e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

映画『舞妓はレディ』

10月28
試写会の資料

試写会の資料

映画『舞妓はレディ』を観て来ました。
高枕にパジャマで寝る先輩舞妓、私服姿で朝食を取るお茶屋の人々、芸妓の住むマンションなど、テレビのドキュメンタリーでも映らない光景がリアル感を抱かせるものの、男衆や女将達がパパイヤ鈴木氏の振付で踊る様は完全にミュージカルの世界です。
もともと周防監督が20年前に「京都で舞妓のなり手が減少している。」という報道を観たのが、この映画を製作するきっかけだったそうですが、現在の花街では、舞妓になりたい女の子はいても、襟変えをして芸妓として続ける子が少ない、という話を聞いた事があります。
芸妓として独り立ちするためには、置屋のバックアップに頼らず、多くのお客を持ち、また季節毎に着物を変えるだけの経済力も必要です。
教授の助手・西野君のセリフにありましたが、舞妓は芸妓になる前の見習いなので、昔の舞妓は今程人気が無かったそうです。それが今では舞妓の方がアイドル並の人気ぶり!
芸事も話術も洗練された芸妓さんに憧れるけれど、それを目指して精進する舞妓さんの、まだ成長過程の「おぼこい」姿が、現代人の共感を得ているという事でしょうか。
厳しい芸事の世界を重くなり過ぎない軽快なタッチで描きつつ、日々を頑張って生きている人々をホロリとさせる、「応援歌」のような作品です。

2014年10月28日 | 花街 | No Comments »

京都国立博物館「平成知新館」

10月20

tisin 京都国立博物館にリニューアルオープンした平常展示館「平成知新館」。
延べ床面積約1万8千平方メートル。夜の海の様に薄暗く広大な空間の中に、大きな仏像が佇む姿は圧巻でした。
どっしりと腰を下ろす仏さんを見る度に、そのお膝の中に座りたくなるのは私だけでしょうか?
一階には、金属工芸や書、染色などの伝統工芸品が部屋毎に陳列され、それらが王朝文化、武家文化、町衆文化の中心であった京の都で培われ、洗練を重ねて来た事を目に見える形で伝えます。
吹き抜けになった館内は、地上4階まで続く階段を上がりながら、別の角度から各階を眺める事もできます。
記念展として「京へのいざない」展が開催されており、神護寺蔵の伝源頼朝像や雪舟の「天橋立図」等(※現在は第2期の展示内容に変わっています)前後期に分けて国宝62点、重要文化財130点を含む400点以上を展示するとあって、まさしく京のお宝いいとこ取り!お腹いっぱいになりました。
博物館には、各寺社や個人に代わって文化財を安全に保管・補修、分析して、そこから解釈されたメッセージと共に公開するという役割があります。
平成知新館だけで1時間半程の時間を費やし、大人気の「国宝 鳥獣戯画と高山寺」展は入場待ちが60分とあったので、特別展はまた別の機会に伺う事にしました。
当館のツイッターによる混雑情報を見ていると、平日の開館後〜お昼時か、夕方が狙い目…かな!?

大徳寺孤篷庵と小堀遠州

10月14

koho 小堀遠州ゆかりの大徳寺孤篷庵が珍しく特別公開されていました。
ここを現代に当てはめて例えるとすれば、名古屋城天守閣や二条城二の丸庭園、南禅寺金地院の茶席、経緯などを手がけた人気デザイナーが、仕事から離れ、自分自身が楽しむために作った遊び心溢れるデザイナーズ建築といったところでしょうか。
庭の刈込みや石の造形を生かした配置で水平線を現し、想像力を働かせれば、まるで一艘の船に乗っているような気分になれます。白い胡粉で磨かれていたという「砂ずりの天井」は外の光を反射して、その杉板の木目がまるで揺らぐ水面を映しているかの様に見えたのだとか…。
しかも初公開の直入軒は、扁額書いたのが松花堂昭、茶室「忘筌」を再興したのが松平不昧公という、「数寄者ブランド」とも言うべき著名人物の名前が出てきます。
この貴重な機会を逃すまいと、閉門直前にも行列ができており、現代人もなお憧れる空間の演出家しての小堀遠州の人気ぶりが伺えました。
千利休、古田織部と続く茶人ブーム。次もやはり、小堀遠州でしょうか。

宇治茶のテーマパーク

10月7

ujicha 

80年以上行われてきたという「宇治茶まつり」。午前中は宇治茶を育んできた自然や茶祖、茶筅に感謝を捧げる厳かな儀式で幕を開けます。
「茶壺口切り式」では、茶壺の中で大切に熟成されていたお茶の封印が解かれ、宇治川の水と合わせて茶祖に供えられました。
儀式の後は、塔の島を中心とした一帯は宇治茶のテーマパークに!
今年は京都文教大学の学生が主催する「親子で楽しむ宇治茶の日」が同時開催された事もあって、気まぐれな雨にも負けずたくさんの親子連れが、京田辺市や木津川市等の宇治茶産地のお茶を楽しんだりしていて、スタンプラリーの景品交換所には長い傘の列ができていました。
茶券(茶席が混んでいる場合は、お菓子だけ持ち帰ることも可)を片手に訪れた宇治市観光センターのセルフサービスの緑茶でさえも一定のクオリティを感じるところは、さすが京の茶どころ。
点心席として訪れた宇治茶道場「匠の館」で出されたお茶も、甘みがあってとても美味しく、思わずお代わりするほど。
あちこち巡っている間に、落成式を終えたばかりの平等院鳳凰堂を拝観する時間が無くなってしまったので、次回のお楽しみとしました。

酔芙蓉の寺・大乗寺

9月30
大乗寺の酔芙蓉

大乗寺の酔芙蓉

 朝に白い花をつけ、それが午後から夕方にかけて徐々に淡いピンク色に変化していき、最後はまるでお酒に酔ったかのように濃く染まってしまい、そしてたった一日で枯れてしまう不思議な花・酔芙蓉
法華宗の大本山・本能寺の末寺である大乗寺は、300年以上の歴史を持つものの檀信徒が殆ど無く、廃寺同然の荒れ寺だったところを現住職・岡澤海宣住職夫妻が移り済み、50代にしてツルハシ一本での参道造りから寺の復興を図ってきたそうです。
住職夫妻の詩吟の弟子から寄贈されたのを機に1996年から植え始められたという酔芙蓉は、現在では約1500本にもなりました。
境内は小規模ながら、酔芙蓉の小道は殆どが自分の背丈よりも高く成長し、誰かに肩を叩かれたかな、と振り返ると酔芙蓉の葉だった、という程に密集しています。
休憩所でお茶を頂き、お寺の方とのんびり語らっていると、無料で開放されているのが申し訳無いくらい。
色づき具合は気温や太陽の光に左右されるそうで、濃い色に染まった花が観たい人は、拝観時間を過ぎても自由に見学しても良いそうです(ただし、外灯はありません)。
まだまだつぼみもたくさんあったので、今月末から来月にかけて満開の景色が観られそうです。
急こう配の石段があるため、ある程度階段を登れる脚力と虫除けスプレーは必須ですが、柔らかく繊細な八重の花びらと、アットホームなおもてなしは、きっと訪れる人の心をほぐしてくれると思います。

創作料理 佳久

9月25
創作料理 佳久
創作料理 佳久

 京都人が、他府県や外国からの客人を案内する際に悩むのが、“京都らしい”お食事処
高級料亭はそう頻繁にあちこちのお店を利用するわけでも無いし、人数分をご馳走する様な場合にはお財布にも厳しい。かといっておばんざいのお店だと、自宅の食卓に上がるおかずを外で食べるようなもので、これは旅行者同士で楽しんで頂きたいという気も…。
また、地元人よりも旅行客の方がよっぽど京都の観光地やお店にも詳しいという状況も多々ある中で、「メディアに取り上げられる有名店よりも、京都人が普段使いする美味しいお店」を求めている人も少なくないのではないでしょうか。
そこで、我が家がよく「気張らないおもてなし」に利用させて頂くのが「創作料理 佳久」(075-231-9671)です。
物腰柔らかに話す店主がきびきびと動くライブ感を楽しむカウンター席や、程よい賑わいの中でお酒を酌み交わすテーブル席があり、隣の離れには襖で仕切ったお座敷もあるので、外国人やちびっこ達、親族を交えたの集まりにもお世話になりました。
美味しいお食事(あんかけ類がおすすめ!)もコースの場合、「向付」「煮物」「揚物」「焼き物」…と懐石料理の要素を感じられる品々で楽しめて、4000円からとお値打ちなので、もてなされる側にも負担の無い範囲で収まりますね。
高級過ぎず砕け過ぎず、「ちょうど良い塩梅」ものこそ、なかなか見つけにくいもの。若いご主人がそのところを上手く押さえて頑張っておられるんだな、といつも思います。

2014年9月25日 | お店, グルメ | No Comments »

島原文化の灯

9月16

wa  京の花街・島原で現在もお茶屋営業を続けている「輪違屋」が、10年ぶりに公開されています。
6名が所属しているという太夫さんは、今でこそマンションから派遣されて来るそうですが、かつては置屋として輪違屋の中で共同生活をされており、その部屋は非公開の3階部分にも残っているようです。
10年前の初公開時に訪れた時には、その豪華な打掛や太夫そのもの神秘性の方に関心がありましたが、その後様々な機会に太夫道中や舞を観るに従って、観光イベントだけでは伺い知れない奥深さにも触れてみたいと感じて来ました。
それだけに、輪違屋に跡取りがいないという事がとても気掛かりです。
京都市の指定・登録文化財としての建物自体は残されたとしても、他の花街とも違う、島原独自の文化は、今後どの様に守られていくのでしょうか。
資金が必須とはいえども、お金だけでは文化芸能の継承にはなれず、主客双方の文化レベルも維持していかなければいけません。
同じく付近で特別公開していた角屋は、「京の夏の旅」としての公開時には二階座敷と美術館は拝観できませんでしたが、15日より通常公開に戻っているので、二階座敷を予約して、輪違屋と共に観賞する絶好の機会です。
来月には「角屋の文化講座」や「太夫の舞 鑑賞会」も予定されています。

皮革友禅染“tatt calf(たとかーふ)”

9月10

tatt まるで水彩画のように染め込まれた長財布。
明治41年に大阪の南船場で創業し、現在は京都市内に本社を持つ「浪速屋商店」が皮に友禅染の技法を施した“tatt calf(たとかーふ)”という「皮革友禅染」だそうです。
「友禅染め風のプリント」ではなく、友禅染めの高熱処理にも耐えられる様に開発された素材です。
伝統工芸品には興味があるけれど、いかにも!な和柄にはちょっと抵抗がある人にとっては、普段の小物として取り入れ易いデザインですね。
その財布を、9月9日におろしました。
なぜかと言うと、まあるく膨らんだ満月の日は、新しい財布を使い始めるのに縁起が良いと、小耳に挟んだからです。
しかも、今年の9月の満月の日は、月が最も地球に近づいて大きく明るく見えると言われるスーパームーンの日(同じく開運の大安もこの日です!)!
果たして、月の引力でお金を引き寄せることはできるのでしょうか!?

2014年9月10日 | お店, 和雑貨 | No Comments »

「喫茶葦島」

9月1

ashi 「素人の自分でも、美味しさが分かるだろうか?」とやや緊張しながら、「喫茶葦島」へと誘うエレベーターに乗り込みました。
数段に重ねられたお皿には、それぞれに異なる珈琲豆が入っているのでしょうか?
マスターは、銘々の皿に匙を入れて目分量で豆を取り出し、一つに合わせているのです。
文字通り、マスターの「匙加減」で自家製ブレンドが決まるようです。
巷の珈琲店で、店主が缶から出した豆を、ざらざらとミルに注ぐ光景に見慣れていた自分にとって、この光景は珍しく映りました。
いつもはミルクも砂糖も入れてしまうけれど、まずはストレートで一口。
最もスタンダードな「葦島ブレンド」は雑味が無く、香りも強すぎず弱すぎず。
しばらく飲んでから、小さな小さなピッチャーに入ったミルクを足し、最後に砂糖も少し加えて、味の変化を楽しみました。
もともと外出先で空き時間ができ、目を通したい書物があったので立ち寄ったのですが、目の前にあるカップも菓子皿もシュガーポットもシンプルな白一色で統一されているところをみると、目の前の珈琲だけにちゃんと向き合って飲まないと、なんだか勿体ないような気になり、本を鞄にしまい直しました。
「自分好みの味の濃さや酸味の強さ、煎り具合ってどんなだろう?」
珈琲党でないはずの自分が、この珈琲を基準に、色々と思案しながら飲んでいました。
もちろんカフェとして、気の合う人と会話を楽しむ人達や、一人用のテーブル席で本を読んだり書きものをしている人もいたり、過ごし方も人それぞれです。
個人的には、完全にリラックスして雑談をしながらカップに手を伸ばすよりも、一人で訪れて、その都度品種や煎り方を相談しながら一杯を頂き、残り香が完全に消えてしまわないうちにさっと出ていく様な、スイッチを切り換えるような利用をしたいと思いました。

2014年9月01日 | お店, グルメ | No Comments »

近くなる京丹後

8月26
ホテル「HOLIDAY HOME(ホリデーホーム)」
ホテル「HOLIDAY HOME(ホリデーホーム)」

 この夏は京都の北部、丹後半島にある久美浜へ。
1年半をかけてリニューアルしたホテル「HOLIDAY HOME(ホリデーホーム)」に再びお邪魔しました。
麦わら帽をかぶったスタッフ達が芝生や季節の花々を手入れしている中に点在する客室棟の他には、宿泊以外の人でも利用できるそば処「ろあん」も新たに併設されていました。
京都迎賓館等で知られる安井杢工務店が手掛けたとあって、まだ新しい木の香りが残る洋間の客室は、どこか日本家屋の中にいるような寛ぎを覚えます。
両側から緑いっぱいの庭を望むダイニングでは、地元の野菜や丹後の魚介に果物を、お庭で育てたハーブの風味と共に頂きます。
車で5分程の小天橋海水浴場は海水も透明感があり、お盆過ぎの昼間は程良い賑わい。浜茶屋が閉店した後の夕方は、泳ぐ人もまばらでとても静か。
泳いだ後は夕日ヶ浦温泉外湯の「花ゆうみ」で流し、さっぱりして帰路につきました。
京都市内からホテルまで、車で片道約3時間半の道のりでしたが、来春には京都縦貫自動車道が全線開通し、京都市内から宮津まで約90分で行けるようになるそうです。
夏は海、冬はカニ!と近畿各地や中京から丹後方面へのフットワークが軽くなり、周辺の観光にも活かされていくといいですね。

2014年8月26日 | 未分類 | No Comments »
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