e-kyoto「一言コラム」

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東山ブルーに浸る

10月1

kai
「東京でやっていたとき、何度も観に行ったんです。」と「東山魁夷展」の葉書を知人から頂きました。
自分の中では「人気の日本画の大家」という認識で観て来たつもりでいましたが、実際に間近に観て、これまでちゃんと作品に直に向き合っていなかった事に気がつきました。
空や池や森など、あらゆる姿の「あお」で埋め尽くされた会場でしたが、そのそれぞれが複雑な色彩の重なりであり、その色に行き着くまでの物語さえ感じさせます。
幻想的のようでいながら、きっとどこかで出逢っていたかもしれない光景。
観客が銘々の心の琴線に触れる作品の前で、吸い込まれるように立ち止まっていました。
盛夏から秋にかけてのこの季節にこの展覧会が開かれたのも頷けます。
「唐招提寺御影堂障壁画」の『濤声』の前では、本当に波打っているように見えて、端から端まで往復してしまい、東山魁夷が夢の中で観た景色だと語っていた絶筆『夕星』は、他の望遠の作品群とは違って4本の木が意思を持った生命体の様に佇んでいるかのようで、身につまされるものがありました。
売店では、図録も絵葉書もたくさんあり大盛況でしたが、やはり実物に勝るものはありません。
『京洛スケッチ』のコーナーでは、京都のどこの景色が描かれたものなのか紹介されています。この連休の訪問先にいかがでしょうか。

2018年10月01日 | 芸能・アート

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