e-kyoto「一言コラム」

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平野の家 わざ 永々棟「ひな茶会」

3月2

hina 梅香る北野天満宮の近くにある「平野の家 わざ 永々棟」は、大正~昭和期の日本画家・山下竹斎の邸宅兼アトリエとして大正15年に建てられた木造建築。
その後、映画の時代考証や道具等の美術品を扱う高津商会社長の邸宅として使われた後、数寄屋大工の棟梁・山本 隆章氏の手に渡り、建築に関わる職人や技術者の若手育成のため、先人大工らがその建物に残した伝統技術と材を引き継ぎながらも、現代に合うものを盛り込んで再生されました。
京の手仕事と文化の高い美意識を育む活動の一環として、毎春雛展が開催されています。
その人気行事「ひな茶会」では、小学生と中学生の女の子たちが可愛らしい晴れ着姿でお薄を振る舞ってくれました。
お点前が始まり、銘々皿の代わりに運ばれて来たのは、雛飾りの小さなお膳。
上に乗っている和菓子は、雛人形を模した定番「引千切」なのですが、なんと通常の三分の一程のミニミニサイズ!蒔絵を施した小さな小さな塗りのお椀の中には、桃色の金平糖が入っていました。
柄杓がやっと入る程の茶釜や水指、棗に棚まで、あらゆるものがひと周り小さいけれど、ちゃんと茶道具として機能や風情があります。
ふっくらとした手でお茶を点てている表情も真剣そのもの。
年長の子になるにつれて仕草がより娘さんらしくなり、女の子が女性へと成長していく様を見届けている気分になります。
あちこちにお雛さんが飾られた茶室の内外には、華やかなおべべを着た女の子やその親御さん、お祖母さんらしき人も見られて、まるで永々棟全体がひな祭会場のようでした。
なお、永々棟から徒歩圏内にある櫻谷文庫(旧木島櫻谷住宅)も公開されており、こちらでもお雛さまが飾られています。

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