e-kyoto「一言コラム」

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西福寺の地獄絵

8月10

saifuku 六道参りで賑わう「六道の辻」。「轆轤町(ろくろちょう)」と呼ばれる地に建つ西福寺にもお精霊を迎える鐘があり、毎年地獄絵が公開されています。
「壇林皇后九想図」は、仏教に深く帰依していた壇林皇后が「諸行無常」の真理を身をもって示すために、自らの亡骸を放置させ、それが膨張し腐敗し鳥獣に啄ばまれてバラバラの骨となり土に還るまでを9段階に分けて描かせたという強烈な伝説が残るもの。
「地獄絵・六道十界図」では、没後49日目に死後の世界で「地獄」「餓鬼」「畜生」「修羅」「人間」「天上」の6つのどの世界に生まれ変わるかの判決が下され、また供養をする事で亡者の罪業を軽くし、阿弥陀三尊来迎仏に導かれて極楽浄土へ行けるという仏教思想の一つを説いています。
思えば、初めて「地獄」というあの世の世界を認識したのは、子供の頃に絵本「じごくのそうべえ」を読んでもらった時でした。
因果応報を説く地獄絵図は、近年子供への躾として再注目されているといい、母も子供の頃に毎年地獄絵を観て、子供ながらに「悪い事をしたらしたら罰が当たる」と感じていたそうです。
「こら、なぶったら(触ったら)あかん」と子供を諭す父親がいる隣で、腰をかがめてまじまじと絵を凝視する大人たち。
この絵図の現物が描かれた当初は、天災や戦で野晒しになった死体を大人も子供も実際に目の当たりにする事もあったかもしれません。
映画やアニメ、動画サイトで幾らでも恐ろしい映像を観る事も、逆に避ける事もできる現代ですが、親や祖父母の手にひかれて眺める地獄絵は、今の子供達にどう映るでしょうか。

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