e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

京に眠る遺跡パワー

6月28

saiji  京都を何度も訪れている人でも、新幹線の窓から東寺の五重塔が迫って来ると、毎回気分が高揚するといいます。
平安京の時代、羅城門を挟んで東寺と対称に位置していた西寺があり、空海が真言密教の道場として発展させ、今や世界遺産となった東寺に対して、守敏が鎮護国家の官寺として発展した西寺は、度重なる火災と国政の衰微を経て廃れてしまいました。
その跡地に降り立ってみると、予想通り、西寺跡石碑や復元整備された礎石や案内板のみとなっており、芝生の小さな丘の上で野球に興じる少年達が歓声を響かせていました。
平安京に関する書物を読み、存分に想像力を働かせてこそ楽しめるのは言うまでもありませんが、西寺の台所であった大炊殿跡に中華料理屋が建っているのがご愛嬌。この前身のお店も料理屋さんだったそう。
西寺児童公園の北側にある鎌達稲荷神社は、伏見稲荷大社よりも歴史が深く「元稲荷」とも呼ばれ、平安期の陰陽師・安倍晴明の子孫である安倍家、土御門家の鎮守社なのだそうです。ここのサムハラ呪符は奇蹟を生むお守りなのだとか。
ちなみに、2013年には京都府八幡市美濃山の「美濃山瓦窯跡群」で、西寺跡周辺で発見された瓦と同じ「西寺」の押印がある瓦が1点出土したというニュースもありました。
現存する木造塔として最高の東寺の五重塔。同規模だったとされる西寺にも立派な塔が建っていた可能性も考えられます。
いつの世も、あらゆる国で、そびえ立つ塔は人の心を惹きつけてやみません。
国の災いを引き受け、姿形は失われてもなお、人の足を運ばせてしまう遺構の数々
京の土の下からはまだ、何らかのパワーが秘められているのでしょうね。

神様のゴールデンウィーク

4月25

iwami 伏見稲荷大社の稲荷大神は、一足先にゴールデンウィークに入っておられます。
先日の神幸祭で神輿に乗って本社を出発し、東寺近く(JR京都駅南西方)にある文字通り「御旅所」にて3日還幸祭までバカンス中なのです。
ご鎮座されている間、氏子達は様々な芸能を奉納してもてなします。
先週末に行なわれた石見神楽もそのうちの一つ。  動画はこちら
こちらでは島根県浜田市由来の石見神楽の短縮版とも言える内容で、須佐之男命(すさのおのみこと)が大蛇を退治する場面で、程良い尺度で楽しむ事ができました。
大蛇は、獅子舞を長~い蛇腹にしたような形をしていて、とぐろを巻いたり串団子のようになったり、酒を樽ごと豪快に取り込んで飲み干し酔い潰れたりと、まるで台風の様に形状を変えて観客を楽しませます。 動画はこちら
聞こえてくるリズミカルなお囃子に誘われて、裏手に住む近所の子供達も窓際で小躍り。
境内には幾つかの屋台からいい匂いが漂い、29日の夜にもマジックや六斎踊りが披露さます。
また、3日の環幸祭(おかえり)では、五基の神輿が数々のの供奉列奉賛列を従えて東寺にて僧侶による「神供」を受け、約2時間氏子区域を巡行した後に伏見稲荷大社の本殿へと還られます。

伏見稲荷大社の呈茶所「松の下茶屋」

8月31

matu 非公開文化財特別公開の際に何度か公開されていた伏見稲荷大社お茶屋の一部が、6月から呈茶所「松の下茶屋」として開放されています。
お品書きはお茶と和菓子のセット(1200円)のみで、訪れた時の飲み物は、抹茶と水出し煎茶、グリーンティーの中から選ぶようになっていました。
もとは当社の官舎であったのが後に料亭として使われ、再び大社が買い取ったという経緯があり、御所由来と言われるその風格漂う造りやしつらいに名残があります。
洋間もある屋敷の廊下を渡って大広間に足を踏み入れると、眼前に緑豊かな庭園が広がりました。
稲荷山から降りて来たばかりの火照った身体に、氷を浮かべた冷たいお薄や、甘みが濃厚に引き出された煎茶が喉をすうっと通り抜けていきます。
境内はたくさんの人で賑わっていますがこちらは静かで、かといって客足が絶えることも無く、すっかりお茶を飲み干した客人達は、銘々にぼんやりとお庭を眺めながら、心身を潤している様子。
5名以上の希望があれば、二階でお茶席を開いて下さるそうです。
お昼は賑やかなお稲荷さん参道の茶店できつねうどんや稲荷寿司などを食べ、お山を巡った後は松の下茶屋で庭と茶碗の緑でクールダウン、という参拝計画もいいですね。
土日と祝日、毎月1日限定の営業です。

伏見稲荷大社・初午大祭

2月16

hatuuma 伏見稲荷大社の誕生日ともう言うべき初午の日。今年は祝日とも重なり、大変賑わっていました。
奥の院から稲荷山に入り、中腹の休憩スポット・四ツ辻までの細い山道では、時折行き交うのが困難になるほど。
初午のお参りは、平安時代から既に人気だったようで、かの有名な清少納言も初午の日の暁から稲荷山に登り、その道中の大変さに「泣きそう」と枕草子にもらしたと聞きます。
生まれてはいつの間にか消えていくのが流行の常なのに、ご鎮座から1300年もの月月を経た現在でも、日本のみならず海外からの参拝客も増えているという、お稲荷さんの求心力、恐るべし!
もとい、稲荷山の周辺は渡来系豪族の秦氏が住んでいたので、境内に多言語が飛び交っている様子は、もしかしたら創建当初もそうだったのかもしれません。
ひな壇の様に飾られた色とりどりのお供え物もぎっしり。
本殿や摂末社には、稲荷山の杉と椎の枝で作られた“青山飾り”が青々と輝いて、清々しい華やかさを添えていました。

何を変え、何を残すか

12月24

inari 2014年7月に世界で最も影響力のある旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー」において、「世界で最も行きたい都市、憧れの都市」として「ワールドベストシティランキング1位」に選出され、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、外国人観光客の更なる増加が見込まれる日本の古都・京都。
京都には、既存の観光地をより外国人観光客に利用しやすい様に整備する動きや、既にある観光資源を活かして新たな価値を創出する動きが出てきています。
例えば、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」による外国人観光客に人気の日本の観光スポットで2013年度の1位になった伏見稲荷大社では、駅から社へ多言語が行き交う道中に、いつの間にか手荷物預かり所(おそらく英語対応可?)ができていて、近くのカフェで寛いでいると、海外から京都に来た旅行者に、英語で道案内をするボランティア「あっちこっちプロジェクト」の一員だという人とも出会いました。
また、戦後まで琵琶湖疏水の大津市~京都市間を往来した通船を観光用に復活させるという構想がとうとう、2015年3月下旬から試験運航を実施する段階に入りました。
試験運航は京都市民や観光客から参加者を募って5月の大型連休頃まで行われ、採算性等を見極めた後で本格実施に入るそうです。
いずれも、先人達が京に残してきた遺産が確固たる地盤となっていて、そういう観光資源がコンパクトに集約された京都という街は、本当に恵まれた都市だと言えます。
「おもてなし」という言葉を聞くと、つい至れり尽くせりのサービスを提供することだと勘違いとしてしまいそうですが、これから大切なのは「何を改良し、何をそのまま残すか」。
そのさじ加減ではないでしょうか。その為には、日本人が自国についての理解を深める必要があると思います。

深草の桜

4月9

sidan 先週土曜は、「墨染桜」の咲く墨染寺を目指して、伏見稲荷大社近くから琵琶湖疏水沿いを歩きました。

 深草、藤森…と続く徒歩30分の道のりは、ところどころに頭上を覆うほどの満開の桜の木が植わっていて、地元の人が犬の散歩を楽しむような静かな遊歩道になっており、観光客の姿は殆ど見当たりません。
 特に師団橋の手前辺りの桜の木々は、疎水の水面すれすれにまで枝が伸び、優雅なカーブを描いていました。

 因みに、この「師団橋」という名前は、かつてこの深草近辺に大日本帝国陸軍の第16師団が置かれていた名残で、周辺の幾つかの橋桁には、五芒星のマークが今でも見られます。

 地元の人々によって行なわれているライトアップも美しいそうで、これからも開催されるといいですね。

いなり、こんこん、恋いろは。

1月21

konkon 京都が登場する小説や映画、アニメはこれまでも製作されてきましたが、今月からは伏見稲荷大社を舞台としたアニメ「いなり、こんこん、恋いろは。」が始まりました。
京都出身の漫画家・よしだもろへさんが「ヤングエース」で連載する漫画が原作で、主人公の内気な女子中学生「伏見いなり」が神様との交流を通じて成長していくラブコメディです。
映画以外のアニメを観るのは久々だったのですが、昔の少女漫画の様な懐かしさもあり、また主人公が宇迦之御魂大神(通称「うか様」)から神通力(変身能力)を授かるというSF的要素もあり、掌サイズのかわいい狐の「コン」ちゃんもあり。
お稲荷さんへ月参りしている身としては、「丹波橋くん」や「墨染さん」など、どこかで聞いた事のある名称に思わずニヤリとしてしまい、また、背景に描かれているコンビニを見ると、「これは、あの角を曲がった所では…」と、ストーリー以外の所も気になってしまいます。
先月同大社で開かれたという完成披露記者会見によると、制作関係者は今後、主人公の伏見いなり役の声優・大空直美さん(立命館大学出身)が伏見稲荷を紹介するスマートフォン用アプリや、インターネット上の観光マップを開発される予定だそうです。
アニメは全国10局で放映中で、単行本は既に7巻まで刊行。来月にはスタンプラリーも開催が予定されています。

お稲荷さん前のカフェ「Vermillion」

12月24

ver 伏見稲荷大社へ月詣りする度に立ち寄っている「薬力亭」の息子さんが、とうとうカフェ『Vermillion(京都市伏見区深草稲荷御前町85)』をオープンされました。

千本鳥居の「朱色」を表す店名で、メニューはまだコーヒーとカフェオレ、手作りのお菓子とかわいいお稲荷さんポストカードのみですが(電話もまだありません!)、若いオーナー夫妻は英語が堪能なので、お稲荷さんを目指して訪れる外国人観光客へのインフォメーションスポットとしても、これからも充実していく事でしょう!
場所は、JR「稲荷駅」や京阪「伏見稲荷」駅から伏見稲荷大社の表参道へ向かう途中にあるという好立地。
そして二階は未だ工事中。この先一体どんな展開が!?

とにもかくにも、初詣の寒さでかじかんだ指先には、一杯の温かいコーヒーをどうぞ!

大橋家庭園(苔涼庭)

7月8

suikin 伏見稲荷大社のすぐ北にある大橋家の「苔涼庭」には、京都最古の水琴窟が今もその音色を響かせています。
水琴窟は京都のあちこちのお寺で耳にしますが、それらが作られたのは意外にも、この庭園ができた大正2年よりもずっと後のこと。
水滴が地中に埋められた甕に反響する音は水量により変わりますが、数滴ずつ、というよりも幾つかの水の筋が絡み合いながら落ちる様なものでした。

京都で瀬戸内の鮮魚の元請を営んでいた大橋仁兵衛氏が好んで配した石灯籠は、春日型や善導寺型など100坪程の庭の中に12基もあり、今でこそ苔蒸して周囲に馴染んでいるものの、庭園が完成した頃、庭造りをアドバイスしていた庭師の七代目・小川治兵衛さんからは「いくらなんでも置き過ぎや!」と突っ込まれていたそうです。
露地風なので、菊型の蹲(葉まで掘ってあるのは珍しいそう)や待合が設けられていますが、家相の関係で茶室は作られなかったそうです。それでも、渡り廊下は折り上げ天井、足元の煉瓦は亀甲型というこだわりぶり。

「受け継いだものを維持していくのは大変でしょうね。」と話すと、ご当代は「この庭が無かったら、毎年ヨーロッパ旅行できるぐらいですわ。」と笑っておられました。
保津川下りの風情を模したという傾斜の両側にはもみじが青々と茂り、秋になればよりお庭の彩りが増すかもしれません。
本当に個人宅のお庭なので、訪れる前には予約を入れて下さいね。

ご神水コーヒー

12月25

sinsui 湧水のある神社に行くと、ご神水を頂けたりしますね。そのお膝元にある飲食店でも、ゆかりのお水を使ったお茶やコーヒーが提供されたりしています。
伏見稲荷大社の山頂へと続く道中にある薬力社の茶店で、「稲荷山の湧水を使った本格エスプレッソコーヒー」(400円。本日のお菓子とのセットメニューもあり)が新登場していました。期間限定での試みだそうです。
いつもお水を無料で分けて頂いているお礼のつもりで注文すると、好みの淹れ方を尋ねられたので、カプチーノでお願いしました。
濃厚でクリーミーな泡も、その下のコーヒーも豆の香ばしさが引き出されて美味しい。これは豆がいいのか、それともやはりご神水が良いのか。お腹がぽかぽかと温まりました。
初詣には規制がかかる程人気の伏見稲荷大社では、大晦日から参拝客が増え、開門と同時に真夜中でも山頂を目指す人が一斉に押し寄せるのだそうです。

一方、くせが無いのでいつも何気なく飲んでいたご神水。水がキンと冷える冬に汲んだからでしょうか、暖房の利いた室内にしばらく置いていた後でも、不思議と冷たいまま喉を潤してくれました。この季節はより美味しく感じる気がします。

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