清浄華院の泣不動
秋の非公開文化財特別拝観で公開中の清浄華院に行って来ました。
数多くの寺宝の中で個人的に最も印象的だったのが、泣不動尊と「泣不動縁起絵巻」でした。
それによると、三井寺の智興上人が死病に陥ったとき、最も年若の弟子・証空が自ら名乗り出て、陰陽師・阿倍晴明の祈祷により、その身代わりとなりました。
病の苦しみに耐えかねた証空が不動尊の画像に助けを請うと、夢に現れた不動明王は血の涙を流して証空の身代わりになると宣言します。
あの世では、証空の代わりに鎖に繋がれた不動明王がやって来て、閻魔大王はびっくり。逆に閻魔さんが平伏します。
こうして智興上人も証空も不動明王も助かり大団円。後に証空は高僧となって三井寺塔頭・常住院を開いたそうです。
背後にメラメラと燃える火焔を背負った不動明王は一見強面ですが(ちなみに縛られている間もメラメラ燃えています)、その表情は愛のムチとも言えるお叱りの気持ちのあらわれ。
右手に剣を、左手に羂索という縄を持ち、全ての障害や悩みを打ち砕くという心強い仏様です。
とりわけ涙を流して身代わりになるとは、なんとも情にアツい仏さまではありませんか。
特別公開は8日までですが、清浄華院の不動堂では8月を除く毎月28日に護摩供養会が行われており、誰でも参加できます。
お不動さんが、昔から多くの人々に親しまれてきた事が伝わって来ますね。