e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

清浄華院の泣不動

11月5

shojo 

 秋の非公開文化財特別拝観で公開中の清浄華院に行って来ました。

数多くの寺宝の中で個人的に最も印象的だったのが、泣不動尊と「泣不動縁起絵巻」でした。
それによると、三井寺の智興上人が死病に陥ったとき、最も年若の弟子・証空が自ら名乗り出て、陰陽師・阿倍晴明の祈祷により、その身代わりとなりました。
病の苦しみに耐えかねた証空が不動尊の画像に助けを請うと、夢に現れた不動明王は血の涙を流して証空の身代わりになると宣言します。
あの世では、証空の代わりに鎖に繋がれた不動明王がやって来て、閻魔大王はびっくり。逆に閻魔さんが平伏します。
こうして智興上人も証空も不動明王も助かり大団円。後に証空は高僧となって三井寺塔頭・常住院を開いたそうです。

背後にメラメラと燃える火焔を背負った不動明王は一見強面ですが(ちなみに縛られている間もメラメラ燃えています)、その表情は愛のムチとも言えるお叱りの気持ちのあらわれ。
右手に剣を、左手に羂索という縄を持ち、全ての障害や悩みを打ち砕くという心強い仏様です。
とりわけ涙を流して身代わりになるとは、なんとも情にアツい仏さまではありませんか。

特別公開は8日までですが、清浄華院の不動堂では8月を除く毎月28日に護摩供養会が行われており、誰でも参加できます。
お不動さんが、昔から多くの人々に親しまれてきた事が伝わって来ますね。

カカオマーケット バイ マリベル

10月28

cacao 秋になるとチョコレートが食べたくなるのはなぜ?今年9月にオープンした「カカオマーケット バイ マリベル」には、早々に足を運んでいました。
小規模ながら外観と内装もアンティーク風の凝った造りで、中央のオブジェは、天井を舞う天使たちの足元から白茶のチョコレートが滝の様に流れ落ち、燻した金のハンドルを回すと、艶やかなチョコボールが溢れ出てくるという夢のような仕掛けです。

お買い物やテイクアウトがメインのお店ですが、屋内と外には少しだけ席があり、目前にある祇園白川のせせらぎを聴きながら軽食を頂くこともできます。
オーダーしたホットチョコレートが小さな小さな紙コップで出されたので驚きましたが、その味はまったりと、舌で重量を感じる程に濃厚。普段チョコレートを食べていて余り気にする事が無かったけれど、改めてカカオ豆の存在を意識した風味でした。
傍らに用意されているミルクで自由に注ぎ足せるのが嬉しいところ。

運良く席が空いていれば、来年は川面を染める桜を眺めながら、「お花見カカオ」を楽しめそうです。

2013年10月28日 | お店, グルメ | No Comments »

旧武徳殿

10月23

butoku 22日に時代祭が行われた平安神宮を中心に、美術館や図書館、イベントホールなどが立ち並ぶ岡崎は、京の文化ゾーンと言えます。
その中で、観光スポットでないゆえに、ちょっと足を踏み入れにくかった武道センターで、先日「形柔道」の世界選手権が日本で初開催と聞いて、潜入してみました。

武道センターの隣にある旧武徳殿は、国内唯一の武道の専門学校だったもので、平安宮の大極殿を模し、今では入手不可能とされる巨大なヒノキ材を用いて建設された明治期の大規模木造建築で、国の重要文化財に指定されています。
「平安道場」とも呼ばれるこの旧武徳殿は、平成19年には東儀秀樹さんによる雅楽のチャリティコンサートが開かれるなどの保存運動の甲斐あって、老朽化や修復の維持管理困難による廃棄処分の危機から逃れ、青蓮院の将軍塚に移築、大護摩堂として再生される事が決まっています。平成26年7月の完成を目指して工事が進められているそうです。

なお、現在の旧武徳殿の外観だけは自由に見学する事ができます。

日本と中国

10月15
manpuku

宇治の黄檗山万福寺

 初めての中国旅行から帰国しました。
最近の政治情勢から、現地の中国の人々と上手く交流できるかちょっぴり心配でしたが、それは全くの杞憂に終わりました。
とりわけ台湾の対岸に位置する福建省の廈門市は、昔から茶葉の貿易で栄えた街で、お茶に関するお店や喫茶文化が盛んな土地柄だったため、日本茶道のお点前を簡単にお披めしたところ、現地の人々は興味津々!
もともと緑茶も紅茶も麺類も中国から世界に広まっていったもの。共通の文化が世界各地で独自の文化に育ち、それがまた互いを惹き付ける潤滑油となっているのです。
一碗のお茶という文化を挟んで、賑やかで楽しい時間が流れていきました。

出国直前に、万福寺での「月見の煎茶会」に参加してみましたが、今年没後250年を迎えた煎茶道の中興の祖・高遊外売茶翁は、自ら僧籍を離れて庶民にお茶を売り、振る舞いながら禅の教えを説いたといいます。その境地に少し触れられたような気がしました。
世界平和のための秩序は必要ですが、もっと大切なのは、相手をもっと知りたいという気持ちや、互いの違いを理解しようと歩み寄る姿勢なのではないかと思います。

式年遷宮

10月3

jingu 20年に1度、新しい本殿に神様が遷られる「式年遷宮」が、伊勢神宮で行われました。
式年遷宮まめ知識
第六十二回神宮式典遷宮記念切手
多くの人々の信仰を集めている神宮。京都にも伊勢神宮にゆかりの場所があるのでは?と思って調べてみたら、やはりありました。

まずは京都府内で「元伊勢」と呼ばれる元伊勢内宮皇大神社、天岩戸神社と元伊勢外宮豊受大神社(いずれも福知山市)や、 籠(この)神社(宮津市)。
伊勢神宮の御祭神が、現在の三重県伊勢市に鎮座するまでに一時的に滞在し、祀られたと言われる場所です。
京都市内で伊勢神宮に関連があるのは、日向大神宮野宮神社斎明神社天道神社。掘り下げれば、まだまだ発見があるかもしれません。

同じく平成25年に式年遷宮を迎えた出雲大社は60年に1度というように、期間は異なるものの、かつては殆どの神社で遷宮が定期的に行われていたそうですが、経済的事情、用材や職人確保の問題で、継続はなかなか難しいようです。
そんな中、上賀茂神社下鴨神社も平成27年の式年遷宮に向かって動き始めています。

「式年遷宮」には社殿を新調し神域を清浄にする、宮大工の技術を継承する等の意味を持つとされていますが、日本人の信仰心や国民性を改めて意識する機会の様な気もします。
古いのに、新しい。変わらないようでいて、まっさらになっていく。なんだか不思議な儀式です。

お月見女子会

9月30

13 2013年の十五夜(9月19日)は、「FORTUNE GARDEN KYOTO(フォーチュンガーデン京都)」のスカイバー(今季は終了。来年は5月からの予定)でお月見女子会でした。
武田五一によって昭和初期に建てられた島津製作所旧本社ビルが前身で、竹林のふもとを鯉が泳ぐ1階のテラス席は、昼間に訪れても気持ちが良さそうです。

この十五夜のお月見の慣習は中国に由来するものですが、旧暦の9月13日(2013年は10月17日)を「十三夜」として月を愛でるのは日本独自のもの。「十五夜」と「十三夜」は対をなすもので、片方だけを観ることを「片見月」として忌み嫌われていたそうです。
しかし、それが何故縁起が悪いのか疑問に思っていましたが、どうやら江戸時代の遊女らが、客の再来を促すためにその様な慣習を語っていたようです。
それでも、「来月はポイント何倍!」とか「次回来店時には何割引き!」と言うよりかは幾分風流かもしれませんね。

食事の後は屋上のソファ席で尽きないおしゃべり。うっかり終電を逃しそうになりました。
10月の満月は19日の週末です。今度のお月様は、どこぞで愛でましょう。

2013年9月30日 | お店, グルメ | No Comments »

お寺でトイピアノ演奏会

9月24

piano 大徳寺玉林院でのトイピアノ演奏会に行って来ました。
40cm四方くらいの小さな小さなピアノは、おもちゃとは思えない程、音の鳴り始めは金属の様に澄んで鋭く、その後はコロコロとした丸みも感じるような、やわらかな響き。それは、木琴のものとも、オルゴールのものとも違う繊細な音色でした。

ここが会場となった経緯には幾つかの理由があり、まずは京都出身のピアニスト・寒川晶子さんが玉林院の保育園に通っていたという縁のほかに、「トイピアノの為の組曲」を作曲したアメリカの音楽家・ジョン・ケージ氏が、コロンビア大学で仏教学者の鈴木大拙氏に「禅」について学んだという共通点があります。
ジョン氏がそうであったように、即興演奏では本堂の外から聞こえてくる葉擦れや、にわかに勢いづいたかと思うと急に静まる蝉の鳴き声、観客席にいる赤ちゃんの声にも寄り添うかのように、じっと耳を澄ませながらの演奏が続きました。
ふと彼女の両手でトイピアノが本堂から縁側に持ち出されると、観客もつられて外に出て目を閉じ耳を傾けます。

「自然の中でピアノを弾いてみたい。」と話していた寒川さん。
グランドピアノに比べて持ち運びやすいトイピアノなら、夢ではないかもしれません。
京都のどこかでまた、こんなコンサートが開かれますように。

緑のなかで。

9月17

green この夏、京都府立植物園のすぐそばにオープンしたイタリアンは、その名も“IN THE GREEN(イン ザ グリーン)”。
目の前で生地が作られ、薪窯で焼くピッツァが味わえて、特にテラスでのBBQは涼しくなったこれからの季節に気持ちよさそうです。
そのテラス席の隅でワンちゃんがおとなしく座っていたので、もしかしてペットも同伴OKなのでしょうか?
思いのほか広くて席数が多く、喧騒の中でも人々がどこかリラックスして見えるのは、緑の芝生や木々から運ばれてくる風のせいでしょうか。
これが四方を壁に囲まれた空間なら、そうはいかなかったかもしれません。
お店のレジで入館料を払うと、そのまま植物園に入る事もでき、園内でウェディング写真撮影ができる「ガーデンウェディングパーティ」プランもあるそうなので、今後府立植物園とコラボレーションした面白い企画がどんどん生まれる事を期待してみたいですね。

「仲秋の名月」となる19日には、京都府立植物園で「名月観賞の夕べ」が、今週末の21、22日は上賀茂神社で手づくり市が行われます。

京友禅のワンピース

9月9

akika いつもは長引く夏の暑さも、今年の9月は意外にも早くから涼しくなって来たので、夏色の服はちょっと着づらくなってきたところ。
以前からレトロ柄か和柄のワンピースが欲しいと思っていたのですが、和柄や着物をリメイクした服はよく見かけるものの、
柄が過剰で派手だったり、センスが古かったりと、シルエットがきれいなものもなかなか見つかりませんでした。

でも、この秋出逢ってしまったんです。「AKIKA」の京友禅和柄ワンピース。
友禅染めの技術を活かしたアロハシャツで知られる「Pagong」のセミオーダーブランドです。
もみじや藤、菖蒲など四季折々の花々が一面に散らしてあるのに重い印象にならないのは、染めの発色の良さと配色デザインの妙でしょう。
画像では手持ちのベルトを合わせてみましたが、もともと軽いシルクでストンとしたAラインなので腰回りがカバーされ、
落ち着いた色味と流行に左右されない柄なので、幅広い年齢で長く楽しめそうです。

「AKIKA」の商品は西大路五条のPagong本店での扱いですが、一部は『Waこん』(075-256-8525)でも置いてあるそうです。

2013年9月09日 | お店, 和雑貨 | No Comments »

ロイヤルミルクティーのかき氷

9月3

milkt 前回に引き続き、名残のかき氷の話題です。

テレビ番組でフリーライター・関谷江里さんがオススメしているのを観て、とっても気になっていた、「ティーハウス リプトン・三条本店」の「ロイヤルミルクティのフラッペ」!!
1930年(昭和5年)に「リプトン本社直轄喫茶部 極東支店」として開店し、1965年に日本で初めて「ロイヤルミルクティー」(和製英語)を提供したのがこのお店なのです。

シャリシャリとしたフレーク状の氷がふんわりと盛られ、スプーンでかき分けると、磨いた琥珀の様な紅茶のゼリーが顔を出します。乗っているアイスクリームもロイヤルミルクティーかな??あっさりとしていて、紅茶ならではの味と香りが上品です。
冷たさで舌の感覚が麻痺してくるのを、温かい紅茶で取り戻しながら食べるのがおすすめ。
この氷、今年は9月の9日頃まで食べられる予定だそうです。

「冷たいものはもう…」という方は、40年以上レシピが受け継がれているという、ミルクで煮出した濃厚なロイヤルミルクティの味を楽しんでみて下さいね。

2013年9月03日 | お店, グルメ | No Comments »
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