e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

今井食堂のさば煮

4月9

imai 週末の台風の様な風が吹いた後、京都の桜はどうなっているでしょうか?
桜の定点観測のため加茂川沿いの道を走っていると、散り始めた桜がひらひらと空中を流れてきました。
ソメイヨシノの花はもう半分程になってしまいましたが、半木の径のベニシダレザクラや上賀茂神社境内の斎王桜、みあれ桜等は強風にもめげずに見事に咲き誇り、道行く人々を喜ばせていました。

門前の神馬堂で焼き餅を買おうと思ったら、お昼前にして売り切れ!しかしそこでタダでは帰りません。そのまま道なりに進んで、昔ながらの「今井食堂」(075-791-6780)で名物の「さば煮(3切れ500円)」を買ってみる事に。
平日でも少しだけ待ちましたが、帰宅して早速お昼のおかずとして頂きました。どこに骨があるのか分からない程柔らかく炊かれた鯖は、しっかりと味が染みこんでいながら塩辛いという事もなく、どこかニシンそばに似た味がしました
総菜屋に売られている様な濃くて甘い味付けが苦手な人にもおすすめです。
お弁当の持ち帰りもできるので、近くの加茂川の桜吹雪と芝生の中で食べる事もできそうですね。

遅咲きで知られる仁和寺の御室桜もただ今見頃とのこと(公式ホームページで咲き具合を告知しています)。
週末までもってくれるといいですね!

東寺・夜桜ライトアップ

4月1

toji 東寺で夜桜のライトアップ。「京都駅に寄ったついでに撮影して帰ろう」くらいの気持ちで向かったのですが、五重塔を背にした「不二桜」を目前に立ちすくんでしまい、しばらくその場から動けなくなってしまいました。
まるで噴き出す水の流れを一瞬止めてしまったかの様に見事な八重紅枝垂れ桜。
東北・盛岡の生まれだというこの桜の大木を目で追うと、土から養分を吸い上げ、空目がけてまっすぐに伸び、やがて徐々に枝の力を緩めて再び土の方へと戻っていく。
この世に「気」というものがあるとしたら、それが目に見える形になったものが植物の姿なのではないでしょうか。住む場所が変わっても、眺める人が変わっても、繰り返される命。
ただただ毎年花をつけて、生き続けてきただけなのに、これだけ多くの人の心を動かし、スポットライトを浴びている事に、桜自身も驚いているかも?
「不二桜」を噴水や滝に例えるなら、瓢箪池の東側の桜並木は綿花のようで、まるで五重塔が気持ちよさそうに泡風呂に入っているかのようでした。

山中油店

3月25

yamanaka 自転車で西陣を通り抜けるとき、わざとジグザクに進んで町並みの風情を楽しんでいます。そこには普段着のままの、暮らしが垣間見える京町家が静かに佇んでいるから。

醤油屋から分家した「山麹」の暖簾と水車、鯉が泳ぐ池が目印の「山中油店」は、創業した江戸後期には灯明用の菜種油を商い、現在では食用油の他にも美容用の油や、塗装用油を扱う専門店です。
化学溶剤を用いず昔ながらの圧搾法にこだわった紅殻(べんがら)や荏(え)油などの自然塗装油は、木材の呼吸を妨げず、手入れにも使用する事で美しい木目や艶、色味や香りを際立たせ、住宅のみならず祇園祭で登場する各山鉾の車輪などにも使われているとのこと。
また、シックハウス症候群を心配する人々からの需要も増えているといいます。
化学物質を一切使わず紅殻や荏油、柿渋を用いて改修した町家は、「町家ゲストハウス」や「ショップ&カフェ綾綺殿」で体験できます。なお、綾綺殿は4月1日より平日の夜も営業されるそうです。

2013年3月25日 | お店, グルメ, 町家 | No Comments »

よしもと祇園花月

3月18

kagetu 八坂神社のお膝元にある「よしもと祇園花月」。その祇園花月が入っている祇園会館は、入り口によしもと京都限定グッズが販売されている他は外観も内装もほぼ変わっていないので、かつて二本立て映画館として親しんできた京都人にとしては、ほっとします。
お弁当「よしもと祇園御膳」を予約する事もできますが、好きな食べ物、飲み物を持参して観劇できるスタイルもそのまま。
おなじみの新喜劇や漫才・落語といった本公演の後に、手頃な料金でナイトトークショーが行われる日も。
やはりテレビとは違って芸人との距離が近く、囃し声が舞台に届いたり、また観客にもツッコミが入ったり。そんなやりとりもまた一興。
その日その日に入っている客層を意識して話題を変えてみたり、ハプニングも笑いに変える臨機応変な話術は、息遣いさえ聞こえてくるようで、「あっほやなあ~」と笑いつつもその芸人魂を感じずにはいられません。
最近パソコンやスマホの画面ばかり見ている貴方!表情筋、使ってますか?お腹から笑っていますか?
笑いは自身の免疫や自律神経のバランスを整えるといいます。心身のサプリメントに生ライブ、いかがでしょう?

2013年3月18日 | 未分類 | No Comments »

ジオラマレストラン&居酒屋バー デゴイチ

3月11

d51 祇園にある大人の遊び場
エレベーターの扉が開くと、目の前に広がる日本最大級のHOゲージ鉄道ジオラマ。
外では東山花灯路が始まったばかりというのに、夕方の店内は意外に空いていました。
17時を過ぎると夜景モードに。山には京都ならではの“アレ”が灯り、寝台列車が走り始めました(気になる紳士淑女は、ご自身の目で確認を…)。
駅弁をオーダーし、懐かしのプラスチック容器に入ったお茶を飲みながら見渡せば、「鉄ちゃん」同志のグループが酒盛りをし、また、一人で持参した車両をメンテナンスしながら自由に走らせて楽しむおじさんも。
ボトルキープではありませんが、自分の車両を預かってもらう事もできるようです。
アルコールが回ってきたら、そろそろ運転タイム。おもむろに制服に袖を通し、車両からの眺めをモニターで確認しながら、巧みな手さばきで出発進行。
なお、同じビル内には「キッズデゴイチ」もあり、祇園というロケーションながら、家族で楽しめるお店です。

2013年3月11日 | お店 | No Comments »

『熊野(ゆや)』と「地主桜」

3月4

yuya 世阿弥の娘婿・金春禅竹の作とも言われ、能を代表する曲の一つ『熊野(ゆや)』。
能楽金剛流宗家の長男・金剛龍謹さんによる「龍門之会」で初めて鑑賞しました。

故郷にいる母の病を案じながら、清水での花見の宴で舞い、勤めを果たす平宗盛の愛妾・熊野。
面はわずかにうつむき、心の曇りを写しだしているかのようです。
鼓の音が突然の村雨を表し、雨に打たれて散る桜を母の姿に重ね、扇で受けとめる情景が美しい。
翌日、『熊野』に登場する「地主桜」があるという地主神社に足を運んでみました。
清水の舞台の近くにあり、なおかつ縁結びのパワースポットとして人気の神社のため、若い女性や外国人旅行者で混み合う中で、
『熊野』の村雨降る感傷に浸る事は叶いませんでしたが、「えんむすび祈願さくら祭」でも謡曲「熊野」を聴く事ができるようです。

地主権現の、親と子の縁を結ぶ働きのためか、宗盛から帰郷の許しを得た熊野。無事に母の顔を見る事はできたのでしょうか。

おひなさまの思い出

2月26

hina 幼稚園の頃、友達の家の立派な段飾りを前に、ちらし寿司でお祝いをしたり、娘が保育園で折り紙で折って来たひな人形を壁に貼ってみたり、玄関に立ち雛を置いてみたりと、女性の数だけそれぞれに思い出があると思います。
子供の頃は、お内裏様の刀を鞘から抜いて錆びさせてしまったり、首を引っこ抜いてお人形さんの髪をボサボサにしてしまったり、随分とイタズラもしてしまいました。
おひなさんの頃に小学校を休んだとき、妹が給食で余った菱餅を家に持って帰ってくれた事もありました。
昔はひな人形を出すのもしまうのも母親任せにしていましたが、厄払いの意味もある事を知って以来、自主的に飾り付けたり、片づけたりするようになりました。
母親の言いつけ通り、おひなさんを出したら、まずはお水とお菓子を供えます。
もしかしたら、母も祖母からずっとそう言われて来たのかもしれません。
女の子たちの成長を見守り続けて来たおひなさん
今年はおひなさんが日曜日なので、親子で料理をしたり、ワインを片手に女子会で盛り上がったりできそうですね。

2013年2月26日 | イベント | No Comments »

釘抜地蔵

2月18

kugi 弘法大使の開基と伝わり、「苦抜(くぬき)地蔵」から後に「釘抜(くぎぬき)地蔵」と呼ばれるようになったという石像寺を訪れてみました。

お寺の入り口には、「あなたのこころの悩みを話してみませんか 住職が聞かせていただきます 共に道を探しましょう」との手書きのメッセージ。
観光地化、博物館化してしまっている寺院も多い中で、この様に門戸が開かれていると何だか心強いですね。
境内にはご近所さんらしき親子やおばさん、背中を丸め、胸の前でお線香を大切そうに携えてお千度参りをしている老夫婦の姿もありました。
お堂の外壁には、釘抜と五寸釘がついた絵馬がびっしりと貼りめぐらされています。
それだけ昔から人々は様々な苦しみに悩んで来たのだ…と思いながら近くで見てみると、それぞれの絵馬には「御礼」の文字が。

ここをお参りし、精進してきたことで苦しみから解放された人々が、これだけたくさんおられるという事でもありますね。

うどんミュージアム

2月12

udon 昨年12月に祇園にオープンした「うどんミュージアム」に行ってきました。

元料亭などであった町家4軒分を改装した内部は、坪庭を中央に大小様々な各お座敷が配置されています。この重厚感は、新たに作ろうとしてもできるものではなく、かつては三味線の音でも響く雅な空間だったのかもしれないと思うと、ちょっぴり哀愁も感じてしまいますが…。
麺の幅が10cmもある群馬県桐生の「ひもかわうどん」等の人気の三品が食べられる「食べ比べセット」と、単品メニューのそれぞれ半量サイズを注文し、二人で計6種類のうどんにチャレンジ!!
麺は程よい案配に茹でられ、だしやつゆもそれぞれ個性があり、かつおの香りがじんわり漂って、良い素材でちゃんとひかれたものである事が伝わってきました。

祇園四条駅から近く、手頃な和食と元料亭の風情を味わえるので、今後は外国人観光客からも人気が出そうな予感です。

平安神宮・節分祭

2月5

daina 旧暦によると、立春は一年の始まり。その前日の節分は大晦日に当たり、この頃に年賀状を送る人もいます。
汗ばむような陽気と快晴のもと、京都の各地が節分祭で賑わい、平安神宮では宮中で行われていた年中行事「追儺式」を再現した「大儺之儀(だいなのぎ)」が行われました。
大極殿下斎場にて、方相氏や陰陽師、殿上人らが四方を祓い清め、邪鬼たちを退けてめでたしめでたし…と思いきや、今度は応天門から茂山社中の扮する邪鬼たちが再び境内に侵入!
舞いながら観客を大声で脅かし、あちこちから悲鳴(むしろ歓声?)が涌きます。
そこで裃姿の年男・年女や芸舞妓が福豆を鬼たちにぶつけて応戦、今度は完全に追い払いました。
それだけ、年男や年女には困難を打破するパワーに満ちあふれているという事でしょうか。
両手を広げ、大騒ぎで福豆を拾った後は、全国の崇敬者からの祈願が集められた「火焚串」約4万本を焚き上げる浄火を静かに眺めます。
天まで届け、みんなの願い。寒い風の中にも暖かな日差しを感じて、春の第一歩です。

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