おひなさまの扇の秘密
「お雛さんいつまでも飾ってたら、嫁に行き遅れるえ」というのは、あくまでもしつけの話。
京都のひなまつりは、旧暦に沿って4月3日頃まで人形を飾っているところが多数あります。
おひなさまの女雛の手元を見ると、現在のような紙の扇子ではなく、檜の板を重ね合わせた「檜扇」であることに気が付きます。
これは扇子以前の古い扇の姿で、宮中で使われていたものだから。
男雛も同じく木の板の「笏(しゃく)」を持っています。
いずれも木簡(もっかん)が原型とされており、紙がまだ貴重だった時代に大事なことを書き記しておくメモ帳のような役割を果たしていたのです。
日本において扇はあおぐ他にも、置いて結界を示したり、儀式用として開くことの無い「末広」や、投げ落ちた形で点数を競う「投扇興」といった遊びが生まれました。
一方で西欧では「扇子ことば」といって、扇を使った艶っぽい恋愛コミュニケーションがあったそうですよ。
似て非なるそれぞれの展開の違いが面白いですね。