和のスパイシーなウェルカムドリンク
「香煎」という飲み物をご存じでしょうか。
香煎とは、お湯に浮かべて香りを楽しむ飲み物で、初めて飲んだのはお茶事の待合で始めて飲んだのはカフェでした。
会場に到着し、身支度を整え待合に腰掛けた頃合いを見計らって出されます。本番前の一息つくひと時。
他にも、料亭や旅館、ホテルのウェルカムドリンクのように、あるいは甘味に添えられることも。
淹れ方は、香りを飛ばさないよう熱湯は使わず、かき混ぜずに湯に放ち、香煎が器の縁につかない程の量が見た目にも美しいのだそうです。
「御香煎」は原了郭の登録商標だそうで、ういきょうや陳皮、山椒といった漢方の原料を数種類合わせて香ばしく煎り、粉末状にして赤穂の焼き塩で味付けしてあります。
その調合は一子相伝の秘伝なので製法や原料は明かさず、全ての材料を開示しなくてはいけなルールを設定している百貨店のオンラインショップでは扱えないのだとか。
以前にも蘭の花が入った香煎に感動したのですが、そちらの方はもう生産されていないという事で残念ですが、同じ塩気のある飲み物でも昆布茶とは全く異なり穏やかな和のスパイスを感じる逸品です。
天然木の箱を指先でとんとんと叩いて入れる動作も、ちょっとした演出になりそう。
人によって砂糖やミルクを入れる紅茶や珈琲よりはヘルシーで、お茶よりも主張が少ない繊細な味わいの飲み物です。
三寒四温の折、凍るような風から逃げるように屋内に入ったときにこんな香煎が出されたら、ほっと心身がほぐれて、ほんのり春の訪れも感じられそうな気がします。