以外の者は見る事ができません。
お寺の方によると、「子授成就」の御利益は、「100%とは言えないけれど、かなりの確率で授かるようで、夫婦でお礼参りに訪れたり、知人の為に祈りに来る人もおられます。願いが適った方から口コミで伝わっていくためか、最近は名古屋からの方が多いですね。』とのこと。
また、仏像マニア「仏友」のみうらじゅん、いとうせいこうの両氏がテレビ番組で宝福寺を紹介した事もあるそうです。
早速その番組をネット検索すると…ありました!『新TV見仏記3京都編』です。
それにはテレビ初公開、宝福寺のご住職さえ触れたことの無いという超秘仏「荼枳尼天(だきにてん)」も登場するのだとか。そのDVD、見てみたい!!

理想の住宅建築「聴竹居」

4月30

chochiku 建築家・藤井厚二が「真に日本の風土・気候にあった日本人の身体に適した住宅」を追い求めて、京都府乙訓郡大山崎の地に建てた実験住宅「聴竹居」。
自らその住み心地を検証、改善を重ね、完成形と言える第5回目の住宅であり、夏は床下や屋根の通気口を開けて風を通す事で約5度も室温を下げ、冬は隙間風を通さない様に工夫された大きな窓から低い太陽の光を居間の奥深くまで取り込めるよう、家の向きまで計算されています。
和と洋のデザインの良いところを違和感無く調和させ、かつ機能性も持たせた美意識と技術はさることながら、窓からサンルーム(縁側)を通して豊かな緑を望む子供達の勉強部屋や、配膳口で繋がった台所と食堂、洋装・和装の客人をもてなす事を考慮した客室や畳の間が一つの居間を中心に配置され、程よく区切りながらも人々が一つに集まれるような設計が何より印象的でした。家族の笑い声が聞こえてくるような、まさに理想の家。

なお、内部の撮影は特別公開時はできない(外観のみ可)ので、通常の見学日に合わせて事前に申し込んで下さいね。

「千鳥の盃」

4月22

sakaduki 「先輩、一杯どうぞ」「ありがとう。やあやあ、君も一杯…」
宴会で、また新入生・新入社員の歓迎会で、ビール瓶やお銚子を片手に互いの杯に注ぎ合う光景。
これは、懐石料理で八寸を頂く際に、亭主と客たちが1つの盃で酒を交互に注ぎ合う「千鳥の盃」から来ている風習のようです。

「千鳥の盃」は、今では茶道における茶事の稽古の一つとされていますが、その昔誰もがお客を自宅でもてなしていた時代には当たり前に行われていたものだそうです。
そういえば、旧家には御膳やお椀、来客用の座布団等をたくさん所持しているところがありますね。日本人の暮らす家も、床の間がある来客スペースよりも、家族がくつろぐためのプライベートな空間作りが主流となりました。

その会の趣向に合わせて、亭主が酒の肴の代わりに小唄を一曲披露する事も。
今となっては千鳥足でオヤジギャグがオチかな!?

2013年4月22日 | 未分類 | No Comments »

ラ・パティスリー・デ・レーヴ

4月17

reve 海外初出店かつ日本初上陸の地に京都の東山を選んだ、パリで人気の「ラ・パティスリー・デ・レーヴ」(075-533-7041)。
その代表菓子の京都バージョン「京都ブレスト」が料亭「祇園 ささ木」の佐々木浩氏とのコラボレーションで誕生しました。
これには食べる順序が決まっています。連なった一つ一つのシューが「先付」「椀」「焼物」「菓子と茶」というコース仕立てになっているのです。
「先付」は生地にすだちを使い、洋梨のソースとのさわやかな酸味で食欲を刺激。リズミカルな食感がレーヴの特徴でもありますが、挟んだクリームのシャリシャリ感はなんとレンコン!
続いて「椀」は、かぼちゃとコーンのスープを連想させるクリーミーな味わい。最も個性的だった「焼物」は生地に山椒が入っていて、薫製した香りは菓子として初めての体験でした。
最後の「菓子と茶」はデザートらしく抹茶やホワイトチョコのクリームと小豆ソースの直球勝負、素材の良さが生かされていました。
このケーキは、シェフパティシエ・フィリップ・コンティチーニ氏が、初めて出会う日本の素材で新しい菓子を作ってみたいという「レーヴ(夢)」を形にしたものかもしれません。
厳選された素材それぞれに良い香りが広がり、一箱分を4人で分け合って食べてもお腹がいっぱいになります。
予約は受取日の7日前から受け付け可とのこと。この実験的な作品、チャレンジしてみますか!?

2013年4月17日 | お店, グルメ | No Comments »
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