e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

考えて、試して、美味しくする

12月16

ooya

どちらかと言うと紅茶党で、珈琲については素人なのですが、「珈琲を美味しく淹れたい!」という願望はありました。
いつもはミルクも砂糖も入れないと飲まない自分が、ストレートで飲んでも美味しいと感じたお店は、残念ながらいずれも淹れ方教室をしていなかったので、珈琲の焙煎家・オオヤミノルさんによるドリップ講座を受けてみる事に。
ご本人は美山の山里で焙煎をしているそうですが、今回の会場は「KAFE工船」です。
珈琲豆の焼き加減の浅いものと深いもの、荒挽きのもの、量や温度による違いを、実験の様に繰り返しながら、自分の好みを探ります。
参加者は男性が多く、同業者の方もいました。そのせいかオオヤさんの話題もマニアック(下ネタ注意!)、一見脱線しているかに思えますが、珈琲に限らず食品全般、また珈琲を取り巻く世界の経済情勢に対する造詣の深さも話の端々から感じ取れます。
何より「珈琲の淹れ方のマニュアル」を知る以前に、「自分好みの珈琲豆の焼き具合、挽きの細かさ、好みの焙煎家・店」をよく把握する事が大切なのが分かりました。
それらの要素を変える事でどんな風に味わいが変わるのかを知れば、同じ豆を使っていても、飲んで欲しい相手の好みに調整する事も可能だからです。
「ほぼ水分ゼロの植物の豆を砕き、水を加えてジュースを絞るという調理の行為である事を意識する」。
オオヤさんの講座は2時間以上時間オーバーになるのが常らしいので、参加する場合は他に予定を入れずにめいっぱい質問をして有意義な時間にして下さいね。
25日の天神さんにも出店されているそうですよ。

2015年12月16日 | お店, グルメ, 未分類 | No Comments »

D&DEPARTMENT KYOTO

11月3

d  仏光寺の境内に、デザイナーのナガオカケンメイさんや京都造形芸術大学の学生らがギャラリーを併設したセレクトショップ「D&DEPARTMENT KYOTO」を開店して、もうすぐ一年になろうとしています。
もとは物置として使われていた和合所を改装して販売されている品は、京都の伝統工芸品や調味料、雑貨等、流行や時代に左右されずに愛されてきたものたち。
おそらくどこかのお店で使われていたと思われる岡持ちや木のお盆、昨年営業を終了した「京都国際ホテル」の名前が裏に入ったノリタケの白いお皿、実験用のシャーレに書籍など、新品からアンティークまで、アイデア次第で新たな価値を生み出しそうなわくわく感で満ちていました。
隣のお茶所は、仏光寺で採れたかりんで作ったドリンクや京都の名産を上手くアレンジして取り入れた軽食や甘味が楽しめます。
京都店は、「ロングライフデザイン」をテーマに、物販・飲食・観光を通して地域の「らしさ」を見直す「D&DEPARTMENT」プロジェクトの10 店舗目に当たり、山梨や富山などの他の店舗の情報が掲載されている専用誌もここで読む事ができます。
単なる名産の寄せ集めではなく、セットメニューのお茶や添えられた塩昆布も丁寧に作られていて京都らしさがちきんと感じられ、ショップで見かけた調味料や器も使わており、それが地域の「らしさ」を現代生活に取り込むインスピレーションを与えてくれるので、思わずお茶所から再びショップに戻ってしまったほど。
「防火用」と書かれた赤いバケツを衝動買い。そう、京町家の軒先でよく見かけるアレです。
年末のお掃除用や、傘立てとして使ってみようかな。

お神酒シャーベット

10月26

omiki 今年の時代祭は平日の斎行だったため、観に来れなかった人も多かったかもしれませんね。
しかし来年は土曜日なので、鞍馬の火祭と併せて今から宿泊先を押さえているという人もいるでしょう。
時代祭ゆかりの話題という事で、平安神宮オリジナルのお神酒「橘酒」(商品画像は、Facebook版e-kyotoをご覧下さい。)。
非常に飲みやすいのですが、まるでデザートワインかと思う程にとっても甘~いお酒。
そこで別の器に移して冷蔵庫で凍らせ、シャーベット状にして食後のデザートにしてみたら…狙い通り!
冷やす事で甘さが抑えられ、シャリシャリした食感が口直しにぴったり。好評でした。
もともと農耕民族である日本人の主食・お米から造られるお酒や餅は、神前にお供えする神饌の中でも、特に重要なもの。
神事の後には必ず直会(なおらい)という儀式があり、神様に供えられた御神酒をお下がりとして戴くことで神様から力を頂いたり、神様と人、また人と人を結びつけてきました。
お神酒シャーベットなら、洋食フルコースの食後酒にも応用できそう。これも「神人共食」か!?

萬福寺宝善院の普茶料理

9月28

fucha 黄檗宗の精進料理「普茶料理」と言えば、黄檗宗大本山の萬福寺の食堂や付近の白雲庵、京都市内の閑臥庵等がありますが、今回は萬福寺塔頭の宝善院に行ってみる事にしました。
揃いの染付の器でテーブルセッティングされた本堂の一角には、「清流無間断(せいりゅうかんだんなし)」という禅語の軸や花が飾られています。
赤ちゃん連れである事を伝えていたので、有りがたい事に子供用の布団も敷いておいて下さいました。
精進料理と言うと修行の一環で静かに食べる印象がありますが、普茶(あまねきの茶)は法要・行事の御礼のおもてなし料理という事で、色どりも華やか、大皿料理を分け合って食べるという賑やかな印象があります。
お寺の奥さまは、「油炸(味付天麩羅)」を出す時にはあえて中身を明かさず、食べた人に推測してもらうようにしているとか。
メロンの天麩羅はさすがに誰も言い当てられず、応え合わせに驚嘆の声をあげてしまいました。
もっちりとしたごま豆腐もとても美味しく、全体にあっさりしているのに食べ応えがあって箸が進んでしまいますが、ちゃんと普段から「五観の偈(ごかんのげ)」を意識して感謝しながら頂かないといけませんね!
自分達以外には誰もいないお堂の中、滋味深い食事を味わう傍らで、お庭のそばで赤ちゃんがすやすやと眠る時間は、平和そのもの。
帰りは廣化庭に配置された干支の守り本尊像を銘々に巡って手を合わせました。
今年はもう終了してしまいましたが、煎茶道・方円流の献茶・煎茶席や、鈴虫の音色と松茸を楽しむ夜間拝観もされているそうです。

2015年9月28日 | お寺, イベント, グルメ | 1 Comment »

京のお昼間接待コース

9月14

hana 他府県の知人達が京都に来たので、「花咲 錦店」に案内しました。
以前に食通の方から教えてもらっていたお店で、実は、京都でも有名な料亭での修行経験を持つ人が腕をふるっているそうです。
最初のうちは一皿毎のボリュームが少な目かな?と感じますが、終盤になるとしっかりお腹も膨れて良い加減になります。
締めは、珍しく漬物のお寿司。じゃこご飯にも変更できます。
一番手頃な3300円のお昼の会席「柏木」コースを選び、適度にビール等を頼んでも、6名で3万円ちょっと。お土産に手作りのちりめんじゃこを一人ずつ頂けるのも心憎い演出中です。
中でも、かぼちゃのあんにぶぶあられをまぶし、あんかけにしたひと品は人気のメニューらしく、あちこちから「美味しい…」と匙ですくいながらしみじみと呟く声が。
細い路地を進めば町中の喧騒も感じさせず、肩ひじ張らずに寛げる個室に明るい和服の仲居さん、舞妓さんや芸妓さんを呼ぶ事もできるそうで、
「京都らしさのあるお店の和食で、もてなしたい」「できれば財布にも優しく…」というニーズに特化したお店を目指しているのかもしれません。
お店の人に見送られた後は、すぐそばの錦市場をぶらぶら歩き、「大国屋」の「ぶぶうなぎ」をお土産に持たせて、疲れたら「SOUSOU在釜」で一服。
客人にも楽しんで頂けたようでした。

美の追求者・北大路魯山人

8月3
画像とイメージです。魯山人展とは関係ありません
画像はイメージです。魯山人展とは関係ありません

 京都国立近代美術館で「北大路魯山人の美 和食の天才」が開催中です。
どの器も、どんな料理をどの様に盛れば映えるだろうか、妄想が膨らむ一方で、お腹が空いてきてしまいます。
傲慢で気難しく毒舌とも評される一方で、家庭の温もりに飢えながらもそれを築いては壊してしまう不器用さ。特に究極の美を追い求めてきた人達は、その強欲さと純粋さ、そして孤独を理解できるからこそ、この複雑怪奇な魯山人を愛する事が出来たのだろうと思います。
そんな美食家が自らをぶつけた作品たちは、豪快な意匠の大鉢や金襴手の繊細な装飾、筆先でこちょこちょと描かれたかわいらしい魚や鳥たち。
彼の生い立ちから始まる波乱万丈な人生やそれが本人の人格に与えた影響を想像した上で観賞した時でも、理屈抜きに純粋に感性だけで向き合った時でも、北大路魯山人が多くの人の興味を惹きつけてやまないのは、彼が生みだした物の根底にどこか無垢なるものを感じられるからではないでしょうか。
会場を見渡した時に目に入る「器は料理の着物」や「持ち味を生かせ」といった言葉もそのまま胸の中にすっと入って来るのです。
今となっては魯山人が腕を振るった料理を食する事ができないのが悔やまれますが、きっとそれらも人間の本能をダイレクトに刺激してくる様なものだったのではないかと想像します。
最後に、この展覧会の出口を出る手前に、ある映像による面白い演出が用意されています。
これを観たらきっと和食を食べに行きたくなるはず。是非ご覧下さい。

祇園祭は浴衣で乾杯

7月21

daimaru  祇園祭・前祭の宵山。浴衣に下駄を引っ掛けての晩御飯は二箇所で、それぞれ真逆の風情を楽しみました。
まずは錦市場の中にある魚屋さん「錦大丸」(075-221-3747)。刺身パックの並ぶ冷蔵ケースをぐるりと囲む発砲スチロール箱をテーブルに、ビール瓶のコンテナをイスに据えた即席居酒屋です。
ケースを開いてイカ等の好きな刺身の盛り合わせを選び、お隣さんと肩を並べて冷酒で乾杯。揚げたての鱧の天ぷらや、鯖や鰻の寿司はお店の奥から運ばれて来ます。
もうここ数年、前祭宵山期間のみの定番になっているそうで、愛犬連れの常連さんの姿もありました。
その後は祇園さんの魔力に吸い込まれていくように足取りは八坂神社の方向へ。
ほろ酔いのまま、人影もまばらになった花見小路の奥から祇園甲部歌舞練場へと入り、今度は「祇園 ICHIBAN ビアホール」へ。
行燈の灯りが落ちる赤い絨毯、窓一面にはライトアップされた日本庭園が広がり、四条通りの喧騒が嘘のような静けさでした。
庭園に向けた小さなカップルシートやテーブル席、立ち飲みスペースに、金屏風の奥には、12名程が一同に座れる長テーブルの半個室空間もありました。
冷房の効いた少し薄暗い即席ビアホールで、歩き疲れた足指をゆっくり休ませ、酔い覚ましにお庭の散歩も楽しめました。
同時開催中の「舞妓物語展」、「フェルメール光の王国展」も共に8月31日まで。

禊川の変化

6月29

misogi 毎年川床の季節になると、色んなお店を訪れるようにしています。
今年の川床は、焼肉で人気の「弘 木屋町店」に行ってみました。
予約の電話をしようとする度にタイミングが悪いのか、いつも満席だったのですが、駄目もとで当日問い合わせると開店直後ならまだ空きがあるとのこと。
夕暮れを楽しむにもまだ早い時間帯でしたが、即決で向かうことに。
提燈の灯る床の風情もビールが美味しいけれど、川からの風が青い空を押し広げていく様な、夕暮れよりも前の時間帯は、暑さが和らいで今の季節には肌寒いくらいでした。
納涼床の席はコースのみで、主にメインの焼肉の種類で値段が異なる模様。
最も手頃な「葵」コースにしてみましたが、これなら学生さんでも手が届くのでしょう、若いお客さんもたくさん川床を楽しんでいました。
内容は、焼肉のオンパレードかと思いきや、最初は京料理風のお弁当が運ばれて来て、これも「京都の川床らしさ」の演出でしょうか。
「今日は肉の気分!!」な人にとっては、最初のお弁当のうちは物足りない印象かもしれませんが、メインディッシュの大きな一枚肉をハサミでちょきちょき切って食べているうちに、すっかり満腹になってしまい、食べきれない程でした。
ふと床の外に目をやると、禊川で鴨が気持ちよさそうに泳いでいました。数えてみると5羽程は居たでしょうか。
以前の禊川だったら、納涼床の真下の暗い影の中をひたすらまっすぐ無機質に流れているだけでしたが、両側に緑が増えて曲線も加わり、自然の川の様に整備されたようです。
ここ最近の鴨川がまるで公園の様に整えられ過ぎるのは少し抵抗があったのですが、禊川の流れに逆らったり流されたりして思い思いに泳ぐ鴨たちを見ていると、こんなアレンジなら悪くは無いかなと感じました。

2015年6月29日 | お店, グルメ | No Comments »

持ち寄りパーティーへのお土産

6月22
あのん 祇園
あのん 祇園

知人宅へのお土産として、本オープン(6/22)を控えた「あのん 祇園 (075-551-8205)」で、ちょこっと買い物をさせて頂きました。
四条通りから巽橋へと抜けるまでの間にある、もとは個人が住まわれていたという「祇園の町家」ですが、ガラス張りの扉と大きな窓の開放感が、敷居の高さを感じさせずに入れます。
おはぎを主力にしている食品メーカーの京都店舗という事で、選んだのはやはり「京おはぎ五色」。
五色とは、くろあん・しろあん・きなこ・まっちゃ・赤飯の事で、京都産の原材料も多く用いられているとのこと。
何より小ぶりな赤飯のおはぎがお祝い事に相応しく、購入の決め手になったのです。
もう片方は、「あんマカロン」。まるで洋菓子と和菓子のいいとこ取りですね。
フォークも要らず、手を汚さずにあんこが食べられるのって、意外とパーティーへの差し入れに便利かもしれません。
自然な甘みの和菓子が好きなおばあさん、洋菓子に目が無いお孫さん、そんな組み合わせの「女子会」もできそうな、店内の茶寮(カフェ)も次の機会に利用したいと思います。

2015年6月22日 | お店, グルメ, 町家, 花街 | No Comments »

京都のおうどん

6月9

uneno 世間では讃岐うどんのコシの強さが人気ですが、それに対して「京都のおうどん」は、つるつるとしていて食べている途中でぷつん、と切れてしまう事も多く、どちらかと言えば麺よりもだし重視なのかなあと思います。
ならば、とことん「だし」にこだわったうどんを食べてみたい。そこで思い当たったのが、「おだしのうね乃」さんが昨年開店したうどん屋「仁王門うね乃」(075-751-1188)でした。
たまたま開店15分程前に着いたので一番乗りでしたが、すぐその後から赤ちゃん連れの親子や単身の男女が並び、暖簾が掛かる前から数人の列ができました。
まだ新しい木の一枚板が眩しいカウンター席に腰掛け、目の前で鱧の天ぷら等を調理するライブ感を楽しんでいると、まるで割烹を訪れたかのよう。
湯気を連れて運ばれて来た待望の品は、いきいきと鮮やかな翠色の葱が、ほんのり透き通った麺と絡み合いながら淡く澄んだおだしに浸り、照明の光を受けてきらきらと輝いていて、なんだか美しい。しばし箸を取るのを忘れて見入ってしまいました。
お揚げさんも細切りながら香ばしくて食べ応えがあり、葱の食感もしゃくしゃくと小気味良く、おだしは勿論のこと、天ぷらに添えたしっとりときめの細かいつけ塩に至るまで、それぞれの食材にいいものを使っているんだろうな、と目で舌で感じられます。
驚いたのは、箸で引き上げた時の麺のふわっとした軽さ。あれは巷のうどんと何が違うんでしょう?別の品とのおだしを飲み比べると微妙に異なり、それぞれに合った異なるだしをひいているのかもしれません。
そして、全体的に塩分控えめな味わいなのは、やはりおだしの繊細で複雑な風味を味わう為でしょう。すっかり飲み干して合掌しました。

2015年6月09日 | お店, グルメ | No Comments »
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