e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

本当の贅沢とは

4月3

han
白木が新しい高瀬船が停泊する史跡・一之舟入の高瀬川畔に、を眺めながらお食事できる素敵なテラス席を教えて頂きました。
飲食店を営む町家の2階「帆-HAN-」です。

カフェタイムのメニューはロゼシャンパンと濃厚な自家製プリンのみ。
春風を感じながら、外の川辺に見えるのは、記念撮影を楽しむ振袖姿の女の子たち。
舞い散る桜の花びらのなかでの嬉しそうな笑顔はこちらにも眩しいものでした。

絶好の満開のタイミング。
日本人の思う「贅沢」とは、お金をかけてめいっぱい飾り立てる事ではなくて、

「移ろう自然が美しく輝く今この瞬間を味わう」
「何もしない余白」
にある気がします。

昼会席(3日前までに要予約。8000円)とカフェタイム(14~17時)に利用できるのはオープニング期間の4月27日まで。
テラスの側にはワインと国産ウイスキーを扱うバーカウンターもあり、
これからの新緑の季節や夏の夜には、夜風にあたりながら飲むのも気持ち良さそうです。
オープンな川床とも違う隠れ家のような風情は、誰か大切な人を連れて行きたくなるかも。

2023年4月03日 | お店, グルメ, 町家 | No Comments »

背割堤と新たな計画

3月29

sewari 京都と大阪の間、石清水八幡宮のある男山と天王山に挟まれ、木津川と宇治川と桂川が出逢う背割堤は、すっかり桜の名所となりました。
展望台ができる前と比べて観光地化が進んだ印象ですが、それだけ老若男女が共に楽しめるということです。

「背割堤さくらまつり」の期間中、桜のトンネルから途中階段で南岸へと降りると、そこは屋台が建ち並ぶグルメストリート。
レジャーシートやテントさえ持参すれば気軽にお花見ができます。
本格的なキッチンカーも多数なので、味のレベルも期待できますよ!
「お花見船Eボ-ト」も運行しています。
反対の北岸へ降りると、ひらひらと桜の花びらが舞う静かな小径。まつりの熱気と日差しで火照った身体を、木陰でクールダウンできます。

ところで、2025年の大阪・関西万博を見据えて、淀川舟運を活性化しようと、水深が浅い大阪府枚方市からこの背割堤付近まで川底を掘削して航路を確保する構想が上がっているそうです。更に上流の伏見港まで中型船を運航させることも視野に入れた、京都市、宇治市、八幡市、枚方市の4市と国土交通省がタッグを組む「かわまちづくり計画」です。

かつては坂本龍馬や伊藤若冲も船便で京都~大阪間を移動していました。
三川が合流する背割堤は治水のために生まれたものですが、今後この計画への安全と環境への配慮がクリアされたとしたら、わくわくしてきますね!

花より団子か、団子より花か。

3月22

iori 例年よりも1週間以上も開花が早く、慌ててお花見の計画を立てた人も多いのではないでしょうか。

梅・桃・桜が一度に楽しめる京都御苑を去年の今頃に訪れた時にはまだ工事中だった「SASAYAIORI+」を目指して自転車を走らせました。
壁一面の窓から桜の木々が眺められる休憩所だからです。

カウンターで注文をする前に席を確保する必要があります。
ぜひとも窓側の席を…と、見回していると、ちょうど席を立つ方の後ろで待機して、無事窓際に着席できました。
画像は17日(金)時点での桜の様子なので、今週は更にゴージャスな景色が望めることでしょう。

どら焼きにも惹かれたけど、ここは素朴なみたらし団子とほうじ茶で。
食べるのに忙しくならないシンプルなメニューの方が、花を愛でる時間には向いているような。

桜の名所や美しい場所は全国どこにでも、家の近所でもあるものですが、この近衛邸宅跡の桜のように、雅やかな風情は京都ならではのような気がします。

お気に入りの珈琲を探して

3月14

coffee 京都の町に続々と、珈琲店が生えるように増えていますね。
どこで飲もうか面食らう程ですが、今回は「生きている珈琲」というかわった名前の喫茶室へと、地下への階段を降りてみました。

まるで昔からここにあったような純喫茶の様な内装ですが、スタッフは若く、Wi-Fiもあり、完全分煙と、ちゃんとイマドキです。

さて「生きている珈琲」とは。
豆の細胞を壊さず、焦がさないという熱風低温焙煎の珈琲は、胃に優しく豆本来のクリアな味がするそうで、冷めても飲みやすいとのこと。

メニューのチャートに「コク」「さっぱり」「酸味」「苦み」といった特徴が豆ごとに分類表示してあるので、素人にとっては分かりやすくありがたい。
コクと甘みのコロンビアを選んでみましたが、お店の指南によると、酸味もコクも楽しめるバランス系。
日本女優に例えるなら宮沢りえ、だそうです。

一杯25gの粗挽き豆から抽出された珈琲を、まずはブラックで。
家だと甘さを入れたカフェオレばかり飲んでいるので、「ブラックでも苦味を気にせず飲める」のが自分にとっての美味しさの基準にしています。
これはちゃんとブラックで楽しめました。クリアな味をしばらく楽しんだ後は、添えられたフレッシュを足して、最後は砂糖も少し加えて味変を楽しみました。

ちょうど家の豆を切らしていたので、オーダーした珈琲を飲みながら
「家族が朝一番に飲むから、どんな味がいいだろう?」
「カフェオレにするなら、苦みもある方がいいかな?」
と購入する豆を何にするかじっくり思案。

少量の小袋で家族の反応を見てみることにしました。
ちなみに、熱風低温焙煎の珈琲は賞味期限も約2倍だそうですよ。

2023年3月14日 | お店, グルメ, 未分類 | No Comments »

京都らしいと感じる店・亀廣保

3月1

higashi
子供達とおひなさまの飾り付け。
「長い事しまわれて、喉乾いてはるやろ?」と、私の母がそうしてきたように、まずはお水をお供えしました。

先日、外国人のお客様をおもてなしするのに、季節の干菓子を求めて亀廣保の暖簾をくぐりました。
干菓子だと、日本の豊かな四季を映した造形を目で観て食べて楽しんでもらえるし、アレルギーや宗教上の食事制限などの心配も少なくて済みます。
先方が既に満腹のときや甘いものを控えているような場合は、懐紙に包んで持ち帰ることもできますね。

烏丸御池駅から近く、室町通りを上がったところにある亀廣保。
小上がりに小さなショーケースがあるだけ。
大正4年にかの亀末廣から暖簾分けし、NHK『美の壺』にもその洗練された熟練の技が紹介されるほどの腕利きなのに、「老舗です」という演出もせず本当に昔ながらの京都らしさを感じるお店です。
もちろん我が家の地元にも干菓子を扱うお店はあるのですがどれも意匠が可愛らしすぎるので、もう少し茶席にも出せるような風情を求める自分の好みにしっくりくるのです。

小箱に詰められた色とりどりの春の花や貝尽くしのモチーフの宝石たちが目に留まり、今年のおひなさんのお供え菓子に決めました。
桃の節句のお菓子といえば「ひちぎり」が定番ですが、艶やかな有平糖や州浜の歯応え、手触りも小さな手で感じて欲しい。
子供達の目が輝く様が目に浮かびます。

己の光を指針に

2月22


yo
友人に誘われ、高台寺の夜の茶会「夜咄」へ初参加。
寒さの厳しい季節に、陽が落ちてから開かれる夜咄は、暗い茶室の燭台の灯りだけで楽しむ趣向の茶会です。

一席辺り20~30名程でしょうか、先のグループが席入りしている間に、お坊さんが仏教の小話をして下さいました。
茶会の後は、広大な庭園内を登ったり降りたりしながら案内してもらいます。水鏡と化して木々を映す臥竜池を静かに眺められるのは夜の高台寺茶会ならでは。

境内を離れ、向かいの湯葉料理の「高台寺御用達 京料理 高台寺 羽柴」で点心席。
特別メニューの「うずみ豆腐粥」は、禅宗の修行僧が修業明けの真夜中に暖を取るために食するものだそう。
厳しい修行の最後の日に出されるとあっては、五臓六腑に染み渡ることでしょう。
人気観光地の高台寺ですが、僧堂としての姿を思い起こさせる、この催しならではのお品書きでした。

どなたでも、お一人でも、洋装でも、肩肘張らずに参加できる茶席です(懐紙と黒文字の用意もあります。撮影も可)。
誘ってくれた友人達が、お茶を習った事は無くてもお茶会に行ってみたい、一緒に行こう、と言ってくれるのは嬉しいこと。
隣り合わせた単身の方もその様なご様子でしたが、政所窯の茶盌やお道具などに都度肩寄せ合ってお話しながら、一緒に楽しくお茶を楽しませて頂きました。

楽しく美味しく身体を整える

2月15


hacco
珍しく熱を出したので節分の取材ができずじまい。風邪のこじらせでしたが、暫くは家で努めてゆっくりと過ごしていました。

久々の京都町歩きは、身体に優しいランチでも、と錦市場近くの「haccomachi」へ。
発酵ごぜん」は、プロデュース元の「一の傳」の西京漬けの鰆を中心に、べったら漬けのすり流しスープ、バルサミコ酢に漬けた煮卵、優しい味のタンドリーチキン、鮭の西京焼のクリームチーズ和え等の様々な発酵食おかずが少しずつぐるりと囲んでいます。
これらには京都で300年以上の歴史を持つ「菱六 」の種麹が活用されているようです。

健康のため日頃から腸内環境の為に発酵食品は意識して摂るようにしていましたが、バーニャカウダアンチョビソースも発酵の力を利用した食材だったのですね。
ご飯にちょこっと味噌を塗ってみたり、砂糖代わりに甘酒を活用したり、風邪が流行る季節には、前もって発酵食品を積極的に増やして美味しく楽しく身体のガード機能を強化するのもいいかもしれません。

発酵バター等を使ったクレープ等のカフェ利用もできます。
2倍甘く3倍酸っぱいという北川本家の純米酒を使った「富翁 純米酒プルミエア ムール」や、「本みりんサワー」も気になります!

2023年2月15日 | お店, グルメ | No Comments »

ご飯の脇の「ご馳走」

12月21

siba9その昔、北海道出身の友達が「京都の冬は寒い」と呟いていました。
大阪から京都へ通勤する友人達は、京阪電車に乗る人は京都の寒さを「枚方を過ぎて樟葉や橋本駅辺りから空気が変わると思う」。阪急電車の人は「大山崎から感じる」とか。

きっとそんな寒さが美味しくするのが京都のお漬物。
市内中心部より更に気温の低い大原の「志ば久」さんのお漬物を色々頂き、毎日のご飯に添えて楽しんでいます。
テレビ番組でタモリさんが称賛していたこともあり、ずっと買いに行きたいと思っていたのです。
知人もそれでお店を訪れて以来「誰に差し上げても喜ばれるので、京都土産の定番にしている」のだそうです。

「きざみ赤志ば」にはきゅうりが入っていないようで、「きざみ青志ば」の方には入っているようですね。
「慣れ親しんだ柴漬けの味と何か違うな?なんだろな。何か違うんだろうな?」と頭で巡らせながらもいつの間にか何度もおかわりしてしまうのです。
袋の裏側の原材料名を見ても、たった一行で終わるほどシンプルな材料で、素材の味が活きた自然な味わいが、つい次のお箸を呼ぶのでしょう。

ちなみに最も気に入ったのは、大粒の国産らっきょうを、大原の自家農園で栽培された赤しそでくるんだ、ちょっと甘めでシャキシャキした歯ざわりの「しそ巻らっきょう」です!

2022年12月21日 | お店, グルメ | No Comments »

祇園で気軽に

11月7

irodori
夜の祇園。「どこで食べよ?」
友人が連れて行ってくれたのが建仁寺の近く、大和大路を下がり団栗通りを東に入ったところにある「京おばんざい・串揚げ 彩り」でした。
女性一人でも入りやすく、祇園でもお手頃なお店です。
店主の趣味か、店内はずっとミスチルの曲がかかっていて肩肘張らない雰囲気。

飲み物の種類も豊富で、日本酒のリストの中から、飲みやすいものをウエイターさんに尋ねると、「甘口ですか?辛口がいいですか?それならこちらは…」とテンポよくオーダーが決まります。
他のお客の皿をきびきびと運ぶ合間に、悪酔い防止の和らぎ水も持ってきてくれる自然な気配りも嬉しい。
当たり前のことですが、「愛想のいい接客」は誰にでもできるもので、それがお客への思いやりとお店への愛着、商品知識がベースになっていると「気持ちのよい接客」になります。
再び国内外から京都の風情を求めて人が訪れる観光地には、その様なお店が残っていって欲しいと願います。

きめの細かい衣に包まれカラっときれいなキツネ色に揚がった筍や茄子、焼き鳥などを、お酒をちびちび呑みながら少しずつ。
「空いてますか~?」としょっしゅう戸を開ける人がいて、また観光地の中にありながら、行列ができるという訳でもない、程良い人気ぶりでした。
公式Instagramにも「お一人様から御家族、0歳の赤ちゃんも」とのこと。
呑む人も呑まない人も、祇園で誰でも安心して立ち寄れるお店ですね。

2022年11月07日 | お店, グルメ | No Comments »

駅の喧騒から離れて楽しむお茶

10月18


aotake

京都駅からそう遠くない距離感、落ち着いた風情でゆっくりとお茶を飲みたい。
そんなお店がありました。
京都駅から北東へ徒歩約8分の「aotake」です。

京都に古くから住む人の家を訪ねるように狭い玄関に入り、引き戸を開けて中へ。
22年に農林水産大臣賞玉露の部で受賞した京田辺市の茶園の手摘みの宇治玉露などの日本茶や中国茶など、四季折々の厳選された美味しいお茶やタルトを頂くことができます。
気軽に手に入るスナック菓子なら、家の冷蔵庫から出したお茶やジュースで流し込むようにぺろっと食べてしまいますが、旬の果物がぎゅっと詰まっていて手間暇かけて作られた食べ応えのあるお菓子には、それに見合った飲み応えのあるお茶や器がやはり合うような気がします。

2階の座敷では、お茶会や日本茶の淹れ方のプライベートレッスン、古建具活用講座などこれまで様々な催しがされてきたようです。
その中で「ふて゛文字教室」に興味があったので、参加してみる事にしました(詳細はまた後日)。

お店の隣の古民家前には「七条仏所跡」の駒札があり、近隣には紅葉さんぽが楽しめて煎茶道にゆかりのある渉成園もあります。
席数に限りがあるので、4名以上での利用の場合には、事前に連絡を入れることをおすすめします。

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