「京都の定番」をおさらい
今、五木寛之著『百寺巡礼 第三巻 京都Ⅰ』を読んでいるところです。
これは2003年に発刊された有名な書籍で、京都編の前半にあたりますが、紹介している寺院は金閣寺や銀閣寺、清水寺、東寺など、いわゆる「京都観光の定番」とも言われるところばかり。
それらの「有名寺院」を自分が知り尽くしたとは思っていませんが、余りに有名、余りに人気があり過ぎて、かえって足が遠のいてしまう時があります。けれど、国内外からやってくる人々が目指すのはやはりこういう場所。
ガイドブックとは異なる表現に触れてみたくて手に取りました。
休筆中に五年余り京都の聖護院に暮らしたものの寺社を拝観することなく、二十年程経って京都の寺々を巡ったという作家・五木寛之氏。
様々な作家の言葉も引用し、龍谷大学で学んだ経験や自らの人生観も織り交ぜながら、それぞれの寺院についての考察を深めています。
令和の今や動画投稿サイトで実況を観て拝観の疑似体験することもできますが、こちらは、まるで共に歩いているように想像を膨らませながら読み進める楽しみがあります。
その臨場感ある描写と取材力を前に、時折自分の物書きとしての語彙力の無さも恥じながら、ひと寺ごとに新たな発見をさせてもらっています。
これらの「有名寺院」を一括りにせず、もっと踏み込み問いかけるような話題として来訪者に提供できるよう、この本を手もとに置いておきたくなりました。