e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

芸大生の京都生活

3月2

京都造形芸術大学の卒業制作展「日常への接触」を観に行って来ました。

日本画や陶芸に建築模型、鏡台に貼られた付箋に残る女子の本音、リクルートスーツ、掃除をした自分の部屋の写真などなど、それぞれの作品は4年間の学生生活の軌跡。
かつては見向きもされなかった学生の作品も、最近では現代アートの人気が世界的に高まり、美術商による学生のスカウト活動が増えたといいます。そのためか、傍らに名刺が置いてある作品がたくさんありました。

一目で惹きつける作品か、かみ砕いて味わう作品か、古典か先鋭か…感性というものは評価が難しいですね。

京都清宗根付館

2月16

壬生寺への道中、「京都清宗根付館」に入ってみました。

おにぎりやルーペ越しに観る人形、象牙のドクロなど、付属品というよりも、むしろ独立した工芸品の様な、精密かつ膨大なコレクション。その数もさることながら、風格ある武家屋敷のお座敷にテーブルを配置した応接間、おくどさんを残す台所、お庭も手入れがされており、展示ケースも漆塗りの和箪笥風デザインで、空間にも粋を感じました。

次回の開館は春季期間の4月いっぱいですが、壬生狂言とセットで立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

時には「後ろ向き」に

1月20

新年初の茶会、初釜を終えました。

昨年は段取り良く準備できなかった事を今年はできるようになったか、できないままでも少しは進歩したか、毎年同じ催しに参加していると自分の成長具合がよく分かります。
お茶の稽古に限らず、「毎年同じ頃に同じ事をする、同じ場所に足を運ぶ」習慣を持って、一年ごとの自分を振り返ってみるのはいかがでしょうか。

オフシーズンの禅寺は、クールダウンしたい気分に応えてくれます。

 

大河内山荘・夜間特別開館

12月16

月香亭

嵐山花灯路の賑わいの中、大河内山荘は人の姿もまばらで、ライトアップされた建築や庭園の他、月香亭からの夜景(流れ星も発見!)も楽しむ事ができました。
丹下左膳などで知られる昭和期の時代劇スター・大河内傳次郎が建てた持仏堂が前身で、当時の彼はまだ34歳という若さ。
戦前の大スター時代の出演フィルムは、多くが完全な形では残っていないといいます。
この山荘は、消える事の無い永遠の美と禅の境地への憧れであると共に、フィルムの代わりとなって大河内傳次郎の持つ美意識と生きた証を今に伝えるものなのかもしれません。

生きているだけで

10月28

智積院・利休好みの庭

智積院・利休好みの庭

先週末に智積院で行われた嵯峨御流の華展。朝から多くの人が訪れ、昼頃には行列が。
金堂内の部屋を余す事なく和花・洋花が彩り、今月初めに奉納されたばかりの、日本画家・田渕俊夫氏の襖絵も拝見する事ができました。
長谷川等伯親子によって描かれたという国宝「桜楓図」の障壁画も観賞しましたが、境内のあちこちに生けられ生命力あふれる花々に勝るものではありませんでした。「生きている」というのはそれだけで素晴らしい事なんですね。
10/30~11/1は京都の若手華道家たちによる『京都新世代いけばな展 2008・公館にいける』の後期が重要文化財・京都府庁旧本館で開催されます。

清水焼の手榴弾

9月22

手榴弾の花入れ

手榴弾の花入れ

画像の花入れ、元はなんと手榴弾だったのだそうです。購入された方も、お店からそのエピソードを聞いて驚いたとか。
戦時中、金属資源に窮した日本が、陶器で手榴弾や爆弾、地雷等を製造していたという話を耳にした事はありましたが、兵器を花器として見立てる茶人の発想、おそるべし。

一方、明治期造営で、京都市内最大規模の登り窯を今に残す藤平陶芸が清水焼の産地にあり、戦況下のここも例外ではありませんでした。
この窯は、大気汚染防止法等の規制によりガスや電気窯に取って変わってからは、コンサートや講演の会場としても活用されていましたが、今後は隣接地に開校予定の教育施設の一部となり、京焼・清水焼の遺産として活用されるそうです。
人が人として最後に残せるものは、文化なのかもしれませんね。

2008年9月22日 | 芸能・アート | No Comments »

源氏香の見方

7月2
「初音」の源氏香

「初音」の源氏香

志野流香道二十世家元・蜂谷宗玄さんの講演会「香道と源氏物語を聴き行ってきました。
お馴染みの「源氏香」という幾何学的な模様の意味は、例えば「初音」の場合は、横の線で繋がっている右から2番目と4番目、3番目と5番目に聞いたものがそれぞれ同じ香りである事を示しています。
「香り」は源氏物語の世界にもゆかりが深く、「梅枝」や「胡蝶」の帖にも香あわせや組香が登場しており、ストーリーとの関連性があるとのこと。
室町時代の戦乱期を経て、江戸初期になり王朝時代への憧れが、源氏物語の再評価や、香道の大成に繋がったようです。

2008年7月02日 | 芸能・アート | No Comments »

太夫さんの写真

9月10
太夫さんの写真

太夫さんの写真

『二夜連続ドラマスペシャル「輪違屋糸里」~女たちの新選組~を観ていて、ふと大阪・心斎橋にある老舗の喫茶店『麓鳴館』を思い出しました。
珈琲が似合うレトロな空間に、なぜか太夫さんの写真。
問い合わせたところ「棚橋紫水さんという有名な写真家の撮影で、松扇太夫…という名前だったでしょうか」とのこと。
JAZZやリュートのライブを定期的に行うお店なので、あらゆる芸や教養を極めた太夫を仰ぐ気持ちが込められているのでしょうか。

石峰寺で聞いた鶏の鳴き声

6月11
石峰寺

石峰寺

相国寺で3日まで開催していた伊藤若冲展。入場1時間待ちは当たり前という人気でした。その若冲が晩年を過ごしたといい、彼のお墓がある石峰寺を訪れました。
若冲が下絵を描き、石工達に彫らせたと言われる石仏群・五百羅漢の庭を一人で歩いていると、鶏の鳴き声が。
「なるほど。鶏マニアだった若冲ゆかりのお寺だけに、飼われているのかな?」と思い、帰り際に寺の方に尋ねると「え?そんな鳴き声聞こえましたか?うちでは鶏は飼っていませんが…」との答え。
じゃあ、さっきの鳴き声は…。

2007年6月11日 | お寺, 芸能・アート | 1 Comment »

藤舎名生×山下洋輔

2月26
藤舎名生と仲間たち

藤舎名生と仲間たち

プレゼントページでもご紹介した「古典芸能公演~伝統と創生~藤舎名生と仲間たちに行って来ました。
藤舎名生氏は、600年前に猿楽の笛の名手と言われた 「名生」の二世を襲名されていますが、ここ最近は「笛の音が出ない」という状態に悩まされていたそうです。
そこで名生氏は鞍馬の山に登り、奥の院にて自然からのエネルギーをもらったためか、今回の演奏では全く緊張しなかったのだとか。
ご子息である秀亮君の、まっすぐで力強い太鼓とも共演し、ジャズピアニストの山下洋輔氏と「風」をテーマにした即興セッションでは、地を這っていた2つの音が絡み合い、まるでつむじ風のように舞い上がり、そして音が消えた頃には、お二人とも笑顔になっていました。
(※情報は掲載された当初のものです。ご了承下さい※)

2007年2月26日 | 芸能・アート | No Comments »
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