二尊に励まされる
年中観光客で活気づく嵐山も、夏休み後から紅葉シーズンまでの間は少しばかり落ち着いています。
JR嵯峨野線の踏切を越えた辺りから、ぐっと人気が減りますね。
落柿舎の辺りの古き良き嵯峨野の田園風景を抜け、その先の小倉山の東麓に二尊院があります。
向かって右に「釈迦如来」、左に「阿弥陀如来」の二尊が珍しく横並びに安置されていることで知られています。
極楽浄土を目指す人々を此岸(現世、この世)から送り出す「発遣の釈迦」、
彼岸へと迎える「来迎の弥陀」。
これは中国・唐の時代に伝来し、浄土宗の例え話として語られる『二河白道喩』から。
いわば、貪欲や怒りといった煩悩の中にいる人々に、信心に従うことで極楽浄土へ辿り着けるよ、と励ましていると解釈できます。
そんなことを知った上で静かな紅葉の馬場を振り返ると、白道を歩んでいるような気持ちになれるかも。
10月28日より「二尊院の二十五菩薩来迎図」が特別に開帳されますが、界隈が紅葉狩りでざわつく前の静けさを味わうなら、今のうち。