e-kyoto「一言コラム」

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上村松園展

11月9

jo美人画の大家・上村松園の過去最大級の回顧展が京都国立近代美術館で開催されています。

心の機微も見落とさない観察力から生み出された作品からは、人物の表情やふとした仕草から香り立つような清澄な気品が漂い、狂女を題材にしたものでさえ「不気味」や「恐ろしい」といった言葉だけでは片づけられない優美さを感じさせます。

金剛流の謡曲を学んでいた松園は、『花がたみ』で描いている照日の前の顔に「十寸髪」の面を写生し、初代金剛巌氏の助言を元に、『焔』の六条御息所の白眼部分には絵絹の裏から金泥を施しました。
感情をあるがままに描くと卑俗になる恐れがありますが、あらゆるものを削ぎ落としたその先に最も核の部分が凝縮されている。当時スランプ中だったという松園に、古典が答えてくれたのです。

松園が理想の女性像とし、映画の題材にもなった『序の舞』は前期に、『焔』は後期に展示されるので、お見逃しなく。

2010年11月09日 | 芸能・アート

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