e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

わたせせいぞうが描く京都

6月10

watase 「この人の絵からは、いつも風が吹いてくる」。
漫画家であり、イラストレーターでもある、わたせせいぞうさんの絵を見るといつもそう感じます。

現在京都駅ビルで、画業40周年を記念した展覧会が開催されています。
華やかな色遣いで、グラフィックデザイン風の都会的な作風。さわやか過ぎるくらいに純愛なカップルや家族が登場するわたせ氏の作品ですが、鎌倉や京都等の四季の光景を鮮やかに紡ぎ出す作風でも知られています。
それは、京都が日本の四季折々の美しさをひときわデフォルメ(強調)している町である事と共通している様な気がします。
最新刊として紹介されている『アンを抱きしめて 村岡花子物語』は、朝ドラとの関連作品としての話題は勿論ですが、明治期以降の日本の風景をわたせ氏が描くとこうなるのか、と感じるはず。
とりわけ、空襲や戦後の廃墟を描かれる事は、とても珍しい事なのではないでしょうか。

ぜひ、大きな窓からの風を感じるように、原画を間近で観てみてください。

2014年6月10日 | 芸能・アート | No Comments »

京土産に大学オリジナルグッズ

6月2

haris 「知人への京土産に。」と頼まれて、同志社大学のハリス理化学館同志社ギャラリーへ。
大学グッズと言えば、京都大学の「総長カレー」や「素数ものさし」を思い出しますが、さて同志社大学のオリジナルグッズとは?
大河ドラマ「八重の桜」が放映していた2013年の11月にリニューアルオープンした事もあり、グッズが買えるラウンジには、創立者・新島襄と八重夫妻の書籍や過去の企画展示の図録、京都の老舗のお酒等の食品もありました。
お目当ての品は、宇治の丸久小山園製の玉露や煎茶等5種のお茶のティーバッグが入ったミニ缶で、同志社大学今出川キャンパス内にある5棟の国の重要文化財建築の画像が、それぞれの茶缶にプリントしてあります。自由に試飲までできました!
J.Nハリスの寄附を元に明治23(1890)年に竣工された煉瓦造りの当館は、現在はギャラリーとして、同志社の歴史と新島襄の思想を今に伝えるほか、キャンパス内からの出土品、地層等の資料による創立以前の京都の歴史も紹介しています。
平安時代には冷泉家や二條家が立ち並ぶ公家屋敷、室町幕府の花の御所、幕末の薩摩藩邸、そして現在は学びの場として、歴史の層を重ねる度にこの地が果たしてきた様々な役割を知る事ができ、卒業生でなくても、歴史や近代建築が好きな人にとっても楽しめる内容ではないでしょうか。
さて、帰宅してから「あ、“八重さんの醤油”も切らしてたんや」と言われました。
はいはい、今度キャンパスツアーにでも参加して買って来ますわ~。

京都市学校歴史博物館

5月26

gakkou 明治2(1869)年に、江戸時代の自治組織である町組を基礎として、京都に日本で最初の小学校(番組小学校)が64校創られました。その京都市の学校の歩みを紹介するのが「京都市学校歴史博物館」。
校舎に足を踏み入れると、図工の時間に触っていた粘土の様な、懐かしい「学校の匂い」がしました。
きしむ廊下や日差しが落ちる階段のタイルの感触を味わいながら、現在開催中の企画「小学校の戦前・戦中・戦後展」を観て回ります。
子供の素朴な目線で綴られた日々の作文、玉音放送があった昭和20(1945)年8月15日付けの寮母日誌、入学式から先生も生徒も半分以下に減ってしまった卒業式の集合写真。
戦地へ赴く「塩見先生 応召送別記念写真」の、子供達の無邪気な笑顔には、思わず足が止まりました。隣には、戦勝を昂った調子でしたためた「塩見先生」の手紙も展示してあります。
こんなに眩しい笑顔に溢れているのに、見ている私達は必ずしも晴れ晴れした気持ちにはなれません。
この企画展のチラシを見返すと、まさにこの集合写真でした。この展示を企画した人々も、きっと同じ様に、時代を映す教育の影響力を思い知らされたのでしょう。
「塩見先生」のその後を案じていたら、他の展示室での卒業文集に、この先生への好意やお礼を書いた作文が掲載されていました。ご無事に帰還されたのでしょうか。
もちろん、戦争の展示ばかりではありません。オルガンが童謡を奏でる常設コーナーでは、歴代給食のサンプルも並んでいます。
ノート代わりに白墨(チョーク)と共に使用されていた石板は、現在の教育の場に導入されつつあるタブレット端末にも似ているような。
当館では、6月1日(日)には関連講演会、17日(火)にはここの館長であり日本画家である上村淳之さんの館長談話室のほか、唱歌・童謡教室も予定されています。

2014年5月26日 | イベント, 歴史 | No Comments »

「河久」で川床ランチ

5月19

kawa  先日、「鴨川をどり」を観る前に「河久」で川床ランチを楽しむ事になりました。
その日は夏日を思わせる日差しが強かったので、結局屋内で食事をしましたが、一面の扉を取り払った開放的なお座敷には、鴨川からの風がお店の玄関まで通り抜けていき、なんとも清々しい気分。
お隣の団体さんや、日陰の川床席でワインを片手に乾杯する女子会グループも同じく春風を楽しんでいるようでした。途中から女将さんらしき女性が、「ご飯足りてますか?」と一人ずつに筍ご飯を出して下さいました。その後も各席を回り、お客さんとやり取り。
これまでは事前に電話して 、お弁当をテイクアウトしていたのですが、店内で食事をするのは実は今回が初めての事でした。
いつもの折詰の美しい風情と、細い路地奥の入口、芸舞妓さんの千社札がたくさん貼られた古い柱から、ちょっぴり気構えて入店した時の緊張感はどこへやら。
思いのほかアットホームな空気感に、すっかりくつろいでいました。ごちそうさまでした。

2014年5月19日 | お店, グルメ | No Comments »

鴨川をどりとパンフレット

5月13

kamo 五月晴れの週末は、「鴨川をどり」の会場、先斗町歌舞練場へ。
誘ってくれた幼馴染が、祖父の代から贔屓にしているというお茶屋の女将さんと挨拶を交わす傍らで、もう一人の友人は、着付け教室に通っているためか、来場客の着物姿が気になる様子。
今回のパンフレットを開くと、演目概要の英訳のほか、長唄や楽器についても解説がついていました。また、花街のおどりとしては珍しく、蛍光塗料を使った暗闇での演出には、会場からどよめきも。
やはり芸妓さん、舞妓さんが着る衣装は色合わせも柄ゆきもはんなりとしてい毎回感動します。伝統とモダンのさじ加減が良く、日々の稽古で鍛えられた美しい身のこなしと相まって本物感があるのです。
一面の藤が、かんざしの様に彩るフィナーレで、舞妓さんが観客席に投げてくれた手ぬぐいには、数々のサインのほか「くまモン」のおちゃめな落書きもありました。
毎年ではないけれど、花街のおどりをちょくちょく観に行っている間に、我が家にもパンフレットやお土産の小皿がいつの間にか増えていました。
改めて数冊見返してみると、数年前にはあどけない舞妓だった子が芸妓となっていたり、ベテランの芸妓さんや地方さんが今でも「しゅっとした」佇まいで舞台を踏んでいたり、はたまた名前を見かけなくなった人もあったり。
その中には、芸妓とは別の道に進んだ舞妓さんもあるかもしれませんし、また、不況や主人の高齢化で廃業してしまったスポンサーもあるかもしれません。
毎年踊りのパンフレットが発行される間に、各花街の内外でも色んな物語があったのだろうと想像します。
来月には、恒例の「京都五花街合同伝統芸能特別公演」が開催されます。

京都競馬場

5月7

keiba 上賀茂神社の競馬(くらべうま)…ではなく、京都競馬場で初めての競馬に挑戦してみました。
京都競馬場のある淀は、その名の通り、淀城跡與杼(よど)神社等が近くに点在しています。
京阪淀駅に向かう電車の中には、競馬新聞を携えた熟年夫婦やカップルを見かけましたが、連休中という事もあってか、ベビーカーを押す家族連れの多さに驚きました。
入場料200円の場内にはレストランや無料のキッズルーム、場外ではアスレチック施設やポニー試乗会など、小さい子供連れのママさん達にとっても行きやすい工夫がされているようです。
広大な空のもと、芝生の上にレジャーシートを敷いて観戦する姿はまるでピクニック。子供達が楽しそうにはしゃいでいると、パパさん達も家族サービスできて一石二鳥!?
よく手入れされた毛並み麗しい馬が疾走する勇姿を立派なカメラで撮影する女性や、男女で和気あいあいと予測を楽しむグループもいて、それぞれの競馬の楽しみ方があるのだと思いました。
数多の蹄が土を蹴る音がみるみる近づき、目前を走り去っていく馬の速さと、最終コーナーを越えて一層湧き立つ人々の歓声は、テレビで観るのとは迫力が全然違っていました。
そして気になる成果は…トータルで約4万円勝ちました!恐るべし、ビギナーズラック。

2014年5月07日 | 未分類 | 1 Comment »

式年遷宮奉祝パレード

4月28

sengu 昨年の伊勢神宮に引き続き、来年には京都の賀茂社(上賀茂神社下鴨神社)においても、式年遷宮を迎えます。
21年に一度の正遷宮が斎行される2015年4月27日からちょうど一年前に当たる日に、下鴨神社主催の奉祝パレードが開催されました。

神社の関係者や氏子だけでなく、有志の京都市民も加わって、おすべらかしの女性を乗せた馬車行列や地元の学生さんによるマーチングバンド演奏、よさこい踊り、提灯を持った親子が行列を構成していました。
ローカル色の高い、のどかな市民行列でしたが、それでも多くのスタッフが交通整理に奔走。

おそらく、この奉祝パレードは、5月14日の葵祭をアピールする目的もありそうです。
下鴨神社の方の話によると、葵祭の「社頭の儀」が拝観できる有料席(初穂料5,000円)は、当日10時からの販売ですが、直接当社に伺うのが確実なのだそうです。どうしてもゲット!したいという人はぜひ。

2014年4月28日 | イベント, 神社 | No Comments »

宮川町のごはんや「蜃気楼」

4月21

miyagawa 「京おどり」最終日を迎えた花街・宮川町の夜。
 雪洞が照らし始めた石畳の彼方へ、自転車に乗り 仕出し箱を担いだ板前さんが走り去って行きます。

11年前までお茶屋だったという町家で、手頃に食事ができる「ごはんや 蜃気楼」で晩ご飯。
舞妓さんが店出しや襟替えをする際に玄関先に貼る目録や、お茶屋バーを彷彿とさせるカウンター席など、花街の風情も残しつつ、居酒屋ほど砕け過ぎない気楽さと、奇をてらわないシンプルな料理は、お座敷に上がる人の虫養いにも良さそうです。

 店を出ると、ちょうど近くのお茶屋さんから、舞妓さんと女将さんが移動するところでした。
これから次のお座敷に向かうのかな?それとも置屋さんへと帰るところでしょうか。
すっかり夜も更け人影もまばらな宮川町には、まだ昼間の賑わいがどこかに残っているかの様でした。

色々なお花見

4月14

gosho ソメイヨシノの見頃は過ぎましたが、ところどころ見られるしだれ桜や八重桜は、「たわわ」と形容したくなる様な花をたくさん付けています。
先週末の京都の町中も、桜を見上げる人々の笑顔で溢れていました。
学生時代の様に、レジャーシートを抱えて場所取りをする気力は無くなってしまったけれど、今年は2か所でお花見をする事ができました。
京都御苑では、ベビーカーを押すママ達と。御所の一般公開で大勢の人が歩いていましたが、北西の児童公園ではベンチやテーブルも空いていて、何本かのしだれ桜が優しい色の花を残していました。
歩き始めたばかりの子供達は、桜にはご興味無い様子。代わりにたっぷりと花びらが落ちた土を、小さな手で何度もすくって楽しんでいました。
一方、嵐山亀山公園では、馴染みの居酒屋の主催で、落語とお花見弁当を肴に一献。
桜はすっかり散っていて、八重の一本しか残っていませんでしたが、なかなか良いお花見場所を教えて頂きました。
それにしても、噺家がお酒を飲む仕草の美味しそうなこと!こちらもついつい、いつもより飲みすぎて、帰りはひらひらと花びらの舞う中、まるで雲の上を歩いているかのようにふわふわとした気分で家路につきましたとさ。

2014年4月14日 | 観光スポット | No Comments »

深草の桜

4月9

sidan 先週土曜は、「墨染桜」の咲く墨染寺を目指して、伏見稲荷大社近くから琵琶湖疏水沿いを歩きました。

 深草、藤森…と続く徒歩30分の道のりは、ところどころに頭上を覆うほどの満開の桜の木が植わっていて、地元の人が犬の散歩を楽しむような静かな遊歩道になっており、観光客の姿は殆ど見当たりません。
 特に師団橋の手前辺りの桜の木々は、疎水の水面すれすれにまで枝が伸び、優雅なカーブを描いていました。

 因みに、この「師団橋」という名前は、かつてこの深草近辺に大日本帝国陸軍の第16師団が置かれていた名残で、周辺の幾つかの橋桁には、五芒星のマークが今でも見られます。

 地元の人々によって行なわれているライトアップも美しいそうで、これからも開催されるといいですね。

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