e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

山中油店

3月25

yamanaka 自転車で西陣を通り抜けるとき、わざとジグザクに進んで町並みの風情を楽しんでいます。そこには普段着のままの、暮らしが垣間見える京町家が静かに佇んでいるから。

醤油屋から分家した「山麹」の暖簾と水車、鯉が泳ぐ池が目印の「山中油店」は、創業した江戸後期には灯明用の菜種油を商い、現在では食用油の他にも美容用の油や、塗装用油を扱う専門店です。
化学溶剤を用いず昔ながらの圧搾法にこだわった紅殻(べんがら)や荏(え)油などの自然塗装油は、木材の呼吸を妨げず、手入れにも使用する事で美しい木目や艶、色味や香りを際立たせ、住宅のみならず祇園祭で登場する各山鉾の車輪などにも使われているとのこと。
また、シックハウス症候群を心配する人々からの需要も増えているといいます。
化学物質を一切使わず紅殻や荏油、柿渋を用いて改修した町家は、「町家ゲストハウス」や「ショップ&カフェ綾綺殿」で体験できます。なお、綾綺殿は4月1日より平日の夜も営業されるそうです。

2013年3月25日 | お店, グルメ, 町家 | No Comments »

ジオラマレストラン&居酒屋バー デゴイチ

3月11

d51 祇園にある大人の遊び場
エレベーターの扉が開くと、目の前に広がる日本最大級のHOゲージ鉄道ジオラマ。
外では東山花灯路が始まったばかりというのに、夕方の店内は意外に空いていました。
17時を過ぎると夜景モードに。山には京都ならではの“アレ”が灯り、寝台列車が走り始めました(気になる紳士淑女は、ご自身の目で確認を…)。
駅弁をオーダーし、懐かしのプラスチック容器に入ったお茶を飲みながら見渡せば、「鉄ちゃん」同志のグループが酒盛りをし、また、一人で持参した車両をメンテナンスしながら自由に走らせて楽しむおじさんも。
ボトルキープではありませんが、自分の車両を預かってもらう事もできるようです。
アルコールが回ってきたら、そろそろ運転タイム。おもむろに制服に袖を通し、車両からの眺めをモニターで確認しながら、巧みな手さばきで出発進行。
なお、同じビル内には「キッズデゴイチ」もあり、祇園というロケーションながら、家族で楽しめるお店です。

2013年3月11日 | お店 | No Comments »

うどんミュージアム

2月12

udon 昨年12月に祇園にオープンした「うどんミュージアム」に行ってきました。

元料亭などであった町家4軒分を改装した内部は、坪庭を中央に大小様々な各お座敷が配置されています。この重厚感は、新たに作ろうとしてもできるものではなく、かつては三味線の音でも響く雅な空間だったのかもしれないと思うと、ちょっぴり哀愁も感じてしまいますが…。
麺の幅が10cmもある群馬県桐生の「ひもかわうどん」等の人気の三品が食べられる「食べ比べセット」と、単品メニューのそれぞれ半量サイズを注文し、二人で計6種類のうどんにチャレンジ!!
麺は程よい案配に茹でられ、だしやつゆもそれぞれ個性があり、かつおの香りがじんわり漂って、良い素材でちゃんとひかれたものである事が伝わってきました。

祇園四条駅から近く、手頃な和食と元料亭の風情を味わえるので、今後は外国人観光客からも人気が出そうな予感です。

職人の手業と現代生活

1月23

shokunin 「現代生活に馴染む伝統工芸品」が、全国レベルで随分増えて来て、嬉しく思います。

中でも、手に届く価格帯が嬉しい「職人.com」の実店舗が昨秋できたと聞き、訪れてみました。
若手職人の作品がインターネットでも購入できる時代ではありますが、誰かへの贈り物は、やはり自分の目で見て手触りなどを確かめてみたいもの。
西陣の住宅地の中に佇む事務所兼用のギャラリーは、普通の町家なので(こたつもありました)、うっかり通り過ぎてしまうので要注意。
また、展示してある商品はほんのごく一部なので、事前に見たい商品をお店に相談してから訪れるのがおすすめです。

職人の手業の継承と質の維持、現代人のライフスタイルの変化、作り手と買い手から求められる価格帯のそれぞれを実現するのは、なかなか容易な事では無いかもしれませんが、応援していきたいですね。

2013年1月23日 | お店, 和雑貨, 町家 | No Comments »

ご神水コーヒー

12月25

sinsui 湧水のある神社に行くと、ご神水を頂けたりしますね。そのお膝元にある飲食店でも、ゆかりのお水を使ったお茶やコーヒーが提供されたりしています。
伏見稲荷大社の山頂へと続く道中にある薬力社の茶店で、「稲荷山の湧水を使った本格エスプレッソコーヒー」(400円。本日のお菓子とのセットメニューもあり)が新登場していました。期間限定での試みだそうです。
いつもお水を無料で分けて頂いているお礼のつもりで注文すると、好みの淹れ方を尋ねられたので、カプチーノでお願いしました。
濃厚でクリーミーな泡も、その下のコーヒーも豆の香ばしさが引き出されて美味しい。これは豆がいいのか、それともやはりご神水が良いのか。お腹がぽかぽかと温まりました。
初詣には規制がかかる程人気の伏見稲荷大社では、大晦日から参拝客が増え、開門と同時に真夜中でも山頂を目指す人が一斉に押し寄せるのだそうです。

一方、くせが無いのでいつも何気なく飲んでいたご神水。水がキンと冷える冬に汲んだからでしょうか、暖房の利いた室内にしばらく置いていた後でも、不思議と冷たいまま喉を潤してくれました。この季節はより美味しく感じる気がします。

黄檗宗・閑臥庵

12月4

kanga 京の都への入口「京の七口」の一つ「鞍馬口」にある黄檗宗のお寺・閑臥庵は、王城鎮護のため御所から東北の方角にある貴船の奥の院より鎮宅霊符神をこの地に歓請したのが始まりです。「鎮宅霊符」とは文字通り、「家内安全のおまじないのお札」のこと。
祀られている北辰鎮宅霊符神は、十干十二支九星を司る総守護神であり、陰陽道の最高の神様なのだそうです。
絵師・伊藤若冲が十二支をあのメリハリの利いたタッチで描いた版木を所蔵しており、それをもとに作られた各干支のお札を購入する事ができます。

黄檗宗の精進料理として知られる「普茶料理」を味わえるのもここの魅力の一つ。なんと、一面の窓から庭の紅葉を臨むバーカウンターまであるのです。
そろそろ紅葉の色も真っ赤に染まり、蒼い苔に散紅葉が映える頃でしょうか。

「一平茶屋」のかぶら蒸し

11月20

ippei 今月末より「吉例・顔見世興行」が始まります。その南座のすぐそばに、かぶら蒸しを名物としている京料理屋「一平茶屋」(075-561-4052)があります。
大正時代からその地に馴染んで佇んでいるためか、意外に見落としている京都の人も。

かぶらを描いた特製の染付の器のつるりとした手触りは、たっぷりのあんにかぶらが溶け込んだ、その滑らかな舌触りと巧くリンクしています。
「ぼちぼち聖護院(かぶら)も出てきましたねえ。」
夏でもかぶら蒸しを食べに来るお客さんもいるそうですが、これから迎える底冷えの季節にこそ、蕪の繊細な甘みが身体に染み渡り、きゅんと縮こまった身体をほっとゆるめてくれそう。
締めには、刻んだ三つ葉とやわらかでしっとりとしたおじゃこが載ったご飯で、お腹はぽかぽか。

京都らしいものを食べたいけど、手頃で気の張らないお店が好みの人に。予約がおすすめです。

栗のモンブラン

10月29

com季節の移り変わりを最も身近に感じるのが家の食卓。とりわけ秋は温かい飲み物と、まったり、ほくほくとした食感が恋しくなりますね。
バターを落としたふかし芋を食べたり、岐阜から届いた栗きんとんを温かいお薄と共に頂いたと思ったら、今度は紅茶を片手に栗のモンブランケーキに手が伸びて…。

モンブランといえば、たまにお酒が利きすぎて頭が痛くなってしまうほどボリュームたっぷりなものもありますが、「Comme Toujours(コム トゥジュール。075-495-5188。京都市北区小山元町50-1)」の栗のモンブランは優しい味わい。スプーンですくって口に運ぶ動きも、自然とゆっくりに。
ここのケーキは全体的にあっさりとしていて、男性にもおすすめです。

あ、明日はあつあつのほうじ茶にあんぱんもいいな…と食欲はとどまるところを知りません。

2012年10月29日 | お店, グルメ | No Comments »

機内食に京の料亭の味

9月11

kinai格安航空会社(LCC)の台頭の影響でしょうか、空の旅に牛丼や高級アイスクリームがサーブされるなど、機内食に力を入れている航空会社が増えたように思います。

シンガポール航空もその一つといい、お品書きには京都の料亭「菊の井」の村田吉弘氏の監修との文字が!
当時の内容は“ムツの西京焼、海老ろう焼き、鰻の湯葉巻き、薩摩芋の甘露煮とチラシすしを添えて”。
まさか「菊の井」の板前さんが添乗して…という訳にはいかないものの、もともと機内食が苦手でよく残していたのに、今回は完食してしまいました。

エコノミークラスの利用だったので、メインディッシュのみが村田氏の監修だったようですが、シンガポール航空のH.Pを拝見すると、スイート & ファーストクラスではナルミ食器に盛り付けられた京懐石が頂けるのだとか。食べてみたいかも…。

2012年9月11日 | お店, グルメ | No Comments »

夜の比叡山

9月4

yakei暑い、暑いと言っている間に、気づけば秋に突入していました。
先月末は、夏の思い出を味わおうと京都定期観光バスに乗り、街中よりマイナス5℃の比叡山へ。
奇しくも新車というまっさらなバスの中で、ガイドさんの流暢な案内に耳を傾けていると、こちらも観光客気分。見慣れた景色も新鮮に思えてワクワクしてきます。
時折広がる琵琶湖のパノラマに歓声を挙げながら京都と滋賀の県境を行き来するドライブウェイをくねくねと登り、夕暮れ時の「ロテル・ド・比叡」のカフェでディナー、その後は「ガーデンミュージアム比叡」のライトアップ「ジャルダン・デ・ルミエール – 光の庭園」へ。
山頂から近畿各方面を見渡せる夜景は見事なもので、かつてこの地が遊園地だった頃からこの展望台がずっと残されて続けている理由がよく分かりました。
帰りの道中も運良く、琵琶湖畔から打ち上げられる花火を観る事ができ大満足。
楽ちんで遠出も気軽に楽しめるバスツアー。何よりドライバー役に気を遣う事なくお酒を飲めるのが良かったりして…。
この夏のコースは終了しましたが、秋の比叡山の紅葉も美しいそうです。

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