e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

東福寺塔頭・勝林寺

4月4
普段は写経もできます

普段は写経もできます

東福寺の鬼門に建ち一山を守る塔頭・勝林寺。普段は一般非公開ですが、今だけ本尊のご開帳や座禅など特別な体験ができます。

秘仏の毘沙門天立像・吉祥天像・善膩師童子像はそれぞれ夫婦・親子の仏像で、これらが安置されている奥の間と本殿とを結ぶ板の間は、天に通じる空間として床に傾斜が付けられており、この様な珍しい設計は他において観た事がありません。
毘沙門天の使いであるムカデの装飾や、大襖絵に描かれた虎も、手触りが伝わってきそうな程にリアル。東京から訪れ、本格的な精進料理を体験されたという方は「美味しかった~」と、満足げでした。

静かな境内の片隅にある桜の木はまだ蕾でしたが、散った後に地面が桜の花びらで覆われ様が美しいそうです。

グリル小宝

1月25

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無性にハンバーグが食べたくなって、「グリル小宝」(075-771-5893)へ。
地元の人はもちろん、観光客からも長年支持されている有名な洋食屋さんです。
行列ができると聞きますが、いつも夜に時間をずらして行くためか並んだ事はありません。

熱々のハンバーグステーキにナイフを入れると、肉汁が泉の様にあふれ出てきます。
肩肘張らない洋食屋としての気軽さ、添えられたスパゲティー、ポテトサラダやマヨネーズも、オーソドックスで何だか懐かしいのに、古臭さを感じさせないのが魅力。

お店の隣には平安神宮、徒歩圏内には徳川二代将軍秀忠の正室・江ゆかりの金戒光明寺もあるので、観光にも好ロケーションですね。

地主神社

1月17

jishu 清水寺は新年早々から多くの人で賑わっていました。
ここ最近は中国人観光客が特に増え舞台の上を行き交う言葉は中国語ばかり!

その清水寺の鎮守社である地主神社は、「因幡の白兎」伝説で兎を助けた大国主命を祀っているので、卯年に因んでお詣りする事にしました。
縁結び祈願のイメージが強い当社ですが、日本の建国以前の創建とも言われ、京都盆地が湖であった古代からこの辺りは陸地であり、不老長寿の霊山として信仰を集めてきたといいます。

修学旅行生や外国人カップルに混じっておみくじをひいてみると…なんと『凶』!!
年始に氏神さんのおみくじで『大吉』をひいたばかりなのにこの結果とは。
幸福なのか不幸なのか、一体今年はどんな運勢になるんでしょう。

お寺のお正月

1月5
仏手柑
仏手柑

珍しく雪景色となった2011年元日。大徳寺聚光院にてお正月のお膳を頂きました。
訪れた関係者や檀家のために、お寺の方がおもてなしの席を設けられたものだそうです。

門前では笠をかぶった雪だるまがお出迎え。お茶菓子とお食事のお膳には、それぞれお正月に因んだ食材が盛られ、弦楽四重奏ユニット「drop」による民謡や、三好芫山さんの尺八の生演奏も、身体にダイレクトに響いていきます。
住職や雲水さんがお酒をふるまいながら来客と交わす会話のキャッチボールもぽんぽんはずみ、傍らには仏の手の形に似た仏手柑(ぶっしゅかん)も飾られていました。

また一つ、京都のお正月の風景を新たに知る事ができました。
本年度もe京都ねっとを宜しくお願い致します。

2011年1月05日 | お寺 | No Comments »

外国人と巡る紅葉の京都

11月30
佳つ奴さんと佳つ實さん@祇園松八重
佳つ奴さんと佳つ實さん@祇園松八重

今年の秋は外国人と東京からのお客様に紅葉の京都を案内しました。

初日の夜の紅葉狩りには南禅寺天授庵~永観堂のコースを。
翌朝は東寺の弘法市で手頃な浴衣を購入し、五重塔等を拝観した後は、下鴨神社の糺の森を抜けて、数寄屋造りのお座敷から1000坪余りのお庭を望む「蕪庵」で身体に優しい広東料理のランチ。
食後は車で移動しながら、鴨川の源流に佇む志明院、上賀茂神社そばの西村家庭園を巡りました。
本家尾張屋本店」で軽く夕食を取った後は、祇園にあるお茶屋「松八重」のお座敷で舞妓さん達とおしゃべり。彼女達は外国人相手に英語で頑張ってくれました。
翌日は予約しておいた仙洞御所を見学の後、近くの割烹「千成」でお魚がメインの定食を頂き、雨降りだったので吉田山の林に囲まれた「茂庵」でゆっくりとお茶を楽しみました。

ちょっと盛りだくさん過ぎたかもしれませんが、楽しんで頂けたようで安心しました。

お酒とJazzと精進料理

11月2

miko「お精進が食べられる居酒屋」という評判の「彌光庵(みこうあん)」。
細い路地奥の入り口は普通の住宅のよう、店内にはジャズが流れ、壁には非戦を訴えるビラ。ここはお寺でもあるそうです。

「野菜ぎょうざ」など、なるべく農薬を使わず育てた野菜を中心としたメニューは工夫が凝らされていて、肉や魚を使っていないのに十分なボリュームがあり、二人で同じ定食を頼んでも、それぞれを異なるおかずにしてくれます。  
一人暮らしの女性や、ベジタリアンの外国人にも好評のようで、それらしき観光客が頷きながら箸をすすめていました。

不殺生はしないけれど、飲酒を否定するわけでもない。
説法を聞くために訪れたのではないけれど、自分達が生きるために命あるものを頂いている事を、食べる時にちょっと意識してみる。これも一つのお寺のあり方でしょうか。
今度訪れる時には、僧侶であるオーナーともお話ししてみたいと思いました。

2010年11月02日 | お寺, お店 | No Comments »

妙心寺の隠し茶室

3月30
隠し茶室
隠し茶室

妙心寺のとある塔頭を、関係者の方に案内して頂きました。

床の間を拝見していると、隣の立ち入り禁止の結界が置かれている襖をカラリと開けて下さいました。そこには通路が現れ、更にその先の襖を開けると…茶室が現れました!
その昔、妙心寺ではお茶をすることは邪道とされていましたが、それでもここでお茶を楽しみたい、という人のために隠し茶室を設けられたそうです。
以前このお寺を訪れていた際には、床の間の裏に隠し茶室があるとは知る由もありませんでした。

京都は小さな町といえども、まだまだ知らない事がたくさんあるんですね。

鴨川の源流

11月16
雲ヶ畑・志明院

雲ヶ畑・志明院

深泥池近くにある「レディオベーグル」でランチを買い込み、鴨川に沿って車を北に走らせました。目指すは鴨川の源流・岩屋山志明院
お寺の奥様によると、隔年で実をつけるというもみじは、養分を実に取られてしまうため葉の色づきが悪くなるといい、来年ならもっと美しくなるだろうとのこと。

山門より奥の聖域は撮影が禁止されているため、カメラを受付に預けて石段を登りました。
岩のくぼみにひっそりと佇む仏様達は、暗くてお顔も見えません。頭上の岩肌からは水滴が落ちてきます。これが鴨川を形成する最初の一滴でしょうか。
ここを度々訪れていた小説家・司馬遼太郎氏が志明院での体験を映画監督の宮崎駿氏に話し、そこから宮崎アニメ「もののけ姫」が誕生したのだそうです。
木の声、虫の声、風の音。もしかしたら、自然界の言葉を聴く力を失ってしまったのは人間だけなのかもしれません。

2009年11月16日 | お寺 | 1 Comment »

高雄と嵐山の紅葉

11月9
如月太夫

如月太夫

高雄の紅葉は、1~2週間後、嵐山の紅葉は2週間後辺りが見頃を迎えそうです。
真っ赤な盛りも良いですが、少し手前の頃は優しい色合いをしています。

嵐山もみじ祭は、春の三船祭と嵯峨大念仏狂言を一つに凝縮したかのようなお得感のあるイベントでした。嶋原の如月太夫の流れるようなお点前と堂々とした太夫道中には、美しい紅葉を観た時と同じ溜息を漏らしてしまいました。

高雄・神護寺では、年配の参拝者も、あの急な石段を果敢に登っていました。
ライトアップは華美な演出が無く、澄んだ空気が胸をスッキリとさせてくれます。

なお、嵐山~高雄間は、「嵐山&高雄フリーきっぷ」や「嵐山高雄パークウェイバス」があるので、異なる風情を一日で満喫できます。

高雄と岩倉

11月2
岩倉実相院

岩倉実相院

京都の北西・高雄に住む知人が「11月10日前後が高雄の紅葉の見頃」と連絡を入れてくれました。ちょうど、「弘法大師 空海 入山千二百年紀」の特別拝観とライトアップの実施期間が重なるタイミングです。
京都府立植物園によると、市内の紅葉の見頃は例年と同様に、10月下旬~11月中旬になりそうとのこと。
先週の半ばに岩倉実相院を訪れましたが、染まりかけの紅葉と瑞々しい青もみじの両方が望め、それまでカメラのレンズの如くギラギラと張りつめていた自分の目元が緩みました。朝の小鳥のさえずりとひんやりと引き締まった空気、ころころと軽やかな水音だけが響く様は、言葉や画像だけで伝えられるものではない。改めてそう思いました。
今でこそ人里離れた土地でさえ公共交通で足を踏み入れる事ができますが、それぞれの地に身を置いた先人の思いに少しばかり触れられる気がします。

2009年11月02日 | お寺, イベント | No Comments »
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