e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

「空気をまとう」京和晒綿紗

5月26

sarasa 外出する日数が少なかったせいか、初夏を飛び越えて既に夏に入ってしまったかのような気候です。
エアコンをつける程でもないけれど、室内だとちょっと蒸し暑いときも。
巣ごもり生活の長い夜を快適にすごすため、寝具を旅館風に変身させるのも楽しいですね。

老舗寝具メーカー・大東寝具工業「ねむりの蔵」による「京和晒綿紗」は、国内わずか数台という稀少な和晒窯で4日間かけて繊維の奥にある不純物まで取り除いたあと、天然水で洗い流すなど全ての工程を国内工場で行い、柔軟剤を使わなくても洗うほどにふわふわの手触り。
一般の多重ガーゼ生地とは異なる独特の物作りの詳細は、ぜひ公式サイトをご一読ください。
ガーゼの寝具は、夏の寝汗を吸い取って放出させるので手触りもさらさら。
一日の終わりは肌もノーストレスにして、全体重を布団の中に委ねる幸せの時間に。

これから過酷な夏を迎える赤ちゃんを優しく包むギフトセットもあります。
綿のタオルより更に軽くて風を通すので、お風呂上がりも気持ちよさそうですよ。

2020年5月26日 | お店, 和雑貨 | No Comments »

絆をつなぐ刀

5月11

youkan 二尊院や祇王寺にほど近いところに店舗を構える和菓子屋「京都一夢庵大ふへん堂 嵯峨嵐山店」。
全国の百貨店や博物館等で「刀剣武家ようかん」を観た事がある人も多いのではないでしょうか。

祇王寺は緊急事態宣言が解除されるまでの間は拝観を停止されているため、「模造刀お触り放題」のこの店も暫くは要予約制となっていますが、
インターネット販売は好調のようです。

今年の大河ドラマ縛りと味の種類で選びました。
これらをステンレス菓子切り「羊羹切日本刀ナイフ」で一刀両断するのがまた楽しいのです。
雛人形にも持たせられそうなこの小刀。収める袋も思案中だとか。
お茶席があれば、稽古に行けたら、何食わぬ顔をして抜刀するのに…!!

ちなみに、二尊院は5月15日(金)より一般拝観を再開されるそうです。

通販なら、遠く離れたところに住む人にもお届けできます。
日持ちもするので、6月21日の父の日のプレゼントにいかがでしょうか。

伝統工芸品は「飾る」ものから「活用する」ものへ

3月24

miyako
岡崎のみやこめっせ地階で京都市の伝統産業74品目を紹介する「京都伝統産業ミュージアム(旧「京都伝統産業ふれあい館」)」がリニューアルオープンしました。
あいにく新型コロナウイルス対応のためオープニングイベントは縮小され、手に触れて体験できるはずの展示も眺めるのみとなっていましたが、伝統工芸品が平然と陳列されていた印象だった以前のレイアウトは、より回遊式でスタイリッシュになっています。
まるで「和」をメインコンセプトとしたセレクトショップ、ショールームのようで、奥の一角にある「マテリアルライブラリー」は、生産者と素材を探す人の出会いの場であり商談スペースでもありました。
職人の技と仕事を、博物館の様に展示・紹介するだけでなく、より現代人の暮らしに寄り添い、ビジネスとしての具体的な道筋を作り、継承に繋げていこうという狙いを感じます。
実演スペースでは、普段足を踏み入れられない工房で黙々と進められているであろう作業を間近に観せてもらう事ができ、実際に職人さんに話しかけている来訪者も。
網代編みのブリーフケースや、京金網とクリスタルビーズを組み合わせたポーチなど、新たな感性で編み直された工芸品には驚かされ、足を止めて見入ってしまいます。
年に3~4回企画展が開催される予定で、4月18日からは、6人の職人の家族写真を通して伝統工芸の事業・技術の「継承」を探る企画展「継ぐもの-In between crafts-」が始まります。
入場無料、入り口そばには「ミュージアムショップ」があるので、岡崎に来る毎に「ひと味違う」お土産探しにみやこめっせに立ち寄ってみるのもいいですね。

「日本の洋食器」

3月18

okura
週末になるといつも賑わう岡崎公園も、催しが無いせいかひっそりとしていましたが、細見美術館の様子はガラガラに空いているというわけでも混雑しているでもなく、以前とそう変わらない気がしました。
ここは館内が展示室ごとに一旦外に出て移動する設計なので、ちょうど新鮮な空気を吸って良い気分転換ができるのが気持ちいいです。

さて、現在開催中なのが、「華めく洋食器 大倉陶園 100 年の歴史と文化」。
ビジネスよりも、日本が誇れる洋食器文化を発信する事を念頭に置かれた大倉陶園のものづくり。老舗ホテルやレストラン、皇室でも重用されてきました。
そう聞くと優雅な花柄模様を連想しますが、ホテルニューグランドのコーヒーセットの様に、富士山と波を版画の様なシンプルな線と面で表現したものもあります。
生物をリアルに再現した陶彫も製作されており、秋刀魚などの魚はとても珍しい。魚特有のぬめりまで感じられます。

藍色の水彩画のような、透明感のある「岡染」は、観た事がある人も多いかもしれません。
今上天皇(徳仁親王殿下)のお箸初めの儀で使用されたという食器セット一式は「岡染ベアー」と称され、小熊やでんでん太鼓、横笛が描かれていて、思わずこちらの頬が緩みました。
決して外国の真似では終わらないどころか、名立たる海外の名窯にも引けを取らない職人技と美意識が光る「日本の洋食器」の逸品がそこにはありました。

職人たちの技光る、竹の指輪

2月19

take
錦市場に程近い竹の雑貨店「ばんてら」は、店内の半分は竹を利用したアクセサリー等の生活雑貨、もう半分は生活空間にも馴染みそうな茶道具が占めていました。
長岡京市の竹材工芸「高野竹工」がもともとの工房で、京都府内産の良質な竹で、伝統的な茶道具のみならずインテリアや内装材にも展開しているそうです。
茶道具の世界では、しばしば国宝・重文クラスの寺社の古材を再利用することが喜ばれ、その縁から生まれ、SNSで話題になったという金閣・銀閣の古材の名刺入れもありました。
表千家・裏千家それぞれ歴代の家元の好みの形の茶杓を一本ずつ再現し、ずらりと収納したセットはマニアック!お稽古で教えるために買う人もいるそうです。

竹のアクセサリーとして、指輪が最も取り入れやすいかと思い、「炭」「茜」「若草」「山吹」といった日本の伝統色5種の中から、「藍色」を選びました。
どの色も地味過ぎない程良い発色と光沢で、ネイルをしていない素の指にも華やかさが加わりました。
とても軽くてすっと指を通るけど作りが緩いわけでもない、たおやかな編み目が優しい表情です。
宝石をとめるツメでニットやタイツを引っ掛けてしまう事もないし、小さい子を持つママさんパパさんも安心してつけられそうですね。
失礼ながら、
「この指輪は、端材を再利用したものなのですか?」と尋ねてみると、
「いえ、この製品のために、竹の皮を一枚一枚漆で染めて、職人が編み合わせんているんです。」
とのことでした。それでいてお値段は2000円もしないなんて、いいのでしょうか。
人前でつけてみるのが楽しみです。誰か気付いてくれるかな。

2020年2月19日 | 和雑貨 | No Comments »

師から弟子へ。親から子へ。

7月3

asagi
子供用に注文していた「アサギ椀」がようやく完成したとの連絡があり、受け取りがてら塗師の西村圭功さんの新しい工房を見せて頂く事にしました。
前回お邪魔した鞍馬口の京町家の工房ではなく、新大宮商店街に構えたという「新工房」へ…て、看板も何も無い、元呉服店の名残りのショーウインドウがシャッターの間から覗いている古い建物でした。

見た事の無い道具ばかりで、長い人毛を板で挟みカットしては繰り返し使える刷毛はアイデアもの、木地を削るためのロクロには、ミシンの様なペダルが付いています。
それぞれの工房での分業が当たり前の業界ですが、それをここに集約する事で後継者を育てているのです。
休日だったため、他の職人さん達が作業する様子は見られませんでしたが、お弟子さんが作ったアサギ椀を掌ですくい上げて見ます。
覗き込んだ椀の底に、うっすら刷毛目が濡れたような光沢をたたえます。大量生産品にはみられないこだわり。
漆器作りは、日々変動する気候に応じて使う漆の配合を変えたり、乾燥庫に濡れたふきんを入れて湿度を微調節し、15分ごとに様子をみたり。
それはもう気の遠くなるような手のかかりようで、「好きでなければできないだろうな…」の一言です。

さて翌朝、アサギ椀におすましを入れ、1歳の子供に出してみました。
小さな手では上手く扱えなくてひっくり返さないか、恐る恐る様子をみていましたが、片手で縁を掴んでからもう片方の手を添えたり、腕を伸ばして両手で持ってみたり、意外に上手に持つ事ができました。
成長の具合にもよるのでしょうが、プラスチックの食器を使っていた時は、少々置き方も乱雑でした。いつもより薄い縁に触れた事で、無意識に扱い方を少し変えたのでしょうか。
漆器の手触り、重さ、薄さ、色。小さな指で何か感じ取ってくれているかな。

なお、祇園にあるデザインスタジオ「スフェラ」では、西村圭功さん他「京都の4人のクラフトマン」に焦点を当てた展覧会が7/28(日)まで行われています。

祇園祭の新休憩スポット

5月22
きものステーション・京都

きものステーション・京都

「京都経済センター」がこの春、「京都経済センター SUINA(すいな)室町」として新装開店しました。

約1100平方メートルの大規模書店や、その周囲や地下1階に飲食店が集まり、「モリタ屋」が営む食料品店には驚きました。
勿論「きものステーション・京都」も健在で、若い感性でラインナップされた店内は明るく、また和室の小上がりもあり、和裁などのワークショップも参加できるようです。
男女の浴衣と共に展示してあった、丸い籠のショルダーバッグは、和装でも洋装でもコーディネートが楽しめそうでした。

二階に上がり、「ポケモンセンターキョウト」への入り口に至る空間が広々としていると思ったら、ここ四条室町はちょうど祇園祭シーズンになると「鉾の辻」とも呼ばれる最も賑わいのあるところ。
そう考えただけで、お囃子が流れる鉾町の風景が目に浮かんでくるよう。_

祭りの熱気から抜け、涼みがてらこのビルに入ってお土産を選び、また山鉾が建ち並ぶ様を眺められるスポットとなること間違いなしですね。

2019年5月22日 | お店, グルメ, 和雑貨 | No Comments »

映える装い

4月9

insho
昨春の新装開館から1年経ってもなお、白壁が眩しい堂本印象美術館。春にふさわしい華やかな展覧会が開かれています。
京の町で舞妓さんとすれ違ったときに、思わず目を奪われますね。それは彼女たちが本物の上質な着物を身にまとっているから。
それと同じように、絵の中の女性たちの着物にも吸い寄せられるのは、古くから染色産業が発展してきた「着倒れ」の町で育まれた審美眼からでしょう。
着物ならではの色合わせの妙などを楽しめるので、レンタル着物で和装デビューの一歩を踏み出した若い女性たちにも、衣笠散策の一案にいかがでしょうか。
他にも、嶋原の太夫道中を松本楼から見学した際のイラストレポートとも呼ぶべき長い巻物も、印象の人となりが垣間見えて楽しく、色彩豊かでモダンな作品の合間に展示されている素描もまた、洗練されていて優美です。
パネルで紹介されていた、智積院のユニークな襖絵『婦女喫茶図』(普段は非公開)や大阪カテドラル聖マリア大聖堂の大壁画なども、機会があれば観てみたいと思いました。
ミュージアムショップでは、堂本印象デザインの羊羹「光る窓」をお土産に買い求めました。
笹屋守栄製で、当館のリニューアルに伴い印象のステンドグラス作品の一部が、琥珀部分に嵌め込まれたような姿をしています。
7㎝と小ぶりながら1000円となかなかのお値段ですが、他には見ないような「なんとか映え」な外観に、勿体なくて未だに切れずにいます。

職人の未来を繋ぐ

2月14

asa
他の漆器の産地に比べて高価なものが多く、いわゆる「高級品」として知られている京漆器
美しい蒔絵や光沢に目を奪われますが、その下にある木地の土台を担うロクロ木地師は、京都に独りしかいません。
北山の檜や京都府産の漆を使い、製作工程も全て京都で行うなど、常(日常使い)の京漆器作りを通して将来の職人達の仕事も生み出していこうという「アサギ椀プロジェクト」が始動しました。
発案者の故・石川光治氏の意思を受け継ぎ、京都でただ一人のロクロ木地師の西村直木さん、塗師の西村圭功さんと石川良さん、漆精製業の堤卓也さんらが進めており、その取り組みを紹介する展覧会が19日まで「The Terminal KYOTO」にて開かれています。
既に滋賀県の日野椀が、妙心寺のこども園に器を納めているように、京都の保育園でアサギ椀を子供達に使ってもらおうという計画も進められています。
アサギ椀の子供椀は、あえて幼い子が扱いやすくするような細工はせず、大人の椀がそのまま小さくなっただけの姿かたちをしています。
落としても投げつけても割れにくいプラスチック容器と違って、落とさないようにこぼさないように両手で包み込み、漆が剥げないように箸やフォークをやさしく当てるなど、物を大切に扱う姿勢が自然と身に付くよう、しつけの意味も込められているのだそうです。
幼い我が子にも、食洗機で洗えるプラスチック容器で食事をさせる事が多いのですが、それでもいつも同じ食器では味気ないと思い、手洗いが必要な木地の椀や割れないよう注意が必要な陶器の小皿なども、料理に合わせて出しています。
同じ素材、同じ色で統一された西欧の食器とは違い、様々な素材の器で食事を取るのも、日本文化の豊かさの現れだからです。
サンプルのアサギ椀を掌で撫でながら「やはり雑貨店で買うものとは値段が違う…でも痛んでも塗り直して末永く使えるし、入金は椀を受け取る2か月先でいいみたいだし、子供の小さな指先でも感じ取るものがきっとあるだろう…」と悶々と思案した末に予約を入れる事にしました。
小ぶりで軽い漆のお椀は、外でお茶を点てる時にも便利かもしれません。手元にやってくる桜の季節が楽しみです。

年末年始のあれこれ

1月8

huku
昨年姪っ子が生まれたので、お年玉代わりに「福玉」をプレゼントしました。
もともと舞妓さんがご贔屓さん達からもらう物なので、中の小物は赤ちゃんにはまだまだ早いのですが…自己満足です。
井澤屋」のは以前に購入した事があるし、「切通し進々堂」のは予約不可だったので、今回は一銭洋食の向かいの和菓子屋の「福栄堂」になりました。
最中の様に軽い玉なので、運ぶのも保管も割らないように気を付けながら。さて、いつそれを開くかは相手次第です。
お年玉の準備に大掃除、お正月飾りにお節作りに年賀状…。仕事納めに向かってひたすら忙しい師走に、どうして日本人は色んな風習を詰め込むのでしょう。
「クリスマス終わったとこやん!」「梅雨明けに大掃除した方が色々乾きやすそうやん!」「年始の挨拶なんだから、年賀状は年明けてからの投函にすればいいのに」とぶつぶつ言いながらも、なんだかんだで結局いつも通りに。
三が日を過ぎ、乾かした塗りのお椀を布で磨きながら、その漆の深い艶に「きれいだな。面倒でもやっぱり出して来て良かったな」と思うのです。
携帯電話に目をやると、年末に京都に引っ越して来た友人から「護王神社は3時間待ちだって!」とのメッセージ。
「断捨離」や「ミニマリスト」という言葉が生まれる一方で、無駄なものに見えるたくさんの物事に支えられて生きている事を再確認する年明けでした。

2019年1月08日 | お店, 和雑貨 | No Comments »
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