e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

昭和と平成の狭間とサイフォン式コーヒー

6月11

kiku祇園 花街芸術資料館」に行く前に軽くお昼を食べようと、友人が提案してくれた「菊しんコーヒー」に行ってみることにしました。

観光客が行き交う四条通りを避けるため、団栗通りから祇園へ入ります。
東大路通りを渡って一筋東の静かな通りの中にそのお店は溶け込んでいました。

お昼前とはいえ観光地エリア内なので待つのを覚悟していましたが、運が良かったのか誰もいないタイミングで暖簾をくぐることができました。

目の前で、サイフォン式で珈琲が淹れられる不思議な動きに目を奪われながら、はちみつチーズトーストを頂きます。
細かく切り込みが入れられた食パンを昔ながらのトースターで焼き、バターとスライスチーズ、蜂蜜を縫って黒胡椒を挽いたトーストが、シンプルで真似したくなる美味しさ。

後で調べてみると、お湯をコーヒーの粉に注いで抽出し、成分が濃くしっかりとした味わいが出るのがドリップ式、サイフォン式は粉とお湯を混ぜて飽和させて抽出し、
柔らかくすっきりとした味わいになるそうです。なるほど。確かに透明感のある軽やかな一杯でした。

マスターの男性はずっと寡黙に見えましたが、常連さんが来ると少し緊張が解けたように会話をされていました。
アスファルトに落ちる初夏の眩しい日差し、開け放した戸と暖簾の間から入って来る穏やかな風、昔どこの家にもあったようなラジカセから流れて来る少しこもった音声。
もとは「仕出し屋」だったという屋号を受け継いだ店名だそうです。
黒電話やトースター、食器類も、昭和から平成初め頃の懐かしさを損ねないバランスで統一されています。

常連のおばちゃんを真似て自宅用に挽いてもらった珈琲豆。家で棚を開く度にいい香りが漂って癒されています。

2024年6月11日 | お店, グルメ

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