e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

お酒をチョコに注いで

1月5

choco この10年程で京都に急増したと感じるものが幾つかあります。
イタリア料理店、結婚式場、珈琲店、パン屋、そしてチョコレート専門店です。
国内外から日本の、とりわけ京都を目指して出店するところも多く、京都に縁のある食材を使ったオリジナル商品を考案する事で、洋菓子でも「新たな京土産」として打ち出す事が可能になり、徐々に市民権を得て来ています。
年末に頂いた「ショコラ ベルアメール京都別邸」のチョコレートギフトもその一つ。
丹波の赤ワインや栗に黒豆、白味噌や七味に抹茶、水尾の柚子を利かせた一粒一粒が、まるで宝石箱の様に華やかな詰め合わせです。
瑞穂のしずく」は、指先でつまめる程の大きさの枡型チョコに、京都産の酒米「祝」で作られた日本酒や国産茶のジュレが流し込まれています。金箔も浮かんで、おめでたい。
新年会に持参するも良し、違いを味わいたい人は一人占めするも良し。
一年の始まりを、お酒と共に迎えた人も多いでしょう。
続きは猪口をチョコに変えて、楽しんでみては?

2016年1月05日 | お店, グルメ | No Comments »

京都のクリスマスチキン

12月28

yoshida 2015年の聖夜は、「吉田チキン」のクリスマスチキンをテイクアウト予約してみました。
ワイン色の壁やアンティーク調の店内には、大きなオーブンの中でチキンがゆっくりと回転していて、受け取ったばかりの温もりを両手に感じながら、思わず見入ってしまいます。
クリスマス当日、丸々と太りながらも皮はパリっと締まったチキンをさばくのに奮闘しましたが、五種類のスパイスが浸み込んだ上品な香りが皮や身の間から漂い、それでいてしつこさが無いのは、ロティサリーというオーブンでじっくりと焼き上げるからなのでしょう。
今回は前もって予約していたので、温め直して頂きましたが、次回はできたて、更なるジューシーな味わいをお店でがぶりと堪能してみたいと遠い目で思いつつ、ワインを飲み干しました。
身を少し残しておき、余った鶏ガラでスープを取って、翌日は鶏飯(けいはん。鹿児島や奄美大島の郷土料理)に。始末して最後まで楽しまなければ勿体無い!
日曜日以外の年末年始も営業しているそうなので、家族親戚が集まる日にわいわいと取り分けるご馳走としても良さそうですね。
良いお年をお迎えください。

花から現れる自分自身

12月21

ikebana 先週末、「生け花で楽しむお正月」という催しのお誘いを受けました。
生け花に関してはほぼ初心者だったので、お正月に飾れる生花のみならず花器や剣山も持ち帰れて、お食事付きというのは魅力的。
たくさんの流派があり、生け方等が異なる印象の生け花ですが、眞田佳子先生は京都未生流とのこと。とても自然体な方で、こう生けたい、という自分の希望を伝えると、「例えば、この枝をこちらに持って来られてはどうでしょう?」と、提案するような柔らかさで導いて頂きました。
同じ花を使っていてもそれぞれに全く異なる趣があり、作品を観てから生けた人を見ると、妙に納得できてしまう不思議。
「生ける」という行為は、花の持つ個性を活かす事で、自分の個性が生かされるのかもしれません。
また、茎を切り、花びらに触れ、葉を落とすという行為は、自らの指先で命そのものを感じ取る時間でもあります。
銘々の作品を飾った後は、会場である「ちきりや茶寮」の、お正月に因んだお料理を味わいながら先生達との話の花を咲かせました。
だしをしっかり効かせた和洋の皿が少しずつ、それでも全10品と盛りだくさんで、懐石料理とフルコース料理の両方を堪能したかの様な満足感。
更には、「ご家庭でもできるものを」と、献立の中の一つ「鯛の蒸し魚 葱油ポン酢ソース」のレシピも配られ、料理長が作り方を解説して下さいました。
次回は2月20日の開催で、打田漬物の社長さんから「京都の三大漬物(千枚漬・しば漬・すぐき漬)」の話と共に、糠床の作り方も学べる内容だそうです。

考えて、試して、美味しくする

12月16

ooya

どちらかと言うと紅茶党で、珈琲については素人なのですが、「珈琲を美味しく淹れたい!」という願望はありました。
いつもはミルクも砂糖も入れないと飲まない自分が、ストレートで飲んでも美味しいと感じたお店は、残念ながらいずれも淹れ方教室をしていなかったので、珈琲の焙煎家・オオヤミノルさんによるドリップ講座を受けてみる事に。
ご本人は美山の山里で焙煎をしているそうですが、今回の会場は「KAFE工船」です。
珈琲豆の焼き加減の浅いものと深いもの、荒挽きのもの、量や温度による違いを、実験の様に繰り返しながら、自分の好みを探ります。
参加者は男性が多く、同業者の方もいました。そのせいかオオヤさんの話題もマニアック(下ネタ注意!)、一見脱線しているかに思えますが、珈琲に限らず食品全般、また珈琲を取り巻く世界の経済情勢に対する造詣の深さも話の端々から感じ取れます。
何より「珈琲の淹れ方のマニュアル」を知る以前に、「自分好みの珈琲豆の焼き具合、挽きの細かさ、好みの焙煎家・店」をよく把握する事が大切なのが分かりました。
それらの要素を変える事でどんな風に味わいが変わるのかを知れば、同じ豆を使っていても、飲んで欲しい相手の好みに調整する事も可能だからです。
「ほぼ水分ゼロの植物の豆を砕き、水を加えてジュースを絞るという調理の行為である事を意識する」。
オオヤさんの講座は2時間以上時間オーバーになるのが常らしいので、参加する場合は他に予定を入れずにめいっぱい質問をして有意義な時間にして下さいね。
25日の天神さんにも出店されているそうですよ。

2015年12月16日 | お店, グルメ, 未分類 | No Comments »

0歳からの伝統工芸品

12月8

aeru 『0から6歳の伝統ブランドaeru』の京都直営店『aeru gojo』が先月オープンしたとあり、テレビやネットショップで気になっていた商品を実際に観てみたくて、足を運んでみました。
お店の場所は駅前や繁華街には無く、いわゆる碁盤の目の中。絹糸・綿糸を扱う明治4年創業の「糸六」のある京町家の1階にありました。
「(和菓子の)末富さんの向かい」と言った方が分かりやすい人もいるかもしれません。
帳場の様な空間に、子供から大人まで和様を問わずに使えそうな漆塗りのお食い初めセットや、「こぼしにくいコップ」の京都限定品などが並びます。
正直なところ、「ちょっとしたプレゼント」にするには、なかなかのお値段。
売り手と買い手、職人さん達にとって三方良しとするには、やはりそうなるのでしょうが、「一生ものを贈る」という意気込みであれば、むしろお手頃な価格設定だと言えるかもしれません。もちろん、修繕して使い続ける事も可能。
看板商品とも言える「こぼしにくい器」は、特に砥部焼のものは電子レンジや食器洗い洗浄機、オーブンにも入れることができ、子供だけでなく、赤ちゃんを抱きながら片手で離乳食を食べさせる事の多いママさんにとっても安定感があって使いやすいそうです。
しばし迷った結果、「愛媛県から手漉き和紙のボール」を、甥っ子へのクリスマスプレゼントにする事にしました。
まだ赤ちゃんである彼にとっては、初めて触れる和紙となるかもしれません。
指で突き破って穴だらけにしても、中に入っている鈴の音の変化を楽しんだり、職人さんに漉き直してもらう事もできるそうです。
触る事が大好きな赤ちゃん。和紙の手触りや籐の木で編まれた形から生まれる不規則な動きなど、ゴムやプラスチック製のおもちゃには無い楽しさを感じてくれるかもしれない。
喜んで遊んでくれるといいな。

2015年12月08日 | お店, 和雑貨, 町家 | No Comments »

京都発祥のジュエリーブランド

12月1

niwaka クリスマスイルミネーションを見かけて、聖夜に向けてプロポーズを考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
京都で挙式をする人が増えているように、和風のデザインを取り入れた婚約指輪、結婚指輪もよく見かけるようになりました。
京都発祥のジュエリーブランドの一つとして知られる「」は、その意匠や石の質の良さはもちろんのこと、純白の陶器におさめられ、桐箱に真田紐をかけて慶びを表した装いは、心躍るもの。証明書もたとう紙に包まれています。
西洋の「黄金比」に対して「白銀比(大和比)」と呼ばれ、法隆寺や生け花、A判用紙に至るまで日本人が古来より美しいと感じてきた正方形の形が正面に現れる様に、独自のカットを施しています。
もう一つ特筆すべきは、ダイヤモンドはしばしば戦争での取引に使われる事があるといい、俄では紛争地を経由しない「コンクリフト・フリー」のダイヤと選んでいるそうです。
一生ものだから、良いものを贈って喜ばせたい。とはいえ、贈る側が前もって相手の好みをリサーチして、指のサイズも聞き出して…というのは案外難しいもの。
後で一緒に選びたいという人のために、大粒のクォーツをダイヤの様にセッティングした「プロポーズ専用のリング」もあります。ファイト!

2015年12月01日 | お店, 和雑貨 | No Comments »

琳派イメージと日本人のDNA

11月24

richard この連休、日本美術好きな人達はこう感じたはず。
「どうして琳派展をあちこちで同時にするんだ!!」
もちろん、数日で巡るにはその方が効率良いのかもしれませんが、お陰で昼間の紅葉狩りができず…という人もいたかもしれません。
京都国立近代美術館の「琳派400年記念「琳派イメージ」展も最終日だったため、飛び込んで行きました。
代表的な琳派作品をアレンジした屏風やドレス、グラフィックもあれば、琳派の影響を受けているように見えてくるものもあり、琳派イメージは無意識のうちに日本人のDNAに刷り込まれているのではないかと感じさせられました。
その後は野村美術館に向かう予定が、その日はどうしても車での移動だったため、案の定渋滞にはまって動けず。
入館時間を過ぎてしまいましたが、なんとか入れて頂く事ができ、「利茶土窯30周年 記念展 利茶土の茶陶 “EAST MEETS WEST in KYOTO”」のみ拝見してきました。
「利茶土窯」と命名した裏千家現大宗匠・千宗室氏からのお墨付きの作品や、「グランドキャニオン」と銘の付いた茶碗など、茶陶家・利茶土ミルグリムさんは、出身のアメリカと創作拠点の日本の二つの国の異なった文化や考え方の違いを表し、それぞれの陶技や特徴、美しさを合わせた創作をしています。
自らと異なるものと対峙したとき、相手の特徴を理解し、歩み寄って新たな道を模索すること。
周りの勢いに呑まれず、自らを振り返ること。
世界情勢が不穏な今こそ、そんな姿勢が必要な気がします。

2015年11月24日 | 芸能・アート | No Comments »

パロディで受け継がれる琳派

11月16

taro 話題を呼んだ「琳派からの道 神坂雪佳と山本太郎の仕事」展の「マリオ&ルイ―ジ図屏風」。
実際に観に行くと、砲弾や亀のキャラクターもゲーム画面のドット(点)で表わされていて、「Cool Japan」を売り出す日本のアニメ・ゲームイベント会場に飾れば、ファンが喜びそう!?
琳派作品でよく見られる住吉浜と青海波の合間からのぞく信号機も可愛らしくて、手ぬぐいとして製品化して欲しいとまで思ってしまうような遊び心のある扇面や茶碗の他、源氏物語の中で、猫の仕業で露わになった女三宮の姿を柏木が目撃する「若菜」の章を、赤い糸と共に描かれた猫のぬいぐるみやサッカーシューズ等の現代のモチーフに置き換えた屏風など、古典をかじった事のある人なら、尚更にやりとさせられるはず。
神坂雪佳の作品も、また、琳派のパロディと言える山本作品のいずれも、日本の古典文学や芸術への教養を持つ事で更に深い考察が楽しめる事でしょう。
もともと琳派も作家同士の師弟関係では無く、私淑、いわゆるパロディの様な形で受け継がれてきたもの。
今年に入ってから、そこここで開催されているマジメな琳派イベントでお腹いっぱい気味な人には、ちょっと肩の力を抜いて楽しんで頂きたいと思います。

2015年11月16日 | 芸能・アート | No Comments »

雨の恵み。琳派展

11月9

rin 観光にはちょっぴり不便な雨模様。でも、悪い事ばかりではありません。
京都国立博物館の「混雑状況 Twitter」を見てみると、「待ち時間0分」となっていたので、ここぞとばかりに向かいました(ちなみに、朝は混む傾向のようです)。
行列ができるほど人気の展覧会に行く計画を立てる時は、週間天気もあわせてチェックしてみるのも混雑回避の策かもしれませんね。
8日まで公開されていた俵屋宗達・尾形光琳・酒井抱一によるそれぞれの風神雷神図屏風が勢揃いした空間もユニークで壮観でしたが、全期間にわたって全巻が初公開されている全長13.56メートルの「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」が最も心に残りました。
宗達の下絵と光悦の書の競作で、横へと進行する絵巻は正に映像が流れるスクリーンのよう。「鶴がアニメーションの様に舞い降りる」という解説の表現は言い得て妙でした。
この展覧会は23日の祝日まで開催されており、宗達筆の重要文化財作品を展示している醍醐寺との共通割引も実施されています。
お土産になるようなミュージアムグッズも多彩ですが、目に留まったのが琳派のパターンをモチーフにしたはんこ。
今回の展示作品を思い出しながら、ハガキに余白を残し、何度かインクを変えてポンポンとたくさん押すだけで、琳派風の年賀状が作れそうな気がしました。

2015年11月09日 | 芸能・アート | No Comments »

D&DEPARTMENT KYOTO

11月3

d  仏光寺の境内に、デザイナーのナガオカケンメイさんや京都造形芸術大学の学生らがギャラリーを併設したセレクトショップ「D&DEPARTMENT KYOTO」を開店して、もうすぐ一年になろうとしています。
もとは物置として使われていた和合所を改装して販売されている品は、京都の伝統工芸品や調味料、雑貨等、流行や時代に左右されずに愛されてきたものたち。
おそらくどこかのお店で使われていたと思われる岡持ちや木のお盆、昨年営業を終了した「京都国際ホテル」の名前が裏に入ったノリタケの白いお皿、実験用のシャーレに書籍など、新品からアンティークまで、アイデア次第で新たな価値を生み出しそうなわくわく感で満ちていました。
隣のお茶所は、仏光寺で採れたかりんで作ったドリンクや京都の名産を上手くアレンジして取り入れた軽食や甘味が楽しめます。
京都店は、「ロングライフデザイン」をテーマに、物販・飲食・観光を通して地域の「らしさ」を見直す「D&DEPARTMENT」プロジェクトの10 店舗目に当たり、山梨や富山などの他の店舗の情報が掲載されている専用誌もここで読む事ができます。
単なる名産の寄せ集めではなく、セットメニューのお茶や添えられた塩昆布も丁寧に作られていて京都らしさがちきんと感じられ、ショップで見かけた調味料や器も使わており、それが地域の「らしさ」を現代生活に取り込むインスピレーションを与えてくれるので、思わずお茶所から再びショップに戻ってしまったほど。
「防火用」と書かれた赤いバケツを衝動買い。そう、京町家の軒先でよく見かけるアレです。
年末のお掃除用や、傘立てとして使ってみようかな。

« Older EntriesNewer Entries »