e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

紅茶色に染まる嵐山

11月22

chava
嵐山での紅葉狩りは紅茶好きの友人と一緒だったので、「CHAVATY kyoto arashiyama」に立ち寄りました。
東京・表参道では1時間以上の行列となっているティーラテ専門店だそうですが、ランチタイムでもタイミング良く入店できました。
お店の内装も、紅茶の水色が綺麗に映えるガラス瓶も、ステンレスのソーサー等のカトラリーもセンスがよく、阪急嵐山駅や渡月橋にも近い中ノ島地区という絶好の立地なので、人気の程が伺えます。

まるで高級ホテルの朝食の様なランチプレートもに色鮮やかで美味しく、ガラスのティーカップの中で、光を受けて輝く透き通った紅黄色がこの茶葉の品質の良さを表していて、砂糖もミルクも加えず眺めていたくなりました。
しっとりとしたスコーンには、塩ホイップバターやハニーナッツ等の小瓶入りのコンフィチュールが4つも添えられ、自宅では味わえない欲張り感が満たされます。
ミルクティーが大好きなので、ボトル入りのティーラテも注文したかったのですが、さすがに満腹で次回のお楽しみとしました。

ひと昔前の嵐山といえば、芸能人グッズや和雑貨のお店ばかりでした。
必ずしも京都発という訳ではありませんが、最近は専門店化が進んでいるような気がします。

珈琲店に引き続き、京都にも紅茶専門店が増えていくのでしょうか。

リモートで近づく和の文化

10月26

zoom

和の文化を日々の暮らしに取り入れる活動をしているNPO百千鳥が主催のオンラインイベント「おうちで出会う煎茶道」に参加しました。
自分で煎茶道のお点前にチャレンジするのは初めて。しかもオンラインです。

ネットで申し込みを済ませると、事前に煎茶セットが入った小さな小包が届きました。
茶葉の入った缶や干菓子等のほか、丈夫な繊維でできた紙のコップと、それに合わせて誂えられた木製の蓋が付いていました。
急須代わりとはいえ、水洗いすると南天の木の良い香りが漂います。
泉涌寺の塔頭・悲田院の青竹を切り出して作ったという竹茶碗なんて、後からお酒を入れて楽しめそうです。

当日、ウェブ会議サービス「Zoom」によって自宅と悲田院がLIVE中継で繋がれ、各地からの参加者が続々と画面に表示されていきました。
それぞれおうちのダイニングで、リビングで、お子さんを膝に載せて、あるいは男性の姿もあり、中には和服に身を包みお子さんと正座で開始に備えている人も。

東仙流のお家元が「自由に楽しめるように」と考案されたシンプルなお点前を見よう見まねで手順を進めます。
画面越しだけど直々に、なんてリモートならではの感覚です。

初めての煎茶点前で淹れた煎茶で喉を潤しつつ、紅斑竹の結界に倣汝窯の茶入れなど、この催しのためのしつらいを会記を傍らに眺めながら、質問があればチャット機能で尋ねます。

煎茶道にいつも登場する素焼きの湯沸かしが「ボーフラ」という奇妙な名前なのですが、ポルトガル語「かぼちゃ」が由来であると初めて知りました。
抹茶の茶道と比べると、煎茶道で飾られる花は大振りです。大地の木の勢いを大切にしてるからだそうです。
掛け軸の書は、詩仙堂で知られる石川丈山によるものでした。煎茶道の祖と言えば売茶翁ですが、丈山も一時そう呼ばれていた事もあったのだとか。
まさに自宅にいながら、今ここが「山居遊勝」の場となりました。

和菓子で摘む秋の七草と日本茶のアフタヌーンティー

10月5

camellia  
去年の緊急事態宣言中、門を閉ざした龍安寺から南に延びる道を歩いていると、立派なお屋敷に足が止まりました。
その時は「茶道体験カメリアガーデン」という表札だけ頭に記憶。
それから一年が経ち、偶然友人からのお誘いで初めて訪問することに。

「秋の和菓子と日本茶を楽しむアフタヌーンティー」として、日本茶4種と淹れ方の講座にペアリングとして合う和菓子の数々(秋の七草にちなむ)に、お点前で頂くお薄と特製の和菓子という贅沢な趣向です。
ここ最近はホテル等で和のアフタヌーンティーを見かけるようになりましたが、和菓子に特化したものは珍しい。
まずは茶そばで虫養いしつつ、六角ちきりや茶舗亭主が複数の急須で同時にお茶を淹れる姿に見入ります。
まったりとした玉露にはナッツ入りのお菓子、また香ばしいほうじ茶には柑橘のお菓子が合ったり、貴重な碾茶は玉露風に時間を長めにして淹れて飲む、とかに日本茶の楽しみ方について新しい発見が幾つもありました。
昨年オープンした「菓子屋のなさん」には伝統的な主菓子と、老舗の老松さんには新しい発想の和菓子を誂えるなど、遊び心がユニークだけと奇抜さは無く、ボリュームもいい塩梅です。

最初は緊張して堅かったお客同士も、茶会の間の会話も撮影も自由だったせいか、互いの好きな画像を見せ合ったり、分からないことをスマートフォンで調べて共有したりしているうちに「一座建立」の極みに達していたような…。
それぞれマニアック気質な人が多かったので、茶会の後も外でも話が尽きませんでした。
今後の催しの詳細は、公式SNSをご覧くださいね。

茶を味わい尽くす家

9月28


kouro
  

お彼岸の頃、お墓参りを済ませて大徳寺を出た門前にある「皐盧庵茶舗」さんに立ち寄りました。
子連れでも可能か恐る恐る敷居をまたぎましたが、2つの茶室を含め部屋が5つもあるようで、他のお客さんが続いてもそれぞれ個室のようにすごせました。

やはりここは宇治茶カフェ。メニューにある各お茶の味の特徴がチャートにしてあって選びやすく、飲み比べメニューも豊富です。
既によく湧いていた鉄瓶のお湯で淹れてもらえるのが嬉しい。
目の前で玉露や煎茶などを、缶から茶葉をすくい出すところから見せてもらえるので、自分で淹れるときの参考になります。
お店の外にも床几があったので、秋晴れの日は外でお茶するのも気持いいでしょうね。

お膳の上に、畑作りからこだわったお茶と、干菓子と主菓子、そしてほうじ茶が香ばしいかき氷が同居する贅沢。
幼い子供達はお茶周りにハイエナのごとく食らいつくので、粗相しないよう抑えるのに必死でした。

帰り際に「月白風清」という禅語の色紙を拝見。
「やっぱり今度は一人でゆっくりお茶を味わいに来よう…。」と思うのでした。

2021年9月28日 | お店, グルメ, 町家 | No Comments »

知る人ぞ知る鷹峯の市場

9月22

taka

京都に長年住んでいる人でも知らないことはまだまだあります。
「鷹峯メルカート」という市を初めて知りました。
「ほんまにこの道で合ってるんか?」と家人に言われながら車一台通るのがやっとの山道を越えると、空が開けて京都市街を見下ろす広場に出ました。
台風一過の後だったためか、出店はいつもの半分程のようでしたが、氷室の新米や鷹峯の野菜、すぐそばで産んだばかりの有精卵、トリュフオイルやレザー用品が並んでいました。

秋の青空とそよ風を全身に感じながら、チキンクリームコロッケや自家製の野趣あふれるジェノベーゼパスタに絡まるカトラリーの音の気持ちの良いこと。
今の季節が最もおすすめかもしれません。
半分は持ち帰りにしようと思っていたローストチキンは、見事に家族に食い尽くされました。

ここではなんと、2頭の馬が飼われている馬場があり、有料で馬に乗せてもらえます。
穏やかな馬の背にまたがった子供達は大喜び。

帰り際に、「ネットで調べても、連絡先が見つからなくて…」とお店の電話番号を尋ねようと思ったら、
「大雨でもない限りは毎週日曜にやってますわ」とのこと。
行き先はGoogleマップで「鷹峯メルカート」と検索すると出て来ます。
客層は年齢層高めで、常連さんの様子。知る人ぞ知る市場なんですね。
「鷹峯メルカート」は、2021年12月12日まで。
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2021年9月22日 | お店, グルメ | No Comments »

京丹後のうまいもの

8月24

miso
京丹後市へは京都市内から車で約1時間半、電車だと特急に揺られて約2時間半です。
山に囲まれた盆地暮らしの京都市民にとって、海が迎えてくれる爽快な景色の中で開放的な気分を感じられる「もう一つのふるさと」。
これまでに実際に食してみて美味しかったものをご紹介します。

宿泊先で食事の際に供されたのは、木下酒造の「玉川」
女性にもとても飲みやすい風味だったので、酒蔵の直営店まで寄ってお土産にしました。
風格ある佇まいながらバーカウンターの様な一角もある明るい店内で、子供達と共にノンアルコールの地酒ソフトをペロペロ。
湯気立ち昇る酒造りを紹介したVTRを眺めながらだと、よりお米の甘みが感じられます。
約175年の歴史を持つ中で、イギリス人の杜氏を迎えるなど、「心を込めて旨い酒を造る」という理念のもと既成の概念にとらわれず、玄米から清酒まで一貫した管理を自社で行っているそうです。

京丹味噌・片山商店の「丹波の赤づくり味噌」。
塩辛く濃い赤だしに慣れた舌にとって、この味噌はとても穏やかで軽く、優しい甘さでした。
後でホームページを覗くと、NHK『美の壺』で紹介された影響でしょうか、現在通販では生産が追い付いていない様子。
帰りに立ち寄った「道の駅 京丹波 味夢の里」でたまたま手に取ったのは幸運だったのかもしれません。

京丹後の自然の恵みをまるごと頂く、うまいもの。
今すぐとはなかなかいかないかもしれませんが、次の京都旅は足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

祭に食するもの

7月27

hamo 歳時記を大事にしている京都人の友人は、6月も末になると「水無月食べなきゃ」。
祇園祭の季節に入ると「したたり買って帰ろ!」「今年まだ稚児餅食べてない!」と大騒ぎ。
なんとも律儀な事です。確かにそれぞれ美味しいので好きですが、まあ忙しいこと。
食べる事で厄払いしたような安心感が得られますもんね。

その人が祇園さんの紋に似ているからと真面目にきゅうりを避けているかどうかは知りませんが、
「鱧まつり」と呼ばれるこの時期には、季節限定の食品が実にさまざま。
ずっと昔に料理人の知人から教えてもらっていて食べ損ねていた「たん義」のはも丼を思い出し、お持ち帰りを予約しました。
祇園の割烹とはいえ、3000円から5000円程でお食事ができるのは、若い人達にも嬉しいですね。
明るく感じの良い電話口の応対で、地元に長年愛された良いお店である事が伝わります。

初代から伝わる秘伝のたれをまとった焼き鱧は、箸でほろほろ、ほくほくととそぼろのようにこぼれます。
同じくご飯もほんのりたれの色に染まっていて、家族にも好評でした。
折詰のたん義弁当は、虫養いにちょうど良い分量です。
個人的には鱧の落としが好物なので、次は割烹の風情の中でライブ感を肴に頂こうと、今後のお楽しみとしました。

2021年7月27日 | お店, グルメ | No Comments »

京のおいしい定番

6月23

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ステイホーム中に実家から送られてきたものの続き。
村上開新堂」のクッキーは、シックな包装紙と紐を解くと、屋号の入った掛け紙に紅白の紐が水引のごとく結ばれ、まるで老舗の干菓子でも入っていそうな体裁です。
シンプルな缶に「シトロンクリームサンド」や「杏子ジャムサンド」などびっしりと埋められた11種類のクッキーは、ほんの1㎝程の隙間にまで小さなボーロが無数に詰まっています。
昔ながらのベーシックな味わい。しおりに「紅茶やもとより日本茶にもよく合います。」とある通り、甘過ぎずに大小様々な大きさがあるので、子供から大人まで一緒にお茶の間を楽しめるかもしれません。

いづ萬」の練り天ぷら
単体でもおかずとして成立する存在感は助かる!
スーパーで見る練り物と比べて、どら焼き並みに大きくて、ずっしりと重量感があります。
みっちりと詰まった乳白色の断面をまじまじと眺めながら咀嚼。
一口ですぐに甘みが来るのではなく、噛むごとに徐々に現れる甘味に、素材の良さが伝わります。
いつもの様に生姜醤油を添えて食卓に出しましたが、別のおかずの小皿に残っていた塩胡椒とオリーブオイルに漬けてみたら意外と合いました。

2021年6月23日 | お店, グルメ | No Comments »

涼を分かち合う菓子

6月3

kansen
実家から送られて来た荷物の中に、甘泉堂の水羊羹が入っていました。
祇園の路地裏にある名店と呼ばれています。
持った瞬間にぶにょっと箱がへこんでしまうほど柔らかく、慌てて机の上にそっと置き直しました。
ゼリーや寒天とも違う、水羊羹の瑞々しさを表すために極限ぎりぎりまで水分を含ませているのでしょうか。
箱からするりと出してみると、既に一口分ずつ切り分けられているのが有難い。

淡い小豆色の端正な佇まいに対して、霧を含んだようなもろもろとした舌触りが口中にすうっと馴染む、素朴な味。
なぜか、「しゅっとしてはるけど、気ぃやすい人」という言葉が頭に浮かびました。
「淡白」という言葉で表現するには足りないけれど、いい器を選びたくなるような気品があります。
羊羹を食べると即座にお茶に手が伸びるものですが、こちらのは甘さがかなり控えめなので、甘いものが苦手な人とでも涼感を共有できるかもしれません。
不思議と何度もおかわりしてしまいたくなる穏やかな味で、抹茶より煎茶や紅茶が合いそうです。

明日の午後は熱いお湯で香りを立たせた新茶を淹れて、ひんやり冷やした水羊羹とともに涼を取ることにしよう。

2021年6月03日 | お店, グルメ | No Comments »

菓子から知る丹波くり

4月28

kuri
直径1ミリの錦糸を重ねたようなモンブランが話題の「丹波くり・和栗専門 沙織~さをり~」、がJR京都伊勢丹の地下一階イートイン「菓子のTASHINAMI」に期間限定のショップを開いています。
元旅館を改装したという本店は行列ができると聞いて尻込みしていましたが、京都伊勢丹の方は順番が近づくとお知らせしてくれるシステムでした。
4月初頭に覗いてみたときは、京都の寺社が閉門する16時頃よりも前に訪れたせいか、4組待ち程度でした。

珈琲や和紅茶など様々なペアリングドリンクが選べますが、栗に合わせて同じく香ばしい日本茶が飲みたくて冷たいほうじ茶に。

契約農家から直接仕入れているという丹波くりは、国産栗の中でも生産量僅かに1%、京都で生産される「京丹波くり」は更に少なく希少なもの。
粒が大きく肉質が締まり、渋皮が剥がれにくく香り高いとされています。
独自に開発されたという機材で極細のペーストを絞り出す様を観たい人には、お店の人がわざわざ呼びに来てくれるのですが、これは単なるパフォーマンスではなく、その栗本来の旨味や香りを生かすためのもの。

出来上がりはかき氷くらいのインパクトですが、繊細な曲線がしっとりと絡み合うマロンペーストも、真ん中に埋もれたさくさくのメレンゲも軽い食感で、くどさや重さはありません。
カトラリーで頂く体裁ですが、栗らしいほっこりとした感触の残る素朴さは、人を幸せな気持ちにさせますね。

モンブランと言えばお酒がふんだんに使われている印象を持っていましたが、こちらは「栗以上に栗」。
余分に加える必要無いのでしょう。

夏は暑く秋冬は寒さの厳しいメリハリある盆地の気候が丹波の名物の霧を生み、豊かな風味を育みます。
平安時代から朝廷への献上品としても好まれていたという「丹波くり」。
秋を待って、丹波くりそのものも食べてみたくなりました。

JR京都伊勢丹の限定ショップは5月11日まで時間を変更して営業されているそうですが、8月上旬まで展開されているので、今すぐのお出かけが叶わなくてもご安心を。

2021年4月28日 | お店, グルメ | No Comments »
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