e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

島原文化の灯

9月16

wa  京の花街・島原で現在もお茶屋営業を続けている「輪違屋」が、10年ぶりに公開されています。
6名が所属しているという太夫さんは、今でこそマンションから派遣されて来るそうですが、かつては置屋として輪違屋の中で共同生活をされており、その部屋は非公開の3階部分にも残っているようです。
10年前の初公開時に訪れた時には、その豪華な打掛や太夫そのもの神秘性の方に関心がありましたが、その後様々な機会に太夫道中や舞を観るに従って、観光イベントだけでは伺い知れない奥深さにも触れてみたいと感じて来ました。
それだけに、輪違屋に跡取りがいないという事がとても気掛かりです。
京都市の指定・登録文化財としての建物自体は残されたとしても、他の花街とも違う、島原独自の文化は、今後どの様に守られていくのでしょうか。
資金が必須とはいえども、お金だけでは文化芸能の継承にはなれず、主客双方の文化レベルも維持していかなければいけません。
同じく付近で特別公開していた角屋は、「京の夏の旅」としての公開時には二階座敷と美術館は拝観できませんでしたが、15日より通常公開に戻っているので、二階座敷を予約して、輪違屋と共に観賞する絶好の機会です。
来月には「角屋の文化講座」や「太夫の舞 鑑賞会」も予定されています。

皮革友禅染“tatt calf(たとかーふ)”

9月10

tatt まるで水彩画のように染め込まれた長財布。
明治41年に大阪の南船場で創業し、現在は京都市内に本社を持つ「浪速屋商店」が皮に友禅染の技法を施した“tatt calf(たとかーふ)”という「皮革友禅染」だそうです。
「友禅染め風のプリント」ではなく、友禅染めの高熱処理にも耐えられる様に開発された素材です。
伝統工芸品には興味があるけれど、いかにも!な和柄にはちょっと抵抗がある人にとっては、普段の小物として取り入れ易いデザインですね。
その財布を、9月9日におろしました。
なぜかと言うと、まあるく膨らんだ満月の日は、新しい財布を使い始めるのに縁起が良いと、小耳に挟んだからです。
しかも、今年の9月の満月の日は、月が最も地球に近づいて大きく明るく見えると言われるスーパームーンの日(同じく開運の大安もこの日です!)!
果たして、月の引力でお金を引き寄せることはできるのでしょうか!?

2014年9月10日 | お店, 和雑貨 | No Comments »

「喫茶葦島」

9月1

ashi 「素人の自分でも、美味しさが分かるだろうか?」とやや緊張しながら、「喫茶葦島」へと誘うエレベーターに乗り込みました。
数段に重ねられたお皿には、それぞれに異なる珈琲豆が入っているのでしょうか?
マスターは、銘々の皿に匙を入れて目分量で豆を取り出し、一つに合わせているのです。
文字通り、マスターの「匙加減」で自家製ブレンドが決まるようです。
巷の珈琲店で、店主が缶から出した豆を、ざらざらとミルに注ぐ光景に見慣れていた自分にとって、この光景は珍しく映りました。
いつもはミルクも砂糖も入れてしまうけれど、まずはストレートで一口。
最もスタンダードな「葦島ブレンド」は雑味が無く、香りも強すぎず弱すぎず。
しばらく飲んでから、小さな小さなピッチャーに入ったミルクを足し、最後に砂糖も少し加えて、味の変化を楽しみました。
もともと外出先で空き時間ができ、目を通したい書物があったので立ち寄ったのですが、目の前にあるカップも菓子皿もシュガーポットもシンプルな白一色で統一されているところをみると、目の前の珈琲だけにちゃんと向き合って飲まないと、なんだか勿体ないような気になり、本を鞄にしまい直しました。
「自分好みの味の濃さや酸味の強さ、煎り具合ってどんなだろう?」
珈琲党でないはずの自分が、この珈琲を基準に、色々と思案しながら飲んでいました。
もちろんカフェとして、気の合う人と会話を楽しむ人達や、一人用のテーブル席で本を読んだり書きものをしている人もいたり、過ごし方も人それぞれです。
個人的には、完全にリラックスして雑談をしながらカップに手を伸ばすよりも、一人で訪れて、その都度品種や煎り方を相談しながら一杯を頂き、残り香が完全に消えてしまわないうちにさっと出ていく様な、スイッチを切り換えるような利用をしたいと思いました。

2014年9月01日 | お店, グルメ | No Comments »

亀屋則克の「浜土産(はまづと)」

8月12

hama  台風11号の影響を受けた京都の町ですが、去年の教訓が生きて早急に復旧が進み、いつも通りに五山の送り火を迎えられそうです。
川床の真下まで水没する鴨川の報道には驚愕しましたが、「京の七夕」の最終日には、台風の事が嘘の様に、たくさんの浴衣の人々が町中を歩く光景にも驚きました。
そんな水の脅威とは裏腹に、京都盆地の中で生まれ育った者としては、昔から水辺、特に海に対して憧れがあります。
この夏、丹後の久美浜へ旅立つお盆過ぎには、そろそろクラゲが出て海には入れないかな?と思案していたところに、ふと夏の便りが。
蛤に琥珀羹を流し込み、真ん中に塩気の浜納豆を一粒入れた、亀屋則克さん(075-221-3969)の「浜土産(はまづと)」です。
京都の夏の和菓子として、もうすっかり知られるところですが、まるで磯辺で採った蛤を籠に載せ、檜の葉を添えてさっと出したかの様な、ざんぐりとした風情は、やっぱり嬉しいもの。
この涼菓を考案した初代も、京から遠い海の汐風を想い起こしていたのかも。
かつて友人たちが浴衣の茶会を開いた時には、このお菓子がブリキのバケツいっぱいに入っていて、それを一人ずつ取り回し、片方の貝殻ですくいながら頂いたものです。
「浜土産」の販売は5月から9月中旬まで。画像は丸籠ですが、磯馴籠(そなれかご)に入ったものも、また楽し。

2014年8月12日 | お店, グルメ | No Comments »

現代の時代劇

7月1

kaneyo 「この映画、面白かったよ」。との評判を聞いて、「超高速!参勤交代」を観て来ました。
思わずニヤリとしてしまうタイトルに違わず、大いに笑わせて頂きました。
京都でもロケが行われているので、時代劇でお馴染みの八幡市・流れ橋や糺の森、金戒光明寺など、どこかで見た景色に出会います。現代風だけど、展開は王道な時代劇。
最も心に残った「政(まつりごと)」をおろそかにして、いわきの土を殺すでないぞ。」の一言。
ただの歴史エンタ-テイメント映画では無い事を物語っています(ちなみに最も笑ったのは”山びこの術”)。
以前「時代劇の衰退」という言葉をよく耳にした記憶がありますが、現在でも歴史物のドラマや映画の新作は出ているので、「果たして本当にそうなのだろうか?」と思ってしまいました。
一方、「5万回斬られた男」福本清三氏が初主演を務める「太秦ライムライト」(関西先行上映中)も観てみました。
殺陣(たて)の稽古も空しくリストラされる大部屋俳優達に取って代わり、CGで後から合成される刀の刃先。
「時代劇の斜陽」というより、製作のプロセスや訴求の仕方が変化してきているのかもしれません。
現代人にも通じるストーリーやアイデアで、幅広い年齢層に受け入れられる時代劇に、時代考証や殺陣など、日本映画ならではの歴史や文化の厚みを基盤とする時代劇。
これらを評価できる程、昔ながらの時代劇を観てきた訳ではありませんが、個人的にはどちらも支持したいというのが正直な感想です。
ともあれ、上映前の腹ごしらえには、「京極 かねよ」で鰻丼を食べて行くのが我が家の定番になりつつあります。
映画全盛期だった昭和の京極通り界隈では、そんな人もたくさんいたのでしょうね。

2014年7月01日 | お店, グルメ | No Comments »

「京町家空感 千香月(ちかげ)」

6月16

chikage 相国寺、同志社大学の近くに佇む京町家『京町家空感 千香月(ちかげ)』さん。
大正時代の町家をリノベーションし、より寛げる空間へと生まれ変わりました。

格子戸の扉を開けると、石畳が敷かれた路地が中へと続いていきます。
1階では『草木染めのうちかざり展』を開催。
自然の色合いをいかした草木染めのうちかざりと町家の空間を楽しんでいただけます。
また、予約制で『タロットセラピー』というものをされています。
色と香りのタロットで心を癒し、暮らしをより楽しく豊かにする、気楽に楽しんでいただけるカウンセリングです。

オーナーのお人柄と町家の佇まいが織りなす癒しの空間に、ぜひお近くにお立ち寄りの際はお訪ねください。
京町家空感 千香月(ちかげ) http://www.iroka-chikage.com/

京土産に大学オリジナルグッズ

6月2

haris 「知人への京土産に。」と頼まれて、同志社大学のハリス理化学館同志社ギャラリーへ。
大学グッズと言えば、京都大学の「総長カレー」や「素数ものさし」を思い出しますが、さて同志社大学のオリジナルグッズとは?
大河ドラマ「八重の桜」が放映していた2013年の11月にリニューアルオープンした事もあり、グッズが買えるラウンジには、創立者・新島襄と八重夫妻の書籍や過去の企画展示の図録、京都の老舗のお酒等の食品もありました。
お目当ての品は、宇治の丸久小山園製の玉露や煎茶等5種のお茶のティーバッグが入ったミニ缶で、同志社大学今出川キャンパス内にある5棟の国の重要文化財建築の画像が、それぞれの茶缶にプリントしてあります。自由に試飲までできました!
J.Nハリスの寄附を元に明治23(1890)年に竣工された煉瓦造りの当館は、現在はギャラリーとして、同志社の歴史と新島襄の思想を今に伝えるほか、キャンパス内からの出土品、地層等の資料による創立以前の京都の歴史も紹介しています。
平安時代には冷泉家や二條家が立ち並ぶ公家屋敷、室町幕府の花の御所、幕末の薩摩藩邸、そして現在は学びの場として、歴史の層を重ねる度にこの地が果たしてきた様々な役割を知る事ができ、卒業生でなくても、歴史や近代建築が好きな人にとっても楽しめる内容ではないでしょうか。
さて、帰宅してから「あ、“八重さんの醤油”も切らしてたんや」と言われました。
はいはい、今度キャンパスツアーにでも参加して買って来ますわ~。

「河久」で川床ランチ

5月19

kawa  先日、「鴨川をどり」を観る前に「河久」で川床ランチを楽しむ事になりました。
その日は夏日を思わせる日差しが強かったので、結局屋内で食事をしましたが、一面の扉を取り払った開放的なお座敷には、鴨川からの風がお店の玄関まで通り抜けていき、なんとも清々しい気分。
お隣の団体さんや、日陰の川床席でワインを片手に乾杯する女子会グループも同じく春風を楽しんでいるようでした。途中から女将さんらしき女性が、「ご飯足りてますか?」と一人ずつに筍ご飯を出して下さいました。その後も各席を回り、お客さんとやり取り。
これまでは事前に電話して 、お弁当をテイクアウトしていたのですが、店内で食事をするのは実は今回が初めての事でした。
いつもの折詰の美しい風情と、細い路地奥の入口、芸舞妓さんの千社札がたくさん貼られた古い柱から、ちょっぴり気構えて入店した時の緊張感はどこへやら。
思いのほかアットホームな空気感に、すっかりくつろいでいました。ごちそうさまでした。

2014年5月19日 | お店, グルメ | No Comments »

宮川町のごはんや「蜃気楼」

4月21

miyagawa 「京おどり」最終日を迎えた花街・宮川町の夜。
 雪洞が照らし始めた石畳の彼方へ、自転車に乗り 仕出し箱を担いだ板前さんが走り去って行きます。

11年前までお茶屋だったという町家で、手頃に食事ができる「ごはんや 蜃気楼」で晩ご飯。
舞妓さんが店出しや襟替えをする際に玄関先に貼る目録や、お茶屋バーを彷彿とさせるカウンター席など、花街の風情も残しつつ、居酒屋ほど砕け過ぎない気楽さと、奇をてらわないシンプルな料理は、お座敷に上がる人の虫養いにも良さそうです。

 店を出ると、ちょうど近くのお茶屋さんから、舞妓さんと女将さんが移動するところでした。
これから次のお座敷に向かうのかな?それとも置屋さんへと帰るところでしょうか。
すっかり夜も更け人影もまばらな宮川町には、まだ昼間の賑わいがどこかに残っているかの様でした。

薬膳レストラン あわさい

4月2
コースの一部です。
薬膳レディースランチの一部です。

 京都を何度も訪れている東京のマダムから、「薬膳レストラン あわさい」(0774-73-1175)を教えて頂きました。
薬膳とは、東洋医学に基づき、気候や風土、季節の変化に合わせて旬の食材でバランスの良い食事を取る事で、自然治癒力を高め病気になりにくい身体を作るというものです。

小麦などのアレルギー食材を含まないお子様用カレーや砂糖不使用の抹茶ケーキ(ご利用の際には、予めご確認下さい)、フルコース仕立てのレディースランチ、予約制で仕出し等のサービスや薬膳幕の内弁当・御膳もあります。
平日の昼間に訪れたときには、年配の方が多い印象でした。

木津川市内と、奈良寄りの立地ですが、身体への負担が少ない洋風薬膳料理は、健康上の理由で外食を控えている人や、その家族にとっても嬉しい事ではないでしょうか。

2014年4月02日 | お店, グルメ | No Comments »
« Older EntriesNewer Entries »