e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

修験宗天台宗系本山派総本山・聖護院門跡

1月28

shogo 京の街とは面白いもので、ずっと歩き続けているだけで外人さんやお坊さん、舞妓さんのほか、山伏にまで遭遇したりします。
その山伏で知られる修験宗は、日本古来の山岳信仰に仏教や道教などの思想が融合して成立した、最も日本的と言える庶民宗教です。
出家・在家を問わず、日頃は社会人として働いていて、修業の時だけ山伏となって菩薩道修業の実践を行っている信者が今でもたくさん存在しています。
その天台宗系本山派の総本山・聖護院門跡、「京の冬の旅」キャンペーンで12年ぶりに公開されています。
聖護院は代々皇室や摂家より門主を迎えた門跡寺院で、御所の火災時には仮皇居にもなった縁で、当院の紋は「菊法螺貝」。
平安期の本尊・不動明王立像(重文)や山伏法具などの宝物が豊富で、狩野派の障壁画も保存状態が良く、その殆どが柵を設けずに目と鼻の先で観る事ができます。
この空間を昨冬に公開開始された映画『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』の撮影ロケに利用するなんて、なんとも贅沢。
2月頭は拝観休止となっていますが、年男の山伏が豆を撒いて鬼を追い払う節分会が行われ、山伏問答など修験道独特の作法が観られます。

黄檗宗・閑臥庵

12月4

kanga 京の都への入口「京の七口」の一つ「鞍馬口」にある黄檗宗のお寺・閑臥庵は、王城鎮護のため御所から東北の方角にある貴船の奥の院より鎮宅霊符神をこの地に歓請したのが始まりです。「鎮宅霊符」とは文字通り、「家内安全のおまじないのお札」のこと。
祀られている北辰鎮宅霊符神は、十干十二支九星を司る総守護神であり、陰陽道の最高の神様なのだそうです。
絵師・伊藤若冲が十二支をあのメリハリの利いたタッチで描いた版木を所蔵しており、それをもとに作られた各干支のお札を購入する事ができます。

黄檗宗の精進料理として知られる「普茶料理」を味わえるのもここの魅力の一つ。なんと、一面の窓から庭の紅葉を臨むバーカウンターまであるのです。
そろそろ紅葉の色も真っ赤に染まり、蒼い苔に散紅葉が映える頃でしょうか。

法然院・春の特別公開

4月3

hounen

寺社にて大勢の人を前に緊張した面持ちで説明をしている学生ガイドさんの姿を見ていると、自分の大学生時代を思い出して微笑ましくなります。
死に際に阿弥陀仏が迎えに来ることを「来迎」と浄土宗の言葉で言いますが、よく説明ガイドの打ち上げで酔いつぶれている同級生を「来迎中~」と言ってからかっていたものでした。

法然院の春季特別公開で、「当麻曼荼羅図」を前にした学生ガイドさんの話を聞いていると、「来迎」にも死者の徳の積み具合によってランクがあり、徳を積んできた者には阿弥陀仏や諸菩薩が紫雲に乗って音楽を奏でながら賑やかに迎えに来てくれるのですが、ランクが低くなるにつれてお迎えの人数がどんどん少なくなり、最低の場合になると阿弥陀仏はおろか誰も来られず、なんと蓮の葉一枚だけが迎えに来るそうです(それでもお迎えして下さるのですね)。しかも成仏するまでに10万年もかかるのだとか。

いつか自分が天に召される時には蓮の葉の上でポツン…と寂しい思いをしないように、今から一日一善、徳を積んでおきたいものですね。

長講堂

1月17

choko後白河法皇が、持仏堂として建立したという長講堂を訪れてみました。
「京の冬の旅」非公開文化財特別公開の中では初公開となる寺院で、後白河法皇はNHK大河ドラマ「平清盛」では主人公の良きライバルとして描かれるようです。
公開されている寺宝のうち、当寺のご住職が参拝者に最も観て欲しいと言われていたというのが『過去現在牒(かこげんざいちょう)』です。
後白河法皇が直筆で、自身に縁のあった人物の名前を記されているもので、歴代の天皇の名前から始まり、源義経などの有名人物のほか、祇王などの白拍子や無名の人物らの名が連なっています。女性が当時の歴史資料に名前を残される事自体が希だったのでは無いでしょうか。もちろん「清盛入道」の名前も見る事ができました。
源氏と平家、朝廷の勢力争いが渦巻く動乱期を生き抜いた晩年の法皇。それぞれの正義が生死をかけてぶつかり合う中、迷う事無しに自分を信じて突き進む事は容易ではありません。一人ずつ、筆を進める毎にその心中はどの様なものだったでしょう。

六波羅蜜寺

1月5

inaho年明けの初詣は、まず氏神さんにお参りに行き、翌日は今年のNHK大河ドラマにちなんで平清盛像がある六波羅蜜寺へ出かけました。

都七福神めぐりの弁財天を祀る護摩堂にて加持と稲穂を受け、希望のご利益の御守り(有料)を付けてもらいます。
本殿奥にある宝物館には平清盛坐像のほか、有名な空也上人像や運慶・湛慶父子の像もあり、定朝や運慶による地蔵菩薩像はどちらも柔和な表情をしていました。
最後に皇服茶(大福茶)を頂き、今年一年の病息災を願いました。

「e京都ねっと」は今年で干支を一巡致しました。これからもどうぞ宜しくお願い致します。

明治の煙草王と延暦寺大書院

11月15
大書院の観月台を望む

大書院の観月台を望む

明治の煙草王・村井吉兵衛によって建てられた長楽館は、付随の家具と共に京都市指定有形文化財の指定を受け、それらを当時のまま「動態保存」という形で今でも使用されています。
その通常非公開の「御成の間」等を会場として『京都が生んだ明治のヒーロー「村井吉兵衛展」』が開かれています。
展示物は当時のレトロモダンな広告や商品パッケージが中心で短時間でも回遊できるので、館内の茶室で上映されているDVD(2本立て、各約16分間)と併せて観覧すれば、より当時の情勢への理解が深まり、楽しめると思います。

華族出の女官を妻に迎えるにあたって、東京赤坂の地に御所風に造らせた豪邸「山王御殿」は、後に保存のため比叡山延暦寺に移築され、当寺の「大書院」となりました。
屋久杉から切り出した板戸や、煙草の葉を一面にあしらった襖に観月台など、西洋風の長楽館はとはまた違った贅を尽くしたもう一つの迎賓館。
19日には通常非公開の延暦寺大書院を見学するツアーが企画されています。

宇治茶まつり

10月3

uji宇治茶まつり」が行われた宇治で、茶席や点心、抹茶ソフトクリーム等を楽しんで来ました。
興聖寺での口切り・献茶の儀では、慎重な所作で茶壺から取り出された茶葉が、ゆっくりと時間をかけ丁寧に石臼で挽かれ、豊かに流れる宇治川の水で点てたお茶と共に栄西・明恵千利休を祭る祭壇に供えられました。

もともと「薬」として日本にもたらされたお茶。飲むことで天と地の恵みを身体に取り込むだけでなく、それを取り巻く工芸品や、周りの人々や自然とのコミュニケーションをも発展させてきた「喫茶」は、万国に通じる普遍的な文化です。
禅の思想と融合して自己を見つめる「茶道」は、もはや他国に逆輸入されていると言っても過言ではありません。

興聖寺の茶席に掛けてあった言葉は「旦座喫茶(しゃざきっさ)」。
「ちょっと座って、お茶でも飲みましょう。」一杯のお茶でも、奥深いですね。

松ヶ崎題目踊り

8月18

yusen 五山の送り火の一つ、「妙法」の間にある涌泉寺にて日本最古とされる題目踊りとさし踊(京都市登録無形民俗文化財)が営まれました。
現地に着いて驚いたのは、涌泉寺境内から「大文字」が綺麗に見え、しかも周りには殆ど人が居ないということ。これならば、「妙」の送り火の点火を見届けたら「法」の見えるところまで移動し、そのまま涌泉寺で題目踊りが始まるのを待ちながら「大文字」が下火になっていく様を静かに眺める、という三つの送り火を拝む事ができますね。

独特の節回しの題目を唱える男女、兵児帯を揺らす子供たちやGパン姿の青年たちが一つの輪となって、約1時間にわたり踊り続けます。
揃いの浴衣の背に染められた「妙法」の山には、700年もの間踊りを受け継いでいた誇りと、同じ地域に暮らす人々が集う喜びが現れているかのようでした。 動画はこちら

中国風の精進料理

7月5

haku

宇治の萬福寺門前にある「普茶料理 白雲庵」。もとは万福寺の塔頭であったことから、大きな酒樽で作られた茶室には白雲庵の開山・自悦禅師の木像が安置されています。

隠元禅師より伝えられたという中国風の精進料理・普茶料理は見た目も華やか。
品数も多く意外にボリュームがあって満足感があるので、外国人客へのおもてなしにも利用させて頂きましたが、見た目からは何でできているのか日本人でも想像がつきません!より良いガイドをする為には、あらかじめ少人数で訪れてお店の方に色々と解説を受けておくのも良いかもしれない、と感じた覚えがあります。

少量ずつ取り分けられ淡白な味かと思いきや、噛み締める度にひと品ひと品が丁寧に作りこまれているのが伝わってきます。
来客用のお精進ではありますが、時間の流れがめまぐるしい現代において私達は「過去」や「未来」に目を向けがちですが、「今この瞬間」に感謝をして、大切に味わう事こそ今必要な修行の様な気がします。

2011年7月05日 | お寺, お店 | No Comments »

鞍馬寺・竹伐り会式

6月21

take鞍馬寺・竹伐り会式に行ってきました。

開始直前に現地入りしたため舞台に近づけず、撮影は困難を極めましたが、青竹が大きなかけ声と共に次々と切られていく様は爽快。本当に厄が祓われていくようです。

終了後はパワースポットとしての人気のためか、多くの人が貴船へと続く山道へ消えていきました。
なお、鞍馬寺の本堂金堂から霊宝館までは登りの階段を含めて約100メートル、霊宝館から奥の院までの道のりはおよそ登りで15分下り15分、更に貴船まで抜けるなら1時間、そこから叡電「貴船口」駅まで徒歩20分とのこと。

鞍馬温泉に浸かり、鞍馬寺をお参りした後で明るいうちに(木陰のため16時以降は暗くなります)貴船まで歩き、川床でせせらぎを聴きながらお食事、蛍鑑賞でシメ!なんて健脚コースはいかがでしょうか。

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