e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

定食屋で学生気分

3月14

re 先日タクシーのレシートを受け取る際に、運転手さんから「実は、現在2台しか走っていない “二葉葵”マークの車両なんですよ」と教えられました。
昨年の上賀茂神社の式年遷宮を記念して走行を始めたもので、好評に付き延長走行なのだそうです。
という訳で、記念品を受け取りがてら上賀茂神社をお参りしました。
帰りに昼食で立ち寄った定食屋「リバース」(075-721-7322)。
学生時代をこの辺りで過ごした人からは「懐かしい!」という声が上がりそうな昔ながらの洋食屋さんで、一歩入ると一斉に男子学生やサラリーマンの視線が集中し、大いに気後れしましたが、めげずに定食を注文。
値段は500円前後で非常にお手頃ながら、運ばれて来た品のボリュームに動揺していると、ホールを手伝っている真面目な接客ぶりの学生さんが、ご飯量を減らして値段を下げてくれました。
揚げ物たっぷり、既にマヨネーズまでかかっていてコテコテ!
部活の合間でしょうか、ジャージ姿でかき込んでいる男の子達を眺めながら味噌汁を飲んでいると、サービスエリアで食べる揚げ物定食とはやはり違って、「お母さんが息子達を応援している」かのようなメニューだと感じました。
禁煙ではないため、女性同志には入るのに勇気がいるかもしれませんが、上賀茂神社の桜が咲く頃、再び学生気分を味わいにいかがでしょうか。

癒される京座布団

3月7

ozabu  来客に合わせて、座布団を購入する事になりました。
さすがに間に合わせで使っていた100円ショップの座布団は、1カ月程で毛玉だらけになり。
せっかくなら京座布団にしようと、洋間にも合うものを色々迷った末に我が家にやって来た新顔さんは、京都の老舗寝具メーカー大東寝具工業と「SOU・SOU」による伊勢木綿のものと、「京都嵐山プラッツ」の京小座布団。いずれも職人さんの手作りです。
京座布団の特徴の一つとして、座布団の中央は三つ又の「三方とじ」になっていて、垂直に縫われている方向が座布団の正面、つまり膝側となります。
「もし染みを付けてしまったら、裏返しに使うか丸ごとクリーニングに出さなければ…」と覚悟していると、「プラッツ」の方が、「もともと汚れが付きにくくしてありますし、汚れたら上から新たにカバーを付けて使ってはるお客様もおられますよ」とのこと。
ちょうど、母親の嫁入り道具の一つだった西陣織らしき大きな京座布団が出てきたので、手作りのカバーを付けて(刺繍が隠れて勿体無いのですが、部屋に合せるため…)使用する事になりました。
そんなこんなで大中小の京座布団が揃う事になるとは。
小さめサイズはちびっこ達に、大きなサイズは赤ちゃんを寝かせるのにも良さそうです。
邪気が入らないよう房を付けた正統派な京座布団や、うたた寝用やおじゃみ型、座椅子風に椅子に載せられる箱型など、色んな座布団も展開していますが、ふっくらと、床から立ち上がるかまぼこ型の京座布団は、なにより手やお尻で押した時の包まれるような感触に幸せを感じてしまうのです。
他のお店の京座布団も座り比べてみたいところなのですが…そんなにお客様の入る家だったかな!?

座布団の勧め方と当て方、降り方のマナーはこちら

2016年3月07日 | お店, 和雑貨 | No Comments »

天神さんの残り福

2月29

sara 受験の時の合格祈願、お茶の先生に連れて行ったもらった天神さんの蚤の市、恋心を抱いた相手と巡った梅香る梅苑、一眼レフカメラを片手に歩いた紅葉の御土居。
北野天満宮は今までに何度も訪れているのに、梅花祭当日に境内を歩いたのは意外にも初めてでした。
上七軒主催の野点茶会に参加したかったのですが、都合で終了間際に着いたために入れずじまい(やはり事前に前売り券は買っておくべきですね)。
仕方無く本殿でお参りだけ済ませて、久しぶりに天神さんを楽しむ事にしました。
そもそも今回のお目当ては、来客時に鍋料理を取り分けるための器を探す事だったのです。
アンティーク着物に、コーヒーや玉こんにゃくの屋台、まるでしめじの様に乱立するこけしに、機械や簪のパーツまで。
今やインターネットでも気軽に売買できる時代ですが、こうして実際に色んなお店を見ていると、魅かれるお店は商品の並べ方も見やすく、分かりやすいものですね。
「見立て」として、本来とは異なる用途を連想するのも、また楽し。
ふと目に留まった、「5枚2000円」の染付の器。同行した母親も同じ所で足を止めていました。
一枚ずつ微妙に異なる手描きの、ほのぼのとした山水図がなんだか可愛らしくて手に取っていると、お店のおじさんが更に奥から出して来てくれました。
「12枚で3000円でええよ」との声に、母と半分ずつという事で早くも決まりました。
売り手にとっては、半端な数が売れ残っても仕方無いのでしょう。
掘り出し物を狙う人なら朝早くから行くのでしょうが、残りものにも福はありました。
今月下旬までは、宝物殿にて今、歴女の中でもアツい「宝刀展」が開催されています。

隠れ老舗

2月23

torihatu  寒い夜は、仲間内で肩寄せ合ってつつく水炊きが何よりのごちそう。今回は「本家鳥初」を利用しました。
河原町三条より一筋上がった細い姉小路通りを西に入った目立たないところにあるため、創業から120年は経つという歴史がありながら、「こんな店あるなんて知らなかった!」という声をよく聞きます。長年京都に住んでいても、たまにこんな隠れ老舗に出逢えるのです。
一筋入っただけで街の喧騒が遠のき、暖簾をくぐれば別世界、繁華街のど真ん中に居る事など忘れてしまいます。
まずは薬味としょうが汁を加えた白濁スープで身体を温めると、かじかんだ指先に感覚が戻っていく心地よいしびれ。
綺麗に盛られた白菜は、軽くしゃぶしゃぶして繊維感を楽しむも良し、乳白色のスープに漂わせてとろとろの食感を味わうも良し。
骨付きのかしわは程良い歯応えと香りを醸し、「スープが美味しい」「白菜が甘いね」と各卓から聞こえて来る声にも一安心。
広間や個室、離れもありますが、何だか一日観光を終えて旅館の一室に辿り着いたかのような風情があります。
スープをたっぷりと吸い込んだ雑炊をよそう中居さんの手元を見ながら熱燗を頂いていると、布団を敷いてもらいたいくらい。
帰り際に、暖簾の隙間から見える広い厨房の大きな釜にも、重ねられた歴史を感じました。
「古き良き京都」を思い起こさせる風情が、ここにはまだ残されています。

2016年2月23日 | お店, グルメ, 町家 | No Comments »

究極の抹茶バウムクーヘンとは

2月15

baum 日本を訪れる外国人観光客が増え、観光地でも駅前でもお土産屋さんでも、またはドラッグストアにおいても抹茶菓子や竹細工、和柄の小物で溢れかえる今となっては、「日本土産」なのか「京都土産」なのかは裏の表示を注意深く見なければ見わけがつかなくなって来てしまいました。日本産かどうかすら怪しいものも…。
国内外に関わらず「京都好き」とは言いながら、「和風なら、美味しければ、何でもいいやん」という感覚の人が買い手にも作り手にも多いという実態。
抹茶のバウムクーヘンも京都の和洋菓子屋(それ以外の業種からも)から続々と発売され、京都で挙式する人の中には、「京もの」の引き出物や内祝いとして比較検討する人も多いのではないでしょうか。
一層一層が熟練の職人の手作業で焼かれている抹茶のバウムクーヘン「究極のバウムクーヘン」は、宇治茶の老舗・丸久小山園の抹茶の風味や新鮮な緑色を、熱や光等で損ねないよう工夫されており、ふわふわした食感よりもしっとりと目の詰まったものが好み、という人におすすめです。
保存料等の添加物を含まないため、素材の風味が直に飛び込んでくる「ユーハイム」らしい抹茶のバウムクーヘンです。
素材を吟味して手作りしている分、お値段もちょっとプレミアムもの。
主にインターネットでの販売(数量は限定的です)だし、人に差し上げるものは失敗したくない、できれば事前に味見したい、という方は、丸久小山園の西洞院店の喫茶メニューにあるので、そこで食べてみるのも一手でしょう。
小さめカットに見えても、どっしりと食べ応え十分です。

2016年2月15日 | お店, グルメ | No Comments »

「あさ」生家跡とその周辺

2月8

asa 堀川通りに面するホテル「ルビノ京都堀川」が、現在放映中のNHK連続テレビ小説の主人公のモデル・広岡浅子の生家跡に建っているとして、話題になっています。
当ホテルで開催中のパネル展そのものは、朝ドラ関連というよりは、その時代の界隈の様子を収めた写真が主で、出水三井家の庭園にあったとされている石灯籠や庭石は裏手の駐車場の片隅にぽつんと建つのみですが、ロビー内で自由に持ち帰れる「SANKEI EXPRESS特別編 九転十起の女 広岡浅子伝」(産経新聞大阪本社編集局編集委員 石野伸子著)は、何故現代人から忘れ去られていた女傑が朝ドラの題材として起用されたのか、晩年に遺言をしなかったのは何故か、浅子の人生を詳細に掘り下げていて、一読の価値があります。
ルビノ京都堀川に残る石灯籠を確認できたら、帰り道はそのまま油小路通りを散策してみて下さい。
住宅が並ぶ通り沿いに琴や三味線の老舗があったり、もしかしたら浅子女史が駆けまわっていた頃からあったのではないかと想像力を掻き立てられる様な、時を経た風格のある町家が点在していたりして、静かに胸が踊ります。
観光地化されていない、新旧入り混じった京都の素の姿もまた魅力。
なお、主人公の姉が嫁いだ大坂の両替商・山王寺屋のモデルとなった天王寺屋五兵衛の遺構が残る松殿山荘が見学会を予定しています。ご予約はお早めに!

2016年2月08日 | イベント, 町家 | No Comments »

節分とだるまさん

2月2

daruma 節分に見られるのは、鬼やおかめばかりではありません。
「だるま寺」で知られる上京区の法輪寺は、お守りから木像に絵画、建築にとあらゆるものが「だるまだらけ」なのは想像通り。
更に茶席のお菓子も、表で売られているお焼きもだるま型の「だるまスイーツ」!そして、茶道具までも雪だるま柄とは。
京都のお寺には珍しく、横たわった涅槃の姿の釈迦像や、いわゆる「トイレの神様(仏様)」としてお札で代用される事の多い烏枢沙摩(うすさま)明王像も、この機会に拝見する事ができます。
境内のあちらこちらで老若男女がご奉仕されており、子供連れのご近所さんの訪問も多い様子。
壁に九年面したとも言われる達磨大師の厳しい座禅修行のイメージとは裏腹に、参拝者とお坊さん達との距離が近く、和やかな空気が感じられました。
受付の方が「毎回いいお話で面白くて、和尚さんのファンなの!」と言う「だるま説法」は、最終が20時からとなっていますので、夜のお詣りも楽しめますね。

京薩摩と無常

1月26

satuma ただいま開催中の「細密美!明治のやきもの~幻の京薩摩~」展。
残念ながら、ポスター画像だけでは京薩摩ならではの「はんなりした」色遣いが十分に再現されているとは言えないので、実際に間近で観賞される事をおすすめします。
淡い色調ながら壺やティーカップセットの一面に花々が咲き乱れる様は、昔の少女漫画の背景を連想してしまいました。
モチーフは祇園絵や美人画といったものですが、日本特有の美意識とも呼べる余白は殆ど埋められ、「海外受けする東洋的なもの」を意識して焼かれた輸出品です。いわゆる京焼とは趣が全く異なりますが、内側から滲み出る様にやわらかな輝きを放つ金彩は、日本画にも通じる品の良さがあります。
また、本薩摩を展示した一角は、敢えて色を抑えた白地の作品が並べられ、それぞれが見事な透し彫りでびっしりと埋め尽くされ、本家の風格を示していました。
これだけの技術力と生産量を誇っていたにも関わらず、急速な工業化や戦争で京都においてはわずか数十年の間に多くの窯元が廃業し、現在の粟田口界隈を歩いても当日の賑わいを伺い知る事はできません。文化というものにとって、世相や流通がいかに大きな影響を及ぼすのかを思い知らされます。
幾つかの作にはルーペが設置してあるように、この人間離れした、というかむしろ機械ではできないからこその精緻な装飾。是非とも虫眼鏡持参でご鑑賞下さい…と言いたいところですが、これらのむせかえる様な作り込みように、たぶん、酔います。

2016年1月26日 | 芸能・アート | No Comments »

ロックスターが京都で見せる表情

1月18

rock  日本人で初めてザ・ビートルズを撮影した日本人写真家・長谷部宏さんが、写真集『ROCK STARS WILL ALWAYS LOVE JAPAN』を発刊するのを記念した写真展
デヴィッド・ボウイ、ニール・ヤング、ボン・ジョビ、KISS、クイーン、マドンナ、U2など洋楽雑誌『MUSIC LIFE』で被写体となった大物アーティスト達が京都や東京に奈良、倉敷等を訪れ、新選組や学ラン、寿司職人のコスプレをするものもあれば、龍安寺の石庭を静かに眺めていたり、東大寺の前で膝をついて真剣に拝んだり、あるいはごく普通の地味な姿で街並みに溶け込んだり。
ぞれぞれの作品に一枚ずつ添えられた取材の記録も興味深い。
人気者ゆえに撮影場所への制約があったり、行動が奔放だったりアーティストとしてのプライドがあったり、実際に会ってみると印象が違っていたりと様々な気付きを経て、オンとオフが入り混じった彼らの一面を引き出すために工夫が凝らされていた事でしょう。
京都での撮影は、ツアー等で来日した彼らが観光目的で訪れる事が多かったようで、やはり金閣寺清水寺は定番のよう。渡月橋や老舗旅館の前でポーズを取っているところからはリラックスし、また開放感ある表情が読み取れます。
驚く事に、この展覧会の展示作品は撮影OK、ツイッターやフェイスブック等での拡散もOKなのです。
この写真集。ロック好きな方へのバレンタインプレゼントにいかが?

我が家の歳時記を作る

1月13

mochi 今年も台湾のホテルに着くと、日本人ビジネスマンの利用が多いからでしょうか、ロビーに小ぶりの鏡餅が飾ってありました。
現地の知人によると、近頃の鏡餅はインターネットでも購入できるそうです。
年末の大掃除にお節、七草粥など、日本では年を跨いで伝統的なイベントが目白押し!
それらのしきたりを守りたいと思っていても、現在では核家族化が進み、共働きに子育て世代の家庭もあれば、介護等のケアが必要な家族を持つ家庭も多いため、時間だけではなくお金もそれなりにかかってしまうもの。
昔は便利な電化製品こそ無いけれど、それぞれの家にはお手伝いさんがいたり、今よりも家族がたくさんいたので、一緒に作業を進めたりしながら負担を分け合う様にできていたのだと思います。
現代にもご近所さんや親しい友達で集まって、それらのしきたりを楽しく準備できる様な仕組みはできないものでしょうか。
先述の通り、季節の装飾も今ではコンビニやネット上からでも得られるようになったので、とりあえず見た目の体裁は整える事はできます。
けれど、それらの由来を知る事も意識してみれば、自ずと取捨選択もでき、本来の伝統を守る事にも繋がるような気もします。
全てを完璧にはできないかもしれないけれど、しきたりに込められた意味をきちんと受け止めながら、我が家なりの歳時記を楽しんでいきたいと思います。

2016年1月13日 | 未分類 | No Comments »
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