e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

大橋家庭園(苔涼庭)

7月8

suikin 伏見稲荷大社のすぐ北にある大橋家の「苔涼庭」には、京都最古の水琴窟が今もその音色を響かせています。
水琴窟は京都のあちこちのお寺で耳にしますが、それらが作られたのは意外にも、この庭園ができた大正2年よりもずっと後のこと。
水滴が地中に埋められた甕に反響する音は水量により変わりますが、数滴ずつ、というよりも幾つかの水の筋が絡み合いながら落ちる様なものでした。

京都で瀬戸内の鮮魚の元請を営んでいた大橋仁兵衛氏が好んで配した石灯籠は、春日型や善導寺型など100坪程の庭の中に12基もあり、今でこそ苔蒸して周囲に馴染んでいるものの、庭園が完成した頃、庭造りをアドバイスしていた庭師の七代目・小川治兵衛さんからは「いくらなんでも置き過ぎや!」と突っ込まれていたそうです。
露地風なので、菊型の蹲(葉まで掘ってあるのは珍しいそう)や待合が設けられていますが、家相の関係で茶室は作られなかったそうです。それでも、渡り廊下は折り上げ天井、足元の煉瓦は亀甲型というこだわりぶり。

「受け継いだものを維持していくのは大変でしょうね。」と話すと、ご当代は「この庭が無かったら、毎年ヨーロッパ旅行できるぐらいですわ。」と笑っておられました。
保津川下りの風情を模したという傾斜の両側にはもみじが青々と茂り、秋になればよりお庭の彩りが増すかもしれません。
本当に個人宅のお庭なので、訪れる前には予約を入れて下さいね。

2013年7月08日 | 神社, 観光スポット

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