「文化」で生きる
輪違屋十代目当主が語りかけるように綴る『京の花街「輪違屋」物語』(PHP新書)。
それぞれの花街で踊りの流派が異なるのはなぜか、廓で生きるとはどんな状況なのか、かなり本音の部分にも迫っていておすすめです。
京都検定の公式テキストには「島原ではお茶屋営業がなくなって、現在は五花街が残る」とありますが、輪違屋は日本最古の廓・島原で唯一お茶屋を今でも営み、当主は男と言えども月の半分は小唄や常磐津に踊り、鼓など7種類の稽古で自分を磨きながら300年の伝統を受け継いでいます。
「文化」とは、動物ではないヒトならではのアイデンティティー。しかしながら、人間にとってあっても無くても生きていけるもの。それで身を立てる難しさ。
最後に、輪違屋の今後についての一言に、ピリリと心を刺激されました。