e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

宇治茶イタリアン

5月12

cha 抹茶ドリンクに抹茶のお菓子など、今や日本茶・宇治茶グルメはお茶屋やお土産物屋に限らず、カフェやコンビニ、はたまたドラッグストアにまで見られるようになりました。
一昔前まで「抹茶は苦いもの」という先入観を持っていた人も多かったかもしれませんが、最近ではこれらの抹茶グルメを入口として、抹茶に抵抗無く親しんできた世代が育ってきているように思います。
このお茶グルメ効果は海外の人々にも徐々に浸透しつつあり、和食に続いて“日本茶のふるさと「宇治茶生産の景観」”として世界遺産登録を目指して、行政も後押ししています。
それでは一度甘いものから離れて、お茶の料理はいかがなものかと、ホテルグランヴィア京都の15階「ラ・リサータ」(075-342-5522)で期間限定の「お茶イタリアンランチ」を頂いて来ました。
茶懐石の向付を連想する昆布締めに始まり、うっすらと緑色に色付いたきめの細かいフリットや、抹茶とじゃがいものほくほくとしたニョッキ、口直しやアクセントにはほろ苦い抹茶のグラニテ(シャーベット)などなど。 
器に散らされた抹茶の原葉や季節の野菜に注がれた温かい宇治茶のコンソメも、添えられたパンにくっつけて余すところなく頂きました。締めもやはりコーヒーではなく、ほうじ茶を選んで抹茶のマカロンと共に。
イタリアンと言えばオリーブオイルたっぷりのガッツリした食べ応えの印象がありますが、このコース料理が全体的にあっさりと優しい味わいなのは、やはりお茶の作用によるものなのか、あるいは高級茶とされる宇治茶の繊細な味わいを損なわない様にとシェフが工夫を凝らした成果なのかもしれません。
さて、そろそろ、夏も近づく茶摘みも半ばでしょうか。

2015年5月12日 | お店, グルメ | No Comments »

近又の料理教室

1月27

kin 料理好き男子に誘われ、「近又」さんの「ミニ料理教室」に参加してきました。
こちらは、ご主人の語りに耳を傾けながら、頂いたテキストにメモを取って調理のコツを学ぶスタイルです。包丁を持たず、エプロンも不要です。
料理テキストを開くと、京懐石の献立が先付から水物までフルコースで書かれており、なんと半分以上の調理風景を目の前で見せてもらう事ができ、最後はお座敷で実食できるのです。
鮟鱇の肝や鴨ロースの下処理、彩りとして添える小さな青菜類など、懐石料理というものがいかに手間暇かけて丁寧に作られているのかがよく分かります。
食材の甘さや色の鮮やかさ、切り口の繊維の美しさ、表面の照り。それぞれに理由があり、美味しいからといって勢いに任せてバクバク食べてしまっては勿体無い、ゆっくり味わって食べなければ、と自然に思うようになるはず。
参加者は近畿一円や関東からのマダムのリピーターが多く、食べる事も作る事も好きな方ばかり。帰りに近くの錦市場で食材を買い、早速家で実践される事も多いのだとか。
「懐石なんか、家庭で作るかしら?」と構える事無かれ。食材の切れ端の活用法や、他の食材を炊いたり継ぎ足したりして繰り返し使える煮汁のレシピなど、「家で和食を作って欲しい」と願うご主人の語り口からは、家の台所でも活かせそうなお話も色々と出てきます。
まずは、からりと揚がる天ぷらの衣作りからチャレンジしてみたいと思いました。
実際に近又の料理場で料理人から学べる「京懐石の料理実習」の方も盛況で2月分は満席ですが、それ以降の「ミニ料理教室」や6月の「料理実習」はまだ席に余裕があるそうです。

「わら天神」と六勝稲荷神社

1月6

wara お正月の三が日を過ぎると、各神社の熱気も少し落ち着いて、程良い賑わいとなりました。
昨年結婚した身内におめでたの朗報があったので、今年の初詣は「わら天神」と呼んで親しまれている敷地神社にもお参りする事になりました。
まだ雪の残る境内はしんと静まり返っていますが、不思議と参拝者が絶える事はありません。
ご祈祷中も、静かに鈴や柏手を打つ音や、本殿の周りを巡る足音が聞こえてきます。
祝詞をあげてもらうこと数十分、「おめでとうございます」とのお言葉と共に、安産祈願の腹帯や産着などを頂きました。
報告を兼ねた親族へのお土産に、斜め向かいにある笹屋守栄で買った、わら天神宮の名物「うぶ餅」。
見た目はきな粉を纏ったわらび餅の様ですが、そのやわやわとした感触は、これから生まれて来る赤ちゃんの柔らかさを連想させるかもしれません。
ちなみに、わら天神宮は「十六社朱印めぐり」の一つで、摂社の六勝稲荷神社は受験生達からの信仰を集めているといい、「六(む)つかしいことに勝つ」という語呂合わせはさることながら、「伊勢・石清水・賀茂・松尾・稲荷・春日」の六柱神を祀っているそうで、なんだかお得な気分ではありませんか?
お宮参りに受験など、子供の成長を祈り、見守るという風習や人生のイベントは、自分が辿って来た道を、今度は違う立ち位置から思い返すきっかけにもなる気がします。
親も子も、おじいちゃんもおばあちゃんも健やかに、この一年を過ごしていきましょう。

京菓子資料館

12月16

kashi  京菓子資料館で「近現代の京菓子のあゆみ -昭和期を支えた人々-」展が開かれています。
都が東京に移り、博覧会等で外国人の来日が増え、飲食店が外国人の好みに合わせて洋食化したり、和菓子の名店が相次いで廃業する中で、和菓子屋の広告や図案帖にも洋菓子の影響、或いは洋菓子そのものが見られます。なんとウェディングケーキまであったとは!
菓子税の導入、戦中戦後の資源不足…そんな時代の流れの中でも変わらなかったのが、一個の菓子という掌サイズの媒体に、四季折々の風物を簡略化し凝縮させているところ。
あらゆる要素を削ぎ落とす事で本質を浮かび上がらせる傾向は、家紋や俳句、日本画、華道等を生み発展してきた「日本らしさ」の表れとも言えます。
創作意欲をかき立てるのでしょう、徳力富吉郎ら当時の文人墨客が描き、菓子屋に作らせた (中には味わいや触感の指定まで!)のも頷けます。
毎年我が家の年賀状は自分で絵を描いているのですが、これらの和菓子のデザインからも多いに刺激を受けました。
年内は23日まで開館、茶席は年明け2日より営業しているそうです。

神泉苑平八の「うどんちり」

12月8

heihati 平安京造営時から現在もなお、静かな池に舟遊びの風情を残す神泉苑
小野小町や与謝蕪村が川柳や俳句に詠み、祇園祭の起源となった地であり、弘法大師空海が雨乞いの祈祷をした地であり、静御前と源義経が初めて出逢った地とも言われているそうです。
しかし今回足が向かったのは、苑内の料理屋「神泉苑平八」。注文したのは「うどんちり」。お目当ては、1.5センチ角はあると思われる極太のうどん!!
その太麺の全貌は白菜で鍋底に隠れたまま、まずは仲居さんがこしらえてくれたかしわや水菜、湯葉等をはふはふと頂きます。後半からはセルフサービスで。
お楽しみの極太うどんを最後の締めにと、長く煮込み過ぎてしまい、結局もう2本追加してしまいました。
すっかり具を食べ尽くして、様々な食材のエキスの集合体となっただしに浸し、ことこと、湯気のいいにおいを嗅ぎながら煮えるのを待ちます。
好みの固さまで茹で上がったら、箸よりも太く重いうどんを滑り落とさないよう取り皿に移すのですが、なんせ太いので、まるで生き物を別の水槽に放つかのようです。
真っ白からほんのりだしの色が付いたうどんを箸で一口大に切り、噛んでみると、もっちりとした弾力。今度の茹で加減は良い塩梅だったので、うどんの風味も倍になりました。

宇治茶のテーマパーク

10月7

ujicha 

80年以上行われてきたという「宇治茶まつり」。午前中は宇治茶を育んできた自然や茶祖、茶筅に感謝を捧げる厳かな儀式で幕を開けます。
「茶壺口切り式」では、茶壺の中で大切に熟成されていたお茶の封印が解かれ、宇治川の水と合わせて茶祖に供えられました。
儀式の後は、塔の島を中心とした一帯は宇治茶のテーマパークに!
今年は京都文教大学の学生が主催する「親子で楽しむ宇治茶の日」が同時開催された事もあって、気まぐれな雨にも負けずたくさんの親子連れが、京田辺市や木津川市等の宇治茶産地のお茶を楽しんだりしていて、スタンプラリーの景品交換所には長い傘の列ができていました。
茶券(茶席が混んでいる場合は、お菓子だけ持ち帰ることも可)を片手に訪れた宇治市観光センターのセルフサービスの緑茶でさえも一定のクオリティを感じるところは、さすが京の茶どころ。
点心席として訪れた宇治茶道場「匠の館」で出されたお茶も、甘みがあってとても美味しく、思わずお代わりするほど。
あちこち巡っている間に、落成式を終えたばかりの平等院鳳凰堂を拝観する時間が無くなってしまったので、次回のお楽しみとしました。

創作料理 佳久

9月25
創作料理 佳久
創作料理 佳久

 京都人が、他府県や外国からの客人を案内する際に悩むのが、“京都らしい”お食事処
高級料亭はそう頻繁にあちこちのお店を利用するわけでも無いし、人数分をご馳走する様な場合にはお財布にも厳しい。かといっておばんざいのお店だと、自宅の食卓に上がるおかずを外で食べるようなもので、これは旅行者同士で楽しんで頂きたいという気も…。
また、地元人よりも旅行客の方がよっぽど京都の観光地やお店にも詳しいという状況も多々ある中で、「メディアに取り上げられる有名店よりも、京都人が普段使いする美味しいお店」を求めている人も少なくないのではないでしょうか。
そこで、我が家がよく「気張らないおもてなし」に利用させて頂くのが「創作料理 佳久」(075-231-9671)です。
物腰柔らかに話す店主がきびきびと動くライブ感を楽しむカウンター席や、程よい賑わいの中でお酒を酌み交わすテーブル席があり、隣の離れには襖で仕切ったお座敷もあるので、外国人やちびっこ達、親族を交えたの集まりにもお世話になりました。
美味しいお食事(あんかけ類がおすすめ!)もコースの場合、「向付」「煮物」「揚物」「焼き物」…と懐石料理の要素を感じられる品々で楽しめて、4000円からとお値打ちなので、もてなされる側にも負担の無い範囲で収まりますね。
高級過ぎず砕け過ぎず、「ちょうど良い塩梅」ものこそ、なかなか見つけにくいもの。若いご主人がそのところを上手く押さえて頑張っておられるんだな、といつも思います。

2014年9月25日 | お店, グルメ | No Comments »

「喫茶葦島」

9月1

ashi 「素人の自分でも、美味しさが分かるだろうか?」とやや緊張しながら、「喫茶葦島」へと誘うエレベーターに乗り込みました。
数段に重ねられたお皿には、それぞれに異なる珈琲豆が入っているのでしょうか?
マスターは、銘々の皿に匙を入れて目分量で豆を取り出し、一つに合わせているのです。
文字通り、マスターの「匙加減」で自家製ブレンドが決まるようです。
巷の珈琲店で、店主が缶から出した豆を、ざらざらとミルに注ぐ光景に見慣れていた自分にとって、この光景は珍しく映りました。
いつもはミルクも砂糖も入れてしまうけれど、まずはストレートで一口。
最もスタンダードな「葦島ブレンド」は雑味が無く、香りも強すぎず弱すぎず。
しばらく飲んでから、小さな小さなピッチャーに入ったミルクを足し、最後に砂糖も少し加えて、味の変化を楽しみました。
もともと外出先で空き時間ができ、目を通したい書物があったので立ち寄ったのですが、目の前にあるカップも菓子皿もシュガーポットもシンプルな白一色で統一されているところをみると、目の前の珈琲だけにちゃんと向き合って飲まないと、なんだか勿体ないような気になり、本を鞄にしまい直しました。
「自分好みの味の濃さや酸味の強さ、煎り具合ってどんなだろう?」
珈琲党でないはずの自分が、この珈琲を基準に、色々と思案しながら飲んでいました。
もちろんカフェとして、気の合う人と会話を楽しむ人達や、一人用のテーブル席で本を読んだり書きものをしている人もいたり、過ごし方も人それぞれです。
個人的には、完全にリラックスして雑談をしながらカップに手を伸ばすよりも、一人で訪れて、その都度品種や煎り方を相談しながら一杯を頂き、残り香が完全に消えてしまわないうちにさっと出ていく様な、スイッチを切り換えるような利用をしたいと思いました。

2014年9月01日 | お店, グルメ | No Comments »

亀屋則克の「浜土産(はまづと)」

8月12

hama  台風11号の影響を受けた京都の町ですが、去年の教訓が生きて早急に復旧が進み、いつも通りに五山の送り火を迎えられそうです。
川床の真下まで水没する鴨川の報道には驚愕しましたが、「京の七夕」の最終日には、台風の事が嘘の様に、たくさんの浴衣の人々が町中を歩く光景にも驚きました。
そんな水の脅威とは裏腹に、京都盆地の中で生まれ育った者としては、昔から水辺、特に海に対して憧れがあります。
この夏、丹後の久美浜へ旅立つお盆過ぎには、そろそろクラゲが出て海には入れないかな?と思案していたところに、ふと夏の便りが。
蛤に琥珀羹を流し込み、真ん中に塩気の浜納豆を一粒入れた、亀屋則克さん(075-221-3969)の「浜土産(はまづと)」です。
京都の夏の和菓子として、もうすっかり知られるところですが、まるで磯辺で採った蛤を籠に載せ、檜の葉を添えてさっと出したかの様な、ざんぐりとした風情は、やっぱり嬉しいもの。
この涼菓を考案した初代も、京から遠い海の汐風を想い起こしていたのかも。
かつて友人たちが浴衣の茶会を開いた時には、このお菓子がブリキのバケツいっぱいに入っていて、それを一人ずつ取り回し、片方の貝殻ですくいながら頂いたものです。
「浜土産」の販売は5月から9月中旬まで。画像は丸籠ですが、磯馴籠(そなれかご)に入ったものも、また楽し。

2014年8月12日 | お店, グルメ | No Comments »

現代の時代劇

7月1

kaneyo 「この映画、面白かったよ」。との評判を聞いて、「超高速!参勤交代」を観て来ました。
思わずニヤリとしてしまうタイトルに違わず、大いに笑わせて頂きました。
京都でもロケが行われているので、時代劇でお馴染みの八幡市・流れ橋や糺の森、金戒光明寺など、どこかで見た景色に出会います。現代風だけど、展開は王道な時代劇。
最も心に残った「政(まつりごと)」をおろそかにして、いわきの土を殺すでないぞ。」の一言。
ただの歴史エンタ-テイメント映画では無い事を物語っています(ちなみに最も笑ったのは”山びこの術”)。
以前「時代劇の衰退」という言葉をよく耳にした記憶がありますが、現在でも歴史物のドラマや映画の新作は出ているので、「果たして本当にそうなのだろうか?」と思ってしまいました。
一方、「5万回斬られた男」福本清三氏が初主演を務める「太秦ライムライト」(関西先行上映中)も観てみました。
殺陣(たて)の稽古も空しくリストラされる大部屋俳優達に取って代わり、CGで後から合成される刀の刃先。
「時代劇の斜陽」というより、製作のプロセスや訴求の仕方が変化してきているのかもしれません。
現代人にも通じるストーリーやアイデアで、幅広い年齢層に受け入れられる時代劇に、時代考証や殺陣など、日本映画ならではの歴史や文化の厚みを基盤とする時代劇。
これらを評価できる程、昔ながらの時代劇を観てきた訳ではありませんが、個人的にはどちらも支持したいというのが正直な感想です。
ともあれ、上映前の腹ごしらえには、「京極 かねよ」で鰻丼を食べて行くのが我が家の定番になりつつあります。
映画全盛期だった昭和の京極通り界隈では、そんな人もたくさんいたのでしょうね。

2014年7月01日 | お店, グルメ | No Comments »
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