e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

「没後400年長谷川等伯」展

5月11
京博からの景色

京博からの景色

「没後400年長谷川等伯」展が終了しました。最終日の夕方に行くと、待ち時間無く入る事ができましたが、それでも中にはたくさんの人が作品に見入っていました。

実際に会った事が無い人物なのに「リアル」だと感じてしまう肖像画の数々。
絵師としての栄光と引き替えに愛する人々を失った後に描かれたとされる『松林図屏風』を観て、背筋にひんやりと漂うものを感じた人も多かった事でしょう。
同じく代表作『楓図壁貼付』に描かれた草木や花は、三歳で夭折した豊臣秀吉の長男・鶴松が現世で叶えられなかった「命の輝き」をここにめいっぱい咲かせてあげたのかもしれません。

この全ての展示作品に共通するもの。それは喜びも悲しみも憧れも怒りをも内包した「生きた証」ではないでしょうか。皆さんはどう感じられましたか?

2010年5月11日 | 芸能・アート | No Comments »

妙心寺の隠し茶室

3月30
隠し茶室
隠し茶室

妙心寺のとある塔頭を、関係者の方に案内して頂きました。

床の間を拝見していると、隣の立ち入り禁止の結界が置かれている襖をカラリと開けて下さいました。そこには通路が現れ、更にその先の襖を開けると…茶室が現れました!
その昔、妙心寺ではお茶をすることは邪道とされていましたが、それでもここでお茶を楽しみたい、という人のために隠し茶室を設けられたそうです。
以前このお寺を訪れていた際には、床の間の裏に隠し茶室があるとは知る由もありませんでした。

京都は小さな町といえども、まだまだ知らない事がたくさんあるんですね。

アートとしての生物

3月23

kingyo『東京・六本木ヒルズで反響を呼んだ「スカイアクアリウム」が、“金魚”をテーマに大丸京都店(29日まで)で開催されています。

金魚は、突然変異と交雑の繰り返しの中で人間が「観賞用の魚」として人工的に作り出してきた「生きる芸術品」。殆どの品種は水槽の中でしか生きられません。
美しい尾びれをなびかせるものや、頭部に大きなこぶや房があるもの、目が飛び出しているもの。人間に置き換えると少し恐い気もしますが、隣の水槽を覗いている人からは「きれいだね」「かわいいね~」という歓声が溜息と共に漏れています。
これが「アート」であるがゆえに、人々の受け取り方は様々です。
しかしながら、生き物を絵画の様に演出させる技術は、繊細な管理能力の上でこそ成り立ち、簡単には真似のできない芸術だと思います。

撮影は許可されていますが、うっかりフラッシュを焚かないようにご注意下さいね。

ミュージアムぐるっとパス関西2009

12月21

mpassミュージアムぐるっとパス関西2009」を頂きました。
大阪・京都・滋賀・兵庫・奈良・和歌山の加盟博物館施設64館で無料入場や割引のサービスが受けられる太っ腹なパスポートです。
冊子に目を通してみると、京都の「ルイ・ルルー美術館」や、大阪の「上方浮世絵館」、「住まいのミュージアム大阪くらしの今昔館」など今まで知らなかった施設がいっぱい!
パスの有効期間は最初の利用日から3ヶ月間、2009年度分の利用期間は2010年の3月31日までとなっているので、今からでもまだまだ有効活用できそうです。
来春から関西で新生活を送られる学生さんへ、2010年度版のパスをプレゼントするのも良さそうですね。

2009年12月21日 | 芸能・アート | No Comments »

「文化」で生きる

11月30
輪違屋

輪違屋

輪違屋十代目当主が語りかけるように綴る『京の花街「輪違屋」物語』(PHP新書)。
それぞれの花街で踊りの流派が異なるのはなぜか、廓で生きるとはどんな状況なのか、かなり本音の部分にも迫っていておすすめです。
京都検定の公式テキストには「島原ではお茶屋営業がなくなって、現在は五花街が残る」とありますが、輪違屋は日本最古の廓・島原で唯一お茶屋を今でも営み、当主は男と言えども月の半分は小唄や常磐津に踊り、鼓など7種類の稽古で自分を磨きながら300年の伝統を受け継いでいます。
「文化」とは、動物ではないヒトならではのアイデンティティー。しかしながら、人間にとってあっても無くても生きていけるもの。それで身を立てる難しさ。
最後に、輪違屋の今後についての一言に、ピリリと心を刺激されました。

2009年11月30日 | 芸能・アート | No Comments »

職人の技に触れる

11月24

kazari京町家聚秀軒の秋の特別一般公開「都伝統工芸会実演」で、銀細工の携帯ストラップに一目惚れ。京都迎賓館や有名寺社の錺金具を手がけられている錺屋八代目・松田潔祀さんの手によるものです。
もとは襖の引手にあった銀杏などの立体装飾を、携帯ストラップの飾りとして用いたもので、他にも雪の結晶を模した帯留めや紅葉の小枝にとまる小鳥の香立てなどが展示されており、とても精巧でおしゃれです。
もともと巷で売られている携帯ストラップはすぐに金具が外れてしまうので、新たに丈夫な海外ブランドのものを探していたのですが、よその国の職人さんのものも素敵だけれど、日本の職人さんの手仕事を、小物から触れてみるのも良いのではないかと思いました。

高雄と嵐山の紅葉

11月9
如月太夫

如月太夫

高雄の紅葉は、1~2週間後、嵐山の紅葉は2週間後辺りが見頃を迎えそうです。
真っ赤な盛りも良いですが、少し手前の頃は優しい色合いをしています。

嵐山もみじ祭は、春の三船祭と嵯峨大念仏狂言を一つに凝縮したかのようなお得感のあるイベントでした。嶋原の如月太夫の流れるようなお点前と堂々とした太夫道中には、美しい紅葉を観た時と同じ溜息を漏らしてしまいました。

高雄・神護寺では、年配の参拝者も、あの急な石段を果敢に登っていました。
ライトアップは華美な演出が無く、澄んだ空気が胸をスッキリとさせてくれます。

なお、嵐山~高雄間は、「嵐山&高雄フリーきっぷ」や「嵐山高雄パークウェイバス」があるので、異なる風情を一日で満喫できます。

武田流弓馬道

10月19
「小笠懸」

「小笠懸」

弓馬礼法の中で「流鏑馬」「犬追物」と並んで騎射の三物と称される「笠懸」の奉納神事が上賀茂神社で行われました。
地面低くに立てられた小さな板的を射抜く「小笠懸」では、左下の的を射る「弓手筋違(ゆんですがい)」や、馬頭を越えて右下の的を狙うという高度な「馬手筋違(めてすがい)」といった様々な射法が見られるのが見所です。女性の射手も長い髪をなびかせて疾走していました。
800年ぶりに復活した平成17年に見学した際には無かった、有料観覧席(500円)が設置されていたのには驚きましたが、特にお年寄りの方にとって椅子席はありがたいものかもしれません。
馬場の真ん中にある記録所のそばに座ると、前後の神事もよく観られそうです。日差しが強いので帽子は必携です(日傘はNG)。来年のご参考に。

織部流扶桑派のお茶会

10月5
「明歴々露堂々」
「明歴々露堂々」

珍しい「織部流扶桑派」のお茶会が、建仁寺両足院で催されました。

フランス人旅行者と同席となり、副住職や半東さんが流暢な英語でご解説。
戦国武将・古田織部の創始とされる「サムライスタイル」の流派なので、最もカジュアル(簡素)な「草」のお点前が無いそうです。茶碗や道具が高台や盆に乗せられ、まるで大名同志の茶会!?
ざらざらとした手触りの伊羅保(いらぼ)の茶碗は月面のよう。大きな円形の水指は、満月の様な白い木地の蓋を取ると、影となった水面がまるで新月の様でした。
「お茶碗の拝見は、次客へこんな感じで送って宜しいのでしょうか?」
「ええ、月面着陸でお願いします。」

お客の殆どが初心者の席でしたが、和気藹々と和やかに楽しめました。

京都金剛家のルーツ

7月29
たくさんチラシを持って帰りました。
たくさんチラシを持って帰りました。

金剛能楽堂の能面・能装束展観に行って来ました。

他流派とは異なり、金剛家の能装束には家紋が入っている事が多いのは、京都金剛家はかつて近江源氏の武家であった事に由来するそうです。浅井・朝倉連合軍が織田軍に敗れた事で京都御所へ逃れ、そこで禁裏御能を発展させました。
来月には大文字送り火能「蝋燭能」が行われます。
「綾鼓」というちょっとコワイ演目を鑑賞した後は、能楽堂向かいの京都御所へ移動し大文字の送り火を眺めれば、より味わい深いものとなりそうです。

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