e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

映画村さくらまつり

4月9

eiga京都の桜は寺社だけにあらず。東映太秦映画村のあちこちで染井吉野やしだれ桜の大木、里見浩太朗さん植樹の八重桜などが青空の下で満開になっていました。
昨秋からアニメミュージアムや忍者屋敷の新設、お化け屋敷の改装などが進められてきた映画村は敷地が約3割拡張され、JR太秦駅からのアクセスも徒歩5分以内と大幅に短縮されました。
昼食には、日本で初めてラーメンを食べたという水戸黄門さんの「水戸藩ラーメン」。
明の儒学者から伝えられたレシピを再現し、五辛を添えた当時の薬膳風になっています。
箸袋は日本刀、貯金箱としても使える御用提灯ビールジョッキ、思わず「控え居ろう!!」と突き出したくなるような印籠型の最中アイスなど、遊び心満載のグルメグッズは時代劇に馴染みの無かった人でも気分が上がります。
東映の役者さんに案内してもらったり、チャンバラや花魁道中を観たり、忍者修業をしたりと盛りだくさんなので、映画村を十分に楽しむなら午前中から入村しましょう。
なお、2012年秋にも新施設がオープン予定だそうです。

法然院・春の特別公開

4月3

hounen

寺社にて大勢の人を前に緊張した面持ちで説明をしている学生ガイドさんの姿を見ていると、自分の大学生時代を思い出して微笑ましくなります。
死に際に阿弥陀仏が迎えに来ることを「来迎」と浄土宗の言葉で言いますが、よく説明ガイドの打ち上げで酔いつぶれている同級生を「来迎中~」と言ってからかっていたものでした。

法然院の春季特別公開で、「当麻曼荼羅図」を前にした学生ガイドさんの話を聞いていると、「来迎」にも死者の徳の積み具合によってランクがあり、徳を積んできた者には阿弥陀仏や諸菩薩が紫雲に乗って音楽を奏でながら賑やかに迎えに来てくれるのですが、ランクが低くなるにつれてお迎えの人数がどんどん少なくなり、最低の場合になると阿弥陀仏はおろか誰も来られず、なんと蓮の葉一枚だけが迎えに来るそうです(それでもお迎えして下さるのですね)。しかも成仏するまでに10万年もかかるのだとか。

いつか自分が天に召される時には蓮の葉の上でポツン…と寂しい思いをしないように、今から一日一善、徳を積んでおきたいものですね。

市比売神社・ひいな祭

3月6

hina京都各地で行われた雛祭りの中でも、市比売神社のひいな祭は特にユニーク。
人間が扮するリアル雛飾り(「ひと雛」)に先立ち、男雛の束帯や女雛の十二単の衣紋(着付け)実演がありました。
無駄の無い所作でつつがなく着付けが進むなか、
「お内裏様が持っている細長い板「笏(しゃく)」は、もともとは裏側に公務で話す事を書いたカンニングペーパー(笏紙)を貼るためのものだった」
「女性が袿(うちぎ)を重ねるようになったのは暖を取るためだったが、重ねた衿の美しさを競うようになり、多い時で25枚にもなって「歩く火鉢」に例えられた事も」
と、雅な宮中の人間臭いエピソードも聞く事ができ、これから雛飾りを見かける度に細部まで見入ってしまいそうです。
今年は週末と重なったためか多くの人が会場に溢れ、女性だけでなく男性参加者も多く、投扇興などの古の遊びに盛り上がっていました。 →動画はこちら

美容室「やまと」と日本髪資料館

2月27

yamato芸舞妓や嶋原の太夫の髪を結ってきた美容室「やまと」と併設の日本髪資料館が2月末で閉められると聞いて、慌てて見学に行って来ました。
コンパクトな空間ながら、櫛や簪にも本物にこだわった日本髪の豆かつらは古墳時代から現代のものまで、想像を越える数でした。
実演映像の上映もあり、束ねられた髪がまるで漆を塗り込めた板の様になり、そこからみるみるうちに髷(まげ)に変化していくダイナミックな手技に引き込まれ、一人で長らく見入っている人もいました。
真っ直ぐに伸び、「烏の濡れ羽色」と評される黒髪ならではの結髪の世界は、現代のアートシーンでも十分に通用する気がするのに、現在京都の結髪師は5人だけ。高齢化も進んでいるそうです。
「やまと」の結髪師・石原哲男さんは今後は持病の療養に専念され、閉館後の日本髪資料館のコレクションの行方についてはまだ決まっておらず、豆かつらをまとめて引き取って貰えるところを探す予定だそうです。

下鴨神社の節分祭

2月7

setubun

立春を過ぎ、暦の上では春。年が改まって新春です。
お正月に誓いを立てた一年の計が三日坊主に終わってしまった人も、再チャレンジのチャンス!?
元旦ではなく、この立春頃に年賀状を届ける人もいます。それは年賀状が年始の挨拶回りに替わるものとして、かつては元旦に書いて投函されていたためかもしれません。

今年は下鴨神社の節分祭に出かけてみました。
古神札が焼納されている傍らで甘酒(ノンアルコールです)を飲み、紀州より奉納された梅の小枝(数量限定)を頂く事ができました。
追儺弓で四方が清められる間大人しく見学していた人々も、豆撒きになると大騒ぎ!
なんとか福豆を授かろうと両手を広げたり、帽子や紙袋を広げたり、地面に落ちた福豆をまるで運動会の玉入れの様に我先にと拾ったりと、沸く人ごみにもみくちゃになりますが、みんな笑顔で寒さを忘れてしまっています。
中国人観光客と見られる人達も、中国の「春節」とはまた違った日本の節分を楽しんでいるようでした。 動画はこちら

長講堂

1月17

choko後白河法皇が、持仏堂として建立したという長講堂を訪れてみました。
「京の冬の旅」非公開文化財特別公開の中では初公開となる寺院で、後白河法皇はNHK大河ドラマ「平清盛」では主人公の良きライバルとして描かれるようです。
公開されている寺宝のうち、当寺のご住職が参拝者に最も観て欲しいと言われていたというのが『過去現在牒(かこげんざいちょう)』です。
後白河法皇が直筆で、自身に縁のあった人物の名前を記されているもので、歴代の天皇の名前から始まり、源義経などの有名人物のほか、祇王などの白拍子や無名の人物らの名が連なっています。女性が当時の歴史資料に名前を残される事自体が希だったのでは無いでしょうか。もちろん「清盛入道」の名前も見る事ができました。
源氏と平家、朝廷の勢力争いが渦巻く動乱期を生き抜いた晩年の法皇。それぞれの正義が生死をかけてぶつかり合う中、迷う事無しに自分を信じて突き進む事は容易ではありません。一人ずつ、筆を進める毎にその心中はどの様なものだったでしょう。

六波羅蜜寺

1月5

inaho年明けの初詣は、まず氏神さんにお参りに行き、翌日は今年のNHK大河ドラマにちなんで平清盛像がある六波羅蜜寺へ出かけました。

都七福神めぐりの弁財天を祀る護摩堂にて加持と稲穂を受け、希望のご利益の御守り(有料)を付けてもらいます。
本殿奥にある宝物館には平清盛坐像のほか、有名な空也上人像や運慶・湛慶父子の像もあり、定朝や運慶による地蔵菩薩像はどちらも柔和な表情をしていました。
最後に皇服茶(大福茶)を頂き、今年一年の病息災を願いました。

「e京都ねっと」は今年で干支を一巡致しました。これからもどうぞ宜しくお願い致します。

明治の煙草王と延暦寺大書院

11月15
大書院の観月台を望む

大書院の観月台を望む

明治の煙草王・村井吉兵衛によって建てられた長楽館は、付随の家具と共に京都市指定有形文化財の指定を受け、それらを当時のまま「動態保存」という形で今でも使用されています。
その通常非公開の「御成の間」等を会場として『京都が生んだ明治のヒーロー「村井吉兵衛展」』が開かれています。
展示物は当時のレトロモダンな広告や商品パッケージが中心で短時間でも回遊できるので、館内の茶室で上映されているDVD(2本立て、各約16分間)と併せて観覧すれば、より当時の情勢への理解が深まり、楽しめると思います。

華族出の女官を妻に迎えるにあたって、東京赤坂の地に御所風に造らせた豪邸「山王御殿」は、後に保存のため比叡山延暦寺に移築され、当寺の「大書院」となりました。
屋久杉から切り出した板戸や、煙草の葉を一面にあしらった襖に観月台など、西洋風の長楽館はとはまた違った贅を尽くしたもう一つの迎賓館。
19日には通常非公開の延暦寺大書院を見学するツアーが企画されています。

宇治茶まつり

10月3

uji宇治茶まつり」が行われた宇治で、茶席や点心、抹茶ソフトクリーム等を楽しんで来ました。
興聖寺での口切り・献茶の儀では、慎重な所作で茶壺から取り出された茶葉が、ゆっくりと時間をかけ丁寧に石臼で挽かれ、豊かに流れる宇治川の水で点てたお茶と共に栄西・明恵千利休を祭る祭壇に供えられました。

もともと「薬」として日本にもたらされたお茶。飲むことで天と地の恵みを身体に取り込むだけでなく、それを取り巻く工芸品や、周りの人々や自然とのコミュニケーションをも発展させてきた「喫茶」は、万国に通じる普遍的な文化です。
禅の思想と融合して自己を見つめる「茶道」は、もはや他国に逆輸入されていると言っても過言ではありません。

興聖寺の茶席に掛けてあった言葉は「旦座喫茶(しゃざきっさ)」。
「ちょっと座って、お茶でも飲みましょう。」一杯のお茶でも、奥深いですね。

親鸞聖人750回大遠忌

9月20

goen 親鸞聖人750回大遠忌を迎え、本願寺と門前町がひときわ賑わっています。
西本願寺で国宝の唐門や書院飛雲閣を拝観した後、記念行事「ご縁まちフェスタ」の関連スポットを歩いて巡りました。

今年開館したばかりの近代的な仏教総合博物館「龍谷ミュージアム」では、インドでの釈尊の誕生からその生涯と、アジア、日本へと展開していく仏教の歴史を分かりやすく紹介しています。
「ご縁まちマルシェ」では、タオルをゾウ形にした壁掛けタオル“まけないぞう”を東日本大震災の被災地支援として購入しました。
「伝導院」では漫画「北斗の拳」の作者・原哲夫さんが「象山」の雅号で阿弥陀如来像を描いたタペストリー等を展示。西本願寺の門前にこんな洋館が建っていた事に驚いた人も多いことでしょう。

次回の西本願寺国宝・飛雲閣の特別拝観は11月8日(火)午後から17日(木)の12時まで行われます。

« Older EntriesNewer Entries »