e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

京都のロシア、京都のラオス

10月31

yulala 京都を何度も訪れている人にとって、京料理やおばんざいは今更…という人もいるかもしれませんね。ならば、ロシア料理やラオス料理という選択はいかがでしょうか。
前者は、京都府立植物園の向かい、北山大橋東詰にある「カフェ ヨージク」。
「ロシアランチ」の他、ビーフストロガノフ等お馴染みのロシア料理があり、ビーツや野菜の旨みが優しく溶け込んだボルシチや手作りのベリージャムを添えたロシアンティーのロマンチックな赤は、日本食とはまた異なる華やかさがあり、マトリョーシカ柄の雑貨もカラフルで元気をもらえそう。
香ばしく揚げられた、挽肉、きのこ、りんごの3種の味のピロシキは、持ち帰りもできます。定期的にイベントも開催されているそうで、ひと時の異文化体験をしたい人はぜひ。
後者は、柳馬場仏光寺を下がった職人さん達の町の中にある「ユララ」。
「ラオス料理って、一体どんなん!?」と思う人も多いでしょうが、どことなく言葉もメニューも、タイ料理に似たところがあり、想像していたよりも繊細な印象でした。
素材の持ち味を活かし、日本で言うところの「たまり醤油」に似た魚醤で味を付け、もち米と共に頂いたり、海の無い内陸の国なので魚を発酵させて長持ちさせる等の工夫がなされているのは、都人の知恵が食文化に現れている京都にも通じる部分があります。
また、京都市動物園では「ゾウの繁殖プロジェクト」に基づく人材交流事業としてラオスからやって来たゾウがおり、映画『ラオス竜の奇跡』も上映中とあって、意外と京都との共通点があったのですね。
京都で体験する異文化、まずは「食」から。

怖い、気持ち悪い、でも観たい

10月23

senkyo 選挙の結果は、皆さんにとっていかがでしたでしょうか?
京都では、もう一つの総選挙が継続中です。
龍谷ミュージアム『地獄絵ワンダーランド』展に併せた特別企画「地獄No.1を決めろ!!地獄オールスターズ選抜総選挙」です。
死後の世界はどんな構図になっているのか、まずは展示物を観る前にシアターで地獄ツアーを疑似体験されると、お子様でも理解が深まりやすいと思います。
最前列で映画を観ていた坊主頭の親子は、もしかするとどこかの寺院の方だったのかもしれません。
子供の頃に繰り返し読んだ絵本『じごくのそうべえ』を思い出したり、幼い頃にのんのんばあに連れられて地獄絵に親しんできた漫画家の水木しげるのように、子供の頃から可愛いものと同じくらい恐ろしいものに惹かれてしまうのは何故なのでしょう。
この死生観は、香典返しの掛け紙にも「満中陰志」と記されるように、大人になってからも私達の生活に関わってきます。
展覧会は、上階では大真面目で怖~い地獄の世界が紹介され、燃え上がる炎や迸る血の色に酔った末に観音図を観ると、ほっとするぐらいなのですが、更に下の階に降りる(堕ちる?)と、今度は打って変わって、「ヘタうま」絵画のごとくユルくてユーモラスな地獄の、時には風刺画の様な世界が展開されるという構成になっています。
総選挙は29日までで31日に結果発表、投票者から抽選でオリジナルグッズが贈られるそうですが、もちろん閻魔様に投票したところで罪を免れられる訳ではありません。
地獄絵の中央に書かれる文字は「心」。
天国に行けるかどうかは、私達の心がけ次第なのですから。

花山天文台

9月12

kazan 海原のように素晴らしい秋晴れが続くこの頃。花山の峰に停車したシャトルバスを降り、山百合が点々と道案内する坂道を少しばかり登ると、白亜の「花山天文台」が見えてきます。
もとは京都大学の時計台の側で観測活動がされていましたが、より適地を求めて標高221mの花山に移されました。
候補地だった吉田山は神社を有する土地であったために外れ、当時昭和4年頃の山科はまだ人口が少なく音羽山が京都市街の光を上手く遮断する好立地だった事からこの地が選ばれたそうです。
8千坪もの土地を持ち主から譲り受け、軍隊が演習を兼ねて資材を運び、造船の技も駆使して、国内3番目の大きさの口径45cmの屈折望遠鏡を有する本館が建てられました。
花山天文台長だった宮本正太郎氏は、スケッチを通して火星に偏西風を発見、NASAに情報を提供するなど、様々な研究成果を挙げてきましたが、京都大学における最先端の研究教育の中心地が飛騨天文台や岡山の新望遠鏡に移り、花山天文台の運営費はそちらに回さざるを得なくなりました。
今後もイベントを企画したり、学校の見学や実習を受け入れていく為には、施設の維持やスタッフを常駐させるための費用を賄わなければならず、一年で一千万円の融資が必要なのだそうです。
残念ながら「京の夏の旅」期間中は資料や建築物の公開のみで天体観測ができる訳ではありませんので、また後日、天文イベントが催される際にはぜひ再訪したいと思っています。
道中は曲がりくねる車道の連続で、人一人が歩いて登るのも危険なので、無料シャトルバスやタクシーを利用して下さいね。

天神さんの「泣き相撲」と「御手洗祭」

8月17

naki
京の七夕」の会場のひとつ、北野天満宮では「北野七夕祭」(16日まで)が行われていました。
「北野天神泣き相撲」では、立派なまわしを付けた生後5~6か月から2歳までの赤ちゃんが、お父さんやお母さんに抱かれて神楽殿に「土俵入り」。
にこにこ顔の行司さんを挟んで向き合うやいなや、母親にしがみ付いたまま振り向かなかったり、見合う前から顔を真っ赤にして大声で泣き始めたり。
相撲になっているのかいないのか、なんともかしましい状況でしたが、これは泣いた方が勝ちとされています。
なんせ赤ちゃん達が主役なので、「え~次の取り組みですが~まだ現れませんね。」と、大人の思惑通りに進行しない事もありますが、そこは観客もおおらかに見守っていました。
「御手洗川足つけ燈明神事」の方は、週末にも関わらず、昼間だととても空いていて驚きました。
京都に住む知人達にもまだ十分には浸透していないようで、
「天神さんでも御手洗祭があるのん?下鴨神社のは行きそびれたから、そっち行ってみよかな」という調子です。
濡れた足のままで歩き、靴を着脱するための床几やすのこ、頭上のテントからはドライ型ミスト装置も設置されていたので、小さな子供を連れた家族連れでものんびりと楽しめていたようです。
未知の体験におびえたり、冷たい水に驚いたりはしゃいだり。その瑞々しい桃の様な頬が小麦色に焼けるまで、子供達の夏はあともう少し、続きます。 動画はこちら

京都で盆踊り

7月31

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どちらかというと地蔵盆の方が盛んな京都ですが、盆踊り大会が毎年開催されているところもあります。
先日行われたのが、西本願寺の「本願寺納涼盆踊り大会」。
境内の北側にある広大な駐車場に櫓が組まれ、音頭が響きわたるなかで浴衣や洋服姿の老若男女が踊っていました。
どうやら「ゆかたレンタル&着付け」のコーナーもあったようです。
「本願寺グルメストリート」も同時開催されていて、定番の屋台メニューに加えて、有名B級グルメの「富士宮焼きそば」、矢尾定の鮎塩焼きやわらび餅、前田珈琲のかき氷など京都でお馴染みのお店の出店もあり、京都グルメも味わえます。
テント付きの床几もたくさんあるため、甚平姿の赤ちゃんから夫婦連れのお年寄りまで腰かけて食べていました。
夕闇が降りてきて提灯に一層の赤みが増したころ、吉本芸人のお笑いライブが始まると、同時にたくさんの人だかりが舞台へと吸い寄せられていきました。
そういえば、屋台に目移りしてばかりで、踊る事をすっかり忘れてしまっていたな…。

祇園祭後祭・私的宵山ルート

7月25

taka
2017年の祇園祭宵山は、後祭をメインに楽しませて頂きました。
暑さがやわらぐ夕暮れに、大行列を覚悟の上で大船鉾に到着すると、「鉾に上がるまで45分待ち」とのこと。粽も既に完売です。
ひとまずは協賛の呈茶席へ入り、大船鉾を再建する際に参考にされたという掛け軸を間近で観ながら、限定のお菓子とお薄を頂きました。
大船鉾へは意外と早く入る事ができ、まだ新しい木の香りがする船上から下を見下ろすと、黒山と浴衣の波の上に浮かんでいるようです。
ご神体の神功皇后にお賽銭をしたり、?人の背丈程もある大きな房飾り等を観ながら、結局は20分程で降りて来られました。
数々の山鉾を見上げながら、「祇園祭後祭エコ屋台村」に入り、「ローストビーフ丼」や「鱧天バーガー」、「トマトの蜂蜜漬け」等を夕食に。
京都芸術センターのグラウンドにテント付きの床几がたくさん並んでいるので、子供からお年寄りまで屋台グルメやゲームを楽しんでいました。
毎年宵山でそぞろ歩きする人々を観ていると、ベビーカーを押したり乳幼児連れの夫婦をたくさん見かけるようになりました。
前祭では「こどもステーション」が開設されたり、後祭でツアーが組まれたりと、乳幼児がいてもお祭に参加できる取り組みがなされていたようですね。
女性が登れない山鉾は今でもありますが、今の様に外で気軽に食事ができなかった昔はどうしても、力仕事の表舞台は男衆に、腹ごしらえや子供達の面倒を見る縁の下の力持ち役は女性が担っていて、その役割分担の意味もあったのではないかと個人的には考えています。
復活を目指し活動中で、今年は報道陣に引っ張りだこだった鷹山の、初めての日和神楽を見届けて帰路につきました。→動画はこちら(随時追加)

祇園床 古式一里塚松錺り

7月18

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1955年まで祇園祭の山鉾は松原通りを巡行していました。
松原中之町にある「祇園床」と呼ばれる古い床屋さんの奥には、素戔嗚尊を祀る「頓宮(とんぐう)祇園社」と呼ばれるお社があり、かつて巡行中の長刀鉾のお稚児さん達の立ち寄りポイントとして、町内が薄茶でもてなしていたといいます。
巡行のルートが変更された現在も、町内の人々は、「古式一里塚松錺(かざ)り」の神事を続けており、またお稚児さんや長刀鉾の関係者もお参りに来るなど、その関係が続いています。
14時頃に傘を差されたお稚児さんや禿、その美しい着物姿の母親達、羽織袴の正装をした長刀鉾の関係者が祇園床に到着し、屋内で半時間程の間、非公開で神事が行われていました。
非常にマニアックな祇園祭イベントにも関わらず、カメラを構えた町内外の人々20人くらいが外で待ち、神事が終了してお稚児さん達が記念撮影を済ませタクシーで去っていくと、次々に中へと入って行きました。
うっすら町家の床屋の面影が見える横断幕の間を進み座敷に上がらせてもらうと、坪庭に建つ立派なお社には、尾頭付きの鯛や、両側に三匹ずつの海老に松が飾られ、町内の人々が、順番に冷抹茶を飲んでいました。
座敷には長刀鉾が所蔵する長刀の拓本や昭和29年のお稚児さんの正装姿を映した写真が額装されています。
明治の始め頃までは、山鉾を持たない氏子町も山鉾を支えるという『寄町(よりちょう)』制度があり、その名残と町内の誇りを感じさせるひと時でした。

2017年7月18日 | イベント, 町家 | No Comments »

「はんげしょうの宝珠」

7月11

hange 関東から京都に移住して来た知人から、干菓子を頂きました。
創作和菓子ユニット「日菓」だった杉山早陽子さんによる菓子工房「御菓子丸」の「はんげしょうの宝珠」です。
先月建仁寺の塔頭・両足院で半夏生の庭園が特別公開されていた期間のみ、現地限定で販売されていたもの。
長野県産の無漂白寒天で作られたすり硝子の様な白い葉が、合掌する手の様にピスタチオをそっと包んだようにも見えるデザイン。
名前に「の宝珠」と付く事から、禅を意識しているのでしょう。
一見、柔らかそうに見えましたが、手でつまむと琥珀の干菓子の固さ。
微かにシャリっと音を立てて齧ると広がる控えめな甘み。スイス産のオーガニックてんさい糖を使っているそうで、素材へのこだわりを感じました。
その知人は、以前より度々京都を訪れていましたが、今年の始めに市比売神社をお参りしてから約1か月後に、京都の企業での仕事の話が舞い込み、京都への移住が決まったのだそうです。
更に、会社から紹介されたマンションも、奇しくもその神社のすぐ近く。
娘が関東を出てしまって、親御さんはさぞ寂しい思いをされているかと思いきや、京都旅行のきっかけができたと喜んで、娘の部屋に泊まるための寝袋まで買われたのだとか。
お参りがきっかけで、京都への良きご縁が結ばれたようですね。

水景園で蛍狩り

6月19

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今年の蛍狩りは、精華町にある「けいはんな記念公園」の「水景園」へ。
暗闇の紅葉谷にある池の周辺には、家族連れが長いお団子状態に連なって蛍の飛翔を待っていました。
最初は目をこらしても2、3匹しか確認できませんでしたが、人々の喧騒に慣れてきたのか、夜の8時を過ぎた事にはあちこちで光り始め、池の上で、あるいは葉裏で発見する度に子供も大人も次々に歓声を挙げていました
呼吸するように静かに放たれる淡い光は、ライトアップやイルミネーション、花火などの電飾イベントとは違って生命の営みを感じさせるためか、発見した当初は思わず大きな声を出していた子供達も、次第に声を落とし腰をかがめて、葉の陰をじっと見守るのでした。
「河川に生息するゲンジホタルには背に十字の模様があり、田んぼを好むヘイケボタルには縦一本の模様があるんですよ」
「竹林で竹につかまって光るヒメボタルは、かぐや姫が竹藪で発見された場面のアイデアになった可能性があります」
15分程の「ホタルのミニ講座」や蛍の生態を紹介したパネル展示も楽しませて頂きました。
今季の蛍の催しは終了しましたが、24.1ヘクタールもの広大な庭園では自然に親しむイベントが頻繁に催され、無鄰菴と同じ造園会社が管理している事もあって、秋の錦模様も期待できそうです。
次回はぜひ「公園ガイドツアー」にも参加して、昼間の庭園を散策してみたいと思います。

2017年6月19日 | イベント | No Comments »

旧邸御室

5月15

omuro JR「花園」駅から歩いて15分程の閑静な住宅地の中に入ると、蔵を有するお屋敷が見えてきます。
1937(昭和12)年築で、昨年秋に国登録有形文化財となった「旧邸御室」では、月に一度、落語などの文化イベントが催されています。
今回の「新緑のJAZZコンサート」は、サックスとクラリネットを吹く麻紀さんと、リュートの先祖と呼ばれる「ウード」という楽器やギターを奏でるフランス人・ヤン(YANN PITTARD)さんとのデュエットでした。
二人が立つ縁側の背景には、埋め尽くすように茂った二ヶ丘の豊かな新緑が、額縁のように外の空間を切り取っています。
以前はここに大手酒造会社の役員が住んでいたそうで、この開放的な縁側でうたた寝ができたら、なんて幸せだろうと想像してしまいました。
「ジムノペティ」や「テイクファイブ」などの耳に親しいナンバーは序の口で、フランスやシリアといった日本から遠く離れた国の町に伝わる民謡など民族色が強い曲目。
そこに何故か和音階や三味線、演歌にも似た響きが流れ、文化には国境が無く、何マイルもの距離、何年もの時間を渡って日本にも届いている事に気付かされます。
アンコールになると、ヤンさんのボイスパーカッションまで入り、アップテンポな現代音楽に変化しました。
来月は10日にもトランペットやドラムによるジャズセッションが行われるそうです。
椅子席(指定)を予約して、演奏前の明るいうちにお屋敷の意匠や茶室もあるお庭の散策を楽しまれる事をおすすめします。

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