それぞれの復興を願う祇園祭
祇園祭の山鉾巡行で清められた街を神輿が巡り、24日の環幸祭まで四条寺町の御旅所に鎮座されています。
今年は休み山の大船鉾が祇園祭山鉾連合会の正式会員となり、後祭巡行を復活させる為の検討部会も新たに発足されるなど、祭においても「復興」の気運が高まりました。
宵山の日に、居祭をしている布袋山を通りがかりました。
布袋山保存会の川島義明会長曰く、布袋山に関連する古い判子が見つかったのだそうです。
今年はその意匠を厄除けの御守りとして、粽と並べて販売されていました。
山を建てる宮大工さんも居られ、復興に向けて少しずつ確実に歩まれている事を嬉しく思いました。
31日の15時からは、八坂神社にて平成女鉾清音会によるお囃子の奉納があります。
創作和菓子が食べられるお店
畳の上でなくても、お薄と和菓子が欲しいな、と思う時ありませんか?
季節を繊細に映した伝統的な和菓子も好きだけど、見たことも無いようなお菓子に出会えるお店を紹介します。
数寄屋風カウンターが粋な「SOU・SOUしつらい」では、懐紙代わりに敷かれたオリジナルテキスタイルとお菓子が一体となって一つの作品に仕上がっています。
錦天満宮の湧き水で淹れられたコーヒーやお抹茶と共に楽しめます。
平野神社近くにある「エポケカフェ」。蚤の市を開いたり、併設のギャラリーのテーマに合わせて店の内装まで変えてしまうというキャンバスの様なお店です。
こちらで食べられるのは、京の老舗和菓子店で培った伝統技法をベースに、自由な発想で遊び心のある作品を日々生み出している創作和菓子ユニット「日菓」のお菓子。
こちらでは、ゆらゆら揺れる“ブランコ席”がおすすめです。
山蔭祭・生間流式包丁
吉田神社の境内、料理飲食の神を祀る山蔭神社で生間流式包丁が奉納されました。
料理店や業界関係者が静かに見守る中、美しく研ぎ磨かれた庖丁刀と箸が辺りを清めるかのように厳かに宙を舞い、それから一切手を触れる事無く鯉や鯛をさばきます。
頭部と大きな背骨だけがするりと身から引き抜かれ、まな板の上で横たわっていたところを、最後の包丁ひとふりで立ち上がらせる技はお見事。
世界に誇る京都の食文化が、自然の恵みと職人達の熟練技によって支えられている事を改めて実感させるものでした。
今後の式庖丁の奉納予定は、「有職料理・萬亀楼」のH.Pに掲載されており、当店では予約制で食事の前に式庖丁を見学(有料)する事ができます。
助け合うため「違い」を持って生まれた
職種や得意分野を活かした被災地支援は、人それぞれに違う特性を持っているからこそ、他者には思いつかない角度からの活動ができると思います。
中には「私は体力も無いし、医学の知識も無いし、人々の心に寄り添う唄を謡う事もできない。義捐金を寄付しただけでは何だか申し訳なくて…」。被災地の現状を聞く度に罪悪感を覚えている人も多いと思います。
たとえ「祈ることしかできない」状況だったとしても、この時目で見たこと、感じたこと、学んだ教訓を後々に次世代へと語り継いでいけばいいのではないかと思います。
もうすぐゴールデン・ウィーク。金剛能楽堂や国立京都国際会館などでは、チャリティー・イベントが開催されます。ぜひ幅広い年齢の人々に参加してもらいたいと思います。
色んな支援のかたちがあります。
増田屋ビルの月市
増田屋ビルで毎月行われる「月市」に行って来ました。
築50年程のレトロな5階建てビルの中に、工房を兼ねたアクセサリーショップや陶芸教室、靴屋等が入居しています。もちろん、実際に生活している人も。
このビルを訪れたのはおよそ8年ぶりでしたが、独特の品揃えのマニアックな古書店「書肆 砂の書」も健在でした。
「ここは開店してるのかな?あ、鍵がかかってた!」と、薄暗い各階の扉のノブをドキドキしながら回すちょっとしたスリル。お店の人との会話も楽しんで欲しいところ。
特に「HappyRock!! slow design」(土日営業)の、ころんとしたフォルムの家具や小物は、思わず誰かに贈り物をしたくなります。
ギャラリーアンテナでの「江口寿史ポップアート展」は4/10(※ 月曜休)まで開催しています。
古都仕様のパイプオルガン
「オムロン・パイプオルガンコンサート・シリーズVol.43」を聴きに行ってきました。
京都コンサートホールのパイプオルガンは、西日本最大、国内最大級の規模で、世界初の試みとされる尺八、笙、ひちりき、篠笛といった伝統的和楽器のストップ(音栓)も備えており、中央に見られる竹製パイプがユニークです。
客席近くにも設置された遠隔演奏用のオルガンを使った日本の歌の即興演奏もあり、奏者が指先からつま先に至るまで、全身を使って多彩な音色を操る様は圧巻。約2時間で9曲も聴く事ができ、本当に1,000円という料金でいいんだろうか?と思ってしまうほど。
クラシック・コンサートは高いものだと思っていましたが、意外に気軽に聴きに行けるプログラムもたくさんある事を知りました。
空気を震わす荘厳な重低音と、柔らかく清らかなオルガンの音にこの身を絡め取られて非日常の世界へトリップ、そして終演後に北山界隈のカフェで楽しむケーキとお茶の時間。
これはやみつきになりそうです。
岡倉天心『茶の本』
岡倉天心が西洋の読者へ向けて、茶道を通して日本文化を紹介した『茶の本』。
何年も前に初めて読んだときは、十分に理解していないまま内容も殆ど忘れてしまっていました。
『まんがで読破 茶の本』は1時間足らずで読み終えてしまいましたが、漫画オリジナルの身近なキャラクターを通して上手くまとめられており、これまでの自らの経験も手伝って、やっと「腑に落ちる」というところまで到達できたような気がしました。
日本文化が見直されているとはいっても、まだまだ「和風」の域を出ていないのでは。
現代を生きる日本人に宛てた警鐘の様にも思えます。
意外にも、原作は英文版と注釈を入れても文庫本一冊に収まる程にコンパクト。
もう一度、原作の方も読んでみたくなりました。
唐長のある暮らし
「美の息づかい 唐長のある暮らし」展が京都駅ビル2階の「京都セレクション」で開催されています。
2種類の唐紙を継ぎ合わせた新作『Love額』は、トトアキヒコ・千田愛子夫妻による合作で、丸や四角型の中に唐紙の持つ繊細さや強さ、明るさやピンと張られた緊張感なども感じます。
家の壁紙を貼り替えるには思い切りが必要ですが、小物からだと取り入れやすいですね。
唐紙をあしらったペンダントランプ等のインテリアは、和室・洋間を選ばず空間に溶け込みつつも沈む事もなく、上品な華やかさを放ちます。
初釜用に、双葉葵模様がうっすらと入った懐紙を買いました。いつも通っている稽古場の襖にも唐長さんの襖が入っています。
茶席で懐から畳の上へ、そっと載せる瞬間を思い浮かべると、今から楽しみです。