e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

うどんミュージアム

2月12

udon 昨年12月に祇園にオープンした「うどんミュージアム」に行ってきました。

元料亭などであった町家4軒分を改装した内部は、坪庭を中央に大小様々な各お座敷が配置されています。この重厚感は、新たに作ろうとしてもできるものではなく、かつては三味線の音でも響く雅な空間だったのかもしれないと思うと、ちょっぴり哀愁も感じてしまいますが…。
麺の幅が10cmもある群馬県桐生の「ひもかわうどん」等の人気の三品が食べられる「食べ比べセット」と、単品メニューのそれぞれ半量サイズを注文し、二人で計6種類のうどんにチャレンジ!!
麺は程よい案配に茹でられ、だしやつゆもそれぞれ個性があり、かつおの香りがじんわり漂って、良い素材でちゃんとひかれたものである事が伝わってきました。

祇園四条駅から近く、手頃な和食と元料亭の風情を味わえるので、今後は外国人観光客からも人気が出そうな予感です。

平安神宮・節分祭

2月5

daina 旧暦によると、立春は一年の始まり。その前日の節分は大晦日に当たり、この頃に年賀状を送る人もいます。
汗ばむような陽気と快晴のもと、京都の各地が節分祭で賑わい、平安神宮では宮中で行われていた年中行事「追儺式」を再現した「大儺之儀(だいなのぎ)」が行われました。
大極殿下斎場にて、方相氏や陰陽師、殿上人らが四方を祓い清め、邪鬼たちを退けてめでたしめでたし…と思いきや、今度は応天門から茂山社中の扮する邪鬼たちが再び境内に侵入!
舞いながら観客を大声で脅かし、あちこちから悲鳴(むしろ歓声?)が涌きます。
そこで裃姿の年男・年女や芸舞妓が福豆を鬼たちにぶつけて応戦、今度は完全に追い払いました。
それだけ、年男や年女には困難を打破するパワーに満ちあふれているという事でしょうか。
両手を広げ、大騒ぎで福豆を拾った後は、全国の崇敬者からの祈願が集められた「火焚串」約4万本を焚き上げる浄火を静かに眺めます。
天まで届け、みんなの願い。寒い風の中にも暖かな日差しを感じて、春の第一歩です。

事始めの鏡餅

12月17

kagami毎年12月13日の「事始め」は、お正月の準備を始めたり、お世話になった方々のもとへ挨拶に行く日とされていています。
この日は、風呂敷に包んだお歳暮を手に取引先の方が来られ、今年一年の感謝とこれからのご愛顧を願って挨拶を取り交わしました。

事始めを過ぎて馴染みのお茶屋バーを訪れた家族が、「お歳暮のお返しをもらった」と言って、味噌の詰め合わせと切り餅を見せてくれました。
この切り餅は、事始めの日に花街の芸舞妓たちが師匠のもとへ届ける鏡餅で、お師匠さんの家にひな壇状に飾られていたもの。つるんと滑らかで、白粉のように白いお餅です。
味噌に添えられた稲穂は、もしかしたら花街の正月行事「箸紙とり」にちなんだものなのかな?

一足早い新春の便り。今年は年末も年始も鏡餅を食べながら過ごす事になりそうです。

2012年12月17日 | 花街 | No Comments »

美容室「やまと」と日本髪資料館

2月27

yamato芸舞妓や嶋原の太夫の髪を結ってきた美容室「やまと」と併設の日本髪資料館が2月末で閉められると聞いて、慌てて見学に行って来ました。
コンパクトな空間ながら、櫛や簪にも本物にこだわった日本髪の豆かつらは古墳時代から現代のものまで、想像を越える数でした。
実演映像の上映もあり、束ねられた髪がまるで漆を塗り込めた板の様になり、そこからみるみるうちに髷(まげ)に変化していくダイナミックな手技に引き込まれ、一人で長らく見入っている人もいました。
真っ直ぐに伸び、「烏の濡れ羽色」と評される黒髪ならではの結髪の世界は、現代のアートシーンでも十分に通用する気がするのに、現在京都の結髪師は5人だけ。高齢化も進んでいるそうです。
「やまと」の結髪師・石原哲男さんは今後は持病の療養に専念され、閉館後の日本髪資料館のコレクションの行方についてはまだ決まっておらず、豆かつらをまとめて引き取って貰えるところを探す予定だそうです。

舞妓さんとお座敷遊び

6月6
「金比羅船々」
「金比羅船々」

舞妓さんとお座敷遊びの体験が5,000円でできるプランを見つけたので、参加してみました。

お食事が進んだところで、宮川町のふく鈴さんと地方さんが登場。
卓上に置いた徳利の袴を巧みに取りあう駆け引きが面白い「金比羅船々(こんぴらふねふね)」。だんだん早くなる三味線の調子にこちらは慌てるものの、ふく鈴さんは「追風に帆かけてシュラシュシュシュ~♪」と謡いながら涼しい顔。
一方、屏風を隔てて全身でじゃんけんをする「トラトラ」では立場が逆転。観客の方が強みを見せて舞妓さんを打ち負かせていました。

舞妓さんを初めて間近で観るという友人は、「隣に座って話しかけられるとなんだかドキドキする」と緊張していましたが、軽妙なトークでリードする地方さんと老若男女を問わずに盛り上がれるお座敷遊びのお陰で、「お茶屋でお座敷遊びがしたくなる気持ちが分かった」とすっかり興奮気味でした。

外国人と巡る紅葉の京都

11月30
佳つ奴さんと佳つ實さん@祇園松八重
佳つ奴さんと佳つ實さん@祇園松八重

今年の秋は外国人と東京からのお客様に紅葉の京都を案内しました。

初日の夜の紅葉狩りには南禅寺天授庵~永観堂のコースを。
翌朝は東寺の弘法市で手頃な浴衣を購入し、五重塔等を拝観した後は、下鴨神社の糺の森を抜けて、数寄屋造りのお座敷から1000坪余りのお庭を望む「蕪庵」で身体に優しい広東料理のランチ。
食後は車で移動しながら、鴨川の源流に佇む志明院、上賀茂神社そばの西村家庭園を巡りました。
本家尾張屋本店」で軽く夕食を取った後は、祇園にあるお茶屋「松八重」のお座敷で舞妓さん達とおしゃべり。彼女達は外国人相手に英語で頑張ってくれました。
翌日は予約しておいた仙洞御所を見学の後、近くの割烹「千成」でお魚がメインの定食を頂き、雨降りだったので吉田山の林に囲まれた「茂庵」でゆっくりとお茶を楽しみました。

ちょっと盛りだくさん過ぎたかもしれませんが、楽しんで頂けたようで安心しました。

高砂太夫と菊川太夫

8月23

lux「ラグジュアリー・キョウト」が主催するイベント「元高砂太夫の花街の世界」。
花街・嶋原の髪結屋で生まれ育った元高砂太夫こと櫛田一栄さんへの質問タイムには、ここだけのオフレコ話が飛び出し、菊川太夫さんの舞「黒髪」では艶やかな衣装と仕草には憧れのため息が漏れました。

櫛田さんのお店「櫛菊」(075-351-4908)では、お茶とお菓子を頂いたり、投扇興などを楽しむ事ができると聞きました。「来る前に電話しとくれやす。Gパン履いてるかもしれんさかい」とのこと。さすが花街の人のお話はウイットが利いていて、まだ初々しさの残る菊川太夫さんとの掛け合いもまるで漫才のようです。

12月には嶋原の伝統行事である餅つきが行われ、おぜんざいの振る舞い等があるそうです。
大河ドラマに登場する新選組ゆかりの地でもあるので、いっそう賑わいそうですね。
長年京都に住んでいる人にとっても馴染みの無かった嶋原という町が、少しずつ身近に感じられるようになってきた気がします。

2010年8月23日 | イベント, 花街 | No Comments »

上七軒盆踊り

8月2

bonodoriここ数年、京の各地で盆踊りが復活しています。
一日に行われた「上七軒盆踊り」は、ご近所さんが浴衣で繰り出すような、ほのぼのとしたものでしたが、よそとひと味違うのはやっぱり花街・上七軒のきれいどころ。
舞妓さん、芸妓さんが踊りの輪を一層華やかにしています。
粋な浴衣姿の西陣の旦那衆や飛び入りのおばちゃんに混じって、輪の中の外国人も見よう見まねで「西陣音頭」を踊っています。

周辺にも音頭が流れ、休憩所や会場への道中で上七軒のお店や花街の人々が、みたらし団子やチョコレートサンデー等を、和気藹々と販売していました。

上七軒歌舞練場ビアガーデンも営業中だったので、予約を入れて帰る事にしました。

2010年8月02日 | イベント, 花街 | No Comments »

和紙の緞帳

5月24

doncho約60年ぶりの補強大改修を終えた上七軒歌舞練場に今春から、和紙で作られた緞帳が設置されています。

在京の和紙造形作家・堀木エリ子さんとスタッフが制作にあたったもので、手漉き和紙の継ぎ目の無い大きさに驚くと共に、その上に施された様々な模様はどうやって作り出されるのだろうとこれまで不思議に思っていましたが、その正体はコウゾの茎だったんですね。
照明を当てると、縁起の良い「七宝柄」の意匠の中に、上七軒の紋「五つ団子」が柔らかな光を帯びて浮かび上がるようになっています。
まさに和紙だからこそ、演出は緞帳にまで及ぶようになったのです。

残念ながら、舞台イベントがある時しか公開されないのですが、チャンスがあれば是非観てみて下さいね。

島原・きんせ旅館

4月20

kinse  日本最古の廓・嶋原に「きんせ旅館」という旅館(075-351-4781)があります。

十余年休業していましたが、今は当館の息子さんが一人でカフェ兼バーとしてひっそりと営業しています。
ダンスホールの風情を活かし、折上げ天井に下がるアンティークなシャンデリア等の調度品もしっくりと馴染み、中庭からの淡い陽の光と、室内の薄暗さが心地よい。
エントランスや化粧室の精密なタイルやステンドグラスも素晴らしく、建築好きにはたまらない空間です。
また、貸しスペースとしても利用でき、館内の和室では英会話教室も開かれています。

今度は、知人を連れて水出し珈琲を味わいに行きたいと思います(※掲載当時の情報です。営業時間など公式サイトにてご確認ください)。

2010年4月20日 | お店, 花街 | 1 Comment »
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