e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

川床でカレーランチ

5月14

ina
南座のイベントを体験しようと現地に降り立ったものの、日程を間違えて準備日に来てしまいました。
間抜けな自分を慰めるべく、昼食を川床で取ろうと思い立ち、先斗町を北へ南へぶらぶら。

独りでコース料理は勿体ないので、「京都牛 稲吉」にて「カレーランチ」を頂く事に。
春を通り越して初夏並みの日差しがさんさんと降り注いでいたため、床には出ずに店内で涼しく食事している人もちらほら。
日傘を挿しても良いとの事でしたが、少々の暑さくらいならなんのその、それより鴨川の畔で川床を満喫したい!という方は、帽子をお忘れなく。
上品な佇まいのお店で、和服のお運びさん達の接客も自然なので、こちらは一人でも緊張もせず。

牛肉の旨みが溶け込んだカレーを頬張りながら、対岸でジョギングをする人、家族でサイクリングをする人などをぼんやりと眺めます。
遅めのランチタイムだったので、グラスに浮く氷同士がかすかに触れ合う音が聞こえるくらい静かで、うっすらかいた汗が風と共に額の熱を連れ去っていきました。
京都牛懐石のお店という事で、香合の様な小鉢の中には「牛肉の甲州漬け」。
歯応えのある肉から、ワインやみりんの優しい香りが漂い、コース料理への想像が膨らみます。
気になるお値段は、ソフトドリンクと共に2千円ちょっと。
次回は家族や友人を誘って、京都牛懐石を頂きたいと期待しています。

2019年5月14日 | お店, グルメ | No Comments »

誰かに贈りたくなる八百屋さん

2月5

loja
錦市場より少し北を歩いている時、実家から「ロジャヴェルデさんで、キャベツ買って来て」との連絡が入りました。
店名はポルトガル語で「八百屋」の事だそうで、まるで外国の花屋さんかと見間違うような瀟洒な店構え。
花のギフトのような「京野菜アレンジメント」が人気で、いつ行っても配送で忙しそうです。
かごに並べられた野菜は、茎は太くしっかり、葉は美しく肉厚、身も詰まっていそうです。
なんと毎朝丹波から運ばれているそうで、自宅近所のスーパーの野菜と比べて、どれもどっしりと大きくて、大地を感じさせる力強さがあります。
美味しい野菜が手に入ったら、凝った味付けはせずシンプルに食べたいもの。小房に分けたブロッコリーとカリフラワーの袋詰めがあったので、家で蒸して岩塩とオリーブオイルやマヨネーズだけを付けて、ほくほくと頂きました。
「野菜は持ち歩けないわ」という観光の方には、オンラインショップを利用するか、入り口近くに置いてある「根蕈果KONSINKA 乾燥野菜チップス」がおすすめです。
無添加、ノンフライなのに、野菜ときのこ、ドライマンゴーの甘味が十分に感じられて、ちょっとつまむつもりがあっという間に完食してしまいました。
でも、野菜だから食べ過ても罪悪感はありませんね。

2019年2月05日 | お店, グルメ | No Comments »

白味噌雑煮と花びら餅

1月17

zouni
新装の南座に、新たに和菓子の老舗「とらや」の喫茶室が入ったとの嬉しい話題を聞き、お邪魔してみました。
時間はランチタイム。ちょうどお品書きの冒頭にあったので、
「とらやさんのお雑煮ってどんなんやろ?」
と試してみることに。
一口大の小芋や金時にんじんが、まるでホワイトシチューのように顔をのぞかせる、京都の白味噌仕立てのお雑煮
ん?うちのと同じ味?」
もともとが限られた食材から作られる汁物だし、我が家と同じ本田味噌を使用しているのなら似るのは必然的。
これはやはり、他府県から来た人々が異文化を体験するためにあるメニューですね。
「同じ1400円くらい出すなら、花びら餅にすれば 良かった…」と激しく後悔。
「そりゃそうだろ!」
と総突っ込みが入りそうなところですが(もちろんお雑煮は美味しかったです。周りの殆どの人が注文していました。)、既に汗ばむくらいにお腹が温まってしまい。
とらやに来て甘いものを食べずに帰るなんて、勿体無くてできる筈がありません。
きなこあんみつのミニサイズで口直しとなりました。

2019年1月17日 | お店, グルメ | No Comments »

年末年始のあれこれ

1月8

huku
昨年姪っ子が生まれたので、お年玉代わりに「福玉」をプレゼントしました。
もともと舞妓さんがご贔屓さん達からもらう物なので、中の小物は赤ちゃんにはまだまだ早いのですが…自己満足です。
井澤屋」のは以前に購入した事があるし、「切通し進々堂」のは予約不可だったので、今回は一銭洋食の向かいの和菓子屋の「福栄堂」になりました。
最中の様に軽い玉なので、運ぶのも保管も割らないように気を付けながら。さて、いつそれを開くかは相手次第です。
お年玉の準備に大掃除、お正月飾りにお節作りに年賀状…。仕事納めに向かってひたすら忙しい師走に、どうして日本人は色んな風習を詰め込むのでしょう。
「クリスマス終わったとこやん!」「梅雨明けに大掃除した方が色々乾きやすそうやん!」「年始の挨拶なんだから、年賀状は年明けてからの投函にすればいいのに」とぶつぶつ言いながらも、なんだかんだで結局いつも通りに。
三が日を過ぎ、乾かした塗りのお椀を布で磨きながら、その漆の深い艶に「きれいだな。面倒でもやっぱり出して来て良かったな」と思うのです。
携帯電話に目をやると、年末に京都に引っ越して来た友人から「護王神社は3時間待ちだって!」とのメッセージ。
「断捨離」や「ミニマリスト」という言葉が生まれる一方で、無駄なものに見えるたくさんの物事に支えられて生きている事を再確認する年明けでした。

2019年1月08日 | お店, 和雑貨 | No Comments »

文化は「食」から

12月19

imura
お正月準備を始めるとされる「事始め」よりもずっと早くから、お歳暮需要で賑わう百貨店。
大幅に増床し、リニューアルされたジェイアール京都伊勢丹地下一階の食品フロアが話題になっています。
特に変化が顕著なのはお菓子や酒のコーナーで、パン屋も多くの有名店が入店した模様です。
菓子編集のコーナーはその品揃えから、「京都土産の定番」から「関西限定土産」、「現代版日本土産」に範囲が広まった事を象徴するような展開でした。
京都はリピーターも多いので、「定番の進化系」が最も安心感や話題性が求められるのでしょう。
また、体験型イートイン空間「TASHINAMI」が新たに設けられ、喫茶室「菓子のTASHINAMI」では、フロア内の約100ショップ・3000種類以上の和洋菓子からバイヤーが選定した旬の菓子と、日本茶やコーヒーを合わせたメニューが提案されています。
旬の銘酒と酒肴を嗜む割烹風カウンター「酒のTASHINAMI」では、京都を中心とした老舗料亭やホテル、レストランの酒肴と、バイヤーやスタイリストがおすすめする旬の銘酒を気軽に楽しめるとあり、既に何組かの大人が談笑していました。
後者は席に限りがあるので、ぜひ一度予約してみたいと思いました。
反対側の和洋酒ゾーンはガラッとシックな装いとなり、700本を貯蔵するというワインセラーや全国120蔵の日本酒を揃えています。
新たな京都の食の玄関口。「新幹線の待ち時間に寄ろう」なんて言ってると、時間が足りなくなりますよ!

2018年12月19日 | お店, グルメ | No Comments »

アートを多角的に発信する

11月5

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もとはスナック等が入る祇園の雑居ビルが、ギャラリーやカフェ、イベントスペースを内包した複合施設「y gion」として生まれ変わり、白く長い暖簾をたなびかせています。
イベント開催中は反対側に併設されたカフェのキッチンも稼働し、連動した企画が楽しめるようになっているそうで、訪れた当時は地球環境をテーマにした現代アート展に合わせて、なんと昆虫食の会が開かれていたとか。
なお、通常の企画展の期間中は「カカオ∞マジック」のローチョコレートメニューが楽しめるのでご安心を。
また、屋上には「sour」による期間限定ルーフトップバー「サワーガーデン」、5階にはレコードショップ「JAZZY SPORT KYOTO」、「CANDYBAR Gallery(キャンディバーギャラリー)」が入居しています。
DJターンテーブルやミキサーも備え、結婚式の2次会や忘年会といった利用もできますが、ただアートを並べるだけでなく、ビル全体で多角的に展開することをコンセプトとしているようです。
スペースの窓からは夕暮れの鴨川、カフェの窓からは東山と夜の海の様に波打つ瓦屋根を見下ろし、これもまた、京都の古美術の一面を見せてくれました。

南座とロシア料理

10月17

kiev
京都市とウクライナの首都・キエフ市が姉妹都市として結ばれた1972年から、南座のすぐ近くのビルで営業している「レストラン キエフ」は、祇園という花街の立地ながら本格的なロシア料理とウクライナ料理が味わえるお店として知られています。
アンティークのルビーのような滋味深い「ボルシチ」、むちむちさらさらな子供の手のような「ピロシキ」に始まり、十勝のマッシュルームが沈んだ濃厚なクリームをパンに浸して食べる「グリヴィ」のおいしいこと。
「花」か「月」かで味を選べる「ヴァレーニキ」は、まるでギョウザのような生地にクリームチーズがくるまれ、冷たく温かいデザートでした。
どれもお店の貫禄と相まって、現在の洋食ではあまり出会えなくなった「むっくり」とした、懐かしくー温かみのある味わいでした。
家族連れでの来店も多いといい、ベビーカーのままでも入店可能です(おむつ台はありませんが、ベビーカーごと入れます)。
何故か歌手の加藤登紀子さんの歌声がよく流れていると思ったら、お兄さんがこのお店を経営されているそうですね。
夏はビアガーデンでも知られていますが、これから空気が冴えてきて、またまもなく南座がリニューアルオープンする季節に嬉しいお店です。

2018年10月17日 | お店, グルメ | No Comments »

羽ばたくための巣「あじき路地」

9月19

suzume
浴衣の舞妓さんの後ろ姿を眺めながら、「あじき路地」へと向かいました。
築100年超えとされる町家長屋の各部屋に若手作家が住み込み、それぞれ創作活動や主に週末に販売をしています。入居は若き職人や作家を応援する大家さんとの面談で決まり、家族の様な距離感で知られています。中には独立して店舗を構えるために巣立っていった住人もいるそうです。
それゆえお店は入れ替わりも多く、訪れた当時はちょうどその時期で空いている店舗が限られていましたが、ここは作業場に展示販売スペースが付随しているものと考えた方が良さそうです。玄関がどこも狭いのは、昔の日本人サイズに合わせてのことでしょう。
手作業の皮製品のお店「MATSUSHIMA」では、皮ごと、値段ごとの違い等を教えてもらいました。スマートフォンケースや時計のベルトもオーダーメイドでき、また製作教室も開催されているようです。
オーダー専門の帽子店「evo-see」では自由に試着でき、なぜか近くのコーヒースタンドも教えてもらいました。
手製の本と紙の小物を扱う「すずめ家」では、和綴じの小さなノートに目が留まりました。
お洒落なノートは心躍るけど、結局勿体なくてろくに使いきれないまま家で眠ってしまうかも…としばし迷いました。しかし、ふと友人が飲食店でぐずる子供に小さなスケッチブックと色鉛筆を渡していた事を思い出し、その子の分と、古典芸能が好きな知人のためにも、お土産にする事にしました。
鴨川を隔てた反対側は四条河原町、あらゆる人の欲求に応える繁華街です。そしてこちら側は、好きなことを仕事にしている人たちの、職住一体の静かな町でした。

五条の楽園は今

9月10

5jo 高瀬川沿いの五条より南の辺りは、10年程前まで「五条楽園」との看板のかかった現役の遊郭でした。
現在は、お茶屋だった町家やビルを改装したゲストハウスやカフェ等ができてきて、様変わりしつつあるようです。

その界隈の中にあるのが「五条モール」。名前から連想するようなイオン系列でもないし、好立地で年末年始も休まず営業しているような大規模な商業施設でもありません。
昭和の香りを残す建物の中の各小部屋を若手アーティスト達がそれぞれのペースで営業し、個性を発信しています。
人の気配があるようで無い入り口に足を踏み入れるとすぐに現れるタイルの流し。棚の昆布茶に貼られた「飲んでいいよ!」の文字は誰に対してのものでしょうか。
きしむ床板を踏みしめながら、ギャラリーや雑貨店、作家が不在のアニメーション作品を見て回ります。
一角に置いてある絵本のタイトルは『ピーマンのにくづめだったもののはなし』。 アート好きな人でなければ「ここに来て自分は何を一体すればいいんだ!?」と戸惑うかもしれません。
各店舗は主に週末に開いているようなので、週末やイベントが開催中の間で、「すなっくごっこ えでん」が営業を始める頃合いに訪れるのがおすすめです。

あんこ色、みたらし色に染まりたい

9月4

ume
買い物で歩き疲れたころ、寺町通りの先で出迎えるように佇む「甘党茶屋 三条寺町店」。
店内は、眩しい程に真っ白な壁やお皿…というよりもココア色。いやいや、みたらし団子のたれの濃厚な溜まりと伸ばしたところを連想させるようなやや日陰な色合いです。
甘党のお店はこうでなきゃ、と勝手にそう思ってしまうのです。
お品書きの冒頭にある「寺町点心」は、お馴染みの四角いみたらし団子にわらび餅、栗の渋皮煮などなど和洋菓子を組み合わせた、いいとこ取りの五種盛りです。
もちもちの生地であんを挟んだ新作「あんの花束」も試したいけど、河原町店からずっと愛されているみたらし団子も食べたいし、という食いしん坊の心理を巧みに汲んでいますね。
若者が行き交う賑やかな繁華街の中でも落ち着きがあり、またノスタルジックな風情が合うのか、和服姿の人が多く訪れていたのが印象的でした。
「あんの花束」はちょっとした手土産にすることに。
「ディル」「紅茶」「マンゴー」。和菓子では出逢えない素材が、指先でつまめる程の小さな花束に。
喫茶で登場しているものとは違う種類のようで、「私も食べたいな…うう」と後ろ髪をひかれる思いで差し出しました。

2018年9月04日 | お店 | No Comments »
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