e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

京都に鴨川があって良かった。

6月2

saryo
自粛が段階的に明けつつあるとのニュースを聞くだけで、ずいぶん気持ちも軽く明るくなりますね。
重い課題が解決された訳ではありませんが、いつ終わるか分からなかった暗いトンネルの先に一筋の光が見えただけでも希望としたいところです。

久しぶりに賀茂川に出てみて川辺に腰掛け、夕方の涼しい風にあたりました。
もしも「京都らしい景色」を尋ねられたら、きっと迷わず「鴨川(賀茂川)」と答えます。
賀茂川があるおかげで街中でも広い空と、こんもりと茂る緑に触れられるから。
家族と外を歩けるという何でも無いことが本当に幸せだと、周りの人も実感していたに違いありません。

まだまだしばらくはテイクアウト生活を続けます。
普段は敷居の高いお店でも、お求めやすい価格でお試しできるのがお弁当の魅力。
お弁当というと、揚げ物と濃い味付けが主流ですが、下鴨茶寮「おうち料亭」は塩分控えめ、あっさりした味付けを求める方向けです。
天婦羅おむすび等が入った「和牛すき焼きと贅沢おにぎり」は、1,800円(税抜)。
これにお吸い物も追加してもらって、温もりをプラス。

配達が可能なエリアもあるので(有料)、元気を出して欲しい人への差し入れにもいかがでしょうか。

2020年6月02日 | お店, グルメ | No Comments »

「空気をまとう」京和晒綿紗

5月26

sarasa 外出する日数が少なかったせいか、初夏を飛び越えて既に夏に入ってしまったかのような気候です。
エアコンをつける程でもないけれど、室内だとちょっと蒸し暑いときも。
巣ごもり生活の長い夜を快適にすごすため、寝具を旅館風に変身させるのも楽しいですね。

老舗寝具メーカー・大東寝具工業「ねむりの蔵」による「京和晒綿紗」は、国内わずか数台という稀少な和晒窯で4日間かけて繊維の奥にある不純物まで取り除いたあと、天然水で洗い流すなど全ての工程を国内工場で行い、柔軟剤を使わなくても洗うほどにふわふわの手触り。
一般の多重ガーゼ生地とは異なる独特の物作りの詳細は、ぜひ公式サイトをご一読ください。
ガーゼの寝具は、夏の寝汗を吸い取って放出させるので手触りもさらさら。
一日の終わりは肌もノーストレスにして、全体重を布団の中に委ねる幸せの時間に。

これから過酷な夏を迎える赤ちゃんを優しく包むギフトセットもあります。
綿のタオルより更に軽くて風を通すので、お風呂上がりも気持ちよさそうですよ。

2020年5月26日 | お店, 和雑貨 | No Comments »

仕出しは「日常の中の非日常」。

5月18

akoya
今年の母の日は、「阿古や」(075-441-3988)の仕出しを頼んで、家に両親を招待しました。

時間通りに運ばれて来た木箱には、塗りの弁当箱のほか、人数分のお椀と椀種。それにおつゆの入ったアルミのポットが付いています。
「写真を撮って、自分のブログに紹介させてもらってもいいですか?」と尋ねると、
「ああ~どうぞ。うちはネットでも余り情報が出てこないので…。」

お弁当や飲み物をセッティングしたら、コンロで温めた吸い地を、種を入れた椀に張ります。
湯気と木の芽の香りが台所に広がり、高揚した気分とともに食卓に運びます。
皆で揃って蓋を開けた時の鮮やかさ。
赤くて艶のあるもの、瑞々しい緑。素材の良さだけでなく、それらを活かすための丁寧な手作業が加えられているから。
お弁当におすましも付いて、これで3000円とはお値打ちではないでしょうか。

自宅あるいは宿泊先なら、子連れでも互いに気が楽です。
泊まりがけなら、帰りも気にせずごろんと横になってくつろいでもらうのもいいでしょう。

容器類は翌日取りに来られるので、再び木箱に納めて返却します。
「昨日はいい写真撮れましたか?」

仕出しは「日常の中の非日常」。来月の父の日の演出への、一案です。

2020年5月18日 | お店, グルメ | No Comments »

絆をつなぐ刀

5月11

youkan 二尊院や祇王寺にほど近いところに店舗を構える和菓子屋「京都一夢庵大ふへん堂 嵯峨嵐山店」。
全国の百貨店や博物館等で「刀剣武家ようかん」を観た事がある人も多いのではないでしょうか。

祇王寺は緊急事態宣言が解除されるまでの間は拝観を停止されているため、「模造刀お触り放題」のこの店も暫くは要予約制となっていますが、
インターネット販売は好調のようです。

今年の大河ドラマ縛りと味の種類で選びました。
これらをステンレス菓子切り「羊羹切日本刀ナイフ」で一刀両断するのがまた楽しいのです。
雛人形にも持たせられそうなこの小刀。収める袋も思案中だとか。
お茶席があれば、稽古に行けたら、何食わぬ顔をして抜刀するのに…!!

ちなみに、二尊院は5月15日(金)より一般拝観を再開されるそうです。

通販なら、遠く離れたところに住む人にもお届けできます。
日持ちもするので、6月21日の父の日のプレゼントにいかがでしょうか。

龍安寺参道商店街を上ル下ル

5月8

sasaya
縁あって、GW中は龍安寺近くで個人が所有する町家を借り、家族だけで滞在していました。
とはいえ、周辺の寺院はことごとく拝観休止である事は知っていたので、外出したのは殆ど食事に関する時だけ。
例年なら多くの人で賑わっていたと思われる龍安寺参道商店街も、空いているお店はちらほらで、
主にテラス席のあるところや他客との距離が取れるお店、お持ち帰り専門で営業をしているところが殆どでした。

妙心寺と龍安寺に挟まれたエリアは、タバコ屋とパン屋が一緒になったようなベーカリーショップ、何でも揃い高齢者にとって便利そうな小規模スーパーがあり、住宅地への横道に目をやると遠くで子供達が路上で遊んでいたり、通りすがりのおじいさんに話しかけられたりします。
住宅に埋もれて見落としそうな駄菓子屋さんもひっそりと開店中。嵐電の踏切の音がことさら響くような静けさと相まって、まるで昭和から時が止まったかのようなノスタルジックな気分になりました。
それでも、大正期創業という「さくらいや」というスーパーにはとようけ茶屋の商品が置いてあったので思わず買って帰り、宿のフライパンでお揚げさんを焼き、醤油をたらして楽しみました。

お土産には笹屋昌園の「本わらび餅 極み」を。
本わらび餅の出来立ての美味しさを味わうための「SASAYASHOEN CAFE&ATELIER」が話題となったお店の本店です。
国産本蕨粉の中でも、希少で雑味が少ないという国産最高ランクの本蕨粉を使い、機械を使わず銅鍋の中で練り上げるのはきっと骨が折れる作業のはず。
箱に流した状態のわらび餅をスプーンでぐいっ力くすくい取り、添付のきなこや抹茶を付けて食べますが、むしろ何も付けなくてもおいしい。
このすっきりとした透明感と清涼感は、和菓子が苦手という人にもおすすめです。

今できることに集中する

4月29

takara

満開の桜を横目にやり過ごしていた今年の春。
じっと留まっているかのような閉塞感を感じている人もいるかもしれませんが、
食卓には筍や山菜が並び、季節は変わらず進み、確実に時間は流れています。
過去を非難したり、未来に不安を抱いたり、カラ元気だったり、他者とぶつかり合ったり、
色んな所で疲れを見せている人々の様子を散見する中で、いつも通りに見える人は強いな、と思います。
「今できること」を考え、こなしています。
「喫茶去」という禅語は、現代では「どうぞお茶でも」と解釈される事も多いのですが、
あるお坊さんが、スマートフォンのホームボタンに例えていたのがユニークでした。
画面上には色んな機能が並んでいて、私達は右に左にせわしなく操作していますが、
ホームボタンを押すと、いったん元の画面に戻りますよね。
家族、他人、仕事、仲間、現在、過去、未来…千々に乱れる心をリセットして、「今ここの」「目の前のこと」にいったん意識を戻す。
お茶の時間にするとして、どこでも手に入る春のおやつ。桜餅とよもぎ餅。
画像のは深泥池畔の「多賀良屋」のですが、幼子の手のような感触に、鼻を抜けるよもぎの香りが豊かです。
毎年楽しみにしている新茶の季節もそろそろ足音が近づいてきました。
茶葉とお湯で満たされた急須から注がれるお茶、立ち昇る湯気と香り、湯呑から指先に伝わる温度。唇から喉に流れ込んでいく温かさ。
感じ得る一つ一つの動きにことごとく集中すると驚くほどたくさんの事象があって、さっきまでの頭のざわつきがいつの間にか少し落ち着いているかも。
邪念に心が支配されないための練習
おうちで旬のものを食べて飲んで、どんなときも芽を伸ばそうとする自然の力を味方につけましょう!
2020年4月29日 | お店, グルメ | No Comments »

疫病除けを願う菓子

4月21

kara
上御霊神社では、3月末に臨時の大祓式が行われました。
疫病が蔓延し、幾千もの命が奪われたという貞観5(863)年、清和天皇の時代に悪霊が鎮まるよう願って、その年の5月20日に神泉苑にて始まったとされる御霊会。
この大祓式は例年5月に行われる御霊祭の成功祈願と、新型コロナウイルスの一日も早い終息を祈願するために例外的に斎行されたものでした。

この時に奉納されたのが煎餅菓子「唐板」。応仁の乱で一時途絶えて以来、古書を頼りに、御霊会の際の疫病除けの神饌を文明9(1478)年に再現されたとされています。
上白糖と小麦粉、卵に少しの塩を含ませて練った生地を伸ばし帯状に切り分け、5枚重ねて薄い短冊型に切った焼き菓子で、現在水田玉雲堂で売っているのはなんとこの唐板だけ。
昭和初期までは御霊神社境内の藤棚のふもとで茶店を営んだり、京都府立植物園の中で珈琲等を扱うパーラーを経営していたそうで、店内には当時の写真が残されています。

唐板の独特の幾何学模様は、鉄板の上で生地が水分を吹き出したときにできたものだとか。
こじんまりとした店構えながら、疫病除けのお供えとしてだけでなく、おやつとしても茶席の干菓子としても長年愛されてきた素朴なお菓子は、お取り寄せも可能です。

おうちご飯を楽しむ

4月13

takeout

週末の夕食は、岩倉のフレンチレストラン「エヴァンタイユ」のテイクアウトを利用しました。
近隣であればデリバリーもしてもらえます。
ここ最近、カフェを一人で切り盛りしていた知人も先日とうとう休業に踏み切りましたが、近所の人からの要望を受けて、閉めたお店のキッチンでお惣菜作りをしているそうです。
その知人に問い合わせたところ家族一組での貸し切り利用を提案して頂いたのですが、こちらからはメニューのテイクアウトが可能か尋ねてみました。
テレビからの報道によると、新規でそのサービスを始めるお店にとっては容器の調達が難しい場合もあるとか。
なので、知人にはこちらから容器持参でテイクアウトをお願いする事にしました。
衛生面に気を配りながら、仕事や家事・子育ての傍ら、年齢層の異なる家族全員分の食事を毎日3食用意するのは本当に大変なこと。
飲食店側も来客が無いまま経費をかけてお店を開け続けるのは本望では無いはず。
各地でもお弁当の販売やテイクアウトを始めているところが増えてきているようです。
皆さんも、持ち帰りやデリバリーの必要性が出てきた時には、こんな感じでご近所や馴染みのお店にご相談されてみてはいかがでしょうか。
2020年4月13日 | お店, グルメ | No Comments »

大原の温泉と味噌鍋

4月6

oohara まだ桜も咲いていない頃の話なのですが、家族で春先の大原山荘にて味噌鍋を頂きました。
自家用車で食事の前に早めに到着して、温泉に入りたい人は大原温泉へ。それ以外の人は外の足湯カフェでリラックスもできます。

既に外国の観光客が少なくなってきた時期だったので、広い座敷の一席に通されたときは、お客は私達のみ。
その後、一組が来ては定食を食べて去り、もう一組来ては去り、という具合で、小さな子供連れでもゆっくりできました。
入り口に売られていたのと同じ味噌でしょうか、大原で育ったみずみずしい有機野菜と香ばしい地鶏が溶け合う自家製樽出し味噌は、地元産キヌヒカリを使用した麹を48時間寝かせたものだそうで、こくがあって美味しい。
誤魔化しのきかないシンプルな料理こそ、素材の良さが現れますね。
野菜も鶏も更に一人分追加して、身体がよく温まりました。

大きな窓から見える山里ののどかな景色。街の中心部から半時間程で澄んだ空と静けさを味わえるコンパクトさも京都の魅力のひとつですね。
また安心してお出掛けできるようになったときの、ご参考までに。

伝統工芸品は「飾る」ものから「活用する」ものへ

3月24

miyako
岡崎のみやこめっせ地階で京都市の伝統産業74品目を紹介する「京都伝統産業ミュージアム(旧「京都伝統産業ふれあい館」)」がリニューアルオープンしました。
あいにく新型コロナウイルス対応のためオープニングイベントは縮小され、手に触れて体験できるはずの展示も眺めるのみとなっていましたが、伝統工芸品が平然と陳列されていた印象だった以前のレイアウトは、より回遊式でスタイリッシュになっています。
まるで「和」をメインコンセプトとしたセレクトショップ、ショールームのようで、奥の一角にある「マテリアルライブラリー」は、生産者と素材を探す人の出会いの場であり商談スペースでもありました。
職人の技と仕事を、博物館の様に展示・紹介するだけでなく、より現代人の暮らしに寄り添い、ビジネスとしての具体的な道筋を作り、継承に繋げていこうという狙いを感じます。
実演スペースでは、普段足を踏み入れられない工房で黙々と進められているであろう作業を間近に観せてもらう事ができ、実際に職人さんに話しかけている来訪者も。
網代編みのブリーフケースや、京金網とクリスタルビーズを組み合わせたポーチなど、新たな感性で編み直された工芸品には驚かされ、足を止めて見入ってしまいます。
年に3~4回企画展が開催される予定で、4月18日からは、6人の職人の家族写真を通して伝統工芸の事業・技術の「継承」を探る企画展「継ぐもの-In between crafts-」が始まります。
入場無料、入り口そばには「ミュージアムショップ」があるので、岡崎に来る毎に「ひと味違う」お土産探しにみやこめっせに立ち寄ってみるのもいいですね。

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