e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

島原のオンラインお座敷

7月1

mai 日本最古の公許花街である島原。その如月太夫さんによる輪違屋でのお座敷模様がオンラインで中継されました。
太夫道中、かしの式、お茶のお点前、胡弓の演奏に、太夫にしか許されていない舞など…2500円という視聴料で、自宅に居ながらにして観られるとは信じられないひと時でした。
京都の住民ならではのミニツアーが人気の「まいまい京都」による前代未聞の企画です。
もとより信頼関係が築かれていたからこそ実現されたのでしょう。

帯を「心」の文字の形に結んで進む太夫道中は、嵐山の三船祭常照寺でも間近で拝見した事はありましたが多くの人に囲まれていたため、オンラインでは内八文字を描く高下駄の音まで静寂の中で聞き取る事ができました。
優れた教養を持つ最高位の遊女である太夫と客との、いわゆるお見合いの場でる「かし(仮視)の式」にて太夫が盃を鏡のように持ち上げると、自宅でTシャツ姿だった自分も思わず背筋を伸ばし、姿勢を正したくなるのでした。
実際のお座敷なら、きっと粗相が無いようにと緊張して沈黙していたかもしれませんが、チャット機能での参加者の反応がリアルタイムで流れるのもまた面白い。
かわいらしい禿ちゃんが運んできたお菓子を「美味しいです。」とコメントする人多々あり。

後半の質問タイムでは、如月太夫さんや輪違屋のご当主の声も初めて聞く事ができ、二人のウィットのきいたやり取りは、流石おもてなしのプロです。
参加者が次々と「夢のような時間」と書き込んでいた2時間は、あっという間に流れていきました。

なお好評により、見逃してしまった人には、2020年7月4日(土)まで「見逃し配信」で観る事ができます。

妙顕寺の桜

4月1

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通院の予定があり自家用車で京都市内を走っていると、だいぶの開花が進んできているようです。
かつての混雑ほどでは無いものの、週末の四条通り沿いはそこそこの人々が往来していて驚きました。
祇園を離れ、堀川寺之内へ。本堂が広く開けていて人同士の接触も少なそうだと思い、妙顕寺で下車しました。
人影もまばらで静かな境内は、染井吉野が可憐に咲きこぼれ、枝垂れ桜はピンク色の蕾を膨らませて出番をひっそりと待っているようでした。
中に入ると、青い苔が美しい坪庭に出逢い、そこに流れ込んだ風に孟宗竹が微かに揺れていて何とも涼しげ。
いつもなら、訪れた感想を色々と書き連ねるところなのですが、どうも筆が進みません。
人が少ない所を観光してください、とは安易に申し上げられません。
ですが、今年の桜が散ってしまっても、桜の木や咲いている場所が突然無くなるわけではありません。
にわかに吹いた風に舞い散る花びらの奥に、うねるような幹の逞しさを観ていると、これらの桜は、私達が生まれるよりずっと前から毎年花を付けてきたのかもしれません。
人間が大騒ぎしている外の世界とは違う時間が流れているようでした。 →妙顕寺の桜の画像はこちら(e京都ねっと公式フェイスブック

伝統工芸品は「飾る」ものから「活用する」ものへ

3月24

miyako
岡崎のみやこめっせ地階で京都市の伝統産業74品目を紹介する「京都伝統産業ミュージアム(旧「京都伝統産業ふれあい館」)」がリニューアルオープンしました。
あいにく新型コロナウイルス対応のためオープニングイベントは縮小され、手に触れて体験できるはずの展示も眺めるのみとなっていましたが、伝統工芸品が平然と陳列されていた印象だった以前のレイアウトは、より回遊式でスタイリッシュになっています。
まるで「和」をメインコンセプトとしたセレクトショップ、ショールームのようで、奥の一角にある「マテリアルライブラリー」は、生産者と素材を探す人の出会いの場であり商談スペースでもありました。
職人の技と仕事を、博物館の様に展示・紹介するだけでなく、より現代人の暮らしに寄り添い、ビジネスとしての具体的な道筋を作り、継承に繋げていこうという狙いを感じます。
実演スペースでは、普段足を踏み入れられない工房で黙々と進められているであろう作業を間近に観せてもらう事ができ、実際に職人さんに話しかけている来訪者も。
網代編みのブリーフケースや、京金網とクリスタルビーズを組み合わせたポーチなど、新たな感性で編み直された工芸品には驚かされ、足を止めて見入ってしまいます。
年に3~4回企画展が開催される予定で、4月18日からは、6人の職人の家族写真を通して伝統工芸の事業・技術の「継承」を探る企画展「継ぐもの-In between crafts-」が始まります。
入場無料、入り口そばには「ミュージアムショップ」があるので、岡崎に来る毎に「ひと味違う」お土産探しにみやこめっせに立ち寄ってみるのもいいですね。

梅宮大社の神苑

2月26

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暖冬の影響なのでしょう、京都市内の梅が見頃となり早咲き品種の桜まで咲き始めているところもあるようです。
訪れた梅宮大社はその名の通り、鳥居の前から梅が出迎えてくれました。

神苑に入ると広い池が現れ、一気に視界が広がります。雨が上がったばかりで梅の枝にはたくさんの雫も連なっていましたが、やはり花が多く咲いている木ほど、近づくと香りが濃厚になります。
曇り空には紅梅が目を引きますが、実は白い南高梅の裏側のがくの部分も一回り小さな紅梅のようで可憐です。
足元には水仙の清らかな白、若草色の葉の中に混じっているのは…もう黄色い山吹が咲いている!?
今咲いている花々も美しいのですが、昨夏に見頃を終えて枯れた紫陽花の姿も、普段観る事が無いのでなんだか胸に残りました。

3月第1日曜日には「梅・産(うめうめ)祭」が斎行されます(今年は祭典のみ。梅ジュースの無料接待は中止です)。
まだ丸く膨らんでいる蕾もあったので、なんとか梅見も叶うのではないでしょうか。

神苑の花の開花状況はこちらで紹介されています。

煎茶道東仙流の初煎会

1月27

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泉涌寺悲田院に拠点を置く煎茶道東仙流の初煎会に同伴させて頂きました。
枝ぶりが見事な松や薔薇、椿からは柳がまるで湧き流れるように、あちこちに花が生けられ、一幅の軸には「一枝春」の文字。
思わず「梅一輪 一輪ほどの暖かさ」という俳句を連想したのですが、後で調べてみると「一枝春」を含む言葉は幾つかあるようです。
例えば漢詩『長恨歌』では、亡くなり仙女となった楊貴妃が涙をこぼす様を春の雨に濡れた梨の花の一枝になぞらえた表現があり、泉涌寺に楊貴妃観音がある事から、こちらの解釈が近いでしょうか。
(※後に、陸凱の『范曄に贈る』という詩からの言葉で、「江南には何も贈るものが無いので、梅の一枝と共に春をお届けします」との意だそうです。「春を贈るなんて、この方は贈り物の達人だな」と思って掛けさせていただきました、との事でした)
茶道ではお菓子を食べ切った後にお抹茶を頂きますが、煎茶道では一煎目と二煎目の間に、二条駿河屋製のできたての雪餅を頂きました。
例年は玉露も飲むそうですが、今年は丸久小山園の最上級の煎茶「的的」。旨みを舌で転がすようにゆっくりと。
お菓子が「雪」なら、急須からしたたるこの甘露は雪解け水か。
一煎目は香りが広がり、葉の開いた頃に出す二煎目は、甘くなった口の中にちょうど良い、しっかりとした味わいでした。
お茶席の後は別の部屋に移り、「ピリカ・レラ」というグループの竪琴ライアーの生演奏と会場のホテルグランヴィア京都のフレンチを皆で一緒に楽しみました。
煎茶道は茶道程細かな規則が無いそうで、主人のサロンを訪れるような趣だそうです。

指先ほどの小さな一椀から、たった3文字の言葉から、心身を潤す春の訪れ。

会場は隔年で変わるそうで、来年は稽古場のある泉涌寺で行われるそうです。

京都観光に天気予報を活用する

12月17

tenki もうすぐクリスマス。イルミネーションイベントの日の空模様や降雪の有無など、お天気が気になる人もいることでしょう。

気象予報士と京都検定1級の資格を持つ京都観光ガイド「京都旅屋」の吉村晋弥さんに、天気予報を活用するこつを教えて頂きました。
今日、色んな天気予報サイトがありますが、ここではそれらの元データとなっている気象庁のホームページでのお話です。
コンピューターが出すデータから、短期予報は一日3回、週間予報は一日1回の11時のみ、2週間予報は14時半頃、1ヵ月予報は木曜日、3ヶ月予報は毎月下旬の25日頃に更新されているそうです。
特に、最新情報をチェックするなら、朝5時と17時に注目するのが良いようです。
ここ数年の台風被害は深刻なもので、気になる人は4、10、16、22時の情報や、海外の台風予報を参考するのも手です。
日本では円形で表示されますが、他のサイトではこれまでの進行履歴を地図上に線で表しているものもあるそうです。
普段私達が「風が強いな」と感じるのは、風速5m/秒程から。風速が2倍になると、その圧力は2倍ではなく2乗の4倍となるので、気を付けて欲しいとの事でした。
ゴルフをする人からの「降水量1ミリとなると、一体フィールドはどういう状態なのか?」という質問には、「1平方mの地面に1リットルの水を撒いた様なイメージ」。とても分かりやすいですね!
コンピューターがはじき出すとは言え、気象予報士の判断次第で、工事現場や高速道路で除雪車やその為の資材を発注するなど、多額のお金が動くという責任も発生します。
私達が毎日目にしている予報は、気象予報士が銘々に頭を悩ませながら発せられているものなのです。
当然ながら、空模様を知りたい日が遠ければ遠い程予想が難しくなるので、気象庁ホームページでは「信頼度(A、B、C)」というユニークな項目が設けられており、例えば
「くもり 確率40% 信頼C」という判定があれば即ち「分からない」という事なのだという面白い裏情報も教えて頂きました。
丹波太郎」「山城次郎」「比叡三郎」という京都独特の気象用語も話題に登り、大いに盛り上がりました。
2019年12月17日 | イベント | No Comments »

京焼と清水焼

11月13

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素明窯」三代目・井上路久さんのお話は、とても分かりやすく、親しみのあるものでした。
日本の数ある焼き物の中で、定義や特徴が曖昧とされている京焼・清水焼。
もともと「土もの」の陶器が作られていた我が国では釉薬をかける風習がありませんでしたが、「石もの」とされる磁器においては、豊臣秀吉による朝鮮出兵を機に現地の優秀な陶工達を連れて帰り、各藩で抱えました。
後に京都に集められ、京都においては陶器も磁器も発展する事になったためです。
京都では陶土が採れないため、必然的に器は「薄づくり」となりましたが、その分、高度な技術が磨かれていきました。

清水焼とは京焼の一部かと思っていましたが、「京焼」と「清水焼」は一対のものだそうです。
初代・清水六兵衛は五条坂に窯を開き、明治の陶芸家・楠部彌弌(くすべやいち)は、山科の清水団地で創作しました。
五条坂近辺だけでは場所が足りなくなって日吉や今熊野へと範囲が広がり、「清水焼」だけでなく「粟田口焼」や「音羽焼」といったその土地に由来した窯も開かれていきました。

陶磁器は、資産価値が高いという事で日本画より人気があるそうですが、床の間や仏壇が日本の住宅から減ってきているため、需要も下がって来ているといいます。
従来なら、展示してある器を見て、「どんな作家だろう?」と解説に目をやるのが当たり前でした。
そこで若手作家がアイドルや俳優並みのいで立ちでカメラに収まり、逆に「この男子が作る器ってどんなだろう?」と興味を持ってもらおうという目的で、「うつわ男子-UTSUWA DANSHI-」という焼き物ユニット(?)を立ち上げられました。
その「うつわ男子」の展示会が夜間拝観中の清水寺経堂で「祈り」をテーマに行われます。
なんと、1100ものぐい呑みが無料で配られるとの噂です。

京都でも鉄道イベント

10月30

eiden 時代祭の話題でなくてすみません。10月の週末は立て続けに鉄道イベントに参加していました。

関西を中心に活動している「鉄道模型で遊ぼう会」では、会場の一室が鉄道ジオラマに変身。
おもちゃと違って、場内アナウンスも本物さながらで、子供達は一目で釘付けになってしまいます。
小さなハンドルを操作しながら、普段はなかなか乗れないような豪華列車を運転させてもらいました。

一方、修学院車庫で行われた「えいでんまつり」には、家族で参加。
お目当ての洗車体験は窓の大きな展望列車「きらら」で行われ、踏切の非常ボタンを押す禁断の体験もできました。
お食事屋台のお品書きは京阪ホテル由来のカレーやローストポーク丼、ブイヤベースのおでん等、なかなか美味しいものばかり。
よく見るとお店の店員さんの名札には「主任」や「運転士」とあり、なんと駅員さん達が活躍されていたのですね。
廃品オークションや各地を走る鉄道会社の出展、各車両の内外で写真展や縁日、ミニ電車の乗車もあり、盆栽風鉄道ジオラマ「盆ラマ」も初めて製作体験しました。
今回の来場者数は4000人と盛況だったようで、「鉄ちゃん」も「子鉄」も「ママ鉄」も混じって楽しめる催しでした。

2019年10月30日 | イベント | No Comments »

運気も開く傘回し

10月22

kasa
佳き日の余興といえば、曲芸「傘回し」。
故・海老一 染之助・染太郎兄弟の「おめでとうございま~す!」を思い出す人もいるかもしれません。

「saru」こと笠井さとるさんのパフォーマンスを見せて頂きました。
毬に始まり、雲一つ無い快晴の様な色の傘の上で回る茶碗は、意外にも澄んで涼しげな音色を奏でます。
鋭く回したり、時にはスピードを落としてうねるように転がったり、また額の上に乗ったりと、傘の動きも一様ではありません。
「皆様の運気も上向き!」
「この升のように、皆さんにますますの幸せが訪れますように~!」
これまで単なる曲芸としか見ていなかった傘回しでしたが、喜ぶ人々の無邪気な笑顔を見ていると、傘の勢いで邪気を振り祓い周りの空気をぱっと明るくして、人々の幸せを願うおまじないのようにも見えてきました。
なんとスマートフォンを回転させる技は現代ならでは。外国人客に人気だそうです。

これまでは主にゲストハウス等で披露されてきたそうですが、これならある程度のスペースさえあれば屋外やどこでもやってもらえそうです。
是非とも二条城で開催すれば、多くの人々から喝采を浴びる事うけ合いなのではないでしょうか。
なお、チップ制につき、施設への負担金はかからないそうですよ。動画はこちら

子供と楽しむ京都

10月1

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乳幼児連れで参加できる『育みコンサート』が妙心寺塔頭の大雄院で開催されました。
赤ちゃんが泣いても、子供達が走り回っても大丈夫。大人が「しーっ!」と言わないコンサート。
300年の歴史ある大広間と、眼前に広がる緑豊かな庭園。こんな所でオムツ替えまでさせてもらってもいいんだろうかと思うような環境です。

映画『おくりびと』で本木雅弘さんの演奏指導を行っていたというチェロ奏者の斎藤孝太郎さんのソロコンサートで、子供達は手拍子をしたり、チェロの周りに集まったり、自由に動き回ります。
和尚さんも自身の幼いお嬢さんを抱きながら、足でゆったりスイングしておられました。
我が子は庭に降りようとしたり、周囲を携帯カメラで撮りまくったり、お寺の玄関のすのこを気に入って、ずっと行ったり来たりしていましたが、拍手の時だけは参加していました。

ディズニーやジブリなど、和尚さんの奥様による選曲で、子供達は次第にノリノリ。終いにはお堂の真ん中で踊り始め、盛況のうちに幕を閉じました。
こちらでは他にもアートイベントや秋の特別拝観も予定されています。

帰りに寄ったカフェ「fuyukostyle」も、おうち兼店舗みたいなところ。全てテーブル席ですが、子供のおもちゃも2,3個ほど置いてあります。
「妙心寺さんも、最近ヨガとか色々やってはりますね」と、眠ってしまった我が子を見て布団を敷いて下さり、久ぶりにゆっくりケーキを頂く事ができました。
パティシエさんの祖父が着物の図案の参考にしていたという名だたる作家の絵画の図鑑が置いてあり、それをきっかけにおうちのお父さんと世間話をしていると、
「すみません~父がすぐ一緒に話に寄っちゃって」とパティシエさん。

洗練されているけど家庭的なおおらかさを感じる一日でした。

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