e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

亀屋則克の「浜土産(はまづと)」

8月12

hama  台風11号の影響を受けた京都の町ですが、去年の教訓が生きて早急に復旧が進み、いつも通りに五山の送り火を迎えられそうです。
川床の真下まで水没する鴨川の報道には驚愕しましたが、「京の七夕」の最終日には、台風の事が嘘の様に、たくさんの浴衣の人々が町中を歩く光景にも驚きました。
そんな水の脅威とは裏腹に、京都盆地の中で生まれ育った者としては、昔から水辺、特に海に対して憧れがあります。
この夏、丹後の久美浜へ旅立つお盆過ぎには、そろそろクラゲが出て海には入れないかな?と思案していたところに、ふと夏の便りが。
蛤に琥珀羹を流し込み、真ん中に塩気の浜納豆を一粒入れた、亀屋則克さん(075-221-3969)の「浜土産(はまづと)」です。
京都の夏の和菓子として、もうすっかり知られるところですが、まるで磯辺で採った蛤を籠に載せ、檜の葉を添えてさっと出したかの様な、ざんぐりとした風情は、やっぱり嬉しいもの。
この涼菓を考案した初代も、京から遠い海の汐風を想い起こしていたのかも。
かつて友人たちが浴衣の茶会を開いた時には、このお菓子がブリキのバケツいっぱいに入っていて、それを一人ずつ取り回し、片方の貝殻ですくいながら頂いたものです。
「浜土産」の販売は5月から9月中旬まで。画像は丸籠ですが、磯馴籠(そなれかご)に入ったものも、また楽し。

2014年8月12日 | お店, グルメ | No Comments »

プロジェクションマッピング・二条城

8月4

nijo   祇園祭五山の送り火との間に新たな夏の風物詩とした登場した「京の七夕」(11日まで開催中)も、今年で4回目を迎えました。
最初の日曜日は生憎の雨にも関わらず、たくさんの浴衣姿と傘の花が堀川会場を彩っていました。
堀川の東側にある京都国際ホテル内の屋台村では、ハワイアン生演奏とフラダンスの舞台を楽しみながら、冷房の利いたテーブル席で食事ができるので、家族連れには堀川会場がお奨めかもしれません。
一方、堀川の西側で夜間に一部開放されている二条城では、二の丸御殿の形状に合わせてプログラミングした映像を投影するプロジェクションマッピング「荘厳なるあかり」が行なわれています。
城内に反響する音楽に合わせて、まるで車寄が動いているかの様に見えたり、壁面に花火や紅葉が散ったり、文字が浮かんだりする度にさざ波の様な歓声が挙がります。
国宝である建築物の、豪華な欄間彫刻を活かした投影によって浮かび上がらせる事で、その対象となる建物や事物に新たな価値を生み出し、保存継承に繋げていく事がこの「プロジェクションマッピング」という最先端技術の役割なのだろうと理解しました。
期間中、夜間の二条城は無料で入城できるので、代わりに一口募金(200円毎に記念カンバッチ進呈)をしてきました。
いち早く動画でご紹介したいところですが、皆さんには是非現地に足を運んで生の迫力を楽しんで頂きたいので、公開はまた後日に。

鳥居形の送り火

8月20

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今年の送り火は、鳥居形を初めて観に行ってきました。
渡月橋畔は点火時間の1時間以上前からたくさんの人々が集まり、大堰川沿いを縁取っていきました。灯籠流しの傍らで納められた水塔婆は、読経の後に翌年の釈迦堂お松明式で焼却供養されるそうです。

ふと鳥居形を近くで観たくなり、既に遠くで灯っている種火を頼りに、できるだけ近いところまで歩いて行ってみる事にしました。
天龍寺を越えた辺りで歩行者がぐっと減り、清凉寺を過ぎて住宅地へ入る頃にはすっかり人気も無く、薄暗い夜道が続きます。
迷いながら30分近く歩き、鳥居形のふもとまで迫る事ができましたが、高度が低い鳥居形は周囲の木々や住宅で見えなくなってしまい、山の入口は真っ暗。懐中電灯を持っていても心細くなりそうな…。
なにより、これより先の神域に踏み入るのも気が引けるので、来た道を少し戻り地元の人々と共に点火を待ちました。
合図の太鼓が鳴り、保存会の人々が松明を手に所定の位置まで走る姿がかすかに見えます。
一つ、また一つと火の玉が一列に並んでいく様子を見ていると、たくさんの魂が空に向かってゆっくりと昇天していくかのようでした。

2012年8月20日 | 未分類 | No Comments »

京都マラソン

3月12

run3月11日に開催された「京都マラソン」は好天に恵まれ、ペア駅伝や車椅子ランナーも含め14,093名が出走、7つの世界文化遺産や送り火の五山を望む都大路を駆けていきました。
交通規制中の自宅周辺は車の姿もまばらで静まりかえっていたのに反して、コース沿いは応援する人(犬も)や、ランナーを鼓舞するよさこいダンサー達のかけ声が響き渡っていました。
サングラスを光らせストイックに走る人もいれば、カメラに向かって両手を広げたり、アヒル顔の帽子を被ったり、携帯電話で話し込んでいる人もいて、これはマラソンというよりジョギングでは!?
それにしても走者の多いこと!スタート時でも西京極総合運動公園には入りきれなかった程の人数のカラフルなウエアが行き交い、坂道が賑やかに彩られます。
塞ぎ込んで滞りができると心身が壊れてしまうように、国が元気になるためには、人の流れも、もちろんお金の流れも必要です。
もし完走できなくても無理しない。それぞれにランを楽しんでいる人々を見習って、私達も小さな目標を重ねながら元気に歩いていきましょう。それぞれの歩幅で。

2012年3月12日 | イベント | No Comments »

松ヶ崎題目踊り

8月18

yusen 五山の送り火の一つ、「妙法」の間にある涌泉寺にて日本最古とされる題目踊りとさし踊(京都市登録無形民俗文化財)が営まれました。
現地に着いて驚いたのは、涌泉寺境内から「大文字」が綺麗に見え、しかも周りには殆ど人が居ないということ。これならば、「妙」の送り火の点火を見届けたら「法」の見えるところまで移動し、そのまま涌泉寺で題目踊りが始まるのを待ちながら「大文字」が下火になっていく様を静かに眺める、という三つの送り火を拝む事ができますね。

独特の節回しの題目を唱える男女、兵児帯を揺らす子供たちやGパン姿の青年たちが一つの輪となって、約1時間にわたり踊り続けます。
揃いの浴衣の背に染められた「妙法」の山には、700年もの間踊りを受け継いでいた誇りと、同じ地域に暮らす人々が集う喜びが現れているかのようでした。 動画はこちら

動画で観る京の歳時記

7月26

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神輿が御旅所から八坂神社へと戻り、1ヶ月に渡る祇園祭も28日の神興洗式など締めくくりの神事を残すのみとなりました。

「神興洗」を主催する「宮本組」は八坂神社の氏子組織「清々講社」の一つで、神輿渡御の際には宮本組神宝奉持列として神社の神宝を奉じて練り歩いています。
この神輿洗や山鉾巡行など個人的に撮り溜めておいた動画が勿体ないので、アップしてみました。素人撮影ではありますが、今後も少しずつ京都のリアルな歳時記動画をご紹介していきますので、お楽しみに!

祇園祭と五山の送り火の間には、昨年より始まった「京の七夕」が開催されます。

「清経」

8月17

816京都御苑の向かいにある金剛能楽堂にて、大文字送り火の直前に催される『大文字送り火能 ~蝋燭能~』。今年の演目は「清経」でした。
源氏に敗れ入水した清経の霊に向かって、都に残された妻は恨めしい気持ちをぶつけ、清経もまた、形見の髪を返してきた妻を嘆きます。

奇しくも五山の送り火の前日は終戦記念日。お盆はほんの僅かな間の魂の里帰り。
炎を眺める心の中は、「まだ行かないで欲しい。けど、送り出さなければならない。」。

清経」という曲は、もしかすると戦争で愛する人を失ってしまった人々の心にも染みるものなのだろうか。ふと思いました。

2010年8月17日 | 芸能・アート | No Comments »

「翁」に願いを

7月20
金剛能グッズ

金剛能グッズ

今年も金剛能楽堂の能面・能装束展を観に行って来ました。
やはり、一日2回ある解説の時間に合わせて行くと、興味が倍増します。

中でも年の初めや何かの節目の際に用いられ、神面として大切にされている「翁」の面は、能が成立する以前には呪師が儀式の際に掛けていたといい、人々は翁の面に向かってお願い事をしていたのだとか。
「現在は能役者が演じているけれども、その呪師の力が面に宿っているかもしれない。」とのこと。
この面が何百年という時を経て現在まで伝えられているところを思うと、生命力のような特別な力が宿っていても不思議ではありません。
思わず、翁の面の前で手を合わせてしまうのでした。

25日には「羽衣」等が演じられる定期能、お盆には「大文字送り火能 ~蝋燭能~」が予定されています。

2010年7月20日 | 芸能・アート | 1 Comment »

「喜々裕」さんでオーダーメイドかんざし

8月3
2Way七五三髪飾り

2Way七五三髪飾り

長かった梅雨もようやく明けて、花火大会送り火ビアガーデンなど心おきなく浴衣のおしゃれが楽しめますね。

藤井大丸を下がった電気街を抜け、少し歩いたところの「京都ぬのはな工房 喜々裕」にお邪魔しました。ここはセミ・フルオーダーメイドも可能です。
京都にちりめん工房は数あれど、京都在住イラストレーターと日本舞踊師範という二人の作家さんによる髪飾り・帯飾りは、色遣いが上品で女の子の顔映りを良くします。
製作体験は2時間2000円とお値打ち。手作りの簪を挿したら川床が並ぶ鴨川を渡り、宮川町や建仁寺六道珍皇寺、縁結びの安井金比羅宮などへ。浴衣での記念撮影にピッタリな景色が満載です。

2009年8月03日 | お店, 和雑貨 | No Comments »

京都金剛家のルーツ

7月29
たくさんチラシを持って帰りました。
たくさんチラシを持って帰りました。

金剛能楽堂の能面・能装束展観に行って来ました。

他流派とは異なり、金剛家の能装束には家紋が入っている事が多いのは、京都金剛家はかつて近江源氏の武家であった事に由来するそうです。浅井・朝倉連合軍が織田軍に敗れた事で京都御所へ逃れ、そこで禁裏御能を発展させました。
来月には大文字送り火能「蝋燭能」が行われます。
「綾鼓」というちょっとコワイ演目を鑑賞した後は、能楽堂向かいの京都御所へ移動し大文字の送り火を眺めれば、より味わい深いものとなりそうです。

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