e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

釘抜地蔵

2月18

kugi 弘法大使の開基と伝わり、「苦抜(くぬき)地蔵」から後に「釘抜(くぎぬき)地蔵」と呼ばれるようになったという石像寺を訪れてみました。

お寺の入り口には、「あなたのこころの悩みを話してみませんか 住職が聞かせていただきます 共に道を探しましょう」との手書きのメッセージ。
観光地化、博物館化してしまっている寺院も多い中で、この様に門戸が開かれていると何だか心強いですね。
境内にはご近所さんらしき親子やおばさん、背中を丸め、胸の前でお線香を大切そうに携えてお千度参りをしている老夫婦の姿もありました。
お堂の外壁には、釘抜と五寸釘がついた絵馬がびっしりと貼りめぐらされています。
それだけ昔から人々は様々な苦しみに悩んで来たのだ…と思いながら近くで見てみると、それぞれの絵馬には「御礼」の文字が。

ここをお参りし、精進してきたことで苦しみから解放された人々が、これだけたくさんおられるという事でもありますね。

うどんミュージアム

2月12

udon 昨年12月に祇園にオープンした「うどんミュージアム」に行ってきました。

元料亭などであった町家4軒分を改装した内部は、坪庭を中央に大小様々な各お座敷が配置されています。この重厚感は、新たに作ろうとしてもできるものではなく、かつては三味線の音でも響く雅な空間だったのかもしれないと思うと、ちょっぴり哀愁も感じてしまいますが…。
麺の幅が10cmもある群馬県桐生の「ひもかわうどん」等の人気の三品が食べられる「食べ比べセット」と、単品メニューのそれぞれ半量サイズを注文し、二人で計6種類のうどんにチャレンジ!!
麺は程よい案配に茹でられ、だしやつゆもそれぞれ個性があり、かつおの香りがじんわり漂って、良い素材でちゃんとひかれたものである事が伝わってきました。

祇園四条駅から近く、手頃な和食と元料亭の風情を味わえるので、今後は外国人観光客からも人気が出そうな予感です。

平安神宮・節分祭

2月5

daina 旧暦によると、立春は一年の始まり。その前日の節分は大晦日に当たり、この頃に年賀状を送る人もいます。
汗ばむような陽気と快晴のもと、京都の各地が節分祭で賑わい、平安神宮では宮中で行われていた年中行事「追儺式」を再現した「大儺之儀(だいなのぎ)」が行われました。
大極殿下斎場にて、方相氏や陰陽師、殿上人らが四方を祓い清め、邪鬼たちを退けてめでたしめでたし…と思いきや、今度は応天門から茂山社中の扮する邪鬼たちが再び境内に侵入!
舞いながら観客を大声で脅かし、あちこちから悲鳴(むしろ歓声?)が涌きます。
そこで裃姿の年男・年女や芸舞妓が福豆を鬼たちにぶつけて応戦、今度は完全に追い払いました。
それだけ、年男や年女には困難を打破するパワーに満ちあふれているという事でしょうか。
両手を広げ、大騒ぎで福豆を拾った後は、全国の崇敬者からの祈願が集められた「火焚串」約4万本を焚き上げる浄火を静かに眺めます。
天まで届け、みんなの願い。寒い風の中にも暖かな日差しを感じて、春の第一歩です。

修験宗天台宗系本山派総本山・聖護院門跡

1月28

shogo 京の街とは面白いもので、ずっと歩き続けているだけで外人さんやお坊さん、舞妓さんのほか、山伏にまで遭遇したりします。
その山伏で知られる修験宗は、日本古来の山岳信仰に仏教や道教などの思想が融合して成立した、最も日本的と言える庶民宗教です。
出家・在家を問わず、日頃は社会人として働いていて、修業の時だけ山伏となって菩薩道修業の実践を行っている信者が今でもたくさん存在しています。
その天台宗系本山派の総本山・聖護院門跡、「京の冬の旅」キャンペーンで12年ぶりに公開されています。
聖護院は代々皇室や摂家より門主を迎えた門跡寺院で、御所の火災時には仮皇居にもなった縁で、当院の紋は「菊法螺貝」。
平安期の本尊・不動明王立像(重文)や山伏法具などの宝物が豊富で、狩野派の障壁画も保存状態が良く、その殆どが柵を設けずに目と鼻の先で観る事ができます。
この空間を昨冬に公開開始された映画『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』の撮影ロケに利用するなんて、なんとも贅沢。
2月頭は拝観休止となっていますが、年男の山伏が豆を撒いて鬼を追い払う節分会が行われ、山伏問答など修験道独特の作法が観られます。

祇園のえべっさん

1月15

sasa 今年の初ゑびすは、「祇園のえべっさん」こと八坂神社の北向蛭子社をお参りする事にしました。
同じく祇園にある恵比須神社の境内は、昼間でもとぐろを巻く蛇の様な行列に埋め尽くされていましたが、八坂神社のえべっさんもここ最近じわじわと人気が上がって来ているとか。
ちなみに、有名な大阪の今宮戎神社は、八坂神社の氏子が今宮に移り住んだときに、祇園のえべっさんをその地にお祀りしたことが始まりだといいます。

福笹に吊すのは、打ち出の小槌や米俵、鯛などお馴染みのものの他にサイコロがユニーク。「勝負時に良い目が出る」のだそうです。
30分程の神事の後に無料・数量限定で受けられる「三社詣朱印紙」は、八坂神社の祖神(おやがみ)・子神・孫神からより強力なご神徳を授かるためのもので、境内の北向蛭子社(事代主命を祀る)と大國主社(大國主命)、本社(素戔嗚尊)でそれぞれ御朱印を押してもらいます。こちらは親しい人への福のおすそわけにしました。

八坂神社・かるた始め

1月8

karutaお正月にかるた遊びなんて、母親が若い頃の時代の話…と思っていましたが、年末のおもちゃ屋さんに様々な種類のかるた札やゲームが一角を彩っていて驚きました。
年が明けて八坂神社の「かるた始め式」を観に行くと報道陣と黒山の人だかりで、最初のうちは、両手を伸ばして撮影する人々のデジカメ画面越しに観るのがやっと。
競技かるたとは異なり、かるた姫達は勢いよく札を払うというよりは、そっと押さえるような仕草に見えました。
これは、奉納する「日本かるた院本院」が、競技的というより文化的なかるたを重んじるため、試合の勝敗よりも王朝の雅を表しているのでしょう。
かるたの団体にも、日本津々浦々、色々な組織があるのですね。例えば「京都府かるた協会」では1月20日に「京都新春初心者かるた大会」が開催されます(1月16日申込締切)。
競技かるた未経験者でも、小倉百人一首を全て暗記していなくても参加できるそうなので、興味のある方は問い合わせてみてはいかがでしょうか?

ご神水コーヒー

12月25

sinsui 湧水のある神社に行くと、ご神水を頂けたりしますね。そのお膝元にある飲食店でも、ゆかりのお水を使ったお茶やコーヒーが提供されたりしています。
伏見稲荷大社の山頂へと続く道中にある薬力社の茶店で、「稲荷山の湧水を使った本格エスプレッソコーヒー」(400円。本日のお菓子とのセットメニューもあり)が新登場していました。期間限定での試みだそうです。
いつもお水を無料で分けて頂いているお礼のつもりで注文すると、好みの淹れ方を尋ねられたので、カプチーノでお願いしました。
濃厚でクリーミーな泡も、その下のコーヒーも豆の香ばしさが引き出されて美味しい。これは豆がいいのか、それともやはりご神水が良いのか。お腹がぽかぽかと温まりました。
初詣には規制がかかる程人気の伏見稲荷大社では、大晦日から参拝客が増え、開門と同時に真夜中でも山頂を目指す人が一斉に押し寄せるのだそうです。

一方、くせが無いのでいつも何気なく飲んでいたご神水。水がキンと冷える冬に汲んだからでしょうか、暖房の利いた室内にしばらく置いていた後でも、不思議と冷たいまま喉を潤してくれました。この季節はより美味しく感じる気がします。

京都水族館

12月10

kyosui 京都市中央卸売市場内の回転寿司店「京・朱雀 すし市場」で昼食を取り、そのまま梅小路公園まで歩いて京都水族館へ。

ここのシンボルとなる生き物は、賀茂川に生息する国の特別天然記念物「オオサンショウウオ」。名前の由来は一説には「興奮すると、山椒の様な匂いを発するから」とのこと。それは知りませんでした!!ぬいぐるみもキモカワイイ!?
色とりどりの熱帯魚よりは川の生き物が中心なので、派手さはありませんが、ペンギンやアザラシコーナー等の人気コンテンツは押さえつつ、様々な角度から大水槽の中を観察したり、実際に生き物に触れてみたりと、見どころもたくさん。
夜の水族館に泊まったり、バックヤードを見学したり、京都市内でビオトープを形成する名所におでかけするツアーも組まれています。
イルカショーはやはり人気で、開始15分前に並んでも既に立ち見状態。プールの中央から「イルカのジャンプと遠景に五重塔(タイミング次第で新幹線も)」というユニークなアングルが狙えるのは、京都の水族館ならではかもしれませんね。

2012年12月10日 | 観光スポット | 1 Comment »

黄檗宗・閑臥庵

12月4

kanga 京の都への入口「京の七口」の一つ「鞍馬口」にある黄檗宗のお寺・閑臥庵は、王城鎮護のため御所から東北の方角にある貴船の奥の院より鎮宅霊符神をこの地に歓請したのが始まりです。「鎮宅霊符」とは文字通り、「家内安全のおまじないのお札」のこと。
祀られている北辰鎮宅霊符神は、十干十二支九星を司る総守護神であり、陰陽道の最高の神様なのだそうです。
絵師・伊藤若冲が十二支をあのメリハリの利いたタッチで描いた版木を所蔵しており、それをもとに作られた各干支のお札を購入する事ができます。

黄檗宗の精進料理として知られる「普茶料理」を味わえるのもここの魅力の一つ。なんと、一面の窓から庭の紅葉を臨むバーカウンターまであるのです。
そろそろ紅葉の色も真っ赤に染まり、蒼い苔に散紅葉が映える頃でしょうか。

叡山ケーブルと叡山ロープウェイ

11月26

ropeway  秋景色を求めて、今年は叡山ケーブルと叡山ロープウェイを乗り継いで比叡山山頂へ。
紅葉の見頃は既に過ぎていましたが、山頂へと導くロープウェイでの空中散歩(約3分間)では、どこまでも続く真っ青な空の透明感と、一部が茜色に染められた山間が一面に広がり、車内は人々の歓声であふれました。
下車後、山道の途中には廃墟となった「比叡山人工スキー場」があり、ゲレンデには雪の代わりに薄が白く揺れていました。そのボロボロのロッジさえも懐かしく、思わずガラス戸越しに中を覗くと、レンタルのスキー板や備品が残されていて、しばし興奮。
ガーデンミュージアム比叡では、バラ等見頃の花は余り残っていませんが、この時期は半額で入園できるので、喫茶と展望台を目的に入園。
毎日お日様と共に暮らしているのに、夕陽がゆっくりと沈む瞬間を眺めたのは本当に久しぶりのこと。寒さなんてどこに置き忘れたのでしょうか、すっかり身体の中の空気もまっさらに入れ替わりました。
帰り道、26度の傾斜をゆっくりと降りるケーブル(約9分間)の前方車窓からは、碁盤の目状に光り輝く京の街の夜景を観る事もできました。

2012年11月26日 | 観光スポット | No Comments »
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