e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

京の居酒屋「神馬」

6月4

sinme 千本通中立売上ルに、酒蔵を模した居酒屋「神馬」(075-461-3635)があります。
うなぎの寝床の様に細長~い店内はカウンター席に始まり、その先には屋内なのに灯篭が立ち太鼓橋が架かっています。奥には簡素なテーブル席があり、屋外で飲んでいる様な趣向なのでしょう。

手書きのお品書きには、「のど黒」や「白ずいきのくず引き」に「ローストビーフ」などなど。
居酒屋といっても、一皿のボリュームは意外に控えめ。
“素材の良いものを少しずつ”という印象ですが、何気なく添えられたソースも美味しく、静かな底力の様なものが感じられて、そこがまた京都っぽい?

昭和9年創業とのこと。市電が通り、映画産業で賑わったかつての千本通りや北野を映した古写真が店の歴史を物語り、移ろう時代の中でも変わらず人々に愛されているところに感服します。
訪れた暁には、レトロなレジや、数字パズルの様な独自の勘定書にもご注目。

2013年6月04日 | お店, グルメ | No Comments »

「出町ふたばの新顔さん

5月27

futaba新茶のお供にしようと、「出町ふたば』(075-231-1658)さんへ出かけると、新顔発見!
かぼちゃの餡が入った豆もちです。1個170円。
ほんのり色の透けたおもちにかぶりつくと、分厚いおもちもの中にとっても鮮やかな黄色のこし餡が包まれています。周りの大豆も香ばしく、なんだか元気をもらえそうなおやつ。
今年の初め頃から販売されているそうで、まだまだ当分店頭に出されるそうです。

まだぬくもりの残っている急須の蓋を開けて見ると、お湯を含んで明るい黄緑色になった茶葉は、まさに今年生まれた葉っぱの赤ちゃん。
さわやかな香りの新茶に、ビタミンカラーの豆もち、そしていよいよ水無月の季節。
初夏は自然の恵みがいっぱいです。

2013年5月27日 | お店, グルメ | No Comments »

サロンドロワイヤル京都の「カフェ床」

5月14

yuka 学生の頃は鴨川から見上げていた納涼床も、懐石料理だけでなく洋食屋やエスニック、バーなどバラエティに富み、ここ数年では「カフェ床」も増えてきて随分と敷居が低くなりました。「川床って高いんでしょ?」と思い込んでいては勿体ない!

鴨川の新緑が青々と茂り、「昼床」が最も気持ちがいい5月に入ったので早速おでかけ。
大阪で創業の老舗洋菓子屋のチョコレート専門店が、川床のあるカフェを併設した「サロンドロワイヤル京都」へ。
ゴールデンウィーク中だったので行列を覚悟していたのですが、思いのほか空いていてすんなり席に着けたので驚きでした。
通り抜ける風が木々を揺らし、せせらぎの向こうで遊ぶ親子や散歩中の人々を眺めていると、他の席で談笑する和服女性たちもまた風景の一部のようです。

京友禅を連想させるパッケージの商品も、京都土産としてぬかりなく。
ワインリストもあるので、フォワグラやショコラと共に、食後の一杯…なんて一夜も今後のお楽しみですね。

2013年5月14日 | お店, グルメ, 町家 | No Comments »

ラ・パティスリー・デ・レーヴ

4月17

reve 海外初出店かつ日本初上陸の地に京都の東山を選んだ、パリで人気の「ラ・パティスリー・デ・レーヴ」(075-533-7041)。
その代表菓子の京都バージョン「京都ブレスト」が料亭「祇園 ささ木」の佐々木浩氏とのコラボレーションで誕生しました。
これには食べる順序が決まっています。連なった一つ一つのシューが「先付」「椀」「焼物」「菓子と茶」というコース仕立てになっているのです。
「先付」は生地にすだちを使い、洋梨のソースとのさわやかな酸味で食欲を刺激。リズミカルな食感がレーヴの特徴でもありますが、挟んだクリームのシャリシャリ感はなんとレンコン!
続いて「椀」は、かぼちゃとコーンのスープを連想させるクリーミーな味わい。最も個性的だった「焼物」は生地に山椒が入っていて、薫製した香りは菓子として初めての体験でした。
最後の「菓子と茶」はデザートらしく抹茶やホワイトチョコのクリームと小豆ソースの直球勝負、素材の良さが生かされていました。
このケーキは、シェフパティシエ・フィリップ・コンティチーニ氏が、初めて出会う日本の素材で新しい菓子を作ってみたいという「レーヴ(夢)」を形にしたものかもしれません。
厳選された素材それぞれに良い香りが広がり、一箱分を4人で分け合って食べてもお腹がいっぱいになります。
予約は受取日の7日前から受け付け可とのこと。この実験的な作品、チャレンジしてみますか!?

2013年4月17日 | お店, グルメ | No Comments »

今井食堂のさば煮

4月9

imai 週末の台風の様な風が吹いた後、京都の桜はどうなっているでしょうか?
桜の定点観測のため加茂川沿いの道を走っていると、散り始めた桜がひらひらと空中を流れてきました。
ソメイヨシノの花はもう半分程になってしまいましたが、半木の径のベニシダレザクラや上賀茂神社境内の斎王桜、みあれ桜等は強風にもめげずに見事に咲き誇り、道行く人々を喜ばせていました。

門前の神馬堂で焼き餅を買おうと思ったら、お昼前にして売り切れ!しかしそこでタダでは帰りません。そのまま道なりに進んで、昔ながらの「今井食堂」(075-791-6780)で名物の「さば煮(3切れ500円)」を買ってみる事に。
平日でも少しだけ待ちましたが、帰宅して早速お昼のおかずとして頂きました。どこに骨があるのか分からない程柔らかく炊かれた鯖は、しっかりと味が染みこんでいながら塩辛いという事もなく、どこかニシンそばに似た味がしました
総菜屋に売られている様な濃くて甘い味付けが苦手な人にもおすすめです。
お弁当の持ち帰りもできるので、近くの加茂川の桜吹雪と芝生の中で食べる事もできそうですね。

遅咲きで知られる仁和寺の御室桜もただ今見頃とのこと(公式ホームページで咲き具合を告知しています)。
週末までもってくれるといいですね!

山中油店

3月25

yamanaka 自転車で西陣を通り抜けるとき、わざとジグザクに進んで町並みの風情を楽しんでいます。そこには普段着のままの、暮らしが垣間見える京町家が静かに佇んでいるから。

醤油屋から分家した「山麹」の暖簾と水車、鯉が泳ぐ池が目印の「山中油店」は、創業した江戸後期には灯明用の菜種油を商い、現在では食用油の他にも美容用の油や、塗装用油を扱う専門店です。
化学溶剤を用いず昔ながらの圧搾法にこだわった紅殻(べんがら)や荏(え)油などの自然塗装油は、木材の呼吸を妨げず、手入れにも使用する事で美しい木目や艶、色味や香りを際立たせ、住宅のみならず祇園祭で登場する各山鉾の車輪などにも使われているとのこと。
また、シックハウス症候群を心配する人々からの需要も増えているといいます。
化学物質を一切使わず紅殻や荏油、柿渋を用いて改修した町家は、「町家ゲストハウス」や「ショップ&カフェ綾綺殿」で体験できます。なお、綾綺殿は4月1日より平日の夜も営業されるそうです。

2013年3月25日 | お店, グルメ, 町家 | No Comments »

うどんミュージアム

2月12

udon 昨年12月に祇園にオープンした「うどんミュージアム」に行ってきました。

元料亭などであった町家4軒分を改装した内部は、坪庭を中央に大小様々な各お座敷が配置されています。この重厚感は、新たに作ろうとしてもできるものではなく、かつては三味線の音でも響く雅な空間だったのかもしれないと思うと、ちょっぴり哀愁も感じてしまいますが…。
麺の幅が10cmもある群馬県桐生の「ひもかわうどん」等の人気の三品が食べられる「食べ比べセット」と、単品メニューのそれぞれ半量サイズを注文し、二人で計6種類のうどんにチャレンジ!!
麺は程よい案配に茹でられ、だしやつゆもそれぞれ個性があり、かつおの香りがじんわり漂って、良い素材でちゃんとひかれたものである事が伝わってきました。

祇園四条駅から近く、手頃な和食と元料亭の風情を味わえるので、今後は外国人観光客からも人気が出そうな予感です。

ご神水コーヒー

12月25

sinsui 湧水のある神社に行くと、ご神水を頂けたりしますね。そのお膝元にある飲食店でも、ゆかりのお水を使ったお茶やコーヒーが提供されたりしています。
伏見稲荷大社の山頂へと続く道中にある薬力社の茶店で、「稲荷山の湧水を使った本格エスプレッソコーヒー」(400円。本日のお菓子とのセットメニューもあり)が新登場していました。期間限定での試みだそうです。
いつもお水を無料で分けて頂いているお礼のつもりで注文すると、好みの淹れ方を尋ねられたので、カプチーノでお願いしました。
濃厚でクリーミーな泡も、その下のコーヒーも豆の香ばしさが引き出されて美味しい。これは豆がいいのか、それともやはりご神水が良いのか。お腹がぽかぽかと温まりました。
初詣には規制がかかる程人気の伏見稲荷大社では、大晦日から参拝客が増え、開門と同時に真夜中でも山頂を目指す人が一斉に押し寄せるのだそうです。

一方、くせが無いのでいつも何気なく飲んでいたご神水。水がキンと冷える冬に汲んだからでしょうか、暖房の利いた室内にしばらく置いていた後でも、不思議と冷たいまま喉を潤してくれました。この季節はより美味しく感じる気がします。

黄檗宗・閑臥庵

12月4

kanga 京の都への入口「京の七口」の一つ「鞍馬口」にある黄檗宗のお寺・閑臥庵は、王城鎮護のため御所から東北の方角にある貴船の奥の院より鎮宅霊符神をこの地に歓請したのが始まりです。「鎮宅霊符」とは文字通り、「家内安全のおまじないのお札」のこと。
祀られている北辰鎮宅霊符神は、十干十二支九星を司る総守護神であり、陰陽道の最高の神様なのだそうです。
絵師・伊藤若冲が十二支をあのメリハリの利いたタッチで描いた版木を所蔵しており、それをもとに作られた各干支のお札を購入する事ができます。

黄檗宗の精進料理として知られる「普茶料理」を味わえるのもここの魅力の一つ。なんと、一面の窓から庭の紅葉を臨むバーカウンターまであるのです。
そろそろ紅葉の色も真っ赤に染まり、蒼い苔に散紅葉が映える頃でしょうか。

「一平茶屋」のかぶら蒸し

11月20

ippei 今月末より「吉例・顔見世興行」が始まります。その南座のすぐそばに、かぶら蒸しを名物としている京料理屋「一平茶屋」(075-561-4052)があります。
大正時代からその地に馴染んで佇んでいるためか、意外に見落としている京都の人も。

かぶらを描いた特製の染付の器のつるりとした手触りは、たっぷりのあんにかぶらが溶け込んだ、その滑らかな舌触りと巧くリンクしています。
「ぼちぼち聖護院(かぶら)も出てきましたねえ。」
夏でもかぶら蒸しを食べに来るお客さんもいるそうですが、これから迎える底冷えの季節にこそ、蕪の繊細な甘みが身体に染み渡り、きゅんと縮こまった身体をほっとゆるめてくれそう。
締めには、刻んだ三つ葉とやわらかでしっとりとしたおじゃこが載ったご飯で、お腹はぽかぽか。

京都らしいものを食べたいけど、手頃で気の張らないお店が好みの人に。予約がおすすめです。

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