e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

古都仕様のパイプオルガン

2月28

16オムロン・パイプオルガンコンサート・シリーズVol.43」を聴きに行ってきました。
京都コンサートホールのパイプオルガンは、西日本最大、国内最大級の規模で、世界初の試みとされる尺八、笙、ひちりき、篠笛といった伝統的和楽器のストップ(音栓)も備えており、中央に見られる竹製パイプがユニークです。

客席近くにも設置された遠隔演奏用のオルガンを使った日本の歌の即興演奏もあり、奏者が指先からつま先に至るまで、全身を使って多彩な音色を操る様は圧巻。約2時間で9曲も聴く事ができ、本当に1,000円という料金でいいんだろうか?と思ってしまうほど。

クラシック・コンサートは高いものだと思っていましたが、意外に気軽に聴きに行けるプログラムもたくさんある事を知りました。
空気を震わす荘厳な重低音と、柔らかく清らかなオルガンの音にこの身を絡め取られて非日常の世界へトリップ、そして終演後に北山界隈のカフェで楽しむケーキとお茶の時間。
これはやみつきになりそうです。

京都府立植物園の歴史

1月31

ran真冬の京都府立植物園。洋ラン展が開催中で、温室で暖まった甘い香りに全身が包まれると、外の乾燥した寒さに反して、湿度にさえ懐かしさを感じてしまいます。花をカメラに収める人、スケッチをする人、そして協賛国らしき人々の姿もありました。

さすがに温室以外に花が咲いているところは殆どありませんでしたが、園内を歩きながら、ここがもとともとは大正天皇の即位大典を記念する博覧会の開催予定地として建設が始まり、戦時中には食糧確保の為の菜園となり、戦後は連合軍に接収され12年間米軍家族の住宅地となっていた(最初は京都御苑が候補地だったとか)過去を思うと、また違った見え方がしてきます。

改めて、植物によって世界と繋がる事ができる植物園の役割を感じられた気がしました。

唐長のある暮らし

12月21

karacho美の息づかい 唐長のある暮らし」展が京都駅ビル2階の「京都セレクション」で開催されています。

2種類の唐紙を継ぎ合わせた新作『Love額』は、トトアキヒコ・千田愛子夫妻による合作で、丸や四角型の中に唐紙の持つ繊細さや強さ、明るさやピンと張られた緊張感なども感じます。
家の壁紙を貼り替えるには思い切りが必要ですが、小物からだと取り入れやすいですね。
唐紙をあしらったペンダントランプ等のインテリアは、和室・洋間を選ばず空間に溶け込みつつも沈む事もなく、上品な華やかさを放ちます。

初釜用に、双葉葵模様がうっすらと入った懐紙を買いました。いつも通っている稽古場の襖にも唐長さんの襖が入っています。
茶席で懐から畳の上へ、そっと載せる瞬間を思い浮かべると、今から楽しみです。

御多福珈琲

12月13

otafuku

冬のバーゲンセールで疲れた時にも立ち寄れる「御多福珈琲」は、言わずと知れた名物マスターのいる喫茶店です。

15センチはあるかと推測されるモミアゲが印象的なマスターの野田さんは、どんな相手との話題も巧みに広げていく話術に長けています。
一人一人のために丁寧に珈琲が淹れられる様子を眺められ、その場で隣り合わせた客同士の交流も生まれると好評のカウンター席は、座らないと勿体ない!
輪の中で一人静かにしていた女性にも勇気を出して話しかけてみると、京都に憧れて遠くから転勤して来たばかりとのこと。他には大阪から通うという常連のおじさんも。

もともとは知恩寺の手づくり市への出店が発祥で、今や京都の中心街にお店を構える程の人気ぶり。今でも毎月15日はお店を休み、手づくり市に出店されているようです。今年最後の手づくり市でも会えるでしょうか。

掌を温める一杯の飲み物を介して始まる言葉と心のコミュニケーション。
世界に共通する喫茶文化の原点ですね。

2010年12月13日 | お店, イベント | No Comments »

外国人と巡る紅葉の京都

11月30
佳つ奴さんと佳つ實さん@祇園松八重
佳つ奴さんと佳つ實さん@祇園松八重

今年の秋は外国人と東京からのお客様に紅葉の京都を案内しました。

初日の夜の紅葉狩りには南禅寺天授庵~永観堂のコースを。
翌朝は東寺の弘法市で手頃な浴衣を購入し、五重塔等を拝観した後は、下鴨神社の糺の森を抜けて、数寄屋造りのお座敷から1000坪余りのお庭を望む「蕪庵」で身体に優しい広東料理のランチ。
食後は車で移動しながら、鴨川の源流に佇む志明院、上賀茂神社そばの西村家庭園を巡りました。
本家尾張屋本店」で軽く夕食を取った後は、祇園にあるお茶屋「松八重」のお座敷で舞妓さん達とおしゃべり。彼女達は外国人相手に英語で頑張ってくれました。
翌日は予約しておいた仙洞御所を見学の後、近くの割烹「千成」でお魚がメインの定食を頂き、雨降りだったので吉田山の林に囲まれた「茂庵」でゆっくりとお茶を楽しみました。

ちょっと盛りだくさん過ぎたかもしれませんが、楽しんで頂けたようで安心しました。

「序の舞」

10月25

butai 金剛能楽堂にて24日に行われた「先代宗家金剛巌 十三回忌追善能」にて、ご宗家・金剛永謹さんが「定家」を舞われ、ご子息・龍謹さんが「道成寺」を披かれました。
いずれも全く異なる描き方で人間の「執心」を採り上げた大曲です。

「道成寺」でのクライマックス、落下する鐘の中にシテが飛び入る名場面の前には、演者も観客も会場の全ての人が一体となって息を潜め、舞台の中央に向かって大きなエネルギーが集中するのを感じました。何かが大きく動く事よりも、それに至る「溜め」の部分にこそ醍醐味があると言っても過言ではないでしょう。

なお当能楽堂では、京都国立近代美術館にて始まる「上村松園」展(11/2~12/12)の特別文化講座として、松園の代表作「序の舞」について宗家によるお話と実演が11月6日に予定されています。

武藤順九『風の環』プロジェクト

10月18
『風の環』を横から撮ってみました。
『風の環』を横から撮ってみました。

ニューヨークで起きた同時多発テロの跡地「グラウンド・ゼロ」に設置が計画されている『風の環』の彫刻作品が、京の玄関口・京都駅の地下で31日まで公開されています。

「平和を実現するには」と問うた時、多くの人が「戦争や貧困を無くすこと」と答えるでしょう。誰もが頭では分かっているはずなのに、生まれ育った環境の異なるものを前にすると、得体の知れないものとして、つい壁を作ってしまいます。
想像を超えて「互いを知り、“違い”を受け入れ、歩み寄る柔軟さ」こそが最も身近で基本的な心のあり方ではないでしょうか。それが国や人種だけでなく、兄弟の間や駅で隣り合わせた他人同士といった小さな世界からであっても。
会場がショッピングモール内のため、撮った画像ではその魅力を十分に伝えられないのは否めませんが、この環を向かって右側から撮ると、人と人とが手を取り合っているようにも見えませんか?

23日のコンサートでは、作者の武藤順九氏も参加する予定だそうです。

老山白檀のストラップ

9月27

byakudan

香りのある生活、していますか?
香老舗・松栄堂の京都本店にて、「聞香を楽しむ会」に参加してみました。

日常の慌ただしさは香席の外に置いておき、無駄を省いた所作を指先まで集中して真似て程よい緊張感を楽しみます。自然と姿勢と呼吸も整っていくような…。
それぞれ聞いたお香は全く印象が違うのに、その順番を当てるのはなかなか難しいもので、隣り合わせた人と思わず顔を見合わせてしまいました。
社長自ら解説や質問への回答をして下さり、お土産のお香も頂きました。
 
帰りがけに老山白檀のストラップを購入し、時折気分転換にくんくんと香りを嗅いでいます。やすり等で削ると更に長く香りを楽しめるのだそうです。
次回の会は10月2日に開催されます。

嵐山と宇治川の鵜飼

9月13

u嵐山・大堰川の鵜飼は、今シーズンは15日で終了します。

船内の畳の上でくつろぎながら、川に潜る鵜ちゃん達を拍手で応援します。
合間に船頭でお行儀良く並ぶ姿はちょっと誇らしげ!?
また、船から外に向かって花火をする光景も隠れた名物。棒の先に筒状の花火が付いていて、豪快に回転しながら両端からまぶしい火を噴きます!!
下船後は、天龍寺斜め向かいにある「廣川」のとろけるような鰻がおすすめ。

なお、宇治川の鵜飼は26日まで楽しめます。
どちらも、暮れゆく空が川面に映る早めの時間から楽しみたいですね。

2010年9月13日 | お店, イベント | No Comments »

上七軒歌舞練場ビアガーデン

8月30

beer上七軒歌舞練場ビアガーデンに行ってきました。
ここでは夏着物姿の舞妓さんが各テーブルを回り、隣に腰掛けて話しかけくれます。
別席には綺麗な芸妓さん達や、浴衣の旦那衆の姿も。

「おっしょさん(お師匠さん)が、『最近大人の色気が出てきた』って言ってくれはって、とっても嬉しいんどす~」。
普段は花街で見かけても少し遠巻きに眺めていた舞妓さんと、間近でお喋りできるチャンス。
ありきたりな話題じゃ勿体ない。事前に質問を考えておき、ここだけのプライベート話も聞き出しちゃう!?

ビアガーデンは今週末まで。今夏最後の思い出作りにどうぞ。

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