e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

夜の比叡山

9月4

yakei暑い、暑いと言っている間に、気づけば秋に突入していました。
先月末は、夏の思い出を味わおうと京都定期観光バスに乗り、街中よりマイナス5℃の比叡山へ。
奇しくも新車というまっさらなバスの中で、ガイドさんの流暢な案内に耳を傾けていると、こちらも観光客気分。見慣れた景色も新鮮に思えてワクワクしてきます。
時折広がる琵琶湖のパノラマに歓声を挙げながら京都と滋賀の県境を行き来するドライブウェイをくねくねと登り、夕暮れ時の「ロテル・ド・比叡」のカフェでディナー、その後は「ガーデンミュージアム比叡」のライトアップ「ジャルダン・デ・ルミエール – 光の庭園」へ。
山頂から近畿各方面を見渡せる夜景は見事なもので、かつてこの地が遊園地だった頃からこの展望台がずっと残されて続けている理由がよく分かりました。
帰りの道中も運良く、琵琶湖畔から打ち上げられる花火を観る事ができ大満足。
楽ちんで遠出も気軽に楽しめるバスツアー。何よりドライバー役に気を遣う事なくお酒を飲めるのが良かったりして…。
この夏のコースは終了しましたが、秋の比叡山の紅葉も美しいそうです。

伏見稲荷大社・本宮祭

7月23

moto 伏見稲荷大社の本宮祭(宵宮祭)に行って来ました。
日が落ちると暗くなってしまう千本鳥居ですが、この日ばかりは連なる提灯と灯籠の火や手提げ提灯を頼りに、神職さんと夜の稲荷山の三峰を果敢に目指す人がたくさんいました。
おびただしい数の赤い提灯、ちょっと照れながら盆踊りに飛び入り参加するおばさん、お小遣いを手に夜店に並ぶ浴衣姿の子供たち。
浴衣にパナマ帽で犬と散歩する粋な男性や、可愛らしい甚平を着た孫の手を引くおじいさん。
祇園祭とはまた違って、どこか懐かしい夏祭りの風情があります。
こうしたお祭を機に地元の神社へと自然と足を運び、手を合わせる習慣が子供のうちから培われていくんですね。
昼間は槍のように振っていた夕立の跡も、お日さまの力ですっかり乾き、境内に涼しい風を吹かせてくれていました。

台湾の「高雄」

5月22
高雄市の愛河

高雄市の愛河

実は、先日まで台湾に行っていました。
南部には台湾第二の都市「高雄市(カオション)」と呼ばれる国際湾岸都市があります。
もともと先住民・平埔族マカタウ族の言葉で「ターカウ(竹林)」が語源と言われ「打狗」という漢字があてられていた地名を、日本統治時代の1920年に、日本語の発音が近い「高雄」に改称されて現在に至ります。
日本にも「高雄」「高尾」と呼ばれる地名はたくさんありますが、その中でも京都の高雄から名付けられたものだとか。
熱帯気候の港街・高雄市と、山深く夏でも市内より涼しい京都の高雄とでは全く印象が異なりますが、京都の高雄の地名は水を司る「高おかみ(雨かんむりに口三つ、その下に龍と書く漢字)」という神様から由来しているという一説もあり、共通しているのは「水」でしょうか。
高雄の川床桟敷で人々が森林浴とお食事を楽しんでいるように、高雄市の愛河の畔では、オープンカフェや公園でくつろぐ現地の人々の姿がありました。

2012年5月22日 | 観光スポット | No Comments »

伏見稲荷大社・薬力社

5月7

taki稲荷祭(還幸祭)」で稲荷大神が伏見稲荷大社へ帰社したので、再び稲荷山の奥にある「薬力社」を目指しました。
「薬力さん」は無病息災、薬効、薬害防止、健康長寿などを祈願するところ。珍しく親子の狐一対の石像があります。
そばには打たせ湯の様な「薬力瀧」があり、滝行もできるようになっているようです。
ご神水は手押しポンプの井戸から汲む事ができますが、向かいで塚守をしている茶店に頼むと、薬力瀧の水を漉したもの(飲用可)を分けて頂く事ができます。
お水のお礼にのど飴を購入すると、商品の上で火打ち石を打ちながら(本当に火花が散ってびっくり)「すぐそこのおせき社に御供えしてから食べて下さいね」とのこと。
こちらは歌舞伎役者や花街の人々など喉をよく使う職業の人や、咳、喘息などの疾患がある人がよくお参りするそうです。
全国から葉書で祈願する人もあり、お社の柱に郵便受けがあるのがユニーク。
何事も身体が資本!稲荷山巡りでここを通りかかったら、ご神木にも触れていって下さいね。

2012年5月07日 | 神社, 観光スポット | 1 Comment »

伏見稲荷大社・稲荷祭

4月23

inari伏見稲荷大社の「稲荷祭(神幸祭)」で稲荷大神の神輿が御旅所へと出発するのを見送った後、稲荷山に登ってきました。
奥の院の更なる先には、衣食住を司る「三徳社」や薬に関する「薬力社」、現在でも滝行をする人がいるという滝場等様々な人々の信仰を集めた神蹟がたくさんあります。
「パワースポット」とはご利益の事だけではなく、それを求める人々の願いのパワーが集まる場所でもあるのでしょう。
全国に3万社もあると言われる「お稲荷さん」の総本宮とあっ、日本人だけでなく多くの外国人ともよくすれ違いました。
千本鳥居と新緑の梢が小雨を受けとめてくれたお陰で、殆ど傘を差す事無く、時折茶店で休憩を挟みながら約2時間で「お山めぐり」を終えました。
稲荷大神が移された神輿が5月3日の還幸祭まで納められている西九条の御旅所は、JR京都駅から東南へ歩いて10分程のところにあります。
今年のゴールデン・ウィークは家内安全や健康を願って、ちょっとお参りしていきませんか?

京都府立植物園の夜桜

4月16

shokubutuソメイヨシノの開花もピークに達し、しだれ桜がほぼ満開を迎えようとしています。
京都府立植物園のしだれ桜も8~9分咲きで、「桜ライトアップ2012」は17日まで期間が延長される事になりました。→→動画はこちら

当植物園は、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」にて無重力状態で保管されていた円山祇園枝垂など全国の名桜14種類の種を「宇宙桜」として育てています。
桜林の歩道沿いにある細い若木の「高桑星桜」も「宇宙桜」に含まれるものと同じ品種で、岐阜市の「高桑桜保存会」から2月に贈られたばかり。
夜間は確認しにくいかもしれませんが、花弁が白い星のように見える品種で、関西で見られるのは同園だけ。今月の20日過ぎまで順次咲くそうです。

お昼間の植物園も、近くの半木の道の紅しだれ桜と合わせてお楽しみ下さい。

映画村さくらまつり

4月9

eiga京都の桜は寺社だけにあらず。東映太秦映画村のあちこちで染井吉野やしだれ桜の大木、里見浩太朗さん植樹の八重桜などが青空の下で満開になっていました。
昨秋からアニメミュージアムや忍者屋敷の新設、お化け屋敷の改装などが進められてきた映画村は敷地が約3割拡張され、JR太秦駅からのアクセスも徒歩5分以内と大幅に短縮されました。
昼食には、日本で初めてラーメンを食べたという水戸黄門さんの「水戸藩ラーメン」。
明の儒学者から伝えられたレシピを再現し、五辛を添えた当時の薬膳風になっています。
箸袋は日本刀、貯金箱としても使える御用提灯ビールジョッキ、思わず「控え居ろう!!」と突き出したくなるような印籠型の最中アイスなど、遊び心満載のグルメグッズは時代劇に馴染みの無かった人でも気分が上がります。
東映の役者さんに案内してもらったり、チャンバラや花魁道中を観たり、忍者修業をしたりと盛りだくさんなので、映画村を十分に楽しむなら午前中から入村しましょう。
なお、2012年秋にも新施設がオープン予定だそうです。

法然院・春の特別公開

4月3

hounen

寺社にて大勢の人を前に緊張した面持ちで説明をしている学生ガイドさんの姿を見ていると、自分の大学生時代を思い出して微笑ましくなります。
死に際に阿弥陀仏が迎えに来ることを「来迎」と浄土宗の言葉で言いますが、よく説明ガイドの打ち上げで酔いつぶれている同級生を「来迎中~」と言ってからかっていたものでした。

法然院の春季特別公開で、「当麻曼荼羅図」を前にした学生ガイドさんの話を聞いていると、「来迎」にも死者の徳の積み具合によってランクがあり、徳を積んできた者には阿弥陀仏や諸菩薩が紫雲に乗って音楽を奏でながら賑やかに迎えに来てくれるのですが、ランクが低くなるにつれてお迎えの人数がどんどん少なくなり、最低の場合になると阿弥陀仏はおろか誰も来られず、なんと蓮の葉一枚だけが迎えに来るそうです(それでもお迎えして下さるのですね)。しかも成仏するまでに10万年もかかるのだとか。

いつか自分が天に召される時には蓮の葉の上でポツン…と寂しい思いをしないように、今から一日一善、徳を積んでおきたいものですね。

市比売神社・ひいな祭

3月6

hina京都各地で行われた雛祭りの中でも、市比売神社のひいな祭は特にユニーク。
人間が扮するリアル雛飾り(「ひと雛」)に先立ち、男雛の束帯や女雛の十二単の衣紋(着付け)実演がありました。
無駄の無い所作でつつがなく着付けが進むなか、
「お内裏様が持っている細長い板「笏(しゃく)」は、もともとは裏側に公務で話す事を書いたカンニングペーパー(笏紙)を貼るためのものだった」
「女性が袿(うちぎ)を重ねるようになったのは暖を取るためだったが、重ねた衿の美しさを競うようになり、多い時で25枚にもなって「歩く火鉢」に例えられた事も」
と、雅な宮中の人間臭いエピソードも聞く事ができ、これから雛飾りを見かける度に細部まで見入ってしまいそうです。
今年は週末と重なったためか多くの人が会場に溢れ、女性だけでなく男性参加者も多く、投扇興などの古の遊びに盛り上がっていました。 →動画はこちら

美容室「やまと」と日本髪資料館

2月27

yamato芸舞妓や嶋原の太夫の髪を結ってきた美容室「やまと」と併設の日本髪資料館が2月末で閉められると聞いて、慌てて見学に行って来ました。
コンパクトな空間ながら、櫛や簪にも本物にこだわった日本髪の豆かつらは古墳時代から現代のものまで、想像を越える数でした。
実演映像の上映もあり、束ねられた髪がまるで漆を塗り込めた板の様になり、そこからみるみるうちに髷(まげ)に変化していくダイナミックな手技に引き込まれ、一人で長らく見入っている人もいました。
真っ直ぐに伸び、「烏の濡れ羽色」と評される黒髪ならではの結髪の世界は、現代のアートシーンでも十分に通用する気がするのに、現在京都の結髪師は5人だけ。高齢化も進んでいるそうです。
「やまと」の結髪師・石原哲男さんは今後は持病の療養に専念され、閉館後の日本髪資料館のコレクションの行方についてはまだ決まっておらず、豆かつらをまとめて引き取って貰えるところを探す予定だそうです。

« Older EntriesNewer Entries »