e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

山鉾が巡行する理由

7月14

aya

例年なら今頃祇園祭の山鉾が建ち始め、各鉾町の会所から二階囃子が流れて来る頃なのですが、今年はそれらがありません。
「今年は祇園祭が中止で残念ね」という言葉を耳にしますが、神事は内容を縮小・変更して斎行されるので、中止ではありません。

祭神を乗せた神輿の行事は八坂神社が、煌びやかな山鉾の行事は町衆で作る山鉾連合会という全く異なる団体が担っています。
神輿は八坂神社を支える氏子地域を巡る一方、山鉾は鉾町を巡行するため鴨川より東へは進みません。

これまで、山鉾が巡行するのは、神輿が通る道を清めるためだと思っていました。おさらいしてみましょう。
神輿の「先触れ」として山鉾が巡行する目的は、美しい鉾頭と趣向を凝らした風流(歌と踊り)に惹かれて降りて来た疫神たちを集めるため。
これらと共に神輿が御旅所へと運び、神事によって鎮めた後に鴨川に流して「浪速の海」(大阪湾)で無力化してしまうのが狙いなのだそうです。

平安京での御霊会の起源については諸説ありますが、貞観 5 年(863)の春に疫病が流行して多くの命が失われ、5 月には神泉苑にて朝廷主催の御霊会が行われ、貞観 11年(869 年)には東北を大地震と大津波が襲ったといいます。
当時の都人も家に籠る事で疫病にかからないようにしていたのだとか。
驚くほど今の私達と重なる状況。今年は本来の祭の意味を振り返る夏になりそうです。
また、今年の7月17日から24日の間、四条通寺町の御旅所には、神輿に代えて榊が設置され、神様の依り代とされるそうです。
また、毎年山鉾巡行をライブ中継していたKBS京都では、同じ時間帯に巡行解説でお馴染み、民俗学者・八木透先生が登場する特別番組を放映するそうですよ。→過去の祇園祭動画はこちら

2020年7月14日 | 歴史, 神社

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